生きる意味 (岩波新書 新赤版931)

  • 岩波書店 (2005年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004309314

みんなの感想まとめ

生きる意味を問い直す本書は、人生の様々なステージでの選択や価値観の変化を通じて、個々の生き方の重要性を考察しています。若者が直面する進学や就職のプレッシャーの中で、他人の期待に応えることが本当に自分の...

感想・レビュー・書評

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  • 「生きる意味」とはなんなのだろうか。人生のステージ変わるたびにそのようなことを考えた経験がある。高校入試、大学入試、就活、、、この先もそのような場面に遭遇し、その度に考えるのだろう。

    本書では、多くのことが学べる。ぜひ大学生や就職したての若者には一読してもらいたい。

    他人が欲しがるものを欲しがるようになってないか?そういう社会の広告に惑わされていないか?自分が自分でなければならない理由はあるのか?自分は他人に置き換えられる存在だと思っていないか?

    小中学校で点数が高いことが求められていた。親や社会も点数が高い方が良いと言う、なぜなら良い大学に入り、良い企業に入社できるから。そこには私たちの「生きる意味」は無視されていたのではないか?大人を責めてはいけない、大人も正解を知らないのだから。
    何が良いことなのか変化していく社会で、求められている人材は高い点数を取る人材ではなく、高い点数をとりつつコミュニケーション力が高い人材である。そこにも私たちの「生きる意味」は無視されているのではないだろうか。

    「生きる意味」はオーダーメイドの時代であると本書は言う。一人一人違う生きる意味を持っていい。考えた末に人と同じ生きる意味を見つけても、それはオーダーメイドであるから自信を持っていい。

    違っていいけど、義務教育では同じ教育で点数の高い生徒がきちんと評価される。教育がいかに大切であるかを再認識した。親はどんな世界があるのか、どんなことにワクワクするのかを子に発見させなければならない。

    教えるのではない、見つけさせるのだ。

  • 統一化された他者の目、他者の欲求を満たすことを目的として過ごすことが是とされた時代から、多様性を重んじることが是とされる時代になった。現代において、生きる意味の設定、アップデートによる内的成長こそが幸福感向上を助けるのだと理解した。年収や仕事での評価、コミュニティ内での立ち位置を全く気にしなかったかと言われると嘘になるし、今後も他者の目から完全に逃れられるとは思わないが、自分なりの生きる意味と向き合う時間を意識して設けようと思った

  • 高度経済成長後の社会において、誰もが他人の欲しがるもの(他人と同じもの)を欲しがるっており、自分が本当に欲しいものを手に入れていない
    みんなと同じ欲求を持ち、みんなが目指す人生を歩むことが推奨された今、自分自身が生きる意味を見失った人が多い

    現代日本人の虚しさの核心は、自分がどこまでも交換可能であるという意識からくる、「かけがえのなさの喪失」→日本の伝統の、他社の目を意識した恥の文化から来ている
    これを、日本文化のせいだ、親のせいだと言い続けることで、「自分を確立する」という次のステップに進むことから逃げている。自分が被害者、アダルトチルドレンの立場にとどまることへの言い訳を提供してしまっている。

    グローバリズムの弊害
    ①格差の拡大
    ②自然環境と文化の破壊

    バブル崩壊後の日本が構造改革を進めた結果、社会制度の持続性への不安を生んだ→人がヒトという経済成長のための道具として扱われ、透明な存在へと変わっていった。
    グローバリズムは、「場」を重視する日本社会独自の閉鎖性への解放者かのように、日本に受け入れられた。

    グローバル化とは効率性と評価による市場原理であり、それは自分の能力を常に効率的に生かし、ひとりひとりがより大きな社会に対して評価を問いていくものである。
    →そんなことが全ての人間に可能なのか?一握りの強い人間にはいいが、弱い人間には、「努力が足りない」という自己責任論で見放すような社会となる。
    →これからの社会で大事なのは、自分の弱さも他者の弱さも認める包容力のある人間

    【数字信仰】から【人生の質へ】
    数字は評価の場で、曖昧さがない圧倒的な強みを持つ。
    世界には様々な文化があり、その中には多様性、生きる意味があるが、そうした多様性は効率性の悪いシステムである。そうした世界では客観的指標である「数字」により瞬時にコミュニケーションが取れるが、そういった誰にでも通用する意味を求めることが、結局誰の意味にもならない時代となっている。

    これからは、自分の心、感じ方を尊重し、自分が一番何を求めているかを重視する「心の時代」
    自分が好きなことに一点豪華主義を貫ける人間は強い
    生きることの内的成長の豊かさを重視し、「生きる意味の創造者になる」

    そのためには、「ワクワクすること」と、「苦悩」への感性を研ぎ澄ます
    ※苦悩とは、自分が何を求めているかが分からないため、何にワクワクするかをもがきながら探求していくこと。苦悩すべきときに苦悩することで、生きる意味の再構築につながる。
    これら2つは、仲間との豊かなコミュニケーションにより強く育まれる。
    他の人のワクワクすることと刺激し合って、相乗的に実現していき、また、苦悩が他社に受け止められ、自分の生きる意味をコミュニケーションの中から発見していけるようなコミュニティーの再創造が、今こそ求められている。
    (NPO、ワークショップ、セルフ・ヘルプグループなど)
    生きる意味を育むネットワークを、職場の内外に張り巡らせておく。

  • 現代の日本人は、「透明な存在」
    →かえがきく存在と、自覚している人が多い。
    →他者から嫌われたくないため。
    数字(給料、テストの点数など)に囚われすぎて、本当の幸せとは何かを考えていない。
    数字の評価は、客観的で分かりやすい面もある
    一点豪華主義
    ワクワクすることを大切にする
    違和感や苦悩がむしろ生きる意味を明らかに!
    自分自身への信頼を高める。

  • 毎日新聞の記事(著者の大学での取組)を読み著者に興味を持った。著者は「学生(生徒)が成績の奴隷となっているのではないか」との問題意識がある。教育に真摯に携わるものであればこの感覚は共有できるであろう。アンナ・ハーレンが説くように人間である(動物や奴隷でない)ための条件はなかなか過酷であるが、それでも人間らしく生きたいと思うがゆえに生きづらさを感じている者にとっては著者の言う「内的成長」は一つのヒントとなるものと思われる。

  • もう20年近く前の本。新自由主義とか「構造改革」とかが台頭しつつある頃にあって、警鐘を鳴らしているような内容。それから20年近くがたち、まあ、まさに著者が危惧しているようなことが現実として落ち着いてしまっているように思う。
    この本で書かれているべき論がそのとおりになれば、それはそれでよいのだろうけど、ちょっとアオいようにも感じてしまう。何を求めてこの本を読み始めたのかいまやおぼろだけど、この本を読んだところでやはり生きる意味はわからない。ただ、生きるって何があろうとひとまずは生きて(しまって)いるから生きているのだと思う。この本に生きる意味が書いてあるんじゃなくて、結局は自分なりの生きる意味を探すってことなんだろう。
    でもそれって、あてのない自分探しと同じようなものだと思うので、心の片隅で生きる意味を問いながら、まずは日々を重ねていくということなのかと。

  • ===qte===
    質問は自己表現だ 文化人類学者 上田紀行
    2022/6/22付日本経済新聞 夕刊
    大学でも、企業でも、講義やプレゼンテーションが終わった後の反応は日本と外国では全然違う。外国では話が終わった途端に我先にと手が上がり、質問やコメントが殺到する。日本はほかの人の質問を待つ人が多く、特定の人がいつも口火を切ることになりやすい。

    それを痛感したのはアメリカ西海岸のスタンフォード大学で教えていた頃だ。90分の講義時間で50分以上話すと学生がイライラしだす。そして講義が終わるやいなや、矢のように質問が四方八方から飛んでくる。渡米直前に出版した『生きる意味』の中で、ぼくは日本人の創造性を封殺しているのは「他人の目」だと論じた。自分の言いたいことより「周囲からどう見えるか」を気にして牽制(けんせい)しあう。世界中から集まった学生たちの姿に、さらに思いが強まった。

    講義の受け方がまず違う。日本では講義後に「質問ありますか?」と聞かれて考え始めるが、外国では講義の冒頭から「何を質問してやろうか」と考えながら聞いている。だから日本人は出遅れて、結局質問できない。また日本では小さい頃から「授業で分からなかったことを質問する」と思い込まされている。でも外国人学生にとっては自分の考えを、問題意識をぶつける場だ。質問は「自己表現」なのだ。

    日本には日本の良さがある。でも「先生、ここがわかりませ~ん」と「先生、ここが納得できないんですけど……」の差は大きい。『生きる意味』も読みつがれて36刷になった。それは嬉(うれ)しいけど、日本社会のあり方は変わったのだろうか。「質問」を変えましょう!
    ===unqte===

  • 大学時代にゼミで課題図書となっていた本。
    社会人3年目も終わりに近づき、自分のやりたいことに立ち返る、もしくは再構築すべく、改めて読もうと思い立つ。

    バブル期、終身雇用社会など、皆が目指す豊かさの理想像を追っていれば幸せだった時代から、
    個人自立型社会となり、個人の幸せを追う(追わないといけない)時代になった。
    与えられることに慣れている人間が、自らレールを作っていくって難しいなという原体験がある自分にとっても刺さる内容が多い。

    特に第5章の内容がおすすめ。
    誰の人生なのか。何を大切にしたいのか(人生における濃淡をつけること)。
    生きる意味は、自分が置かれた状況によって進化していくものなので、節目節目での定義づけが必要だなと。
    そのために、ワクワクすることと苦悩することに日々目を向け、それを発信することで自身の生きる意味を構築し、そこに共感いただけるコミュニティを大切にしていきたい。 

  • 2005年の本とは思えない程、2021年現在とリンクする話が多くのめり込んだ。
    SNSの発達とコロナ禍で「他人の目」はより鮮明に意識されている。上田さんが執筆した2005年よりも遥かに「自分の生きる意味」が見えにくい未来が訪れているような気がした。

  •  生きる意味を創造する自由が奪われている現在の日本の根源的な問題を扱っている。標語や数字を追い求めるのではなく、ひとりひとりの独自の生きる意味を創造することが大切

  • かけがえのなさの喪失

  • 出版されて15年後に読んだわけですが、ここに込められているメッセージは色褪せないどころか、むしろその輝きを増している。恥知らずな不幸志向の弱肉強食の現代哲学が、さらに磨きをかけた、といえば良いか。


    世界の中で愛する対象とつながること。
    世界で愛とつながること。
    それが大事であると。


    何という力強いメッセージだろうか。
    数字を追い求め続ける世界に背を向け、幸福と向き合おうと思いました。それが正しいことだと確信しました。

  • 文化人類学者の著者が「苦悩は他者に開示することで自己の成長と新たな生きる意味につながる」という見方を教えてくれます。

    ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA70340313

  • 自分が果たして何のために生きているのか。ごく普通の一般家庭に生まれ、親は共働きで土日も働いているような時代。幼い頃は厳しい躾けと、毎日叱りつける親に少しでも怒られまい、褒められたいと思いながら、それが生きる意味であった様に感じる。学校に通い、社会に出ると人よりも稼ぎたい、高い地位につきたいと、常に人と比べた時に自分が如何に優位に立てるか、そんな所に生き甲斐や自分の存在価値を求めていた様に記憶する。振り込まれる給料の額、誰よりも早く昇進したいと毎日背伸びして出来もしない自分を演じていた。結果は会社での評価(点数)や貯金の額など、誰が見てもわかる客観的指標で高い数字に現れるから、自分でも疑いようもなく、私の価値は常に数字だった。
    本書はそんな多くの現代人が、価値を数字にしか見出せなくなった時代に、本来の生きる意味、生きる価値とは何かを考える一冊である。確かに前述した様な自分は、自分がありたい姿とはかけ離れた数字と外観に惑わされた人間であったことがよく分かる。もしあの時、もし今でも「あなたがなりたかったもの、あなたが生きてやりたかった事はこれか」と問われれば、問題なく悩む事なく「違う」とえるであろう。でも、「何になりたいのか、やりたい事は」と聞かれても、即答できない自分もいる。自分の存在は周りの評価によって決められ、他人が欲しがるものは自分も欲しくなり、それを人よりも多く手に入れるという、他人との相対的な位置付けでしか自分が見えていない自分。仕事の成果も費やした時間と稼いだ額で決められる。そんな資本主義社会の申し子の様にしか過ごしてこれなかった。一番効率よく稼げる人間をマニュアル化し真似るだけの働き方。社員は均一化され個性を失う。そんな時代の、誰とも見分けがつかない人生。そして終焉。確かにこれは本書タイトル「生きる意味」そのまま、私の価値を私が理解できていない状態だ。
    せめて残りの人生をどの様に過ごすか。平均寿命がいくら伸びた所で、早く気づけた方が、本当の自分に辿り着ける可能性・チャンスはあるに決まっている。もし今私がこの本に出会わなければ、そうした考えに足を止める、立ち止まって考える機会は無かっただろう。そうした意味で、自分の価値を今一度考え、将来どうありたいか、今何を成すべきか、考えるチャンスをくれているようだ。そう、私の生きる意味は数字の大きさではなく、内容、質が重要なのだ。
    本書後半ではそうした生きる意味のヒントを沢山くれる。この世界の主人公は私であり、私から見えてるそれぞれの人も自分の物語の主人公だ。決して他人が主人公の世界の脇役では無い。自分の物語をハッピーエンドで迎えるか、悲しい悲劇で終わらせるか、それすらも自分が決めているに等しい。悲劇の中に何か光明を見つけて、前に進む歩みを止めない人生。深い落とし穴に落ちても、這い上がって太陽が再び額を照らす人生。同じ方角を目指す友がいるなら手を取り合えば良い。何処かで考え方や価値観に違いが見つかったなら、笑って別れて、それぞれの道を歩けば良い。またいつか気づけば、同じ道を歩く仲間がいるかもしれない。本書はそうした社会活動やコミュニティに身を投じるのも一つの価値の探究になると言ってくれる。
    そして何より自分の物語に欠かすことの出来ない、かけがいの無い、自分という存在。先ずはそれに気付くこと。そして他人の決める価値観に生きるのではなく、自分の価値観で動く事。その為にはいろいろな場に身を置き、真に自分の価値や存在を認める事。中々、考えさせてくれる一冊であった。

  • 1 「苦悩」の正体
    2 数値化と効率化の果てに
    3 「生きる意味」を創る社会へ

  • P128~
    多様性を肯定する時代へ
    「数字信仰」からの解放が求められている。数字は私たちが使いこなすものだ。私たちが数字に使われるようになっては、私たちの「生命の輝き」は死んでしまう。
    いまこそその数字への執着を手放すこと。そして真の豊かさ「生きる意味」の豊かさへとシフトすること。そのプロセスこそが、21世紀初頭の私たちの文明的課題なのである。

  • 散歩しているときに著者の講演会情報を見かけて、気になった本

  • ■■評価■■
    ★★★★☆

    ■■概要・感想■■
    ○愛する意味の著者と同じ方の書籍。出版年は2005年だが、扱われている問題はむしろ今のほうが深刻になっており共通である。

    ●「自分の幸せのみを喜ぶものの幸せは有限である。しかし他人の幸せを我がことのように喜べるものの幸せは無限である」。
    ○愛は与えると減るものではなく、増えていくものであるという著者の別の本にあるような考え方が大切なんだと思う。

    ○相対化されたあるべき姿を目指すのは、経済的に生きていくためには必要。だけれど、個人の、絶対的な価値観でのワクワクを感じることだったり、理想に向かってのギャップを埋めていく作業こそが、生きる意味につながると感じた。

    ○行間、具体例、想いを受け取って実施していくことが大事なのかと思った。

  • 天竜川ナコン推薦図書。
    社会が競争を強いてる状況を分かりやすく教えてくれる。

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著者プロフィール

上田紀行(うえだ・のりゆき) 東京工業大学副学長(文理共創戦略担当)・同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は文化人類学。特に宗教、癒し、社会変革に関する比較価値研究。著書に『生きる意味』(岩波新書、2005年)、『かけがえのない人間』(講談社現代新書、2008年)、『愛する意味』(光文社新書、2019年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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