コミュニケーション力 (岩波新書 新赤版 915)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309154

作品紹介・あらすじ

豊かな会話、クリエイティブな議論は、どのようにして成り立つのか。話の流れをつかむ「文脈力」や基盤としての身体の重要性を強調しつつ、生きいきとしたコミュニケーションの可能性を考える。メモとマッピング、頷きと相槌、会議運営のコツなど実践的な技から、弁証法的な対話の喜び、沈黙それ自体の意味など深い考察まで、縦横に展開。

感想・レビュー・書評

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  •  人との関わりが広がるなかで、もっとコミュ力が必要だなと感じた。そもそもコミュ力とは何だろうと考え、大学時代に読んだこの本を再度読み直すことにした。

     コミュニケーションとは、意味や感情をやりとりする行為。そして、「相手の経験世界と自分の経験世界を絡み合わせ、一つの文脈を作り上げていくことで、次の展開が生まれる。これがコミュニケーション力のある対話」(p.22)であり、コミュ力とはすなわち「文脈力」であるという。
     1章では、上述のコミュ力とは何かということと重要性、文脈力を磨く方法が書かれる。2章では、コミュニケーションを行う上で、相手と共鳴するために響く基盤づくりの方法論が書かれる。3章では、コミュニケーションに必要な技法(基本は、相手の話に沿いつつ、話を広げて推進させるべくずらすこと)について書かれる。

     コミュニケーションでやりとりされる「意味」「感情」のうち、意味のやりとりについての言及が多い。だが、とりわけ2章で紹介される方法論は意味・感情両方に通ずるものであるし、両方のやりとりが良いものを生み出すのだということを全体を通じて感じる。

     コミュニケーションの方法論に関する本というよりも、他者との対話をはかることの重要性を認識できる本。
     ともすれば焦ってしゃべり過ぎてしまい対話の本質を見失ってしまいがちな私にとって、なぜ対話するのか、なぜ対話は重要なのか、対話はどうあるべきなのかを改めて考えさせてくれる本であると感じた。

  • 「ていうか症候群」・・・私の身近にもいます。「ていうか」ということば1つで話題を変えてしまう人たち。本当にずっと小学生のころから仲がいいんだけど、その2人の会話を聞いていると、よくこれで話が続くなあと思うくらい、それぞれが勝手に話をしている。本当に人の話を聞いているんだろうか。それで続く関係というのもおもしろいなあ。「人間ジュークボックス」・・・自分の言いたいことばっかり言って、人に話をさせない。同じエピソードを何度も語る。これは以前の自分のことです。はずかしながら、数少ない女性とのおつきあいの中で、何度かそう指摘されたことがあります。よほど仲良くなってからでないと、そうはならないんだけど。「うなずく人が減っている」・・・その通りだと思います。授業をしていても、うなずいてくれない、微笑んでもくれない、無反応。これでは話が盛り上がらない、相手が理解しているかどうか分からない。講演会などではなるべく私自身は相手の話にうなずくようにします。ちょっと自分をアピールすることにもなります。「質問する力が弱まっている」・・・いたいところついて来るなあ、という質問が減っているように思います。こちらが、そうそうそれも言っておきたかった、と思えるような突っ込みも減っています。人の話を聞きながら、キーワードをメモしていく。大事なところ、後で質問したい事柄などは色を変えたり、ぐるぐる巻きで目立つようにしておく。私は講演会ではいっぱいメモをとります。途中で質問したいことを思いつくと、そのことで頭がいっぱいになります。大人数の会場だとけっこう緊張したりするんだなあ、これがまた。そして、相手が喜びながら私の質問に答えてくれたら、しめしめ、やったー、という気分になります。ヒトはコミュニケーションをとることで人間という存在になったのだと思います。この本を読んで、コミュニケーションの技をみがいて下さい。ところでこの人はいったい何冊本を書くんだろう。

  • 他の著者の、コミュニケーションや対話に関する本もいろいろ読んでいるが、書かれている内容や、踏まえられている実践や経験の濃密さは、齋藤氏のこの本が群を抜いている。学生時代の「対話」に費やされた情熱や、大学の教室などでの膨大な実践での経験が凝縮されている。

    この中で紹介されたいくつもの方法が、それぞれ独立の本となっている。『偏愛マップ』や『質問力』がその例だ。

    現代の若者に欠けている対話やコミュニケーションの力、かつての日本には満ちていたが、現代の教育現場に欠けている身体に深く根差した教育力など、今の日本に欠けている大切なものを取り戻すために、この人の紹介する数々の実践的な方法を、もっと普及させるべきだと思う。

  • コミュニケーションというのはただ相手に話しをすればよいというわけではない。聞く能力もコミュニケーション能力です。相手の言いたいことを的確につかみ、相手の求める返答をする。これこそコミュニケーション能力であると本書は述べています。またそれに基づくコミュニケーション能力の向上方法を具体的に提案しています。しかし本書を読むだけではコミュニケーション能力は向上しない。実践する事に意味があります。

  • 大和の図書館で借りた本。
    コミュニケーション系の親書が読みたくて借りてみた本。
    内容は結構よかった。あとはいかに実践で用い、磨いていくかどうかだと思う。
    コミュニケーションというものを漠然と一人で鍛えていくよりも、訓練方法まで記してある良書だと思う。
    また、作者の好みとも言うべき内容も織り交ぜられており、どういう思考の持ち主なのかが結構分かったと思う。特に、兄が妹たちに向けた手紙は素晴らしく感動的であり、手紙によるメッセージ性の至上だと思わされる。特攻隊員の文章にも情報伝達というだけではない感情が伝わってきた。言葉だけでなく、文章に意味と感情、情報をいかに詰められるかが文脈力の一歩であると思う。
    会話の中で迷子になる際には、その迷子になったキカッケの言葉をしっかりと捉えられているかどうかがカギとなっている。会話の中で迷子になったら、その言葉の源流を戻り、それでもだめなら更に一つ戻るといいようだ。
    メモを取る重要性については、特に大事な単語、大事な単語、自分の考え付いたアイデアを記しながら取るといいようだ。そうすることにより、話の文脈を整理しやすくなるらしい。
    急いでいる人にはいきなり話の本題から入るのが好まれやすいようだ。
    意味を言葉に最大限含むことにより、短時間で要件を済ませようというもののようだ。
    ディベートのような、立場を2極化させてそれぞれの立場から意見をぶつけ合うのもいい練習の様だ。話の中で、まぁどちらでもいいよね、という立場は決してとらず、弁証法的に進めていくといいようだ。
    要約力と再生力についてもとても大事だ。
    この要約力は相手の話をきちんと理解する力であり、
    要するに・・・という事ですね、と確認し同意を得る力であり、
    再生力はその更に進んだ力であり、ただ話を繰り返すだけでなく、おおざっぱにならず、話の細部を上手く伝えられる必要がある。
    通常人は、他者の話を他者に伝える必要があると思っていないので、パワーをあまりかけずに話を聞いてしまうが、要約と再生するつもりで聞くことにより、話を本当に真剣に聞くようになるという。
    ネガティブな意見を言っている暇があったらアイディアを出せ、いい言葉だと思う。
    唐突だけど。
    また、ディスカッションをした後のメタ・ディスカッションも大いに力をつけることが出来る。ディスカッション後の反省会である。

  • コミュニケーションの概念と、方法について書かれている。

    印象的だったこと
    ・文章を書くことで、整理ができる。(例:日記、人と話す際のメモ)
    ・著者は、コミュニケーションをキャッチボールと捉え、その中でもプロ野球とアマチュアのように、レベルがあると述べている。
    ・著者は仕事上、数多くの対話をしてきたというが、対話をする際は必ずメモを取りながら会話をするという。メモを取ることで、相手の文意を的確にとらえながら、こちらも何を伝えるべきかを明確化できるという。いわゆる文章力を筆者は「文脈力」と言っているが、メモを重要視しているからこそ文脈力がつくという。
    ・「質問力」は筆者の造語だが、文脈を的確に捉え、相手に質問をすることが大事だという。相手がどんな質問をしてきたかによって、相手の理解力が垣間見えるという
    ・語彙力は何よりも大事

  • コミュニケーション力について基礎的なことが学べます。

  • コミュニケーションというと、文字ありきのやり取りと考えがちであり、ボディランゲージも言葉の一種と思っていたがそうではなかった。
    著者の本は身体論へ紐付けされる事が多い印象だが、本書も例外ではなく、むしろこれが起点になっているのか?と思われる。
    この本を読んですぐにコミュニケーションが上手くなるわけではないが、意識すべきポイントを抑え、磨いていくきっかけにはなりそう。
    『読書力』とワンセットらしいので、併せて読んでおきたい。

  • コミュニケーションは基本簡単って思わせてくれた気がする。難しいとも考えられるけど。

  • 前時代的な考えも多い

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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