BC級戦犯裁判 (岩波新書)

著者 : 林博史
  • 岩波書店 (2005年6月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309529

作品紹介

アジア太平洋戦争における残虐行為の命令者から実行者まで、およそ五七〇〇人が裁かれたBC級戦犯裁判。その法廷では何が明らかにされ、どんな戦争犯罪が問われたのか。被告はどんな人たちだったのか。裁判所の創設から戦犯の釈放までを辿りつつ、八か国で実施された裁判の全貌を解明し、その現代的意義を考察する。

BC級戦犯裁判 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2005年刊。著者は関東学院大学教授。タイトルどおりの書で対象国は米中英蘭仏豪等広範。個例提示の上坂冬子著と違い、全体的にマクロ的に分析。そこから浮かび上がるのは、巨視的には、各国の戦後政策が大きく影響している事実(例.米:対ソや占領政策の転換。英:植民地との融和政策から民衆虐待に力を。仏:印支半島の独立運動の弾圧のため民衆虐待は無関心。豪:食人被害のため厳格な対応。中:国共内戦の進展と中共の融和政策、国民党の対米配慮など)。訴因としての住民虐待の多さ。捕虜虐待が議論されがちな国内の論調との乖離である。
    著者も自覚するが、個別事情は多様(国の違いだけでなく、裁判官の体験による差にも言及)、あるいは、直接手を下した人物が不利に扱われがちな上、逃げ得した人物(人定が困難なため)も多く、拘留・起訴に関する不公平感は否めない。無差別爆撃の等閑視、性犯罪の軽視等多くの限界をはらんでいた。が、例えば、被害者側からの情状証言があれば刑の軽減が図られていた(身内の有利な証言が信用されないのは証拠法上当然。なお身内の不利な証言は信用される)等、問答無用で科刑されたわけではない点もある。
    想像よりも死刑割合が少、二等兵の死刑はない(ただし、著者は下級兵士の死刑には反対)点。戦犯死刑は否定されるべき点、国際的中立的制度の必要性など反面教師として後世の各種制度に与えた影響も指摘。PS.仏の植民地政策面での戦犯裁判は見受けない視点で良。日本の捕虜死亡割合が25%を越える一方、独の「英米」捕虜が7%(数字マジック有。ただソ・東欧捕虜を含まない指摘も有)、シベリア抑留が10%の死亡率は注目。「責任についての1919年委員会」(日/参加)で上官命令は抗弁足り得ないと決定。注意。

  • 戦犯裁判に関して,問題視する側も擁護する側も,どうしてこう極端なんだろう.

    この本は,裁く側を徹底的に「擁護」している.仮に,裁判側に問題があるようなことを書く場合においても「戦時中の蛮行を忘れてはいけない」等のコメントを多くの箇所につけ,読者の心証をコントロールしようとしている.

    特にどちらの肩をもつわけではないが,上記のような書き方には良い印象がもてない.

  • アジア太平洋戦争を受け、世界各地で行われた
    BC級戦犯裁判のおこりとその後、そして総括を行う一冊。
    短いながらもよくまとめられている。
    裁判そのものには確かに欠陥や不備もあったが、
    A級戦犯とは違い我々と同じ普通の人間が犯した戦争犯罪に対し、
    我々個々人が真摯に罪を認識することが肝要と説く
    筆者の主張は熱く、納得させられる。
    また巣鴨プリズン内で戦犯が考え、行った自省の内容は
    非常に興味深く感じられた。

  • 【資料ID】17079
    【分類】329.67/H48

  • [ 内容 ]
    アジア太平洋戦争における残虐行為の命令者から実行者まで、およそ五七〇〇人が裁かれたBC級戦犯裁判。
    その法廷では何が明らかにされ、どんな戦争犯罪が問われたのか。
    被告はどんな人たちだったのか。
    裁判所の創設から戦犯の釈放までを辿りつつ、八か国で実施された裁判の全貌を解明し、その現代的意義を考察する。

    [ 目次 ]
    序章 なぜ、いま戦犯裁判か
    第1章 なぜ戦争犯罪が裁かれることになったのか
    第2章 戦犯裁判はどう進んだか
    第3章 八か国の法廷
    第4章 裁かれた戦争犯罪
    第5章 裁いた者と裁かれた者
    第6章 裁判が終わって―戦犯の釈放
    終章 BC級戦犯裁判とは何だったのか

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本は被害性と加害性の両面を持っているので、戦争責任を考えるのは難しいのかなと改めて思いました。

  • (2009.08.20読了)
    A級戦争犯罪:「平和に対する罪」東京裁判、ニュルンベルク裁判
    B級戦争犯罪:「通例の戦争犯罪」(国際法で定められていた)
    C級戦争犯罪:「人道に対する罪」

    ●BC級戦犯裁判(日経、2009年8月11日・朝刊)
    連合国7カ国(米国、英国、オーストラリア、フィリピン、フランス、オランダ、中華民国)により、1945年10月から1951年4月まで、アジア・太平洋の49カ所で行われた。総数は2244件、被告5700人。死刑判決が984人、無期・有期刑が約3400人、無罪が1018人だった。

    この本は、BC級戦犯裁判の概説書です。
    章立ては以下の通りです。
    序章 なぜ、いま戦犯裁判か
    第1章 なぜ戦争犯罪が裁かれることになったのか
    第2章 戦犯裁判はどう進んだか
    第3章 八か国の法廷(ソ連での裁判が追加されています)
    第4章 裁かれた戦争犯罪
    第5章 裁いた者と裁かれた者
    第6章 裁判が終わって―戦犯の釈放
    終章 BC級戦犯裁判とは何だったのか

    戦犯裁判というのは、第二次大戦が終了した後に突然出てきた印象だったのですが、第二次大戦中から連合国内で準備が進められてきたのだそうです。

    代表的裁判として「シンガポール華僑粛清事件」「石垣島米兵処刑事件」「中国人強制労働・花岡事件」の三つが紹介されています。

    BC級戦犯裁判で裁かれた人たちの中に朝鮮人148人、台湾人173人が含まれています。戦争中は、日本人だったので、軍人、通訳、俘虜収容所の監視員として参加しています。したがって、日本人として裁かれたのですが、1952年に日本が独立を回復した時、日本政府は朝鮮人らから一方的に日本国籍を剥奪し、軍人恩給などの援護の提供を拒否しています。国際紛争への自衛隊派遣も大事かもしれませんが、太平洋戦争中の旧日本人への補償を行うことも大事なのではないでしょうか。

    著者は、BC級戦犯裁判の意義を以下のように述べています。
    「連合軍は、戦争犯罪人を裁判で処罰すると宣言することにより、そして実際に戦争犯罪を捜査し、容疑者を逮捕し、裁判にかけて処罰したことによって、民衆の怒りを抑えることができた。法による裁きとは、まず被害者による報復をやめさせるという効果を持つ。」
    「戦争犯罪を国際社会によって犯罪と認定し裁いたことは、不十分ではあるがその後の国際社会の判断の基礎になった。」

    著者 林 博史
    1955年、神戸市生まれ
    1985年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了
    現在、関東学院大学教授
    (2009年8月27日・記)

  • 戦争犯罪(とくにBC級)の成り立ちや戦犯裁判手続きについて知るのにはいい本。

  • 戦後日本の平和観の問題は、戦犯裁判にあったのかもしれないと感じさせられた。権力とか暴力とか戦争とか、個人の力で立ち向かうことのできないような漠とした巨大なプレッシャーの中にあったとしても、個人の自立心を失ってはいけないし、友愛の精神を放棄してはいけないと、強く感じた。

  • 戦争責任について考える好著。BC級戦犯裁判というと、不当なものが多かったという評判があるが、その裁判は裁いた側の国の事情によりかなり違ったものであったし、裁判をしたことで被害者たちの怒りの矛先を避け、復讐による無用な血を流させなかったことは評価すべきだろう。そもそも兵と呼ばれる下級の兵士が死刑になることはほとんどなかったという。一方731部隊とか日本の中国への爆撃はアメリカの都合で裁かれなかった。(つまり原爆投下も)やがて戦犯たちは釈放されるが、それは米ソ冷戦時代に日本を抱き込もうというアメリカの思惑があり、それにのったことで日本人はあたかも戦争責任はだれにもなかったかのように思いこんでしまうのである。

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