源義経 (岩波新書 新赤版 914)

著者 :
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309147

作品紹介・あらすじ

全国各地に残る数多くの伝説、そして彼の名前に由来する「判官びいき」という言葉-このように今なお高い人気をもち、日本史上最も有名な英雄となっている源義経とはいったいどういう人物だったのか?義経に関わる文書・記録や物語類などを広く探索して、単なる「悲劇のヒーロー」ではないその実像と魅力の秘密に迫る。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/702372

  • 源義経の実像をえがくことを中心としつつ、伝説のなかの義経像についても説明をおこなっている本です。

    著者は「はじめに」で、「よるべき史料が少ないというよりも、逆に多くあって、しかもいずれも雄弁」であるからこそ、かえって義経の実像を知ることがむずかしいと述べています。そのうえで、史料の批判をおこなって実像のみをとり出すのではなく、『義経記』に代表されるさまざまな文学作品にえがかれることになった義経像にも目を向け、「義経に託された、その創作された時代の思いを探る」ことを同時に目標として掲げています。

    こうした著者のもくろみは興味深く思われたのですが、基本的には義経の「実像」を明らかにすることに、本書の叙述の軸足が置かれているといってよいと思います。歴史学者としては、こうした態度を大きく越え出ることはむずかしいのかもしれませんが、義経像の変遷とそれをはぐくんだ受け手についても、もうすこしくわしく紹介してほしかったという思いがあります。

  • 義経は短期決戦で戦争を早く終わらせた。戦争を早く終わらせることは民衆の負担を減らすことになる。当時は飢饉と戦乱のダブルパンチであった。源頼朝には長期戦になってもいいから安徳天皇と三種の神器を確保して、戦後の朝廷交渉を有利に進めたいという思惑があった。
    しかし、義経は平家を追い詰め、壇ノ浦で安徳天皇と三種の神器を入水させてしまった。八咫鏡と八尺瓊勾玉は回収できたが、草薙剣は発見できなかった。これは頼朝にとっては義経の失態である。しかし、義経にとっては、それよりも戦を早く終わらせたことが民の生活の助けになると考えた。これは無断任官以上の対立軸であった。義経が民衆のヒーローになることには理由がある。

  • 読了 20220522

  • 義経に関わる人物については知らなかったので、楽しめました!

  • 源義経というメジャーな人物を政治史にあてながら記載された著作。

    中世の自力救済という考え方、主人と郎党という考え方の中で、義経は別の考え方を模索したのだろうか。

    刊行されて、16年たった著作で、刊行された時よりも義経に対する研究は進んでいるとは思うが、関心があれば是非読んでもらいたい。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    義経に関する知識というのは史実と伝説が入り混じり、どのエピソードが史実なのかをほとんど理解できていなかった。
    本書では義経に関連する史料がどのような内容なのかを個別に解説し、史実の出来事と伝説の物語をしっかりと分けて書かれている。
    しかし、各史料の成立した時期のことが物語に反映されていることは中々に面白かったね。

  • 歴史学者の書く伝記、淡々と史実を連ねて小気味良かった

  •  結構読むのしんどかったです。漢字が多い(^^;。

     でも、読む価値はありますね。普通の義経モノとは全然違います。本書のスタンスは、はじめにを読めば分かります。つまり、「~史料の質を見極め、事実との距離を測りつつ、史料の成り立ちに沿いながら、そこから見えてくる義経の魅力を伝えたい~。」というわけです。

     3ページにわたって書かれている参考文献を見るだけでも、この本が、いかに多くの手間暇をかけて書かれたのかが分かるというものです。ずっとイメージしてきた義経像とは、少し異なってしまう部分もありますが、それがより事実に近いのでしょう。

     それにしても、頼朝の巧みさを、改めて知ることができました。

  • 『平家物語』つながりで源義経の話を読んだ。
    室町期の『義経記』をはじめとして、実像と違うイメージがもたれているが、本作をはじめとしてだいぶ実像に迫れているのかと思う。

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著者プロフィール

1946年生まれ。東京大学・放送大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『院政期社会の研究』(山川出版社)、『吾妻鏡の方法』(吉川弘文館)、『中世のことばと絵』(中公新書)、『絵巻で読む中世』(ちくま学芸文庫)、『書物の中世史』(みすず書房)など。

「2019年 『中世史講義 院政期から戦国時代まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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