デモクラシーの帝国―アメリカ・戦争・現代世界 (岩波新書)

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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308027

作品紹介・あらすじ

二〇〇一年の同時多発テロ事件とアフガン戦争を経て、新しい世界秩序が姿を現してきた。それは、アメリカが「帝国」として世界を動かすというものだ。なぜアメリカは帝国に向かったのか。アメリカの変貌の下で、アジアやヨーロッパ、第三世界はどうなるのか。帝国秩序を超える道はどこにあるのか。世界政治の現在を徹底分析する。

感想・レビュー・書評

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  • 自分のはあくまで感想。
    詳細は後で。
    藤原帰一さんの文章は信頼性があっていい。

  • 2002年9月に上梓されたこの本の語るところは、特に"トランプ大統領"が現実のものとなった今、非常にリアリティをもって訴えかけてくるものが多い。

    『アメリカが帝国に向かい、単独行動に頼るとき、他の諸国はアメリカとの距離を広げ、それぞれの地域における制度形成に関心を移してしまうだろう。その結果として生まれるのは、国際政治における、壮絶な無責任状態、ともいうべきものである。(p.202)』

    さて、従来の「対米従属/協調」という二項対立の構図では到底理解出来ない、資源や領土の多極間対立が今まで以上に複雑化して起こることになるだろう。

    自国の権益を如何に守りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることの難しさに、日本のリベラルや左派は"剥き身"で直面する事になる。

    本書は平易な文章で書かれており、読み易い点も評価ポイントとして挙げておきたい。

  • 911一年後のアメリカの状況を解説。古いかと思ったが、過去からのアメリカの状況分析など勉強になった。
    アメリカは植民地化せずに領土を増やさずに支配する方法をとった。
    テロに対する正義という戦争を主張し、911では世論が完全に一致。
    中国を警戒する日本、アメリカに暴走を止めさせようとする中国という意図から日米同盟は成立。

  • 自由の象徴でありながら現代の「帝国」として語られることの多いアメリカ。自由から帝国へと変質させる思想の展開に注目して国際政治学上の「帝国」概念を用いながらアメリカを考察する一冊。民族による紐帯に乏しいアメリカは自由や人権といった思想にその紐帯を求めたが、それは一国に収まるものではないとする説明は示唆的である。本書でなされる指摘は非常に概念的で、また史料や資料の引用は少ない。むしろ、教授の愛する映画と結びつけながら解説する場面が一番筆がのっているあたり、軽い読み物と言える。

  •  冷戦期から2002年までのアメリカを国際関係の側面から解説する。章ごとにテーマが大きく変わるので全体像が掴みにくかった。一番重要なことはアメリカの対外政策がデモクラシーに基づいているということかな。四章の外交史とか情報が多いので消化しきれていないのだと思う。
     現在もアメリカが大国なのは常識だが具体的にどうして大国なのか説明できる人は少ないと思う。本書はその見えにくいアメリカの実態を見せてくれる。

  • アメリカを取り巻く世界は帝国アメリカとその周辺とは・・・いかない。

  • 国際政治論
    参考書

  • 主権国家の構成する国際関係がその国際関係という枠を保ったまま安定を保つことは大国にとっても決して不利なことではない。また単独行動に訴えることだけが大国にとって有利な選択であるともいえない。だとすれば、力の優位があるからといって、大国がその優位を利用し、帝国としての政策をとるように変わってしまうとは限らないのである。大国による帝国への転化は決して必然ではない。
    国際関係を帝国状況から変えてゆくためには、やはりアメリカが対外政策を転換することが必要になる。

    アメリカは海外領土を求めていない。帝国が軍事力によって領土拡大を図るものだとすれば、アメリカはそのような帝国とは考えられない。アメリカ人も帝国と呼ぶことは悪意か中傷と思っている。

    国際政治における権力の主体とは何よりも個別の政府であり、その政府が国民を代表しているという擬制に頼っている。

    通常の国際関係では各国がお互いに抑止しあう関係が成立するのに対し、帝国秩序では帝国による抑止はあっても帝国が抑止されることはない。戦争の脅威によってお互いに脅しあう国際関係と異なって、帝国だけが軍事的恫喝を行うことができる。

    デモクラシーとは各国の国内政治を構成する原則や制度であり国際関係とは関係がない。国際関係とは権力闘争である以上、理念の表明などは本当の目的を美化するためのきれいごとにすぎない。

    軍事的に覇権を維持しつつ、人権や民主主義を外交実務で表明するのはアメリカ外交の特徴。

    核抑止戦略を核保有国が採用する状況においては最も大きな被害が予想される戦争ほど抑止戦略が働きやすいという逆説が生まれる。

  • テロから1年後に藤原帰一氏が書いた名著

    やっぱり講義が面白いと本も面白いね!リアリズムの視点がものすごく出てます。

    アメリカってやっぱりすごいんだな。なんか世界がどうなるもアメリカの選択次第ってことを思い知った。

    軍事力も経済力も圧倒的。こんな国は他にありません。

    帝国って視点はすごく納得するけど、やっぱりこれは理想じゃない。民主主義とか自由だってベストの政策とは限らない。

    国民はフィクションの中で生きてると思うから。

    これからの世界、どう向かっていくかを真剣に考えた。EUもアメリカなしでは成り立たないしなぁ…。うーん…。

    アメリカが外交政策を変える。次の大統領にマジ期待したい。

  • 本書は9.11以降顕著になったアメリカの単独行動主義を、国内外の要因から考察した良書である。

    2002年初版。当時はアフガンでの軍事作戦が一段落し、大量破壊兵器保有の疑いがイラクに向けられていた時期であった。

    導入部と中盤に映画の引用が数多くなされており、アメリカの価値観を身近に感じながら同国の対外政策を検証していくことができる。大の映画好きらしい藤原先生の一面がちらりと覗く。

    是非とも次回の新刊では、イラク戦争とリーマンショック以降のアメリカを『アバター』や『ダークナイト』を用いて分析していただきたい。

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