デモクラシーの帝国 アメリカ・戦争・現代世界 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2002年9月20日発売)
3.38
  • (11)
  • (32)
  • (81)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 338
感想 : 27
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004308027

みんなの感想まとめ

国際政治の複雑さとその影響を深く考察した作品は、特に現代のアメリカの状況を踏まえたリアリティが際立っています。著者は、アメリカが単独行動を強める中で、他国がどのように距離を置くのか、そしてその結果、国...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分のはあくまで感想。
    詳細は後で。
    藤原帰一さんの文章は信頼性があっていい。

  • 2002年9月に上梓されたこの本の語るところは、特に"トランプ大統領"が現実のものとなった今、非常にリアリティをもって訴えかけてくるものが多い。

    『アメリカが帝国に向かい、単独行動に頼るとき、他の諸国はアメリカとの距離を広げ、それぞれの地域における制度形成に関心を移してしまうだろう。その結果として生まれるのは、国際政治における、壮絶な無責任状態、ともいうべきものである。(p.202)』

    さて、従来の「対米従属/協調」という二項対立の構図では到底理解出来ない、資源や領土の多極間対立が今まで以上に複雑化して起こることになるだろう。

    自国の権益を如何に守りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることの難しさに、日本のリベラルや左派は"剥き身"で直面する事になる。

    本書は平易な文章で書かれており、読み易い点も評価ポイントとして挙げておきたい。

  • 911一年後のアメリカの状況を解説。古いかと思ったが、過去からのアメリカの状況分析など勉強になった。
    アメリカは植民地化せずに領土を増やさずに支配する方法をとった。
    テロに対する正義という戦争を主張し、911では世論が完全に一致。
    中国を警戒する日本、アメリカに暴走を止めさせようとする中国という意図から日米同盟は成立。

  • 自由の象徴でありながら現代の「帝国」として語られることの多いアメリカ。自由から帝国へと変質させる思想の展開に注目して国際政治学上の「帝国」概念を用いながらアメリカを考察する一冊。民族による紐帯に乏しいアメリカは自由や人権といった思想にその紐帯を求めたが、それは一国に収まるものではないとする説明は示唆的である。本書でなされる指摘は非常に概念的で、また史料や資料の引用は少ない。むしろ、教授の愛する映画と結びつけながら解説する場面が一番筆がのっているあたり、軽い読み物と言える。

  •  冷戦期から2002年までのアメリカを国際関係の側面から解説する。章ごとにテーマが大きく変わるので全体像が掴みにくかった。一番重要なことはアメリカの対外政策がデモクラシーに基づいているということかな。四章の外交史とか情報が多いので消化しきれていないのだと思う。
     現在もアメリカが大国なのは常識だが具体的にどうして大国なのか説明できる人は少ないと思う。本書はその見えにくいアメリカの実態を見せてくれる。

  • アメリカを取り巻く世界は帝国アメリカとその周辺とは・・・いかない。

  • 国際政治論
    参考書

  • 主権国家の構成する国際関係がその国際関係という枠を保ったまま安定を保つことは大国にとっても決して不利なことではない。また単独行動に訴えることだけが大国にとって有利な選択であるともいえない。だとすれば、力の優位があるからといって、大国がその優位を利用し、帝国としての政策をとるように変わってしまうとは限らないのである。大国による帝国への転化は決して必然ではない。
    国際関係を帝国状況から変えてゆくためには、やはりアメリカが対外政策を転換することが必要になる。

    アメリカは海外領土を求めていない。帝国が軍事力によって領土拡大を図るものだとすれば、アメリカはそのような帝国とは考えられない。アメリカ人も帝国と呼ぶことは悪意か中傷と思っている。

    国際政治における権力の主体とは何よりも個別の政府であり、その政府が国民を代表しているという擬制に頼っている。

    通常の国際関係では各国がお互いに抑止しあう関係が成立するのに対し、帝国秩序では帝国による抑止はあっても帝国が抑止されることはない。戦争の脅威によってお互いに脅しあう国際関係と異なって、帝国だけが軍事的恫喝を行うことができる。

    デモクラシーとは各国の国内政治を構成する原則や制度であり国際関係とは関係がない。国際関係とは権力闘争である以上、理念の表明などは本当の目的を美化するためのきれいごとにすぎない。

    軍事的に覇権を維持しつつ、人権や民主主義を外交実務で表明するのはアメリカ外交の特徴。

    核抑止戦略を核保有国が採用する状況においては最も大きな被害が予想される戦争ほど抑止戦略が働きやすいという逆説が生まれる。

  • テロから1年後に藤原帰一氏が書いた名著

    やっぱり講義が面白いと本も面白いね!リアリズムの視点がものすごく出てます。

    アメリカってやっぱりすごいんだな。なんか世界がどうなるもアメリカの選択次第ってことを思い知った。

    軍事力も経済力も圧倒的。こんな国は他にありません。

    帝国って視点はすごく納得するけど、やっぱりこれは理想じゃない。民主主義とか自由だってベストの政策とは限らない。

    国民はフィクションの中で生きてると思うから。

    これからの世界、どう向かっていくかを真剣に考えた。EUもアメリカなしでは成り立たないしなぁ…。うーん…。

    アメリカが外交政策を変える。次の大統領にマジ期待したい。

  • 本書は9.11以降顕著になったアメリカの単独行動主義を、国内外の要因から考察した良書である。

    2002年初版。当時はアフガンでの軍事作戦が一段落し、大量破壊兵器保有の疑いがイラクに向けられていた時期であった。

    導入部と中盤に映画の引用が数多くなされており、アメリカの価値観を身近に感じながら同国の対外政策を検証していくことができる。大の映画好きらしい藤原先生の一面がちらりと覗く。

    是非とも次回の新刊では、イラク戦争とリーマンショック以降のアメリカを『アバター』や『ダークナイト』を用いて分析していただきたい。

  • 「帝国」とは自分達のスタンダードを他国にも押しつけ、自分達のスタンダードを基準に行動することであるとする著者の意見は卓見です。

  • [ 内容 ]
    二〇〇一年の同時多発テロ事件とアフガン戦争を経て、新しい世界秩序が姿を現してきた。
    それは、アメリカが「帝国」として世界を動かすというものだ。
    なぜアメリカは帝国に向かったのか。
    アメリカの変貌の下で、アジアやヨーロッパ、第三世界はどうなるのか。
    帝国秩序を超える道はどこにあるのか。
    世界政治の現在を徹底分析する。

    [ 目次 ]
    序 ボスのいる世界
    第1章 帝国としてのアメリカ
    第2章 自由の戦士
    第3章 闇の奥
    第4章 正義の戦争
    第5章 帝国と地域の間
    終章 帝国からの選択

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ネグリ、ハートをはじめとする、「帝国」という言葉が意味する内容をわかりやすくしたうえで、アメリカという国家を「帝国」として批判的に考察していく本。

  • アメリカ映画からアメリカ人の戦争観を述べるなど、多角的視点でアメリカという国が如何に帝国となっていくかが書かれている。
    面白かった。

  • 大学1年生の時、
    僕が国際政治という分野に興味をもつきっかけになった書。

    9・11後のアメリカを「帝国」というキーワードに基づいて読み解いている。
    偏りがなく、冷静な視点でアメリカを見た良書です。

  • 9.11以降、アメリカの世界戦略の一大転換。

    ほかのどの国にも制約されない強制力と、普遍的理念を組み合わせたデモクラシーの帝国ともいうべき秩序ができあがる−−

    戦後の日本統治型デモクラシーが各国にも通用するという誤謬。

    イラク政策に日本の戦後民主化路線を当てはめるのだとさ、器の形も違うところにいやはや乱暴じゃないかと、みなひそひそしている訳で、領土を持たないが唯一の超大国のご託宣には迷惑しながらもついて行かざるを得ない。

    外交政策も、経済・金融政策も、アメリカ・デモクラシーの倫理で進められるのだから、もうウンザリ。しかしこれと言って枠組みを新たには出来なさそうだから、もう黙っているしかないか。

  • アメリカ合衆国という民主主義の国がなぜ帝国として定義されうるのかを、述べたもの。
    それは、国内と国外の区分のあいまいさにある。
    アメリカの多様性は、アメリカが世界の縮図であるかのような錯覚を起こさせ、アメリカの論理、民主主義、自由、人権を普遍的なものとして全世界に敷衍する。
    それらの論理は普遍的であるがゆえに、内政干渉という規制の枠をこえて、及ぼされることになる。

    まさに、アメリカこそが世界であるという考え。
    中華思想を引き合いに出すまでもなく、「自国」と世界のあくなき一体感はまさに帝国というにふさわしい。
    その意味で、日本国民であるはずの私自身、世界中の人々が、潜在的にアメリカ国民であるのだ。
    もしくは、帝国民かもしれないが。

    という内容はおもしろかったのだが、普遍主義と帝国の関連を説明したあとは、かなり薄い内容だった気がする。
    インディジョーンズとか映画の分析より、もっと実例をだしていろんなことを説明してくれ、なんでこうなったのかを教えてくれと不完全燃焼な感じだった。
    まだまだアメリカに関してはよく理解できない。

  • アメリカが嫌いになる本。

    元々余り好きではなかったが、どうしてアメリカが単独行動主義に陥るのかが歴史やアメリカの文化、及びハリウッド映画を例に分かりやすく書かれている。
    読みやすいのですぐ読み終る。

  • 京都議定書の拒否あたりからアメリカ、特にブッシュ政権の単独主義行動が目立ってきた。そして国連決議のないままにイラク戦争が開戦し、人々はアメリカを「帝国」としてなぞらえ、批判をし続けてきた。もちろん私もその中の一人であった。しかしながら、この本を読んで、そのような一方的なアメリカ批判に対して疑問を持ち始めた。それは本書のなかでも紹介されていたように、ヨーロッパでは冷戦時では旧ソ連とドイツの封じ込めにアメリカを使ったし、冷戦後は軍事的場面ではアメリカ抜きでは無力だということが明らかになった。また、アジアにおいても地域のバランサーとしてアメリカに頼ってきたのである。そこには批判者になった私たちも、アメリカという軍事大国の下に入ることによって安全を享受してきた事実があることを忘れてはならない。つまり、アメリカを今のように単独主義的で帝国化させたことに、そのアメリカに享受を求めてきた私たちにも責任があったのではないかと思う。それゆえに、アメリカを国際社会に戻す作業においても私たちアジアやヨーロッパの人々が参与しなければならないと思う。
    それでは、この帝国化し、独走しはじめたアメリカに対して、私たちはどのように対応したらよいのだろうか。この点について、私は本書にあるように、アメリカを排除(あるいは敵視)した国際関係よりも、アメリカを含めた国際関係のほうが重要であると考える。そのためにも国連機構の再編成とその機能の強化という考えに賛成する。なぜならば、多国による相互監視・牽制システムはまだ完全に崩壊したわけではなく、国連も弱力ではありながらも安全保障以外の分野において成果を挙げているからだ。また、現存する国際機構で国連ほど多くの国が加入し、多分野にわたって従事している機構も他には見ないという点からも、新たな国際システムを樹立するよりは従来あるものの再編成や機能強化を進めたほうが効率的だと思う。
    この点を踏まえて、アメリカを国際社会に取り戻す作業において私なりに考えた答えが次のようである。アメリカの軍事的・経済的強大さを認め、時としてその強大さを利用する必要もあるが、国際刑事裁判所の設立のように(軍事的な面やアメリカ一国に対する制裁とは限らないが)単独でしかも一方的な行動を制裁できるような機構が必要だと考える(もっとも、これについてアメリカは特別扱いを要求している現実もある)。また、アメリカが単独主義に走った場合、残りの国々は一致団結してアメリカに対抗する必要もあると思う。これはアメリカを敵視することではなく、アメリカ以外の諸国によるアメリカの牽制であると考える。この場合はアメリカ以外の国々はできるだけ分裂状態にないことが好ましい。しかしながら、現実の国益を考慮した外交においては、かならずしも各国の意見が一致することはないだろう。だが、このような外交自体、アメリカから被る恩恵を期待していることになり、そのような外交をとるのであればいっそうアメリカの帝国化に対して責任を取らなければならないだろう。

全23件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

東京大学社会科学研究所教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原帰一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×