市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)

著者 : 篠原一
  • 岩波書店 (2004年1月20日発売)
3.35
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  • 本棚登録 :225
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308720

作品紹介・あらすじ

「第二の近代」に入りつつある二一世紀において、私たち市民はどんな課題に取り組まねばならないのか。欧米で議論されている最新の市民社会論やデモクラシー論を紹介しつつ、現在の政治社会の変容を歴史的文脈の中で分析する。そのうえで、デモクラシーを深化させる新しい社会の像、政治の形を展望していく、市民のための政治学講議。

市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  •  ポピュリズム関連で読みました。第二の近代が訪れる中で、市民社会の再構築が必要となっています。揺れる市民社会、その「間隙」を突いてくるのがポピュリズム。つまり、ポピュリズムは混乱と混沌の中で伸長を狙う勢力である、と。ポピュリズムについての書籍を何冊か読んできましたが、このような認識は、アプローチは違えどその多くに共通することです。

     ポピュリズムは、「価値の多元化にもとづく体制リーダー間の妥協と、それがもたらす閉塞感」を「恰好のいけにえ」にすると筆者。民主主義は、実は多くの欠陥を抱えた制度であり、「他よりもまし」であるから受容されている側面は大きいです。民主主義の弱点や空洞を突いてくるポピュリズムは恐るべき怪物といったところでしょうか。不安を煽り、大衆を動員した「その先」が全く見えない。その本質は「無責任」であること、「イズム」と名乗りながらも実はまったくイデオロギーなど持ち合わせていないこと(強いて呼ぶなら「日和見主義」といったところ)、それはもっと知られるべきだと思います。

     本書の主題は「デリバレイティブ・デモクラシー」について。熟議や討議など、さまざまな訳語が付与されますが、民主主義の今後を考える上で外せないコア的な概念だと思います。無責任な煽動に踊らされるのではなく、熟議、討議のできる成熟した市民でありたい、そう思います。そのために、反民主主義と思われるような勢力には毅然と対峙したいものです。

  • 【版元】
     欧米では今、〈討議デモクラシー〉という考え方がさかんに提起され、さまざまな形で実践に移されています。これは、社会の課題について普通の市民が意見をたたかわせる場を設けることで、政治を活性化していこうという試みです。日本の民主政治が機能不全に陥っているといわれる今、このデモクラシーの新しい形に目を向けることが必要ではないでしょうか。
     本書では、この〈討議デモクラシー〉をはじめ、〈社会関係資本〉〈結社革命〉〈サブ政治〉〈市民労働〉といった欧米の最新の議論を分かりやすく紹介しながら、市民社会をいかにすれば強化できるか、不気味に強まりつつあるポピュリズムの流れにどうすれば抗うことができるかを考えてゆきます。
     21世紀に、市民がどのように政治に関わってゆくべきかを考える上で、いろいろなヒントがちりばめられているはずです。ぜひご一読ください。(新書編集部 小田野耕明)
    https://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0401/sin_k156.html
     
         
    ■著者紹介
       篠原 一(しのはら・はじめ)
    1925年東京生まれ。東京大学教授、成蹊大学教授を経て、現在、東京大学名誉教授。専攻はヨーロッパ政治史・政治学。
    著書に『ドイツ革命史序説』(岩波書店)『現代の政治力学』(みすず書房)『日本の政治風土』(岩波新書)『現代日本の文化変容』(れんが書房)『市民参加』(岩波書店)『連合時代の政治理論』(現代の理論社)『ポスト産業社会の政治』(東京大学出版会)『ヨーロッパの政治』(東京大学出版会)『〈市民と政治〉5話』(有信堂高文社)など多数。
     
         
    【簡易目次】
    はじめに  
     
    1章 近代社会はどう変わりつつあるか
    1 近代の流れ
    2 何が近代を準備したか
    3 近代の構造
    4 変容する近代
    5 自省的近代化

    2章 「第二の近代」とその争点
    1 政治変容の諸相
    2 経済変容の諸相
    3 地球化のインパクト
    4 「第三の道」とは何か

    3章 新しい市民社会論
    1 市民社会論の系譜
    2 ハーバーマスの市民社会論
    3 市民社会の展開

    4章 揺れる市民社会
    1 ポピュリズムの歴史的諸相
    2 ポピュリズムの共通性
    3 ナショナリズム考

    5章 討議デモクラシー
    1 行動的市民とデモクラシー
    2 討議制意見調査
    3 コンセンサス会議
    4 計画細胞と市民陪審制
    5 多段式対話手続き
    6 いくつかの問題  
         
    終章 市民の条件

  • 後書きで「石油ショックの頃にガンの手術をした」とか書いてあるからびっくりして巻末を見たら、著者は89歳のおじいさんだった。
    文句なく☆5。久々に「読み返したい本」に出会った。
    政治学や熟議を論じるために、とりあえず最低限の知識は欲しいなと思った時、かなり役立つと思う。コスパ良い。読みやすい。
    ノイズを感じない快適な文章だった。

  • 後半が消化できなかった。汗

  • めも
    consensus conference
    デンマーク、オランダ

    ダール「それなりの市民」adequate citizen
    「世田谷市民大学」

    わかりやすかった!派生学習しやすいよう色んな人が紹介されている。

  • 久しぶりに政治学系の著書を読んだ。政治学の学際性をよく表しているし、過去に読んだ本の中でも良書に入る。とりわけ、討議制デモクラシーの実例等についての記述は、私自身これから参考にしたいと思った。近年の重要な論点である討議制デモクラシーであるが、これに関して概説的に述べていたり、新書で扱っている本が少ない。これから議論の活発化に合わせてどんどんと増えていくであろうが、討議という形態の民主制はこれからの社会の中で重要視されるであろうし、地方自治体においては取り入れていただきたい制度である。

  • 「市民参加型の行政」や「市民と行政の協働」などの言葉はよく耳にしますが、ここ数十年は、市民生活の中での意思をどのように政治システムの中に組み込んでいくかという点で、なかなかブレイクスルーが見いだせない時代になっていると思います。
    NPOやソーシャルビジネスに注目が集まり、可能性は感じさせてくれていますが、政治システムの中にどれほどの影響力を及ぼしているかというと、そこには旧態依然とした壁を打ち破れていないようにも感じます。
    そんな問題に対して、歴史的な背景も紹介しながら、「討議デモクラシー」という方向性を示す本です。
    新書のわりに少し難解です。

  • [ 内容 ]
    「第二の近代」に入りつつある二一世紀において、私たち市民はどんな課題に取り組まねばならないのか。
    欧米で議論されている最新の市民社会論やデモクラシー論を紹介しつつ、現在の政治社会の変容を歴史的文脈の中で分析する。
    そのうえで、デモクラシーを深化させる新しい社会の像、政治の形を展望していく、市民のための政治学講議。

    [ 目次 ]
    第1章 近代社会はどう変わりつつあるか
    第2章 「第二の近代」とその争点
    第3章 新しい市民社会論
    第4章 揺れる市民社会
    第5章 討議デモクラシー
    終章 市民の条件

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  集団的な感情の発露である「世論」と人びとが熟議後で出来上がる「輿論」と論じていたのは佐藤卓己であったが、本書では、近代自体から問題がしっぺ返ししてくる「第二の近代」の状況において、悪い側面として浮かび上がった「ポピュリズム」への処方箋としての「熟議」デモクラシーを近代の解説を経由して語っている。

  • 市民の政治参加について述べた本。
    特に、近年欧米などで進んでいる参加型の手法である討議デモクラシーに着目しているところがポイントである。

    基本的な認識としては、「ほどほどの市民」がアドホックに政治にかかわるにはどうすればよいのかということだろう。
    4章は噛み砕きが不十分でくぁるように思えた(香山リカの本をうのみにするのはどうかと思った)。

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