博物館の誕生―町田久成と東京帝室博物館 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309536

作品紹介・あらすじ

東京帝室博物館(東京国立博物館の前身)は上野の山につくられた日本最初の近代総合博物館である。国の中央博物館としての創設から皇室の博物館になるまでの激動のドラマを、明治維新の頃、外交官として活躍し、博物館づくりに情熱をそそいだ創設者、町田久成(一八三八‐九七)の生涯と重ね合わせて描きだす歴史物語。図版多数。

感想・レビュー・書評

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  • 博物館誕生秘話/展示の模索と建物の模索/壬申調査と文化財/パリ万博からの因縁/ウィーン万博、内国博/島津久光と町田久成/大久保利通と町田久成

  • 内容はすごく面白いのだが、時系列が前後してるので年表と変遷表を頭に入れておかないと読みづらい。

    「博物館」の所管が大学(文部省)→内務省→農商務省→宮内省と変遷し、さらに所蔵品の所管が異なる時期も長いので、ややこしい。


    「博物館」以外にも小石川薬園(現在は東京大学附属。珍しい植物が展示されてるので是非行きたい!)や、本草学出身の田中芳生が尽力した恩賜上野動物園などの変遷も知ることができる。

    個人的に大好きな国立科学博物館の数奇な運命も、実は上野の「博物館」の歴史とリンクしていることも知った。

    内容は複雑だが、なかなか濃い一冊である。

  • なじみのある上野公園について知ろう、てことで読みました。

    恥ずかしながら、町田久成という人物を全く知りませんでした。
    これは学芸員資格保持者としてダメなんじゃないかと思うが…

    で、その町田久成。
    薩摩藩主島津氏の連枝という、相当な毛並のよさ。
    江戸に遊学し、禁門の変には隊長として参加。その後、イギリスへ渡航。
    帰国後、新政府で若手外交官として活躍するも、皇太子でもないイギリス王子へ過度な接待をしたと糾弾されて大学南校へ左遷された町田は、「大英博物館に比肩する大博物館をつくろう」と思い立つ。

    ここから本編が始まる。

    町田久成という人物を中心に、如何にして日本初の博物館が創設されたかが、当時の政治状況などを踏まえながら描かれます。
    明治初期の目まぐるしい情勢、文化財を巡る動き、大久保利通の強力な後押し…
    ちょっと淡々としすぎている感はあるけど、これがなかなかおもしろい。

    ただ、博物館創設にかける町田の執念とも言える情熱の源泉について分析されていないのが惜しい。
    町田の足跡・事業はよくわかる一方で、町田本人がどのような人物だったのかについては、それほど掘り下げられていないのが残念だ。
    伝記ではないから、そのへんは仕方ないのかもしれないけど。

    大久保が「国威発揚のための施設」の建設を目的として町田を支援したように、町田自身も国家事業として博物館を創設しようとしたのか。
    失われゆく文化財を集め、自国の歴史を検証する拠りどころとしようとしたのか。
    あるいは、外交官としての道を閉ざされた悔い・恨みを、自分がつくり上げる博物館を先進国イギリスのものと比較しても遜色ないものにすることで、多少なりとも晴らそうという屈折した想いがあったのか。

    そういった町田の内面に迫れていれば、もっとおもしろかっただろうな。

    また、町田と上野動物園の創始者である田中芳男の対立についても言及されている。
    人文系資料に重きを置く町田と、博物学(本草学)的資料に重きを置く田中。
    上野の山の大博物館化をめざす町田にとって、植物園・動物園をつくろうとする田中が邪魔だった、と。
    しかし博物館創設のドサクサに紛れて、田中が動物園設立案を滑り込ませてしまう。
    その結果でき上がったのが、上野動物園だと。

    上野動物園は我が愛する東博創立の妨害者であったか…
    こうして開館することになった博物館(動物園含む)だけど、来場者は動物園の方がかなり多かったという。
    まぁ確かに、当時の人には滅多に見られない生き物の方が物珍しいのかな。

  • 上野の博物館の設立が、いかに大変だったかは想像できます。
    占領地から収奪してきた金品を並べる博物館と比べれば、
    見劣りすることは重要ではない。

    スエーデンの博物館のように、沈没した船を、
    失敗の象徴として展示している国もある。

    自分たちの勉強になるのは何かをはっきりと分かっていることが重要だと思う。
    上野の博物館に何か、勉強になることががあるかがよくわからなかった。

  • [ 内容 ]
    東京帝室博物館(東京国立博物館の前身)は上野の山につくられた日本最初の近代総合博物館である。
    国の中央博物館としての創設から皇室の博物館になるまでの激動のドラマを、明治維新の頃、外交官として活躍し、博物館づくりに情熱をそそいだ創設者、町田久成(一八三八‐九七)の生涯と重ね合わせて描きだす歴史物語。
    図版多数。

    [ 目次 ]
    序章 若き日の町田久成
    1章 万国博覧会と博物館の構想
    2章 「博覧会を公開する」博物館
    3章 博物館をつくりたい
    4章 博物館の資料を求めて
    5章 上野の山に博物館を
    6章 博物館が開館した
    7章 博物館を皇室に
    8章 帝室博物館の誕生
    終章 晩年の町田久成

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    [ 参考となる書評 ]

  • 多分東博の誕生の経緯を記しているんだと思う。いつか読んでみたい。

  • 町田久成はマイナーな人物ですが、鹿児島中央駅の「若き薩摩の群像」という像の中にいます。ということは薩摩の生まれです。
    この人は実は現「東京国立博物館」を作った人であり、わが国初の博物館の前進を築いた人です。
    東京国立博物館の完成を、町田の生涯を追いながら詳しく書かれています。
    博物館を作るに当たって、展示品やコレクションのことなどの町田の苦悩がありありと描かれています。
    また登場人物も多いので、町田久成という人物が深く掘り起されているような感じがします。
    この本はぜひ博物館関係の職業を目指す人にはおススメの本です。
    そうでなくてもこの本は非常に面白かったです。

  • 05-10-08
    関秀夫「博物館の誕生−町田久成と東京帝室博物館−」岩波新書を読みました。東京国立博物館の成立史です。この博物館は、薩摩藩士の町田久成の情熱、粘り(押しの強さ)そして、薩摩人脈を利用してつくられました。



     大久保利通と懇意にしていた町田は、元々は外務官僚でした。しかし、英国第二王子の接待役をしたことから、親英派の大久保と反対派の外務卿沢の政争に巻き込まれ、文部官僚へ更迭されてしまいます。文部省へ移った町田は、欧米に負けない大博物館を建設しようと決意します。



     大きな仕事には、役所の縄張りや、それぞれの意見の食い違いがあるものです。明治維新ですからなおさらです。その食い違いによって、博物館を管轄する部署が、文部省(M2)であったり、内務省(M8)であったり、農商務省(M14)であったり、宮内省(M19)であったりめまぐるしく変わります。



     また、博物館の名称がめまぐるしく変わったり、場所が変わったり、博物館の用地問題で他の施設との関係が書かれたり、さらに、多くの登場人物がおり、読んでいて混乱してしまいます。ということで、本には、博物館の歴史のフローチャート図、略年表が付いていました。



     明治14年、町田は大久保という後ろ盾を無くしながらも、上野の山に博物館を建設し、初段館長に就きました。しかし、建設に当たっての強引さがたたったのか、たった7か月で、農商務省少輔品川弥二郎に館長を解任されてしまいます。



     この本では、現在の東京国立博物館までの、一連の流れを押さえることはできます。ただ、サブタイトルを強調するのならば、町田が博物館をつくりたいと思った動機や館長を退いた後の、博物館との関係をもう少し詳細に語ってくれたらと思いました。



     でも、現在の東京国立博物館が大変苦労してつくられたことがよく分かる本でした。それと、主題とは関係がありませんが、国立科学博物館(前身は教育博物館)が国立博物館とまったく別の経緯でつくられたことが分かり、意外でした。

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