- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004309499
感想・レビュー・書評
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・2022年 宇都宮大学 共同教育学部 学校教育教員養成課程教育人間科学系 教育分野/特別支援教育分野/教育心理分野 前期
・2020年 福井大学 教育学部 学校教育課程初等教育コース(特別支援型) 後期
・2016年 東京学芸大学 教育学部 初等教育教員養成課程(A類)家庭専修 中等教育教員養成課程(B類)家庭専攻 -
「子どもは世界をどうつかむか」
社会の情報化、能力主義を反映し、何でも一人で早く出来る事を求められるが、そこで失われるものを危惧する
「はやくはやくって いわないで」益田ミリ絵本
幼児に対しては、それぞれの個性に合わせて会話や手助けによって対人対応能力をしっかり育成する必要がある -
2005年に発行された本です。私が手にしたのは、2023年の第23刷でした。
幼児期に子どもがどのように成長していくか、成長するべきか、ということが書かれています。
読みながら哲学的な感じがしました。
生きるということは、「自己の実現」と「他者との関与」というときとして相反することを統合してゆくということ。
そして、大人も自己の中に「幼児期」を抱えながら大人の世界を生きてゆくこと。
そのためには豊かな「幼児期」が確立されていることが必要だと思いました。 -
哲学
正解はないけど子供の発達について書かれていた -
要旨:
情報社会・能力主義社会は幼児期も浸食し、人間形成の基礎となる大切な時期である幼児期不在のまま成長する人間が増えていることは現代社会の危機である。
なぜなら幼児期は人間が自己実現していくのに不可欠な精神の発達基板を形成する時期だからである。
幼児期に行われる主な活動「しつけ」「遊び」「表現」「言葉」を通して幼児期に形成されるものが何かを考える。
まずしつけは、自己の実現と他者の関与を統一し、社会に生きていくための基礎を身につける場である。愛情を持ったしつけを通じて、子どもは自分の行動を行為として認識し、やらされるのではなく誇りと自尊心を育て、自己形成していく。
遊びは、それ自体を目的とし、自発的に行われ、自由度が高く快適で楽しい場。特に想像力を用いた虚構の遊びを通じて子どもは未知の物へとアクセスし自分の内に取り込んでいく。
表現は自分の内なるものを外部に表す作業。外部のものを自分の内に取り込んでいく認知とは相互作用して変容する。表現は成果より過程が大事である。
言葉は行動と相互作用して変容する。他者との共同行為である対話や自分に向けての言葉を通じて自分を理解していく。(※内容濃かったのですがまとめきれず)
こうした幼児期の諸性質こそ人間が生きるための本来的な基礎であり、その上に立ってこそおとな社会の諸性質ははじめて人間性充実のための力として機能する。
生涯にわたって自己の新たな意味づけを必要とする時や、危機的場面に遭遇した時、そこに立ちもどり、そこから再出発するべき原点となる記憶の母胎となりうるのが幼児期。
こうした幼児期の諸機能は時間をかけて育てられるべきで、現代のスピードや効率優先社会を憂い、保育の場の再建をとねがうのである。 -
良い本だと思うが、私には少々読みづらかった。
子育てで大切なことは、(親を含めた)他人と関わる機会をなるべく多く作ること、新たな経験を沢山積ませることなのかな、と感じた。 -
保育や教育の仕事をしているわけではないけれど、子どもを育てるにあたって大事なことを学びたく本書を手にとりました。
結果、学びが多く、読んで大正解。
幼児期の子どもたちは周りの大人の関わりによって、その可能性をどれだけ伸ばせるかが変わってしまう。
親は1番身近な他者なわけで、非常に重要な存在なのです。
私たちは、幼児期の子どもの行動の意味を理解して接することで、大事な能力を潰すことなく伸ばしていくことができる。
この本を通してその意味を学べたことはとても良い機会でした。
何度か読み返したい本です。 -
上島逸子先生おすすめ
36【専門】376.1-O
★ブックリストのコメント
この書は、発達心理学の立場から、幼児期「しつけ」「遊び」「表現」「言葉」の四つの相を取り上げ、子どもが自分を取り巻く世界に踏み出すための発達的基礎が幼児期にこそ培われることを明らかにしています。 -
幼児期の特徴についてしつけ、遊び、表現、ことばの4側面から解説した本書。読みやすいながらも重要な部分はしっかりと捉えられており、2005年の本が未だに書店で平積みされていた理由がわかるようだった。本書は保育や教育に携わる職業や親にとって有用なだけではない。
幼児期に獲得されたものは大人になるとあまりにも当たり前で隠されてしまう。しかし、幼児期に獲得したものこそ、人が社会で生きていくために最も重要なものだ。そんな基本中の基本を改めて思い起こさせてくれるところにこの本の面白さがある。
著者プロフィール
岡本夏木の作品





