日本語の教室 (岩波新書 新赤版 800)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308003

感想・レビュー・書評

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  • 生涯を通して徹底的に日本語を追求している著者のインタビュー形式での本。
    日本語の文法を多少なりとも知らないとちんぷんかんぷんな本だけれど、こういう本を、もっと日本人は読むべきなんじゃないかと思います。

    特に、係り結びの箇所はすごく面白かった。最近の本で係り結びについて10ページ以上もページを割く本なんて、珍しい。

    さらに、著者の一番すごいところは、単なる「日本語」に終わらず、日本語を通して日本の文化や文明を分析しようとしているところ。この本を通して、言語がどれだけその国の文化・文明に影響を与えているのかが実感できます。しかし、日本語とタミル語が近いなんて、ものすごい発見。結局、日本語はどこから来たのか、今でもよく分からないのですね。

    「母語によって客観的世界を出来る限り精しく理解し、母語によって的確明晰に表現できる力を養わないで、外国語をうまく使おうとしても、可能であるはずがない」(p227)

  • チェック項目39箇所。
    「へ」と「に」の違い・・・「へ」は遠いところに向かって移動するとき。
    移動・移行の方向のときは「へ」。近い場所、動作の帰着点は「に」
    あなたのこと、わたしは・・・+
    あなたは、わたしのこと・・・-、女性が自分を低く言うときに使う
    「わたしのこと好き?」。
    気づきや持続の意味・・・「~た」、驚いた、あった。過去形だけど今使う。
    日本語の起源・・・南インドのタミル人。タミル語に似通っている。
    7000キロ離れている。朝鮮を経由している。
    「解」・・・牛の角を刀で切り分けること。
    「分」八をわけると四、四は二、二は一、「分」は刀で2つにすること。
    分離できるからわかるということ。
    「断」はオノで力を加えて物を2つにすること。判断も2つにわけること。
    大きい・・・年配、大きな・・・体が大きい
    「でも・しか先生」・・・教育熱心でない人が多かった?
    日本語にロゴスに当たる言葉がない。
    ロゴス・・・手にとって集める、選び出す、言葉を選ぶ
    日本の学問は真似ぶが基本。
    文明を作り出すことより、文明を輸入することが得意。

  • [ 内容 ]
    日本語はどういう言語なのか。
    日本の文化・文明とどうかかわって来たのか。
    質問に答えながら問題の核心に迫って行く。
    日本語はどこから来たか、いかに展開して来たか、日本語の過去のみならず現在を見据えて、将来日本人は文明にどう対処すべきかを語る。
    著者の生涯を懸けた見解をあますところなく披瀝する渾身の書き下ろし。

    [ 目次 ]
    第1部 さまざまな質問に答えて(日本語がよく書ける、よく読めるようになるには… 「私のことを打った」など、ことをつけるのはどうしてですか 仮定のことを言うのに過去形を使うのは何故ですか 日本語が南インドから来たとは本当ですか ほか)
    第2部 日本語と日本の文明、その過去と将来(漱石や鴎外は『源氏物語』を読んだでしょうか 漢文の学習を復活させたいのですか 戦争に敗けることが言葉に影響するものなのですか 漢字制限はよいことだったのではありませんか ほか)

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • なんで買ったのか覚えてない。
    けど、気づいたら、家にあった。

  • 国語力ブラッシュアップのためにぜひ。
    けれどそれだけじゃなくて、学問とは、学者とはかくあるべしと感動するところ。
    氏が日本語とタミル語の類似に驚いて、それを研究しようと決心をする辺りとか、ヘタな小説よりずっと感動的だった。この厳しさ、熱意、これこそ「勉強」というものです。60歳を過ぎてなお新しい研究を始めるという情熱もさることながら、超一流の学者が生涯を傾けてきた研究を「準備だった」と言い切る・・・目頭熱くなりました。

  • (2005.06.05読了)(2004.04.10購入)
    「日本語練習帳」の読者からの質問に答えるために書かれた本です。
    ●私のこと
    「私のことを」は、自分を低めた言い方になり、「あなたのこと」と「こと」をつければ、相手を高めることになった。「私のこと」「あなたのこと」という表現は、コンピューターで調べた範囲では明治時代の作品に圧倒的に多く、大正には少なく、昭和の文学にも少なかった。それは人間の上下の意識が時代とともに薄くなってきたこと、人間は平等という考え方が広まったことを反映するもので、相手を高めたり、自分を低めたりする言い方が減ってきたことと関係が深い。
    ●たは過去なのか
    探していたものを見つけたとき「あった、あった」という。びっくりした時「ああ驚いた」という。この「た」は、過去形なのか。古文にあった、記憶、気付き、完了、持続などの表現形式が現在まで残ったものということです。
    ●日本語は南インドのタミル語から来た
    1979年江実先生が「南インドのドラヴィダ語族は文法の構造が大体日本語と似ている。」という話をされていたので、「ドラヴィダ語語源辞典」を丸善で入手して、見てみたら、日本語とほとんどそっくりの単語があることが分かりました。さらに詳しく知るために、インド大使館の協力を得て、タミル語のわかる人を紹介してもらい、一語一語の解説を聞きました。1980年には、インドに出かけて研究を続けました。
    (かなりおもしろそうなので、別の本を読むことにします。)
    ●日本語の転機
    「日本人は漢文そのもの、その訓読系の文章によって明晰、簡明、論理的な組織化の重要さを学び、和文系の表現によって優しい心、自然を愛する心、情意の働きを受け取る能力を養ってきた。その二つが日本人の心を働かせる車の両輪だった。敗戦によって、漢文訓読系が切り捨てられた。」(漢字の使用制限が行なわれた)
    ●漢字全廃
    アメリカは日本を占領し、いろいろな政策を進める中で、日本が戦争に突き進んだのは、漢字を読めない人が多く、新聞など読めない人が多いので、正しい情報を得ていないためだろうと考えたようです。そのため、漢字全廃を目指し、その裏づけを取るために、識字率調査を行った。結果は、識字率97.9%ということで、漢字全廃政策は撤回した。
    同じ時期に、アメリカで、識字率調査をしたら、アメリカのほうが圧倒的に低かったろうと思われます。
    ●大野晋の本
    「日本語練習帳」大野晋著、岩波新書、1999.01.20

    1919年 東京生まれ
    1943年 東京大学文学部国文学科卒業
    専攻 国語学
    学習院大学名誉教授

    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本語はどういう言語なのか。日本の文化・文明とどうかかわって来たのか。質問に答えながら問題の核心に迫って行く。日本語はどこから来たか、いかに展開して来たか、日本語の過去のみならず現在を見据えて、将来日本人は文明にどう対処すべきかを語る。著者の生涯を懸けた見解をあますところなく披瀝する渾身の書き下ろし。

  • 日本語練習帳に寄せられた、読者の質問に答える形で編集された本。第一部は日本語に対する質問、第二部は日本の文明に関すること。特に第二部は読み応えあります。今回のインフルエンザの対応を見ていても、大野先生がおっしゃるとおり。日本はどうなっていくのでしょうね。

  • 20070716

  • これまた日本語

  • 下世話なハウツー本ではない。
    日本語とはいかなる言語か、核心に迫る。

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著者プロフィール

1919-2008年。東京生まれ。国語学者。著書に『日本語の起源 新版』『日本語練習帳』『日本語と私』『日本語の年輪』『係り結びの研究』『日本語の形成』他。編著に『岩波古語辞典』『古典基礎語辞典』他。

「2015年 『日本語と私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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