経営者の条件 (岩波新書 新赤版907)

  • 岩波書店 (2004年9月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004309079

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

経営者に求められる資質やビジョンの重要性を深く考察した内容で、経営者自身やその選び方が企業に与える影響についても触れています。著者は成功した経営者とそうでない経営者の事例を通じて、特にサラリーマン経営...

感想・レビュー・書評

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  • ドラッカーに取り組むのは、この本が最初なのだろうか?仮にそうだとしても、多くのことばに読み覚えがある。近日中にもう一度読み直してみたい。

  • 858

    経営者は何をする人なのか。これまで役割と機能に関する学説や調査結果などを通して優れた経営者に共通する特 徴を見てきたが、これらの経営者機能(executivefunetio)をつきつめれば、「意思決定」機能に集約できると言っ てよい。

    ⑤視野の広さ・白己革新能力
    情報化、国際化が急速にすすむ企業環境は「国際的な視点から事業を見直す幅広い勉強」(宮崎輝)が求められ、 「全体の見える人。要するに自分の仕事しか考えない人はダメ」(同上)ということになる。そして、「専門家とい うのは取締役にしないで、そちらの方の権威者として遇する方がよい」と言うのが、小林庄一郎(当時、関西電力社 長)であり、「大変秀才で自説を少しも曲げない人、自説ばかりに固執する人はダメ」というのがその理由である。 専門能力をどう処遇するかという問題とも結びつくが、昇進系列を複線化の方向に変革する考え方と同様に、専門家 としての能力と経営を預かる能力とはよく見極めて人事に当たるべきであろう。 さらに、「技術者というのは最後までピュアな技術者である人と、途中からマネジメントに興味を持つ人の二通り に分かれる。ピュアな面の技術者というのはその面を評価して(役員にしないで)役員と同じような待遇をする」と の土方武(当時、住友化学工業会長)の意見は正鵠を得たものと言えるが、一方、わが国企業のトップマネジメント のなかに経営的感覚に優れた技術畑出身の名経営者を見出すのはさほど困難なことではないのである。

    業績貢献度やアグレッシブネスが、経営者として組織を駆動させる原動力となることは確かであるが、「役員にな る前は業績本位に会社への貢献度をみて昇進人事をすすめる」が、「役員にする場合は業績だけではダメ、全社員大 ら人間的に尊敬されないといけない」という藤森鐵雄(当時、第一勧業銀行相談役)の指摘は、わが国の組織管理型 経営者の大方の意見を代表していると思われる。「役員に選ぼうとする人たちは能力的にはみんなほとんど同じだ。 生まれながらにして持っているもの、人間性みたいなものがキメ手になる」と言うのは中山善郎(当時、コスモ石油 会長)の意見だが、「役員にしようと決めたら三年間はじっくりその人の仕事ぶりを見る。穏やかな人柄、卓越した バランス感覚というのは役員にとっては必要な資質」(宮崎輝)とされるのである。 同趣旨の意見は、「仕事ができるとかできないとか言われるが、
    何ごとも最後は"人間"ということになる。人格的な触れ合いのなかからこそ、人間同士の信頼感が生まれてくる」(上方武)、「最も大切なことは私欲がないこと、器の大きいこと」(川勝堅二・当時、三和銀行会長)「器量と人徳、これは書くこともできないし、非常に難しいが、取締役にするかどうかはこれが決め手のように思える」(福原義春・当時、資生堂社長)のように数多く見られ 人の上に立ち、組織の上層部で役割を担う専門経営者は「部下の言うことを真面目に聞き、部下に腕をふるわせる 人、周りの人の協力を得られる人、支持が得られる人」(山本卓眞)でなければならないのである。

    二〇〇二年明るみに出た東京電力原子力発電所の隠蔽工作、、あるいは日本ハムの牛肉偽装事件、さらには二〇〇2 年摘発された西武鉄道の総会屋への利益供与事件などはトップ経営者が引責辞任する結末とはなったが、果たしてど のようにトップがかかわったのか、どこまで組織ぐるみの犯罪であったのか、いずれもあいまいなままに幕が下ろさ れた感は拭えない。これらの事例のみならず、戦後六〇年近くを経過した今日のわが国企業社会で、不祥事を起こし た大企業の経営者(とくにサラリーマン経営者)の責任回避の言動と東京裁判の被告人との間に共通性を感じないわ けにはいかないのである。

    住友の総理事として経営の近代化をすすめ、住友財閥中興の祖とされる伊庭真剛の生涯は、「禅の修行」に尽きる と言われている。住友の命運のかかった別子銅山の紛争収拾のために単身別子に乗り込んだとき、その懐には信頼す る峩山老師から贈られた『臨済録』を忍ばせていたという。公害への真摯な取り組みは、巨費を投じて製錬所を新居 浜の沖合いの無人島に移転したあと、別子で大規模な植林事業に乗り出したことにあらわれている。

    経営者とて特別な人間であるわけがない。心に迷いを持ち、日々葛藤のなかで己の弱さと向き合っているのが通常の姿だとしたら、経営者が己の行為を振り返り、人間的な資質を少しでも高めていく拠り所となるだ何かが必要であろ 「メンター(menter)」は、キャリア開発上の指導者・支援者のことであり、いわば「心の師」を意味する言葉 である。成功した多くの経営者には、自分に強い影響を与えたメンターが存在しており、自らのキャリア開発の上でも、企業の成長の上でも、優れたメンターを得ることが成功の鍵となっていることを検証した研究がある(合谷美江「経営者のキャリアにおけるメンターの役割と影響」横浜市立大学大学院博士課程・未発表論文、二〇〇一年)。 この研究は、日本経済新聞に掲載された「私の履歴書」のなかで、一九五四年から八六年までの経済人のみ一六八 人の履歴書をもとに分析を行なったものである。分析の枠組みとして、経営者のキャリアのタイプを、一つの企業で トップまで昇りつめた「生え抜き型」、キャリア途上で転職している「転職型」、家業を継いでいる「後継者型」 白ら企業を起こした「創業型」の四つに分類している。 分析の結果、これら一六八名の経営者のうち、実に一五二名、九〇・五パーセントの人たちがメンターの存在を認 めていたことが明らかとなった。そして、「生え抜き型」と「後継者型」はメンターが社内に存在することが多く、 メンターと数十年にわたって強い関係を構築し、良くも悪くもメンターと運命をともにしている傾向が見出されたと いう。「転職型」は、社外の経営者から引き抜かれたり、再建を任されたりという経歴の過程で社外にメンターが 在しているケースが見られた。「創業型」は、サラリーマン経営者ほどメンター1の影響を受けている比率は高くないが、創業時に強い影響を受けたメンターの存在をあげているケースが見られたという。 メンターからの影響を受ける人を「プロテジェ(prteg)」というが、これほど多くの経営者が「プロテジェ」経験を持っていることは注日に値することではないだろうか。 対象となった一六八名の経営者は、「私の履歴書」の執筆を依頼されるほどのいわば功成り名を遂げた成功者であ るが、これらの人たちがプロテジェとしてメンターから強い影響を受けているのは、事業観、経営哲学、人生観、あ るいは倫理観という人間としての根源的なスタンスの面であり、メンターに対する「尊敬」や「共感」という意識が 際立っていたという。

    「もしかすると、資本主義そのものが人間の志といった精神性を軽んじたり、失わせてしまうものなのかもしれま せん。思えば、明治維新を実現したあの時代のリーダーたちは、けっして上級の学校を出ていたり、高い教育を受け たという人たちではなかったのですが、ただ一つ、儒教の教えだけはきちんと学んでいました。その体にしみこんで いた儒教の教えがあったからこそ、高い志を掲げてあのような大きな仕事を成しとげることができたのでしょう。米などキリスト教文化圏でも、たとえば最近ではどんどん教会に通う人が少なくなってきていると言われています。 では、宗教や道徳的な教えという精神世界に代わって、資本主義経済が私たち人類にもたらしてくれたものは何だっ たのか。それはエイズだったり、麻薬だったり。これが資本主義のシンボルだとしたらあまりにもさびしい。私たち は今、ある意味で精神性や道徳性を滅ぼしてしまいかねない暴れ馬を扱っているのだ、ということをもう一度思い起 こさないといけないのではないでしょうか」

  • 経営者に必要な能力について書いてあった章が面白かった。

  • 江副さんの本から、リクルートの創成期を支えた著者の名前を何度も見かけたので読んでみた。
    期待が高すぎたかな。。比較的当たり前な内容。

  • これは良い本である。何も自分が経営者になろうと言うからではない。自社の経営者、ひいては会社組織の力量が、自分の人生を預けるに値するかどうかを見極める重要な材料を提供してくれるからである。
    オーナー経営者であっても内部昇進型の専門経営者であっても正しいビジョンを持ち、解りやすい形でそれを社員に提示できなければ失格である。自社の社長も事業のビジョンなんて考えたこともないのに、能力以上の事を期待されて可哀そうにも思えてきた。また経営者の選び方も一つ間違うと会社が傾きかねない重大事であるが、これもボスの太鼓持ちで出世階段を上がってきた人物に、大変革期の会社の舵取りを任せるのは酷だわな。そうであるならとっとと辞めて欲しいところではあるのだが。。。

  • 今(2019年)読んでも心に響く内容です。
    経営者の人、経営者になりたい人、マネジメント力を高めたい人にオススメです。

    様々な研究や調査をもとに経営者をこれまで成功者とそうでない者とを引用し、良い経営者のポイントがわかりやすく書かれています。

    特に経営を創業経営者、サラリーマン経営者、同族経営者、転職経営者の4つに分けて、サラリーマン経営者の陥りやすい失敗の具体例がとてもわかりやすかった。

    終始強調されているのは社内改革の重要性で
    改革が実行できない経営者は、衰退していく。

    ・創業者は改革を起こしやすく成功しやすいが、
    後継者が過去の成功を否定できずにいるケースが多い。

    ・サラリーマン経営者は人によって選ばれているが故に、
    改革を起こすことに躊躇しやすい。

  • 中身というよりSPIなどの産みの親がどんな文章を書くのか気になり。実際読んでみたら教科書みたいという印象。日々日々のインプット量がエグそう。
    内容としては、これからはオーナー経営者の考え方が個人で働く人にとっても大事になってきそう。

  • フォトリーディング&高速リーディング。

  • 倫理観を鍛えるためのヒントを探すため図書館の本棚を見ると、コンプライアンスやCSRに関する作品と同じ箇所に並んでいた。

    タイトルからわかるように倫理以外の要素にも多くページが割かれている。この部分も倫理に関する箇所も真新しさはなかったが著者のリクルート勤務時代の実体験から同社を見つめていたのは著者ならでは。

    リクルート事件にも言及し、創業社長の犯罪にも言及しているのは立派。年次が離れているわけでなく共に仕事をした人だからなおさらだ。

    創業から時が経ち、独善的で尊大な部分が見えてきたとのこと。どこの会社にも良くあることなのかもしれない。ユニクロの柳生さんの強みの一つが自分を客観視できることが彼の作品から読み取れるし、新浪さんが自分は独裁者になっていたと語ったことなどを踏まえると、経営者には、自分を冷静に見つめるもう一人の自分を作り出し、適宜自己修正できる力が求めらているとわかる。

  • [ 内容 ]
    雪印、三菱自動車などの相次ぐ不祥事で経営陣の責任が問われる一方、日産、ヤマト運輸などのトップが、いま名経営者として賞賛されている。
    一体、社長や取締役の役割とは何であり、その評価はどうなしうるのか。
    事業家的才覚、戦略的意思決定、最終的責任能力などの必要を具体例に即しつつ語り、企業で働くすべての人びとの関心に応える。

    [ 目次 ]
    序章 「冬の時代」の経営者
    第1章 「オーナー経営者」と「サラリーマン経営者」
    第2章 経営者の役割とは何か
    第3章 経営者に求められる能力
    第4章 日本的組織と経営者
    第5章 経営者能力をどう測るか
    第6章 経営者と企業倫理
    第7章 経営の継承と経営者の引退

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  個人的には面白い著書(特に実務に携わっているわけではないため)。日本と欧米の経営者の違い、経営者に求められる資質をドラッガー等の著名人の著著から引用し説明している。しかもその著書もコンパクトにまとめられており分かりやすい。著者は利クールーと出身でのちに人事測定研究所の所長をしていることからか若干HRに偏っているかもしれない。

  • オーナー経営者とサラリーマン経営者の違いは何か。社長というのは、組織の中でどういう機能なのか。CEOって何なんだ。コーポレートガバナンスとは。などなど。

  • 2005年 3年個別課題図書

  • 社長や取締役の役割とは何であり,その評価はどうなしうるのか。

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