多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書)

著者 : 本村凌二
  • 岩波書店 (2005年9月21日発売)
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  • 本棚登録 :151
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309673

作品紹介

人類の文明史五千年。うち四千年は古代であった。そのなかで地中海周辺は、神々のあふれる世界から唯一神崇拝の世界へとめざましい変貌をとげている。ここはまた表音文字のアルファベットが普及した地域でもあった。メソポタミア、エジプト、シリア、ギリシア、ローマへと広がる時空を一貫した観点から描く、壮大なスケールの心性の歴史。

多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:162||M
    資料ID:95050479

  • 多神教と一神教を比較するというより、一神教が生まれる背景としての多神教を語る、という印象。歴史が進むに連れて国は統合されて来たが、神もまた統合が進んで来た。この先も統合が進むのかが気になる。

    多くの女神が統合されイシスとなった。昨今のネットを見ていると、イシス信仰の成れの果てがバブみなのかもしれない。

  • 著者は、ポンペイの遺跡にある浴場の脱衣所に飾られていた春画がある時期より塗りつぶされていた痕跡に着目し、古代地中海世界の人々の心性の変化とそれに深く根ざした宗教の変遷について紐解いてゆく。

    本書では実に多くの宗教が解説されており、地中海世界の文化の多様性と豊かさを実感させられた。
    また、アルファベットの普及が一神教崇拝の形が生まれる要因となったとする著者の論考も非常に興味深かった。

  • 地中海周辺は、神々のあふれる世界から唯一神崇拝の世界へと変貌をとげた。
    それはなぜか。今さらそんなことはわからない。
    筆者は「古代の人の宗教に対する《心性》がどのように変化していったか」に注目しその謎に迫ろうとする壮大な仮説である。
    摩訶不思議な自然現象が周りに溢れている中での考え方ってどんなだろう。今では当たり前のように語られていることすらも理由がわからない世界。
    天空をめぐる星々。繰り返す昼と夜。果てしなく広がる地平線。世界の果てはどうなっているのか。平穏だったかと思えば穏やかに流れていた川が突如氾濫する。山火事が起こる。なにも自然現象だけでなく、人間自身の心の底に潜む愛欲の衝動が自らを翻弄してやまない。何なんだこれは、どーなってるわけ、と。しかし納得のゆく説明が必要だ。
    だったら、これらの背後に目に触れることのできない大きな力が働いていると思うのはどうか。あー、神々の仕業だな、と。
    そのへんの心性に対する解説や文献説明はリーズナブルなんだけど、文明の進歩によりアルファベットが出現し、諸々の環境要因が個人の感覚に変化をもたらして一神教崇拝につながって行くという、肝心の部分の論理展開に説明不足感が否めない。こじつけはいいんだけどそこには納得できる何らかの論理性が欲しいなぁ。

    古今東西人はなぜ宗教を必要とするのか。人が宗教を必要とするというよりも、宗教を必要としてしまう人がいる。それはどんな人だろうか。タイプはいろいろあるだろうし、個人においても必要なときと必要ではないときだってあるはず。宗教は思想に置き換えてもいいと思うが、人がどんな時にどんな宗教を必要とするかに注目した筆者の考え方に一番共感する。
    思想それ自体に価値はない、あくまでもそれはツール。聖書も興味はあるし読むけど、それはただのマニュアルにすぎないね、くらいの考えです自分は。80点。

  • 【資料ID】23333
    【分類】162/Mo86

  • 古代地中海世界において人類が初めて「神」を見出したとき,それは種々の事物の中に見出された,多神教の神であった。しかし今日の世界では,人類の過半が,ユダヤ教,キリスト教,イスラム教という一神教の信者である。
    これは何故だろうか?四千年という人類史の大半を占める古代史を解析することで,上記のような人々の心性の変化を明らかにすることが本書のテーマとなっている。古代の人々にとって宗教の持つ意味合いは大きく,宗教をめぐる人々の心性の変化を明らかにすることは,生き生きとした歴史を把握するのに必要なのだろう。

    筆者は結局の所,文字,それも表音文字たるアルファベットの発明と,抑圧された環境が一神教の発達の要因であると結論する。そして,一神教の地中海世界全体への拡がりが,ポリスといった公共体の解体と個人としての信仰の出現にも関係すると主張する。

    詳細は本書を読むしかないが,「多神教においては神々が人々に語りかけていたが,後にはそれが見られなくなった」との主張は難解である。また,「アルファベットの普及が論理性をもたらし,一神教への道筋をつけた」との記述と「論理ではなく個人の感覚的な神との出会いが一神教をもたらす」との記述がどの様に整合するのか,判然としない。
    もっとも,その他の部分も歴史的事実を綿密に分析するというよりは,大胆な推論を繰り返す面が多く見られるから,大まかなグランドデザインを示すものとして読むものだろう。アクエンアテンの一神教とユダヤ人の出エジプトを関連づけるあたりなど,実に胸が躍った。

    何故地中海世界のみに一神教が生まれたのか,紀元一世紀のローマ帝国に多数流入した振興一神教で何故キリスト教が生き残ったのか等疑問は尽きないが,ひとまず古代史を見渡すに楽しい一冊である。

  • マアト(真実、正義、法則)を旨としたアクエンアテン(アメンヘテプ四世)の一神教革命を、単にテーベの神官団の政治的な排除だけとは捉えない。

    虐げられた民と一神教との親和性。

    バビロン系のイラン側とエジプト側に挟まれた地でユダヤ教が誕生したとする。
    ジュリアンジェインズの神々の沈黙

    女性原理と男性原理
    豊作を願う心、大地への畏怖と感謝、大地は母、多産と多様性。
    天は父。母なる大地に雨を降らせ、作物を実らせる。
    イシス神へと集約される多神教の中の女神信仰。父性は自然を征服する論理であり科学。カトリックに取り込まれたマリア信仰はイシス信仰の流れをくむ。マリア信仰を排除したプロテスタント、イスラム教はより厳格な男性原理。

    初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった(ヨハネ1:1)

    ここで言う「言(ことば)」はロゴス

  • [ 内容 ]
    人類の文明史五千年。うち四千年は古代であった。
    そのなかで地中海周辺は、神々のあふれる世界から唯一神崇拝の世界へとめざましい変貌をとげている。
    ここはまた表音文字のアルファベットが普及した地域でもあった。
    メソポタミア、エジプト、シリア、ギリシア、ローマへと広がる時空を一貫した観点から描く、壮大なスケールの心性の歴史。

    [ 目次 ]
    プロローグ 神々とともに生きる古代―ポンペイを歩く
    第1章 「死すべき人間」と神々―メソポタミアの宗教
    第2章 来世信仰と一神教革命―エジプトの宗教
    第3章 神々の相克する世界―大文明の周縁で
    第4章 敬虔な合理主義者たち―ギリシアの宗教
    第5章 救済者として現われる神―ヘレニズムの宗教
    第6章 普遍神、そして一神教へ―神々はローマ帝国にそそぐ
    エピローグ 宗教と道徳

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    [ 参考となる書評 ]

  • 扱っているテーマはとても興味深かったですが、
    若干読み難いというか
    とっつきにくい文体でした。

  • この本を読んだのはだいぶ前ですので、詳しい書評はできませんが、内容についてあまり理解できなかったことははっきりと覚えています。その原因は、(西洋史研究者の独特の言い回しもあるかもしれませんが)話が斬新すぎてついていけなかったというところがあるかもしれません。著者は地中海世界において多神教から一神教が生まれ受け入れられる過程を、ほんの2,30字しかないアルファベットの普及が人々の思考を深化させ一神教を生み出したとしていますが、肯首しがたい説です。フェニキア文字からアルファベットの成立・普及がだいたい紀元前10世紀前後から数百年にかけてだとすると、一神教は地中海世界のどの地域でも生まれてよさそうなものを、ユダヤ教も、キリスト教も、そしてイスラームも地中海東岸ないしはセム系の地域で成立しているという事実に一神教の成立にはもっと別な要因があったのではと思います。とにもかくにも時間があればもう一度読み直さなくてはならない本でしょう。

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