- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308812
作品紹介・あらすじ
「現代の戦争は情報戦争」といわれるように、戦争の行方はマスメディアのありように大きく左右される。英国BBCをはじめとする欧米のメディアに精通する著者が、「湾岸」から「イラク」にいたる九〇年代以降の戦争報道を分析し、新しい時代の戦争におけるメディアの役割、またグローバル・ジャーナリズムの可能性と問題点を浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705525詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
湾岸戦争などがどう報道されてきたかを振り返り、イギリスやアメリカでどう捉えられてきたか、今後どうするかの議論を紹介しながら現在におけるメディアの役割について書かれている。
「戦操が起きれば最初の犠牲者は真実である」
現在の戦争報道は政府や軍による報道・取材規制、逸脱者の従軍拒否などによるメディアコントロールが強い。
軍にとって都合の良い情報は積極的に報道、都合の悪い情報は隠しきれなくなるまで徹底的に隠される。
追求しようにも軍に守られながらじゃないと従軍すらままならない。
今や記者や放送施設などメディアも重要な攻撃対象になる。
拠点という意味でもそうだが、単なる取材でもカメラを構える姿勢と銃を構える姿勢は戦場では区別が難しいため勘違いから攻撃されることも多々ある。
そんな中、独自取材する為にはコネと土地勘昔から変わらずとても大事。
コネも土地勘もない人間が戦闘地域に行くのは自殺行為よりたちわるい迷惑なだけ。
そういう状況であるからこそジャーナリストの役割は重要であると思う。
善悪といった単純な二極化に陥りがちだしそう操作される対象だと自覚し、戦場で自分の目で見た真実を虚飾なく報道することが大事だというBBC記者のコメントなどはとても重く感じられる。
イギリスなどではこれらのことを踏まえ今後メディアはどうあるべきかが議論され、メディア側が独自で設けている指針なども紹介されていて考えるための情報は多い。
それとともに、インターネットの普及などにより多元的な情報を手にしやすくなったにもかかわらず日本の報道はアメリカ政府等の限られた情報ソースからの報道しかしていないことも書かれている。
湾岸戦争時の日本で「今回の戦争報道ほどメディアが入り込んだ戦争はなかった」と興奮して語ったキャスターがいたが、戦場に残った日本人記者はいないし与えられたものを垂れ流してるだけだったというのがとても考えさせられる。 -
報道だけが真実じゃない。