ドイツ史10講 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308263

作品紹介・あらすじ

ゲルマン世界、神聖ローマ帝国、宗教改革、絶対主義、二回の世界大戦…二千数百年の激動の歩みを、一講ずつ、要点を明確にして、通史的に叙述。中世的世界、大学や官僚と近代化の役割など重要なテーマに着目しつつ、つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描き、冷戦後の統一ドイツの位置にも新たな光を当てる。

感想・レビュー・書評

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  • ▼ハンナ・アーレントさんの「エルサレムのアイヒマン」を読もうと思い。準備体操にドイツ史の本を何か読もう・・・と手に取った1冊。期待に違わずかなりドイツな気分にさせていただけました。ありがたい。

    ▼「ドイツ史10講」坂井榮八郎。岩波新書、2003年。坂井さんという方は、1935年生まれの歴史学者さんだそうです。無論、一般向けの分かりやすい歴史書、というコンセプト。印象に残ったのは、ルターとナポレオンでした。

    ▼ルター=宗教改革については、とにかくルター自身の腐敗したカトリック教会への勇気ある反論活動。それに教義などとはあまり関係なく、さまざまな思惑が絡んで、プロテスタントが成立した、という雰囲気が(なんとなく)わかりました。全部がルター個人がやった訳では無くて、政治経済的にカトリックの一極独裁体制に、多くの国、州が嫌気が差してきていたから。さらに同時期にさまざまな相関関係でスイスでもカトリック否定の過激運動が勃発して、それがカルヴァン派、ユグノー、長老派、ピューリタンになっていく。知らなんだ。さらに、そんな新教の動きへの反発でカトリック内で起こった自浄運動が、イエズス会で、ザビエルさん。そこから日本にキリスト教がやってくる。うーん。世界は連動しています。

    ▼それからナポレオン。ドイツ史なんだけど。この本を読んでいて正直、中世までは、それなりにはオモシロかったけど、どうしても耳慣れない固有名詞と勢力分布の移り変わりが激しすぎて、もやっとしています。ところがそれが、ナポレオンですっきり。つまり、坂井さんも潔く書いていますが、「ナポレオンが全欧州を席巻してしまう。そこで、ぶっちゃけ全て一度、ご破算になってしまいます。全部、短期間でもナポレオン趣味にされてしまう。つまりフランス革命的な共和制を輸出、植え付けてしまう。その後リバウンドがあって、ナポレオンは失脚、王政帝政が戻ってくるんだけど、もはや共和制的な萌芽は揺るがない。統一国民国家、共和制民主制の緩やかな受け入れの方向になっていく」ということです。ナポレオン、やっぱり大物です。

    ▼かなり間違っているかもですが、中世に栄えしドイツ=オーストリア、神聖ローマ帝国。ですが結局、栄華のゆえに新興国に植民地競争で大いに遅れをとり、ドイツは諸州諸侯の乱立闘争。さらにイギリス&フランスに18世紀~19世紀の植民地経営で出遅れ。結局、植民地経営=グローバル貿易、資本主義、合理主義=平民ブルジョワジーの台頭=共和制民主主義という流れに乗り遅れた。合理的に運営できる規模、すなわちオーストリアを切り離した小ドイツでの中央集権国民国家の成立、そして後発が故の軍事国家へ、鉄血宰相ビスマルクで謳歌した帝政末期の強国時代も、第1次世界大戦でオーストリアと共倒れ。ヴェルサイユ条約体制の経済苦境に、世界恐慌のダブルパンチでヒトラーの台頭・・・。

    ▼そう考えると、冷戦終結~グローバル化のリバウンドとしての民族主義の再台頭から、コロナショックのダブル経済打撃が、更なるヒトラーの台頭を呼ばないことを祈りたくなってきますが、それは2度の敗戦と冷戦に蹂躙された20世紀を過ごしたドイツよりも、20世紀を勝ち抜いてしまった海の向こうの大国の方が心配ですね。トランプ大統領、どうなることやら・・・。

    ▼さて、アーレントに上陸します。

  • ☆☆☆2017年12月レビュー☆☆☆


    ドイツとは何だろう?現在のドイツは19世紀に生まれた新しい国で、歴史を遡ればその地域には「神聖ローマ帝国」があった。自分なりに解釈すれば、諸侯連合のボスといった存在だったのだろうか。諸藩連合のトップの江戸幕府のようなものか? 


    今回の読書で印象に残ったのは、オーストリアのヨーゼフ2世の改革だろうか。「啓蒙絶対主義」の国王により、農民開放や信教の自由がなされたというのは興味深い。
    ドイツ統一から第一次世界大戦、ヒトラーの出現に至る歴史にも触れている。


    ドイツを中心にヨーロッパの歴史を学ぶのに分かりやすい良著だと思う。

  • 岩波新書の「10講」シリーズの既刊3点を読んでみたが、本書が一番読みやすかった。新書一冊でドイツ史まるごとを語るというのはそもそも無理なので、題材の適切な取捨選択が必要だが、本書の著者はそこら辺の塩梅を大変うまくやっているように思った。結果、全編の見通しがとてもよい本に出来上がっている(この点、あれもこれもと詰め込んで混沌としている『イギリス史10講』と対照的である)。著者自身の体験を交えて語られる現代ドイツのくだりも興味深い。

  • 期待通りの岩波新書的な出来具合。最高に読みやすく最高に面白い。
    フランク帝国は教会=国家、という仕組みであり、民衆は帝国を教会と理解していた、という分析は専門家間では一般的なのだろうが、自分には目新しいものだった。その後は教会↔国家の対立という構造へと徐々に変わっていくが、最初から対立していたわけではない・・・という。中世ドイツは、教会↔国家という2つの中心を持つの楕円形で理解すべし、らしい。
    神聖ローマ帝国時代の解説では、控えめではあったけど、オーストリアやプロイセン以外の領邦についても触れられていたのが良かった。教科書はこういう部分を端折るので、いつも全体像が見えづらくて困っていたから、ありがたい。
    近代では、ビスマルク政治を端的かつ鋭くとらえていて、目からウロコだった。天性の外交家は、バランスオブパワーでアクター間の動きを捉え、包囲網的な安定を形成しようとする。これを国内で行うと、「いじめ」構造とでもいうべき排撃的な戦略になる(キリスト教勢力、社会主義者勢力などに対して)。ということらしい。
    近代以降のドイツ政治は、調整型といわれることが多い気がするが、そのことも分析されていて、興味深かった。旧領邦が持つ議席配分や、議会と行政府の対立と調整などなど。ただ、利益政治的な側面はあまり語られていなかったかもしれない。
    グダグダ述べてきてしまったが、再読に値する名著でした。

  • イギリス史10講がわりと分かりやすかったのでドイツもと思い買ってみた。が著者のせいなのか、ドイツが大陸の国のせいなのか、難しかった。日本やイギリスのように海岸線で国が囲まれている国じゃないからか。ある程度の事は分かっている前提で書かれている。

    メモ
    ライン川とエルベ川の線

    p28 「ドイツ」の起源
    10世紀ごろは「ドイツ」という言葉はまだなかったが、東フランクの支配層の中には国王選挙などの共同作業を通じて、西フランクやイタリアとは異なる国家意識が生まれていたことは確かである。「ドイツ」というこ言葉ができる前に、のちに「ドイツ」と呼ばれることになる地域の政治的一体性が「分国からなる王国」という形でうまれていた

    p12 ゲルマン人
    BC3世紀頃から、北方バルト海方面から南下したゲルマン人諸部族は先住のケルト人を追い出し、ローマ人がゲルマニアと呼んだライン川東側の今のドイツ西部に住みつき、さらにライン川を越えて西方ガリア(今のフランス西部)にも入り込んだ。ライン川西のトーリアなどはローマの遺構がみられる。
     しかし、現在のドイツ人やドイツ語の源流となったのは、375年のゲルマン人の大移動後に新しく定住したゲルマン諸部族(アレマンネン、ザクセン、チューリンゲン、バイエルン、フリーゼン)とその言葉で、タキトゥス(55-120 「ゲルマニア」を書く98年)時代のゲルマン人ではない。
     ローマ帝国とドイツとの関係では、今のドイツの一部がローマ帝国領になっていたことよりも、ドイツに定住したゲルマン諸部族が、ローマ帝国の後継国家となったフランク帝国に包摂されたことだ。


    481頃 フランク王国の統一(フランク族のクローヴィス、フランク王国の王となる。)
    843年 フランク帝国、東西フランク、「ロータル」の国に分割
    ○870年 メルセン条約、ロートリンゲン再分割=独仏伊の地域的原型が形成される
    ○962 神聖ローマ帝国~オットー1世、ローマ皇帝に戴冠
    1226 ドイツ騎士団、プロイセンの領有を認められる
    1241 ハンザ同盟のはじまり
    1517 ルターの宗教改革
    1618 ウェストファリア条約 ドイツの緒領邦、「領邦高権」を認められる
    1701 スペイン継承戦争 プロイセン公国「王国」に昇格
    1740 オーストリア、マリア・テレジア即位(~80)
    1806 神聖ローマ帝国終焉 対ナポレオン、プロイセン破れる
    1813 対ナポレオン解放戦争
    1814 ウィーン体制 
    ○1815 ドイツ連邦発足(ドイツ諸国家~主権的諸侯と自由都市約40の連邦組織) 
    ○1862 ビスマルク、プロイセン首相就任
    1870 普仏戦争
    ○1871 ドイツ帝国発足(プロイセン王国、バイエルン王国、ザクセン王国、など22の君主国と3つの自由市-ハンブルク、ブレーメン、リューベック)
    1914 第一次世界大戦

    ※ガリア戦記 シーザー(カエサル著)BC58-59の遠征記
    ガリア:ローマ人からみた今のフランス地方の名称
    ガリア人=ケルト人

    2003.2.20第1刷、2019.7.16第「25刷

  • (「BOOK」データベースより)
    ゲルマン世界、神聖ローマ帝国、宗教改革、絶対主義、二回の世界大戦…二千数百年の激動の歩みを、一講ずつ、要点を明確にして、通史的に叙述。中世的世界、大学や官僚と近代化の役割など重要なテーマに着目しつつ、つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描き、冷戦後の統一ドイツの位置にも新たな光を当てる。

  • 文章なのか内容なのかわからないが難解感があり、一旦読むのをやめる。
    もう少しドイツの歴史に詳しくなってから再挑戦しようと思う。

  • さっくりとまとめてドイツについてわかる。読んでいるうちに、どうして現代のヨーロッパでイギリス、フランスと並ぶ主要国であるのかストンと腑に落ちた。

  • 誠実故ではあるが、少々退屈。ドイツ史の勘どころはつかめる。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    現代のドイツは知っていてもドイツの歴史にはあまり詳しくないので一時代でなく、誕生から現代までの通史を読みたくて、借りてきた。
    神聖ローマ帝国は以前に読んだことがあるのだけど、それ以外の時代はローマ帝国やフランスに関する本を読んだ際に登場するぐらいで詳しく知らなかったので新鮮だった。
    特に印象的だったのはドイツという枠組みがかなり新しい時代に生まれており、それまでは神聖ローマ帝国の皇帝は存在するものの、絶対的な権力者ではなくバラバラだったことだ。
    中央集権化もイギリスやフランスに比べると遅れているのになぜ現代で大国となったのかが不思議なぐらいだが、プロセインのビスマルクの強硬な進め方をしると納得もできるな。

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