大型店とまちづくり: 規制進むアメリカ、模索する日本 (岩波新書 新赤版 960)
- 岩波書店 (2005年7月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004309604
感想・レビュー・書評
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大型店舗の出店により、地域商店街との連携などを考えるという方向性が見える。米国の先例を示し、チェーン店出店の状態や地域との紛争、条例など法規制、店舗形態、さらに大店舗は地域社会にとって、利点があるかを書いている。
ウォルマートを取り上げている。「誰も知らないウォルマート」。日本での模索している例を示している。
均質化レストラン・フォーミュラビジネス
ドライブイン・ファーストフード店・テイクアウト店
大型チェーン店の登場、出店、経営については、スクラップ、アンド、ビルド。焼畑商業というイメージがある。
世界規模、グローバルマーチャンダイジング
街並みの変化には故郷に戻って暮らしたくない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2005年前後のアメリカでの大型ショッピングセンターと市民運動について。
アメリカの圧力により、規制緩和の改正がされた日本の大規模店舗法だが、当のアメリカでは、チェーンストアの出店に反対する市民活動が起こっていた事を紹介。その根底は、自分たちの権利を自分たちで守り執行していくアメリカの"小さな自治"志向があると指摘している。
また参入・規制がすべてに対して平等であるかどうかを重視する法整備のあり方を紹介する。 -
2011.04 郊外大型店舗の功罪について。ウォルマートなどの例をもとに、アメリカの実態や日本の現状について考察。スプロール化による環境破壊や旧商店街崩壊、退店後のゴーストタウン化など、大型郊外SCの罪の部分にフォーカス。
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分かりやすい。
大店がどんな影響をまちに与えるか、
アメリカの事例なども出し、詳しくのっている。
日本は、どうする。 -
「ファスト風土」よりは,信頼性のおける記述になっている。ただ,その分退屈な記述が多い。大型店批判本なので当然だが,先進国の情勢が大型店排除に大きく動いているような感じを受けるが,果たしてそうなのだろうか。
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序章だけでも読む価値はあります。米国の大型店舗出店による地域経済の疲弊を論じています。日本でも同様のことが起こっており、先々が心配になります。
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日本の郊外大型店の問題を、アメリカを通して考える。
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大型店舗が地域社会に及ぼす影響とそれを見かねた行政と市民の取り組みを紹介。それに鑑みながらこれからの日本の大型店数過剰時代のあり方を模索する。なるほど、アメリカは1番最初に大型店・ショッピングモールの雛形を作り出して世界に示しただけあって、地域において割と早くから周囲への影響が如実に現れ明らかになったようだ。日本もやがてこうなるだろうか。リアルな未来像。実際に起こっている現実。
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さて日本には大店法というものがあって、かなりの強さで大型店舗の出店を制止していた時期がある。2000年に大店立地法と変わってから、大型店に関する規制はほとんどなくなった。これはアメリカさんがねじ込んできた法律らしいんですが、当のアメリカでは元祖安売りウォルマートさんが猛威を振るっているので、大型店を規制する動きが盛んになっている、という。
さてこのウォルマート、一体どんな商法かと申しますと、「Everyday Low Price」を合言葉に巨大なボックス型店舗をドーン!と郊外に進出させる。そして逆フォードとも言うべきやりかた、つまりフォードが自分とこの労働者にたくさん賃金を払って自分とこの車を買ってもらったが如く、ウォルマートは自分とこの労働者に低賃金(ついでに低福祉)を払って自分とこの安売り品を買わせる。そして地域の小売店の賃金も自分とこに追随させ、低賃金労働者を大量に作り出し、自分とこの安売り品を買わせるという、まさに「貧乏を持続的に拡大するビジネスモデル」。
これが地域を破壊するものである、という認識を強くしての規制が強くなっているアメリカに対し日本はまだ無防備に近い。そもそもこの問題を認識しないと、都市のスプロール化とか対応できない。街中が空洞化とかそういうことがいいことか悪いことか、ロードサイド店がいいのか悪いのか、このへんを研究しないとまずいべ。今んとこ地方自治体レベルの話になっているようだけど。 -
【由来】
・アテネの最終日で
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
・2005年の本で、アメリカにおける、ウォルマートに象徴される大型店舗が地方を食いつぶしていこうとする動きと、それに対抗する地方の動きを対比させる一方で、日本においては、大型店舗対策があまり取られていない現状を紹介している。
・そもそも日本における大型店舗関連の規制緩和はアメリカからの要求によるものだった。ところが、そのアメリカでは、大型店の地方への出店手続きは逆に長期化し、ますます多様化している(P37)。それは第1章のタイトルにもなっている通り、地方と大型店の「紛争」なのだ。
・ウォルマートのメインターゲットは貧困層。いかに持続的に貧困層を拡大できるかが彼らにとっての重要なパラダイムである、という知見には戦慄した。「だれもが無関心であり無視してきたマーケットに注目し、安売りをしかけたところにサム・ウォルトン(創業者)の天才があった(P142)」
・「1990年代以降、欧米諸国・都市は環境とまちづくりの必要から大型店の立地規制を強化してきた(P192)」ということだが、ひるがえって日本では、そこまでの動きにはなっていない。ただ、すでに顕在化し始めている人口減少問題ともあいまって、「創造的に都市規模を縮小することが、これからの都市社会の課題となる(P196)」。つまりコンパクトシティ構想だったり、都市機能の再配置を推進していかざるを得ない。 -
本書で私が得たポイントは以下のとおり。
かつての大店法時代には、大型店対商店街という対立の構造があったが、少子高齢化で全体の消費のパイが縮小していく中にあっては、大型店も中心市街地の賑わい創出の担い手として、商店街と共存共栄しながら、地域コミュニティの一員の役割を果たす必要がある。
不採算の店を閉店し、他に新しい店を出すという手法(本書では「焼畑商業」と呼んでいる。)は、大型店側には効率的な経営だが、大型店の空き店舗は地域社会に悪影響を及ぼす。
商店街組織に加盟せず商店街活動に参加しない大型店が増えているが、お祭りの人出で最もかせぐのは彼らである。そうした社会的費用を負担しないフリーライダーを規制するため、加盟を促す条例をつくる自治体が増えている。
まちづくりなど地域の問題を、まちの招待の姿を、そこに暮らし帰属する人々が議論し、決定権を持って選択する「地域デモクラシー」が求められる。 -
地域活性化について知りたくて読書。
帰省先へ戻ると中学くらいまで通っていた商店街が壊滅し、イオンや大手スーパーマーケットが郊外にオープンしている状況。福岡の片田舎なので車がないと買い物も不便なため郊外型スーパーは便利なのかもしれない。
本書に登場するウォルマートは中国でも問題になったことを記憶している。大連のウォルマートはいつも人で賑わっている。
アメリカで反対運動が起こっているという事例は興味深い。私はアメリカではロサンゼルスしか行ったことないが、アメリカは日本より激しい自由競争の国とイメージしていたが、実は雇用を守ったりやワークシェアリングを実現するために制限や規制を設けているように感じた。ある意味で日本のほうが効率化を進めすぎて、便利な自動化、無人化を達成させてきた結果、雇用を奪っているのではないかと感想を持った。
日本の多くの個人商店は衰退していると報道を目にするが、奮闘しているお店もある。大型店の出店が一段落したら、双方のいい点を生かすための規制強化も含めて共存共栄が始まるのではないかと思う。個人的には個人商店や商店街の独自性を発揮する取り組みにも期待したい。
読書時間:約40分
本書はバンコクのブックオブワールドで購入しました。 -
焼き畑商業 外部資本 ビッグボックス店舗 モラトリアム 大型店出展に対する自治体負担 雇用環境の悪化 再利用を条件として設計 開発による計画変更の矛盾と黒幕 自治の思想 walkable city 容積率などの数値を感覚の整合性
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分類=経済・まちづくり。05年7月。