国連とアメリカ (岩波新書 新赤版 937)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309376

作品紹介・あらすじ

イラク戦争をはじめ、アメリカはなぜ国連に敵対的な姿勢をとり続けるのか。国連がアメリカを一員とする世界秩序の中心となるには、何が必要なのか。国際連盟と国際連合の創設時にまでさかのぼりながら、国際機構に対するアメリカの姿勢の変化をたどり、「帝国」と「多国間主義」の相克という現代世界の問題に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 「テロの恐怖とアメリカの暴走」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K23646

  • 国連においてアメリカとの関係は不可避だが、それを国際連盟設立当初から丹念に分析した一冊。

    結論はシンプルなのだが、それを丁寧に記述しているので勉強になった。

  • イラク戦争を中心に、アメリカが国連とどのような関係性を持ってきたかを説明。

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]080/I-3 [資料番号]2005101856、2007102073、2006100725、2006100651

  • アメリカと国連の関係に的を絞って
    国際連盟から今に至るまでの歴史を振り返る一冊。
    アメリカが見せる多国間主義への反発は
    国際連盟から続くものであるという解釈や
    国連のそのものが非侵略型武力紛争への対処を
    充分に想定していないという指摘など、面白く読むことができた。

  • 対立と支配のどちらかしか選択肢がないのだろうか。
    外交活動をしていないと、なかなかアメリカが国連にどれだけ寄与してきたかはわからない。
    多くの有用な参考文献を示しているので、それぞれによく読むと分ってくるのかもしれない。
    2003年から2005年までにかけての事態は、かなり細かく理解できた。
    国際社会は、いろんな視点でみないといけないことが分った。

  • 久々に新書でも。

    アメリカと国際連合との関係を、連盟創設のころまで遡って説明している。
    アメリカという国は、自由という概念を中心にして国をまとめているからこそ、
    自由の絶対化がしばしば起こる。そしてそれゆえに、超国家組織の否定ということが基本的なスタンスになってしまう。

  • [ 内容 ]
    イラク戦争をはじめ、アメリカはなぜ国連に敵対的な姿勢をとり続けるのか。
    国連がアメリカを一員とする世界秩序の中心となるには、何が必要なのか。
    国際連盟と国際連合の創設時にまでさかのぼりながら、国際機構に対するアメリカの姿勢の変化をたどり、「帝国」と「多国間主義」の相克という現代世界の問題に迫る。

    [ 目次 ]
    序 「アメリカの下の国連」か、「アメリカ対国連」か
    第1章 二〇〇三年対イラク戦争の衝撃
    第2章 理念の挫折―国際連盟からの途中下車
    第3章 国連建設への奔走―調整者アメリカ
    第4章 浮遊する申し子―国連という機構
    第5章 居ごこちの悪い場所―反多国間主義化するアメリカ
    第6章 国連ルネサンスの幻影―アメリカの再登場と再退場
    終章 アメリカなき国連?

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    [ 参考となる書評 ]

  • 扱ってる内容の割に読みやすくわかりやすいので、入門書としてオススメ。
    気軽に手にとって読める感じです。

  • 「アメリカが国連を敵視している」という考えと「国連はアメリカの道具でしかない」という2つの考え方があって、ある点で矛盾している。国連の歴史を紐解きながら、国連と超大国アメリカの関係を整理しており、読みやすい。

  • 帝国主義と他国間民主主義が相容れない関係になっていることに気付かされる。

    歴史を追って、アメリカがどのような行動を取ってきたかがわかる。またその中で共通性をも見出だせる。

    しかし、歴史の苦手な俺には少し読みにくかった。
    歴史を無視して読んでも全然良いのでは

    大統領が代わることでこの状況は変わるだろうか

  • 国際連盟も国際連合も多国間主義という形をとっているが、そのどちらも創設時において「万国平等」を志向した多国間主義ではなく、「大国指導」による多国間主義であって、アメリカ自身を超える超国家的な権力主体という形で作られたわけではなかった。冷戦期に国連が本来の多国間主義になったこともあったが、アメリカの多国間主義への傾向はヴェトナム戦争を転機に衰退した。そしてついにアメリカは、自身がずば抜けた大国なのに機構の中でリーダーシップを握れなくなったことに不満を感じ、限定的・選択的多国間主義へ移行していった。そこでも超国家性を受入れず、仮想脱退を繰り返し国連脱退論まで出てきた。だが国連からの脱退不可能性に加え、アメリカなき国連も不可能である。そしてアメリカ的なるものは今度も変化しうるものである。著者はそのようなアメリカが自由と寛容を他者へ広げるものになるためには「アメリカ自身の理想を以ってアメリカに臨み、説得し続けざるをえない」のだと述べている。
     本書を読んでなるほどと思ったことがひとつあった。「アメリカvs国連」という図式はアメリカが何が何でも国連に真っ向から対立しているというより、自身が総会のみならず安保理でも主導権を握れなくなっていたことに起因していることである。経済的にも軍事的にも右に出るものがいないほど巨大化したアメリカにとって、そのように考えることはごく自然なのではないかと思う。ならばアメリカに従えばよいのではないか?しかしながら世界は実際にそれを許すことはできないし、そんなことがあってはならないのだ。なぜならアメリカのめざす多国間主義とはあくまでも「大国主導」であり、そのもとで「自由」を掲げながら「敗者」を置き去りにしていくことでもあるからだ。そしてなにより国際法を無視してまで理想に突き進むからだ。ならばやはり著者のいう「アメリカ自身の理想を以ってアメリカに臨み」説得し続けることしかできないだろう。以下では特にこの点と、それによってアメリカが多国間主義的な政策目標や方法や手続きとしての国連を受入れるということについて考えてみたい。
     「アメリカ自身の理想を以ってアメリカに臨み、説得し続けざるをえない」。本書にもあるようにこれはまさしくアメリカが自身の限界を知ることである。つまり、ハードパワー(兵力をもって強制する力)によって相手を自分に従わせることは現代社会において基本的に不可能であり、場合によっては自分の首を絞めることになるということをアメリカに理解させるということである。(だがアメリカは文化浸透によるソフトパワーでの「世界支配」にはある程度成功していると思うが、次回に回すことにする。)言葉に出してみれば簡単なことではあるが、実際に今のアメリカを説得することは難しい。しかしケネディに代表されるようにアメリカも一枚岩ではないことから、全く不可能ということでもない。ならばケネディのような考えを持った人びとに頑張ってもらうこともできるだろう。
     そこでひとつ考えがある。本来の多国間主義的な政策目標や方法や手続きとしての国連を受入れることによってアメリカに生じる利益を主張してみてはどうだろうということだ。つまりこういうことである。国連は外交の場でもある。外交において自国の利益を貫くことも大事だが、いざ利益をめぐって衝突が起きたときいかに自国の主張を通しつつも相手に納得させることができるかが大事である。大抵そこにおいて妥協の必要性が生じるが、同時に自分にとってマイナスが最小限となる妥協をめざすことも大事である。相手にアメリカの理念(例えば「自由」や「民主主義」)がどれだけ自分(=相手)にも利益をもたらすことができるのかをアピールすることで、相手に妥協させることができよう。また、限定的・選択的な多国間主義ではなく、大小国から全体的に支持を得ることができれば国連での人気も高くなるだろう。人気が高まれば再び主導権を握ることができる。しかもこの主導権は多くの国に支持されているが故に、単なるハードパワーによって得た支持とは違った堅固なものになるだろう。そして手続きにおいても国連のお墨付きであれば、さらに説得力もつくことに間違いないだろう。
     この考えは理想すぎるかもしれないし、もちろんこれだけでアメリカにハードパワー外交の限界を気づかせることは難しい。しかもそこには多少の犠牲をともなうこともある。外交で言えば妥協だし、平和維持軍などで言えば国連の指揮のもとに入るということだ。しかしながら、それでも国連を受入れることの利益が大きくなれば、アメリカも黙っていられるほどシリーな国ではないはずだ。

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著者プロフィール

国際法学者、バーゼル大学客員教授。1950年北海道生まれ。
1980年より国際基督教大学教授、同大学平和研究所所長を経て、
2011-21年まで早稲田大学教授。日本平和学会会長などを歴任。
『国境なき平和に』『国際立憲主義の時代』ほか著書多数。

「2021年 『未来の余白からⅡ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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