- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004307846
作品紹介・あらすじ
まさに泥沼ともいうべき、流血の対立の渦中にあるパレスチナとイスラエル。だが、ここに至る関係の歴史を正確に知る人は、意外に少ないのではないか。六〇年代後半からこの問題を追い続けてきた著者が、旧版以降の流れを新たに加筆、現地取材にもとづく最新の状況にもふれて、一冊で今日までの歴史と背景を辿れる新版として刊行する。
感想・レビュー・書評
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著者、広河隆一さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。
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広河 隆一(ひろかわ りゅういち、1943年9月5日 - )は、日本のフォトジャーナリスト、戦場カメラマン、市民活動家。フォトジャーナリズム月刊誌DAYS JAPANの元編集長、同誌発行の株式会社デイズジャパンの前代表取締役および前取締役。
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で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
富と貧困、占領と支配、宗教や民族の対立など様々な問題が凝縮するパレスチナ。本書は中東を何度も訪ね歩いた著者が、現地で見聞したことを織り込みながら、パレスチナ問題の輪郭を描く。1987年に発刊した『パレスチナ』と94年に発刊した『中東共存への道』を再構成し、加筆した。
「パレスチナ問題もレバノン内戦も湾岸戦争も、ヨーロッパの大国が支配圏をはっきりさせようと国境線を引いたことに由来する」との見方から、第1次世界大戦以降のパレスチナ現代史に焦点を当てる。第1次大戦後、パレスチナを支配した英国が、あえて内部に撹乱要因を作ろうとユダヤ人の入植を支援したこと、第2次世界大戦後、ナチスによるユダヤ人虐殺が明らかになるにつれ、パレスチナのユダヤ人が力を増したこと、抵抗勢力としてパレスチナ解放機構(PLO)が台頭したことなどを簡潔にまとめる。
---引用終了
それから、本作とは無関係ですが、岩波新書の色が以前より気になっていたので、ここで解決しておきます。
私の若い頃は、青版しかなかったと記憶しますが、今は数種類ありますね。
その辺のことを、岩波書店では、次のように言及しています。
---引用開始
岩波新書には、赤版、青版、黄版、新赤版の四種類があります。
赤版は1938年の創刊以来46年まで101点、青版は戦後1949年から1000点、黄版は1977年から396点刊行されました。そして1988年からは新赤版として新たにスタートしました。2006年4月に、色はそのまま、全体をツヤ消しにし、現在に至っています。
---引用終了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705446 -
パレスチナと言うこの本。物事は2つの方向から読み解かなければいけないということを改めて考えさせられた1冊です。ユダヤ人が、自らがされていたことと同じ事をパレスチナの人たちに行っている。。しかしその真実は報道では殆ど流さることがないのです。。。
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(後で書きます。実際に自身が目撃したエピソードが豊富だが、全体像の把握はやや粗雑で曖昧。参考文献なし)
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そもそも何でここまでこじれたのか理解し難い中東問題。
お勉強のつもりで読み始めた。しっかりとではないが、アウトラインは分かった。
本書は、パレスチナよりの視点で書かれてるが、この問題については、完全なる中立はあり得ない。
そもそも、大国による国境線の勝手な線引きに問題を発するいじょう、ゆ本来はその国々が責任を持つべきだと思う。
また、テロには武力をのアメリカの姿勢はイスラエルを正当化するのに利するだけというのも、よく理解できた。
喧嘩には、お互いに理屈があるだろうから、今度は、イスラエルの立場で書かれたものを読みたい。
とりあえず、同じ新書の「イスラエル」を読んでみる。 -
パレスチナ寄りの記述であるとしても、非常に大切な視点であることは確か。これでもかというほど和平への失望の繰り返し。そしていま、ハマス掃討の名目で、これほど民間人の犠牲を出しても攻撃を止めないのは、こういうことであるのかと知る。
著者は2023年12月現在も、イスラエルから慎重な視点でもってSNSで状況を伝えている。この本が版元で品切のままなのは、著者に考えがあってのことだろうか。 -
イスラエルではアウシュビッツコンプレックスとも呼ばれる民族絶滅の危機感が今でも行き続kている。
やがて再び起きるに違いない迫害と大虐殺に備えてこの国が必要だというのがイスラエルの建国思想。
パレスチナに送り込まれたのがいつも東欧のユダヤ人で、送り込んだのが西欧諸国だった。
イスラエルは戦争する理由があった。西ドイツからの巨額の賠償金支払いが終わって、景気が後退し失業が増えてイスラエルに来る移民よりも出ていく人の方が多くなってしまった。 -
…重い。いまさらだが。いくらページをめくっても絶望感しかない。
イスラエル建国時から今に至るまで、パレスチナの地で何が起こったか。
ニュースの裏側で、イスラエルの歴史には決して書かれることのない「本当のこと」とは何なのか。いずれにしてもパレスチナの地で実際に血で血をぬぐうようなテロ、報復、報復の報復が今まで繰り返されてきたことに変わりはない。
ナチスの迫害よりユダヤ人への同情があつまりイスラエルの建国が国連で承認された。(実際のところは欧米諸国が自国の利益を計るため、というのが大きいのだろうけれど)
イスラエルは法律によって公然とパレスチナ人の土地を没収、迫害を加える。彼らの言い分はこうだ。
「私たちが「安全」を考えなかったとき、誰かが私たちの身体から石けんをつくったのだ」
歴史が証明しているように、当然これからも起きるであろうユダヤ人迫害のときに備えて団結したユダヤ人国家を作ること…。
しかしイスラエルとパレスチナの武力の圧倒的な差にくわえて、ここに書かれている「報復」はいかにもやりすぎだった。
「自爆テロ」そうニュースで聞くたびに馬鹿なことだと思ってきた。
しかし近代的な武器で武装し(同時にアメリカはこの地を過去のブラジルのように兵器試用に利用した)、土地隔離政策・検閲によって自由に移動すらできないパレスチナ人にとってはもはや捨て身の自爆しか抵抗の余地は残されていないのだった。それほどまでに追いつめられた結果だということを、ぼくは知らなかった。
ひとつの選択の誤りがボタンの掛け違えのように後でどんどん大きくなって、もはや取り返しのつかないことになる…そういう恐ろしさをとても感じる。
「占領は外国勢力による支配を意味する。
外国勢力による支配は、抵抗運動を生む。
抵抗運動は、それへの弾圧を生む。
弾圧はテロを生み出す。
テロの犠牲者は、ほとんど罪のない人々だ。
占領地を抱えることは、私たちを殺人者の国民に変える。
ただちに占領地から撤退せよ!」