- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308713
作品紹介・あらすじ
短期間でイラク戦争を終結させたアメリカ。だが、その占領統治は相次ぐ武力抵抗によって混乱の極みに陥っている。亡命イラク人を重用しようとしたアメリカの目算はなぜ狂ったのか。イスラーム政治運動の拡大は、ポスト・フセイン体制をどのようなものにしていくのか。一三年ぶりの現地訪問を果した著者が、イラク「解放」の現実を描く。
感想・レビュー・書評
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今から20年前に書かれたものであるが、意外と新しく感じられる。最後がイラクとアメリカの前に関わったイギリスへの反発を描いている。最初にこの英国との関係を書いてもよかったのではないか。また、王家や宗派の代表が入り乱れて説明を受けているような感じがするので、図にしてもらうともっとわかりやすいと思われる。米原真理の推薦本であったような気がする。
イラク戦争について知るための基本書であろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岩波新書 酒井啓子 「イラク 戦争と占領」
2003年フセイン政権崩壊後の現地レポート。アメリカが戦後統治に失敗したのはイラク国民が 石油利権を通じてアメリカとフセインが友好関係にあったから、という論調
イラクのインフラ崩壊と治安悪化を立て直し、国家の代役を果たしたのは イスラーム。地域共同体としてのイスラームが 選挙により政府を樹立し、イスラームに基づく国家と社会を建設している
著者の結論「アメリカは〜イスラームと文明の衝突を推進している〜文明の対話が可能と考えている穏健派イスラーム勢力の立場を弱め〜テロの増幅を呼び〜民主主義の芽を摘み取っている」
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SK7a
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4004308712 244p 2004・1・23 2刷
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電力不足やそれに伴うインフラの不備に加えて、イラク人の生活にとって大きな障害となっているのは、通信網の破壊だろう。戦争で各地の電話通信センターが破壊されたが、半年経っても一部しか回復していない。わずかに同じ局番を共有する一定のエリア内で、地上電話回線が通じる程度。当然業務上の通信連絡にも支障をきたすことになるので、占領軍は7月以降、勤務復帰した公務員に携帯電話を配布することにした。
実際、フランスとロシアにとって最も大きな懸念材料は、もしアメリカがイラクのフセイン政権を妥当して新たな政権を樹立した場合、自国がフセイン政権と取り交わした利権契約はどうなるのか、フセイン政権時代に積み上げられた膨大な借金を返してもらえるのか、ということだった。
戦争が順調に進まなかった最大の理由はイラク国内で反政府暴動や投降が起きなかったことにある。 -
イラクという国の複雑な事情を背景として、戦後のアメリカ占領策が準備不足のままに失敗し、その後の復興も遅々として進まなくなった。
客観的な事実をもとに淡々と書かれていて、イラクの戦後事情が次第に理解できるようになる。 -
世界の警察・アメリカは、どこにでも土足で上がり込みすべてに自国のルールを適用しようとする。その失敗の例が戦後イラクの混乱だろう。