古代中国の文明観: 儒家・墨家・道家の論争 (岩波新書 新赤版 944)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309444

作品紹介・あらすじ

古代中国の文明発生時、巨大な都市文明の建設に伴って大規模な自然破壊が行われた。孔子・墨子・老子等の諸子百家は、この問題についてどう考えたのか。彼らの間でかわされた論争を交え、その文明観を紹介する。自然と文明の関係が切実な問題として問われている今日、そこには環境問題を考える際のヒントが隠されている。

感想・レビュー・書評

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  • 作者は講談社学術文庫で『孫子』とか『墨子』を書いてる人。
    他所様のブログで、この人孔子に対して辛口過ぎて笑う、的なことが書いてあって、超気になって読んでみました。
    …。
    本当に辛口だった!
    なにもそこまでボロクソに言わんでも…と、別に孔子のファンでもなんでもないけどついフォローしてしまうレベル。
    なんか恨みでもあったんだろうか。

    内容としては、古代中国の思想家の思想を、環境問題ひいては文明に対する考え方を比較する、というもの。
    ものすごーく、面白かったです。

  • 儒家、墨家、道家の思想を軸に、そこに展開される文明論を、現代に照らしてまとめている。ある程度理解の範疇にある内容であったが、一点、孔子が礼学ねつ造詐欺的、という論はびっくり。

  • 講談社学術文庫で『諸子百家』の著作がある浅野裕一さんによる古代中国の文明観を、儒家、墨家、道家の立場から、解き明かしている。春秋・戦国の時代から自然破壊に関する言及する諸子もあり、その考え方が「今日の環境問題のヒントが隠されている」とのこと。相変わらず、孔子について辛口の浅野裕一さんであった。

  • 環境・自然と思想という視点で諸子百家を比較するのが面白かった。

  • 2005年刊行。
    著者は東北大学大学院環境科学研究科教授。

     中国の古代、春秋戦国時代、百家争鳴とも諸子百家とも言われるが如く、様々な思想が世を席巻した。本書は、それら思想の、自然あるいは自然環境との向き合い方の違いを念頭に置きつつ、諸子百家の前史ともいうべき、殷周時代の思想を軽く概観し、その上で、その後の儒家・墨家・荘家の3種類の思想の内実を整理・解読して見せる。


     さて、内容を見るには、法家=秦帝国と、上下関係や支配構造を重んじない墨家とが相容れないというのは納得のそれであった。そういう意味で、もし古代の中華帝国が墨家的な発想を肯じていればどうか、というイフは想起してしまうところだ。

     本書では、法家思想を採用した始皇帝に対して、墨家思想家が真っ向から対峙したこと、それが、直接的には焚書坑儒、特に墨家へのそれを齎し、同思想の骨格が後世に広く伝承されなかったことを指摘している。
     もちろん、先の仮定は仮定である以上、意味あるものではないが、日本をはじめとし、中国王朝の影響下にある東アジア・東南アジアその他の地域における、経済・自然に対する発想が変わったのではないか。当然、大陸自体もまた、現在の儒家的発想から脱却した中心地域になったのではないか。
     もしそうだったら…。という想像は、それがたとえ詮無きことでもしてしまうのは個人的な性というものなのだろうか。

  • ≪目次≫
    はじめに
    第1章   文明以前の環境問題ー弱小な人類はいかに生き延びたか
    第2章   文明発生の記憶ー文字の発明
    第3章   儒家による文明の全面肯定ー孔子・孟子・荀子
    第4章   墨家の説く節約型文明社会ー墨子
    第5章   道家による文明批判ー老子・荘子
    おわりに

    ≪内容≫
    中国の諸子百家を現代文明のなかで見ていこうという試み。ただし、出てくるのは儒家と墨家と道家。そして、著者は儒家をぼこぼこに批判している。自然への楽観主義(というか無関心)、富の消費の肯定(ここの部分はよく理解できた)から自由主義経済との共通点を挙げ、その限界を挙げる。  

  • もう少し知識を蓄えてから、読もうと思う。今は孔子の論語が好きというだけで、他の背景知識(中国史、他の中国思想など)がなさすぎて。

  • [ 内容 ]
    古代中国の文明発生時、巨大な都市文明の建設に伴って大規模な自然破壊が行われた。
    孔子・墨子・老子等の諸子百家は、この問題についてどう考えたのか。
    彼らの間でかわされた論争を交え、その文明観を紹介する。
    自然と文明の関係が切実な問題として問われている今日、そこには環境問題を考える際のヒントが隠されている。

    [ 目次 ]
    第1章 文明以前の環境問題―弱小な人類はいかに生き延びたか(圧倒的な自然の脅威;「聖人」による文明の創出 ほか)
    第2章 文明発生の記憶―文字の発明(文字の発明;鬼とは何か ほか)
    第3章 儒家による文明の全面肯定―孔子・孟子・筍子(王者の言説が唯一の権威;孔子学団の登場 ほか)
    第4章 墨家が説く節約型文明社会―墨子(墨子の教育方針;墨家集団の統率者―鉅子 ほか)
    第5章 道家による文明批判―老子・荘子(古代天道思想―道家の淵源;『老子』の思想形成 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • いい本だと思います。

  • 墨家に興味津々。

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著者プロフィール

1946年, 仙台市生まれ. 東北大学名誉教授. 中国哲学専攻. 『黄老道の成立と展開』(創文社, 1992), 『孔子神話』(岩波書店, 97), 『孫子』(講談社学術文庫, 98), 『儒教 ルサンチマンの宗教』(平凡社新書, 99), 『古代中国の言語哲学』(岩波書店, 2003), 『戦国楚簡研究』(台湾・萬巻樓, 2004), 『諸子百家』(講談社学術文庫, 2004), 『古代中国の文明観──儒家・墨家・道家の論争』(岩波新書, 2005), 『図解雑学 諸子百家』(ナツメ社, 2007), 『古代中国の宇宙論』(岩波書店, 2008), 『上博楚簡與先秦思想』(台湾・萬巻樓, 2008)ほか.

「2016年 『『甲陽軍鑑』の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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