ルポ 戦争協力拒否 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2005年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004309277

感想・レビュー・書評

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  • 現代日本がいかに将来的に戦争ができるように外堀を埋めていっているかについてわかりやすく時代を追って書かれている。
    自衛隊のイラク派遣、それに伴う自衛隊・その家族の心境、自衛隊組織そのものの問題についても言及している。


    書き途中

  • 時は小泉純一郎政権下、アメリカが有らぬ核開発疑惑をかけてイラクに侵攻したブッシュ大統領の時代に遡る。本書はその様な時代2006年に出版されたものであり、その様な中で、アメリカに追随し、イラクのサマワに自衛隊を派遣したことに対して、憲法やその他法律によって、派遣を拒否できるという様々な解釈を紹介していく内容となっている。それは実際に派遣される自衛隊員の立場だけでなく、有事法制によりそうした「軍事活動」に協力を求められる民間企業に於いても、「協力拒否」できるとしている。なお、時の防衛庁は現在の石破茂総理が長官を務めている(防衛庁長官2002年〜2004年、防衛大臣2007年〜2008年)。
    当時の風潮としては2001年の9.11同時多発テロ以降、アメリカに敵対するアルカイダやイスラーム勢力に対して、アメリカが中東に対して軍の派遣を開始し、勢いに乗じてイラクにまで侵攻を行なっていた様な状況だ。テロに対する闘いという正義の御旗を掲げ、イギリスやオランダだけでなく、日本も協調路線をとって、自衛隊を後方支援部隊、兵站の重要任務に当たらせるためにイラクに派遣した。あの有名な小泉総理の「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」の発言が出たのは記憶に新しい。これを聞いて、怒りを通り越して失笑した方も多かったのではないだろうか。だが政権を統べるのは国民からの人気も高かった小泉氏であるから、かなりの人が自衛隊派遣をやむを得ないもの、妥当な判断だと感じたのではないだろうか。その裏では派遣反対ビラを撒いた民間の活動家や公務員などが不当に逮捕される様な事件も起こっていた。
    本書はそうした「日本が戦争のできる国になる」事に警鐘を鳴らし、それ自体を憲法の理念に基づき批判すると共に、仮に協力を求められることがあっても、様々な法律を読めば、それを拒否することが可能であると論じていく。確かに憲法上保障されている健康で安全な暮らしと戦争は対極にある。ために、いざその様な状況に陥った場合の「協力拒否」の知恵を身に付けることが大切だと言う。それによって、徐々にイラク派遣などの自衛隊活動に肯定的な国民感情を、フラットな状態に引き戻し、改めて日本が戦争のできる国になって良いのかと、読者に問いかけている。確かに気づけば自衛隊が武器を持って(あくまで自衛のため)海外の地に立つなど、これまでの日本では考えられなかった。だがグローバリズムの波はあっという間に日本を包み込み、国際協調路線を取らなければ、日本が攻撃されるという真の有事に対応できない。こうした意見があるのは事実である。私は本書を読みながら、どちらの立場を取るべきか考えに考え抜いたが、結論は出なかった。世界中の全ての民族、国が武器を捨て、戦闘を永久に放棄する時代は来ないだろう。自分たちが戦わなければ、相手も武器を持って攻めてくることはない、と言うのはあまりにノー天気な平和妄想に過ぎない。現にウクライナでは大量の市民がロシアの侵攻により殺害された。彼らは武器を持ちロシアに対抗してた人々であったか。否、普通に日常生活を送っていた普通の市民である。例えばそうした現状をニュース報道で見た時に、自分は関わるべきではないと見過ごすことが出来ないのが多くの人の気持ちなのではないだろうか。では、それを武器を持たずに制裁可能かと言えば、ロシアへの経済制裁が効果を出さなかった事も知っている。
    最後の手段は武力に訴えるしかない。その指導者を拘束し裁判にかけ、刑務所に入れたり死刑に処するのも、これもまた暴力ではないか。
    正しいやり方がわからない中、その様な軍事活動でいつも犠牲になる(コストという言葉で表現される)一般市民がいる事を決して忘れてはならない。そして、それはいつか自分自身になるかもしれず、自分の大切な友人や親族であるかもしれない。様々な立場、状況に自分をおいてみて、真剣にどうしたら良いかを考える一助になるだろう。

  • ふむ

  • 吉田敏浩『ルポ 戦争協力拒否』岩波新書、読了。イラク派兵を背景に今から9年前に出版されたが、そのリアリティが増していることに戦慄する。戦争協力の強要は自衛隊員だけではない。苦悩する家族、戦地へ出張を命じられる会社員、封じられる反戦の意志等々…戦争ができる国は国民全体を巻き込む。

    ルポと銘打つように積み重ねた取材が本書の山場。自衛隊員は命令を拒否できるのか、戦地出張の実態、異論を許さない空気。「戦争のできる国」になるとは、誰もが加害者になることだ。気分でなし崩しに動くこの時代、一人ひとりの意思表示の重みが増している。

    「戦後の日本は、加害者になることでその報いとして被害者にもなるという歴史を、二度と繰り返さない道を歩むはずではなかったか」。自分たちの利益や安全のためなら、他国の人々の命を犠牲にしても「やむをえない」発想から脱却することが必要か。

  • タイトルと岩波新書から想像されるとおりの内容。

    なお、本書で擁護している立川反戦ビラ配布事件の被告は最高裁上告棄却で有罪確定。言論の自由に住居不法侵入は含まれてないので当然のこと。

  • [ 内容 ]
    イラクへの自衛隊派遣、有事法制の成立-。
    戦争のできる国へと変容しつつある日本で、いま様々な形で「戦争協力」が進行している。
    戦地への出張を命じられる会社員、封じられる反戦への意志、派遣命令に苦悩する自衛官と家族など、その実態を浮き彫りにし、日本が再び戦争加害者とならないためにできることは何かを問う渾身のルポ。

    [ 目次 ]
    第1章 戦争のできる国へ(イラク戦争と日本 日本も加害者 ほか)
    第2章 自衛隊員は命令を拒否できるか(戦地に赴く自衛隊員 覚悟を迫る国家 ほか)
    第3章 有事体制を拒否する人びと(有事法制の本質 危機感を深める労働者 ほか)
    第4章 自由にものも言えない社会に抗して(ビラ配布で逮捕 なぜかれらだけが ほか)
    第5章 戦争の加害者にも被害者にもならない(広がるイラク派兵違憲訴訟 平和的生存権 ほか)

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著者プロフィール

吉田 敏浩(よしだ・としひろ):1957年、大分県生まれ。ジャーナリスト。ビルマ(ミャンマー)北部のカチン人など少数民族の自治権闘争と生活と文化を長期取材した記録『森の回廊』で、第27回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『赤紙と徴兵』(彩流社)で第2回いける本大賞を、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)で第60回JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。『横田空域』(角川新書)、『追跡! 謎の日米合同委員会』『昭和史からの警鐘』(ともに毎日新聞出版)など著書多数。

「2024年 『赤紙と徴兵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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