日本語の教室 (岩波新書)

著者 :
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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308003

作品紹介・あらすじ

日本語はどういう言語なのか。日本の文化・文明とどうかかわって来たのか。質問に答えながら問題の核心に迫って行く。日本語はどこから来たか、いかに展開して来たか、日本語の過去のみならず現在を見据えて、将来日本人は文明にどう対処すべきかを語る。著者の生涯を懸けた見解をあますところなく披瀝する渾身の書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 日本語の歴史や日本文化について多く書かれている本。

  • 日本語のを上手に使うための本というわけではなく、日本語とはどんな言語なのか、日本語を学ぶとはどういうことなのか、そして戦後の日本が失ってしまったものとはなんなのか、という哲学めいた内容が中心でした。

    「日本語をもっと上手に使いたい」「美しい日本語を使いたい」という人には向かない内容です。昨今多い「美しい日本語」へのアンチテーゼとも言える「論理的な日本語」については襟を正す思いで読んでいました。
    この本を読めば、我々が現在使っている日本語が、いかに戦前から衰え、衰弱してしまったか、という危機感を持つことができるかもしれません。

    16の質問を通して大野晋の考えが展開していきますが、特に「漢字」「漢文訓読体」に関する記述が面白いと思いました。たしかに教科書によく掲載される文学的小説の代表作家、夏目漱石、芥川龍之介、中島敦、森鴎外、といった面々は、どれも漢文的調子で文を展開していますし、漢文を愛読していたことが、歯切れの良い文章形成へと繋がったことを感じさせられます。
    日本的、源氏物語的な、情緒に訴える作品は好まれますが、論理的な文章展開を源氏物語から学ぶことは出来ないでしょうし、簡潔な言い回しや、客観的な視点などを多く含んだ漢文の教養が、しっかりとした文章表現を支えていたという話は納得できるものです。

    また、晩年力を注いでいた「タミル語起源説」に関してもまとまった記述があります。個人的には、基礎語、文法のみならず、宗教的慣習や、生活的慣習まで類似しているということは、信憑性は高い学術論に思うのですが…。「日本語の起源」等を読み、考えてみたい課題です。

    また、学問に対する思いも熱く、たんに好きだから好きな本を読んでいた、というだけの大学時代の学び方に対しても反省させられました。

    さすが、日本語を生涯学び続けた人だけあり、文章が大変読みやすく、幅広い知識と豊かな語彙には舌を巻きました。

  • 言語の研究は,特に日本語の起源といった問題は情況証拠は挙げられても証明ができないのがつらそうである.タミル語起源を主張する著者であるが,タミル語との共通起源の言語なんてものを考えてみるのも面白そうだ.

  • 日本語はどういう言語なのか? 日本の文化・文明とどうかかわって来たのか? 大野晋氏が質問に答えながら問題の核心に迫る。

    第1部 さまざまな質問に答えて
    第2部 日本語と日本の文明、その過去と将来

  • 日本語はインドのタミル語が起源だ!
    という論をどう受け取るかで評価は変わるでしょうね。
    わたしは、面白いと思いつつ説得力は微妙と感じました。

    そもそも教室というからには、もっと学術的に確かな、基本的な講義を期待していたのですが…。
    日本語の文法を学び直したい、という期待には答えてくれません。

    タミル語起源説についてはもっと深く掘り下げた研究を読んでみたいですね。

  • 日本文化の元が全て輸入だったとは。
    日本辺境論を読んだ後だからやたら納得しちゃいました。

  • 東京へ行くと、東京に行く、の違いや、⚪︎⚪︎のこと、のことの意味合いなど、読んでからすぐに使える知識がありがたかった。

  •  シンプルなタイトルであるが故に、一体どんな議論がなされているのか気になって手に取ってみました。
     著者の大野晋氏は、丸谷才一氏とも親交の深かった日本を代表する国語学者。その日本語・日本語文法の大家が、日本語にまつわる素朴な質問に答えていくという形態の本です。
     本書の後半では、「日本語」という切り口から日本文化・日本社会の現状や将来について語っています。
     戦後の当用漢字・教育漢字の制定等に見られる「漢字教育」の弱体化が、著者がいう「日本人の言語能力の劣化」をもたらし、文明の衰退に至りつつあるという著者の主張は明確です。

  • p107~ 連体詞 大きな が生じた理由について

  • 大野さんの日本語に対する情熱が文章から伝わってきます。易しくない内容をこんなに分かりやすい日本語で書くことができるなんて、素晴らしいと思いました。言葉は喋る人の思考に大きく影響を与えます。日本人は物事を客観的に、精密に、組織的に把握する力を欠くというところに、日本語の特徴をあげて説明されている。説得力がありました。日本語の教育は、はやくどうにかしないと…と思います。

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著者プロフィール

1919-2008年。東京生まれ。国語学者。著書に『日本語の起源 新版』『日本語練習帳』『日本語と私』『日本語の年輪』『係り結びの研究』『日本語の形成』他。編著に『岩波古語辞典』『古典基礎語辞典』他。

「2015年 『日本語と私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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