日本の軍隊―兵士たちの近代史 (岩波新書)

著者 : 吉田裕
  • 岩波書店 (2002年12月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308164

作品紹介

1873年の徴兵令制定以来、文明開化の推進力となり、全国に近代秩序を浸透させる役割を果たした日本の軍隊。それが、十五年戦争期のような反近代的で精神主義的な軍隊になってしまったのは、なぜか。日本の民衆にとって、軍隊経験とは、どんな意味があったのか。豊富な史料をもとに「天皇の軍隊」の内実を解明する。

日本の軍隊―兵士たちの近代史 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2002年刊。著者は一橋大学大学院社会学研究科教授。◆戦前期における「天皇の軍隊」は民衆的支持を獲得できたか。その理由は?。また限界は何?。これらを兵士らの手記、統計データ等から解読。◆支持獲得の具体的理由としては①軍が西欧文物の窓口。②⑴一部階層における社会的上昇の手段。上等兵昇進が地域的高評価を齎す農民層、特に跡を継げない次男以降の男(そのまま下士官の道を歩む者も存在)、⑵経済的に上級学校進学が困難な小学卒(殊に隠れた実力ある高等小卒)。③貧困層には軍隊生活自体が衣食住面の安定化に資する。というもの。
    ◆しかしながら限界あるのも当然。そもそも陸軍リーダーは陸大層、就中、幼年学校卒へ固定化され、結果、帝大層や下士官層の知恵や問題意識は入らなかった。◇それは、①都市層の低所得者の利益は等閑視、②叩き上げ下士官の上層への道を閉ざした結果、士官の言われなきエリート意識の極大化、③軍エリートとハピトゥスの違う帝大出身者、特に理系出身者への敵意が、彼らの持つ合理的発想を軍(特に陸軍)に注入するのを滞らせ、更にこの敵意が自らの独善的発想の道に繋がるなど様々な弊害へ。組織の自己増殖や保身も含む。

  • 大きく分けて2種の観点から日本軍を見る。
    ひとつは一兵士から見た日本軍。それは徴兵される存在であり、成人への儀礼通過の象徴であり、満期を上等兵で向かえ故郷に錦を飾るべきものであり、またその職業は貧しい農村出身者の生活手段であった。
    祖父がそのまた祖父⁽予備役⁾の載る日露戦役の出征リストを見て、上等兵と記載があるのを見た時に妙に感心をしていた。初めてその理由を理解した。
    考えてみれば当然のことなのかもしれないが、軍と地方の関係はいつだって相対的で、地方出身にもいろいろあって農村出身者もいれば大学教員もいるわけで。社会的ヒエラルキーのどの視点から軍を見るかによって軍の評価やとらえ方が変わる。本書は比較的、貧しい日本社会から軍を見ている。そこには、補助的な教育機関としての存在や、立身出世の場としての空間や、雇用の場として一般民衆が軍を利用していたことが分かる。
    もうひとつは国軍から皇軍意識への変化を知ることができる。ひとつの象徴としてサーベルの変化が挙げられており、1930年代のいわゆる対外紛争や戦争を繰り返した時代にあって、天皇の名を利用した国粋主義的な動員がなされたことを知ることができる。

    何が日本軍を支えたのかという疑問に対するひとつの視座があった。

  • 日本軍の成立→発展→自壊までの過程を
    詳細に描き出している。民衆にとっての
    軍隊の意味など豊富な資料からの裏付けを
    基に天皇の軍隊の姿を浮かび上がらせる。

    第一次大戦で日本軍の首脳部の間にも
    砲兵を主力とすべきという意見や騎兵の
    存在意義を問いただす意見が出ているとは
    思わず驚いた。

  • 【資料ID】18168
    【分類】392.1/Y86

  • 昭和天皇に関する本を読んだので、それじゃあ軍隊そのものはどうなのかなと思い読み始める。近代化推進の機能がいかに反近代的組織になったのかが理解できる。

  • [ 内容 ]
    1873年の徴兵令制定以来、文明開化の推進力となり、全国に近代秩序を浸透させる役割を果たした日本の軍隊。
    それが、十五年戦争期のような反近代的で精神主義的な軍隊になってしまったのは、なぜか。
    日本の民衆にとって、軍隊経験とは、どんな意味があったのか。
    豊富な史料をもとに「天皇の軍隊」の内実を解明する。

    [ 目次 ]
    序章 分析の視角
    第1章 近代社会の形成と軍隊(時間・身体・言語;軍隊と「文明開化」 ほか)
    第2章 軍隊の民衆的基盤(「人生儀礼」としての兵役;軍隊の持つ平等性 ほか)
    第3章 総力戦の時代へ(軍部の成立;軍改革への着手 ほか)
    第4章 十五年戦争と兵士(国軍から皇軍へ;大量動員とその矛盾)

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  • 2004年11月25日

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