安心のファシズム―支配されたがる人びと (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308973

作品紹介・あらすじ

携帯電話、住基ネット、ネット家電、自動改札機など、便利なテクノロジーにちらつく権力の影。人間の尊厳を冒され、道具にされる運命をしいられるにもかかわらず、それでも人びとはそこに「安心」を求める。自由から逃走し、支配されたがるその心性はどこからくるのか。著者の長年の取材、調査、研究を集大成する渾身の書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • フロム『自由からの逃走』に『1984』を混ぜて自身のイデオロギーを語るという「やりたいこと」は理解できるが、全体的に浅くて稚拙。

    「監視カメラの心理学」なんて章があるのを見つけてフーコーなんかに絡めて書かれていると勝手に勘違いして読み始めた自分もあれだけど、呆れるほど浅い内容でマジ呆れた。心理学のかけらもなく、ただ被害者意識を全開にしてるだけで、過度の一般化も中学生レベル。

    あらゆる公権力に反対する、という姿勢もここまで教養なく語られると「落書き」レベルでしかない。オワタ。

  • かなり前に読んだ一冊。自動改札機の話や、監視カメラの話がインパクトが大きかった。

  •  著者の斎藤貴男(1958-)は国際学MAをもったジャーナリスト。

    【内容紹介】
    ■著者からのメッセージ
    “ファシズムはそよ風とともにやってくる、という警句があります。独裁者の強権政治だけでファシズムは成立しません。自由の放擲と隷従を積極的に求める民衆の心性あってこそ、それは命脈を保つのです。私たちは今、まさにそのような空気のただ中にあるのではないでしょうか。多くの人々が、何者かに対する不安や怯えや恐怖や、その他諸々がないまぜになった精神状態が、より強大な権力と巨大テクノロジーと利便性に支配された安心を欲しているかのようです。権力に無条件で服従しない人が現れると徹底的に叩かれるのはこのためです。たとえばイラクの人質事件で当事者や家族たちに浴びせられた集中砲火が、もしかしたら近い将来、この国の歴史の重大なターニング・ポイントだったと評価されてしまうような事態にならないとも限りません。私たちはいま一度、現状を冷静に見つめ直してみる必要があると思います。不安に満ちた人間にとって、ファシズムはとりあえず居心地がよいのでしょう。しかし、その先に待ち受けているものは何なのか、ということを。今のうちなら、まだ引き返せるかもしれません。そのための手がかりを、私はやむにやまれぬ危機感を以って、本書に書き込んでみたつもりです。一人でも多くの読者に手にとっていただけることを願ってやみません。”



    【目次】
    目次 [ix-x]

    第一章 イラク人質事件と銃後の思想 001
    人質たちへの誹謗中傷/自作自演説の発信地は首相官邸/最悪の局面で噴き出した自己責任論/自己責任とは何か/「癒し」としての差別/人質バッシングに見られる尋常でない視点の高さ/超国家主義の復権

    第二章 自動改札機と携帯電話 041
    自動改札機の存在感/自動改札機の普及史/アメとムチによる徹底/人間工学とサイバネティクス/生理的器官化した「ケータイ」/ケータイ市場の爆発とトラブルの急増/「つながってるね」の本当の意味/脳のアウトソーシング/「動く商圏」と「息をする財布」

    第三章 自由からの逃走 081
    自民党憲法調査会の議論から/先行する「心の教育」/日本中の子どもに『心のノート』を浸透させるということ/心のアンケート調査/コンフリクト・フリー/「お国のために命を投げ出す」国民を/サラリーマン税制と会社人間の習い性/ナチスの亡霊

    第四章 監視カメラの心理学 117
    艶歌の成立しない世界/監視カメラに関する意識調査/杉並区監視カメラ専門家会議/監視カメラ“先進国”英国の実態/何がなんでも“防犯カメラ”/監視カメラの向こうとこちら/哲学としての監視カメラ論

    第五章 社会ダーウィニズムと服従の論理 157
    ネオ封建時代への構想/“衛星プチ帝国”を志向する日本/誰がためのゼロ・トレランス/排除によってしか確保できないと考えられた「安全」/9・11以降のアメリカ監視社会/ハイテク・社会ダーウィニズムの恐怖/再び「コンフリクト・フリー」/『バトル・ロワイヤル』式

    第六章 安心のファシズム 199
    自由でないことの「幸福」?/サウンド・バイト/ブッシュ大統領と小泉首相/新語法〔ニュースピーク〕/ウンベルト・エーコの『永遠のファシズム』/思想統制事件の横行と「これから」

    あとがき(二〇〇四年六月 斎藤貴男) [229-232]

  • 他人の指図だけは受けたくないと強く願っているわたしとしては、最近の安倍内閣を支持する人々が全くもって理解できず、「なぜ、そんなに支配されたがっているのか?!」と悶々としていた時に、ふと、いつものブックオフで見つけた本。

    副題は、「支配されたがる人びと」!!!
    まさにその時のわたしの悩みにジャストミートであった。読んでみて、この本が書かれた2004年にはもう既に2015年いま現在の路線が決まっていたのであった。現状に照らして、深くふかく納得…

    同時に読んでいたノーベル賞受賞者クリック博士の「DNAに魂はあるか」の結論にぴったりマッチしていたのには驚いたし、希望が持てた。ぜひ皆に読んで欲しい!

    Mahalo

  • イラク人質問題の時は、周りの人々が怒ってて怖かったと同時に違和感があった。その違和感の正体が少し分かった気がした。
    自動改札や携帯電話のくだりは、ちょっと古いせいか同感できない。監視カメラ(防犯カメラ)は最近ますます増えてきている事に対して、安心(防犯)と不安(監視)の両方を感じる。
    1984年との関連づけ。絶対的な独裁者はいないにも関わらず、皆が無意識に進んであの世界に向かいつつあるのか?
    ワンフレーズ・ポリティクス、その危険性は分かっているのに取り上げるマスコミは怠慢だから?

  • とてもするどい指摘だけど、全体的に、そこまで公権力を敵視しなくてもいいんじゃないかと思った。

  • 論旨はおおよそ当たっている。だが、安心のファシズムが、戦後民主主義の反動であることを胸に手を置いて著者は考えなくてはなるまい。でなければ赤の表紙のアジビラ同然だ。

  • 携帯電話、住基ネット、ネット家電、自動改札機など、便利なテクノロジーにちらつく権力の影。人間の尊厳を冒され、道具にされる運命をしいられるにもかかわらず、それでも人びとはそこに「安心」を求める。自由から逃走し、支配されたがるその心性はどこからくるのか。著者の長年の取材、調査、研究を集大成する渾身の書き下ろし。(「BOOK」データベースより)

  • 人間は自由を求めます。なぜか、束縛される環境・状況・体制に属する状態にあるからです。

    そこから、脱することを求め、そこに成長や達成感を見出します。

    本当に欲しているのは、そこであるにも関わらず、
    まず、その限定空間所属の前提条件が必要。

    以前読んでいたのですが、大阪ダブル選挙があったので、読み返してみました^^

  • 文科系評論のありがちな切り貼りの作品。
    全部一つづつ確認していくと、著者がよく勉強していることは分かる。
    新聞雑誌以外に、書籍の引用、紹介は次の数十冊に及ぶ。
     自由からの逃走
     心のノート
     バトルロワイヤル
     永遠のファシズム
     自己責任とは何か
     声にだして読めないネット掲示板
     全国のあいつぐ差別事件
     戦争の甘い誘惑
     プライバシークライシス
     現代哲学事典 講談社現代新書
     社会学事典
     ケータイを持ったサル
     ハイデガーとハバーマスと携帯電話
    crmマーケティング戦略
     憲法学教室
     社内教育入門
     サラリーマン税制に異議あり
     カルト資本主義
     1984年
     盛り場ブルース
     われら ザミャ-チン
     新しい戦争の時代と日本
     リーダシップ 講談社
     路上に自由を 監視カメラ徹底批判
     資本主義は何処へいく
     アメリカ研究 社会科学的アプローチ
     人権新説
     強者の権利の競争
     講座 進化2 進化思想と社会
     不自由論
     戦争で儲ける人たち
     戦争広告代理店
     ブッシズム
     ブッシュ妄言録
     小泉超暴言録
     薔薇の名前

    これだけの書籍を、よく組み合わせているというのが感想だ。
    社会科学系の大学の卒業論文としては、優をつけたい。

    大学の卒業論文の手本として、広く読んで欲しい。
    全体として、何がいいたいのかは、立場の違いがあるのでよくわからなかった。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1958年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業。英国バーミンガム大学修士(国際学MA)。新聞記者、週刊誌記者を経てフリーに。さまざまな社会問題をテーマに精力的な執筆活動を行っている。『「心」と「国策」の内幕』(ちくま文庫)『機会不平等』(岩波現代文庫)『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)『戦争経済大国』(河出書房新社)など著書多数。『「東京電力」研究 排除の系譜』(角川文庫)で第三回いける本大賞受賞。

「2018年 『日本が壊れていく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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