未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 789
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308379

作品紹介・あらすじ

「図書館がなかったら今の自分はなかった」。起業や芸術の支援、医療情報などが充実したニューヨーク公共図書館。地域密着の運営、独自のイベントや、ITを活用した情報提供は、どのようにして可能なのか。個人の力を伸ばし、コミュニティを活性化させる活動とその意義を伝え、「市民が主役の情報社会」の方向を探る、示唆に富む報告。

感想・レビュー・書評

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  • 本棚から十数年ぶりの再読。
    本書でのニューヨーク公共図書館のスタイルが、日本の現状とはあまりにも差がありすぎて、「とにかくこの眼で見てみたい」と強烈に思ったものだ。
    今夏映画化によりその望みが叶い(眼からウロコが何百枚も落ち)今一度開いてみる。

    ニューヨーク公共図書館は、NPO組織。その資金も寄付によって賄われている。
    もうこれだけでも驚きなのだが、予算には限りがあるためサービス充実に努めており、そのサービスの充実ぶりに更に驚く。
    「公共(Public)」という認識からしてすでに違うのだ。
    政府や自治体が行うものだから公共なのではない。
    市民に開かれ市民の暮らしを支えていくから公共と言える。
    これが何故日本では出来ないのかを考える時、私たちは「どこかの誰かが全てやってくれる」ことを暗に期待してはいないか。

    情報というものは、それをどう活用していくかにかかっている。
    同時に引き出すスキルさえ持たない人と言うのも存在する。
    この図書館は、この二つのタイプに適宜対応していく。
    様々な市民の暮らしを支援する、専門性の高い司書さんたちの存在。
    誰もが無料でアクセスできる膨大な量のデータベースは、起業や芸術の支援、医療情報の把握に役立ち、時に図書館は博物館のようであり、美術館のようでもあり、職安のようでもある。
    履歴書の書き方までレクチャーしてくれるのだから、もう想像をはるかに超える。
    更に、放課後の子どもたちの居場所であり、「宿題ヘルプ」の担当者もいて教員訓練の場にもなっている。
    市民と地域の活力源として、どれほど重要な役割を担っていることだろう。

    著者後書きによれば、日本は図書館の後進国なのだということが、よく分かる。
    この本が出てから16年。現在は更に遅滞していることだろう。
    那須塩原市に完成したという新しい図書館は、あるいは進化形かもしれないので、こちらも一度見に行ってみたい。
    「知のインフラ」としての図書館が、国民の知力を高める場となり、それが地域を支える底力となっていったら素晴らしいと思うのだがどうだろう。
    本好きさんや学生さんだけの場ではない。
    どうかすべての人のニーズに応えた門戸が開かれますように。

    余談だが、この秋は読みごたえのある良書に恵まれた。
    これもブク友さんたちのおかげと感謝でいっぱいです。いつもありがとう。

    • nejidonさん
      夜型さん、言い忘れました。
      いつもたくさんの本を紹介していただいて、何のお礼も出来ず、すみません。
      私からは絵本と児童書くらいしか紹介出...
      夜型さん、言い忘れました。
      いつもたくさんの本を紹介していただいて、何のお礼も出来ず、すみません。
      私からは絵本と児童書くらいしか紹介出来るものがないのです。
      お役に立てなくて。。お恥ずかしい。
      またいつでもお越しください。
      コメントをいただくと手放しで喜ぶシステムとなっております♫
      2019/12/02
    • 夜型さん
      こんばんは。
      5552さんが本にまつわる本が好きって言っていたので、持ち合いからソートをかけてまとめてみたんです。おそらく抜けがあるかもし...
      こんばんは。
      5552さんが本にまつわる本が好きって言っていたので、持ち合いからソートをかけてまとめてみたんです。おそらく抜けがあるかもしれません。

      読書会、いいですね。ブク友メンバーで集まったら楽しそう。参加したことがないから、どんなことをするのか未知なのですが笑

      人間動けるうち、できる時にやりたいことをやって思い残しがないようにしたいですね。

      時機を待つのももちろん悪くないです。
      うさぎが好きなのですが、亀の歩みが合ってます。生まれ変わるならペンギンがいいですけど!

      本の寿命は恐ろしく短いです。
      ヒルルクの言う通りで、いい本を見つけたら良かったよって他の人に伝えていくと生きながらえるそうです^^
      そのパズルのピースを貴殿に託しました。よろしくです。
      2019/12/03
    • nejidonさん
      夜型さん、再訪して下さって、ありがとうございます!
      このリスト、そうだったのですか。
      ソートをかけてもなお抜けがあるとしたら、もっと増え...
      夜型さん、再訪して下さって、ありがとうございます!
      このリスト、そうだったのですか。
      ソートをかけてもなお抜けがあるとしたら、もっと増える可能性がありますね。
      そうだといいなぁ。とても楽しみです。
      夜型さん、私は「知りたいこと・分かりたいこと」が山のようにあるのですが、
      問題はその「知り方・分かり方」なんですよね。
      この「本にまつわるリスト」が、応えてくれそうで、すごくワクワクしています。

      読書会は、学生時代の楽しい思い出のひとつです。
      私のようなゆっくりした子ばかり(笑)10数人集まって、年に3度開いてました。
      色々な見方・感じ方やらが飛び交って面白そうと思われるでしょうが、
      実はそれ以外にも面白くてたまらない時間が最後にあるのです。
      次なる課題の「選書タイム」で、全員が推し本をプレゼンするのです。
      ひとり1分から1分半以内。これはもう、病みつきになる面白さでした。
      生涯で、あんなに頭を使ったことはないかもしれません・笑

      (夜型さんはペンギンさんでしたか?!ふふふ。
      私は空を悠々と飛ぶ大きな鳥になりたいです。棲み処は深山。)

      コメントのラスト4行で涙が滲んできました。
      私に出来ることなんて微々たるものですが、
      たとえひとりでも受け止めてくれるならと
      いつもそう思っています。
      お話会も同じです。
      中学生向けの朗読作品は決まりましたよ。
      せんだっての「みちづれ」から選びました。
      ありがとうございます。パズルのピースは確かに受け取りました。


      2019/12/03
  • 2003年刊行の本書に描かれた、ニューヨーク公共図書館の姿に驚かされてばかりでした。
    日本の図書館の在り方との違いにも驚きましたが、ニューヨーク市民の図書館に対する信頼度の高さに衝撃を受けました。
    市民が図書館に受けた恩恵を寄附金という形で図書館に還元する文化も日本にはない形だと思います。
    市民と図書館がお互いを成長させる相乗効果が生まれていることに、大きな刺激を受けました。

    図書館の無料インターネットを利用してビジネスを展開している男性についての、図書館側のコメントが奮っています。
    「彼が失業したりホームレスになって社会保障のコストをかけるより、図書館の資源を活用して得意分野で才能を伸ばし、経済的に自立してもらったほうが、市にとっても彼自身にとってもメリットが大きい。」
    とても広い視野を持ってサービスを提供していることが感じられました。

    刊行から10年以上を経ていますが、本書に描かれたニューヨーク公共図書館に、日本の図書館はまだまだ追いつけていないという現実も突きつけられた感じです。

  • 「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」という映画を見て衝撃を受けた。
    NPOが運営する公共図書館というものでありながら、世界最大級の規模と、サービスの手厚さを目の当たりに見た。
    図書館なので本という蔵書を持っているだけでなく、文化的遺産の保護、舞台芸術や写真、映像、音声資料も持つ。そして、それを貸し出すというだけでなく、分野ごとに精通した司書をおいており、司書は図書館でのF2Fでも、電話等でも利用者の要望を聞き取り、アドバイスする。
    映画の中では冒頭電話対応をする多数の司書たちの様子が映し出されていた。まるで電化製品のサービスサポートセンターのようだ。
    そして、図書館は利用者の自立や文化的生活を助けるために多種多様な講座を主催したり、有名な文化人の公演(映画ではリチャード・ドーキンス、エルビス・コステロなどが講演に来ていた)を行うだけではなく、市民の30%はインターネット接続環境を持っていないという現実に対して、図書館のPCを開放してインターネット接続を許可するだけでなく、映画の中では自宅でも使用できるようにとモバイルワイファイの貸し出しまでやっていた。
    そして、そういう図書館の活動の資金は半分が市などからの助成金(税金)だが、半分は篤志家からの寄付などによっている。しかも、その総額は年間3億ドル近い(300億円以上)になるという。
    だからこれだけの多彩な活動ができるのか!という驚きもあるが、黙っていて助成金や寄付が来るはずがない。そのための実績を積み上げ、寄付を呼びかける宣伝活動もしっかり戦略的にやっている。そして、そういう呼びかけに応える篤志家がいる、、、
    なんだかんだ言ってアメリカという国の底力というか、懐の深さを思い知らされる。

    この本は日本人の女性ジャーナリストであり、ニューヨーク公共図書館の利用者でもある菅谷明子氏が、普段お世話になっている図書館がどういう歴史を持ち、なぜこれほどまでに充実したサービスを提供できるのかを取材したものだ。
    映画を見て、NYPLの凄さに驚嘆して、本で更に詳細な情報を知らいたいと思って購入した。
    なんともNYが羨ましい。

  • アメリカで、図書館を利用したことがあります。
    大学の図書館、公共図書館の両方訪問しました。

    制度がよくわかっていなかったので、本書を読んでいればよかったと思いました。
    ニューヨークへ出かける方は、ぜひ、でかける前に読まれるとよいと思います。

  • ニューヨークの図書館がうらやましい。
    キーワードで司書さんが資料を持ってきてくれるなんて、なんかevernoteみたいだなあ、と思った。

  • 図書館の可能性を感じた。NPOの担当者にも読んでほしい本。

  • 科学的発明や芸術、経済効果など社会に関わる活動の動力源が図書館にある!
    図書館資料の存在が利用者の目指すベクトルの違いによって二転三転し、新たな成果を生み出す。
    ニューヨークにある図書館はそれを代表しています。
    それに倣い、世界中の図書館が同じ役割を持てば素晴らしいと思います。

  • 映画に引き続き、こんな図書館が近所にあったらなあと思わずにはいられない。2003年刊行なのにまだ内容に驚きが溢れているのはそれだけ日本の図書館が立ち遅れているということと、自分も図書館に興味を持ってなかったことの表れ。映画には入らなかった取組みの記載も多数。

    特に羨ましいのは舞台芸術を支援するリンカーン・センターと個室提供付きで1年間研究できる「研究者・作家センター」文献だけじゃなく過去の映像記録や脚本草稿、舞台セットミニチュアが保管され、作家センターは基本個人作業だけど毎日ランチは研究者たちみんなで食べるルールとか、素敵すぎる…

    2003年時点でデジタルサービスやデータベース・アーカイヴの重要性を理解してパソコン教室を開いたり万超えの資料のデジタル化に着手していたりと先見アンド先見の明で脱帽というかおそれいりました(平伏)という感じ NY公共図書館はNPO法人であることもそういう企画の自主性につながっているのかな。

  • ニューヨーク公共図書館を取材し紹介した本です。この図書館を「アイデアを育む孵化器」と呼び、その多彩な取組を詳細に紹介しています。「敷居の低さも世界一」で、「市民による市民のための図書館」でもある。多様な市民のニーズに応えようとして、その可能性を引き出そうと日々努めているとしています。筆者はここに未来の図書館を見てとっていて、その図書館の根本的な役割は「つなぐ:ことだと述べています。映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」のヒットで再び脚光を浴びているようです。(yori)

  • 衝撃的で、刺激的。10年前の本なのに、アメリカの図書館とはここまで進んでいるのか、すなわち日本は10年でまだ追いついていないってのを思い知る(進化している館も無論ある)。ビジネスに、芸術に、交流に、学ぶことが多い。

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