いまどきの「常識」 (岩波新書 新赤版 969)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309697

感想・レビュー・書評

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  • 作者がこうしたら良い、こうなれば良いと思うイメージがあまり語られてなかったのではないか。

  • 授業の課題として読んだ。主題や筆者の考えが曖昧で、難しかった。わかりにくいので授業の題材としてはどうかと思ったけどそうでなかったら読んでいて楽しめたかもしれない。

  • [ 内容 ]
    「反戦・平和は野暮」「お金は万能」「世の中すべて自己責任」…。
    身も蓋もない「現実主義」が横行し、理想を語ることは忌避される。
    心の余裕が失われ、どこか息苦しい現代のなかで、世間の「常識」が大きく変わりつつある。
    さまざまな事象や言説から、いまどきの「常識」を浮き彫りにし、日本社会に何が起きているのかを鋭く考察する。

    [ 目次 ]
    1 自分の周りはバカばかり-人間関係・コミュニケーション篇
    2 お金は万能-仕事・経済篇
    3 男女平等が国を滅ぼす-男女・家族篇
    4 痛い目にあうのは「自己責任」-社会篇
    5 テレビで言っていたから正しい-メディア篇
    6 国を愛さなければ国民にあらず-国家・政治篇

    [ POP ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • あらすじ
    最近の世の中の風潮で,常識のように公然と通っている
    論理,文言について精神科医の作者の見地から
    さまざまな批評,疑問提起をする。
    その常識とは,
    ・自分の周りはバカばかり
    ・お金は万能
    ・男女平等が世界を滅ぼす
    ・痛い目に合うのは「自己責任」
    ・テレビで言っていたから「正しい」
    ・国を愛さなければ国民にあらず
    (本書より引用)

    そしてそれらに共通するキーワードは,
    「自己肯定」「思考停止」「想像力の欠如」
    身近な問題から国家の問題まで幅広く扱う。
    内容的には,一理ある,といった印象。
    そうも言えるけど,そう言い切れはしないよね,という論理とかが
    散見されました。
    また,他者の論理の曲解とみられる表現が多く,
    論理の飛躍,端的な表現も多くあまり腰を据えて読む気にならず。
    さらに,カギカッコの多用により何の何について論じているのか
    不明な点が多い。もっとしっかり文章化してほしい。
    あいまい表現が多いと指摘されているが,疑問提起で終っていて
    意見らしい意見がまとまっていないのは事実。
    ただ,指摘自体はなるほどなーという感想です。


    あと,どうしても納得のいかない部分。
    『では,「人は死ねば生き返れず,全てはそこで終わるのだ」
    と脅かしのようなことを教えれば,こども達が生命を大切にするかと
    いえばそうとも考えられない。
    今,子どもや若者でもうひとつおおきな問題になっていることに
    「自己肯定感の低下」があるが,「一回の人生で全てが決まるのだ」
    といった逃げ場のない教訓は子供を追い詰め,肯定感を
    さらに低下させる恐れもある。ロマンチックな「生き返り」や「不死」
    のファンタジーに若者が夢中になるのも,もはやどうやっても
    現世での自分を肯定できなくなってるからかもしれないのだ』

    人が死んでも生き返る,という考えがひろまっているという章で。
    そういった考えが安易な自殺や他殺に結びついているとき
    生命を大切にさせるにはどうするかといった話の中で。

    1つ目に,客観的に論理の面から批判させてもらうと
    生命を大切にさせる話に自己肯定感を持ち込む意味が分からない。
    それを出したら極端な話,強い口調は全てアウトになる。
    自己肯定感と生命倫理は別次元の話であろう。
    論理のすり替えだと思う。
    2つ目に,個人的な反論ではあるが
    人生が一回きりなのは事実であって,脅しではない。
    むしろ一回の人生で全てが決まるという言い方がすでに不自然で
    一回の人生そのものが全てなのだ。
    それで追い詰められる子供というのはすでに人生が一回きりで
    ないような感覚を抱いているということにならないか?
    そしたらそれは正すべきだろう。
    仮に,「そういうキツイ言い方はダメですよ」といったニュアンスで
    あったとしても,事実は教えなくてはならないだろう。
    対象は10代なんだから・・・

    他にも,不倫をする男性についての章で
    不倫対象の年上男性には「お金」「肩書き」が必須だとしたうえで
    男性は自らの社会的立場や収入が認められたように感じられるだろう,と論じるが
    その後,男性は自らの自己確認のために若い女性と付き合わなくてはならない,として他の親密な人間よりも知り合ったばかりの
    女性に信を置いている,としている。

    これは論理の飛躍だ。
    感じられる,まではいいとしてなぜそれが若い女性との交際
    という限定に通じるのか?
    しかも信用とまでは話は進まないだろう。

    こういう飛躍や,他者の発言や文章の曲解が多かった。
    どうにも,もやもやする本だった。
    香山リカ氏はいろいろな所で目にする名前だったので
    一冊読んでみたが,ちょっとガッカリ。

  • 近頃の「常識」とされるものに対するつっこみ。

  • 小論文の模試に出題されていてびっくりした覚えがあります。
    あと、聞くところによると内容的には色々賛否両論があるみたいですね。

  • 2

  • 一つ一つの内容が薄いが、メディアでよく取り上げられるネタが多かったので理解しやすかった。

    批判されるのを避けるためか、回りくどい表現や曖昧な表現が多かったきがする。

    個人的には2章の「自分らしい仕事をしよう」が一番面白かったし、共感できた。

  • はじめに、にあるように、著者が主張したいことは、「それでも理想を唱えること」である。
    また、最後の章の最後の説にあるように、理想を唱えるにはしっかりと現実を見つめなければならない。さもなければ、現実からかい離したただの絵にかいた餅になってしまう。

    では、この著者の主張を通して本書を見てみればどうか。
    まずわかること、この薄さで約三十ものの常識に疑問を投げかけるのは無理だろうということだ。
    一つの常識に大体七ページほどだけを割いて、それでどれだけ「現実に足をつけて」理想を掲げられるというのだろうか。
    著者はただ読み手に疑問を投げかけたかっただけなのかもしれない。常識と思い込んでいるもの、常識だと思われようとしているものに対して、「ちょっと立ち止まって考えなおしてみてよ」と言いたかっただけなのかもしれない。だが、この最後の「常識」に投げかけられた疑問が、著者の自身の言葉に対する検証の薄さをうかがわせる。これを最後に持ってきたからには、自分自身も「現実に足をつけて」理想を掲げなければならない、と思い、またそうしようとしている、ということの意思表示なのだろう。ここで問題なのは、それを「最後に持ってくることで」におわせただけで、本文では一切触れていない、ということだ。これでは、著者は自分は「現実に足をつけて」いると思い込んでいるかのようである。いや、それとも、わざと追及を避けるために書かなかったのかもしれない。そんな、思いあがったり、自身の発言を自ら見直す力が欠けていたりする人の発言や、自信のない人の発言ならわざわざ本にまでする価値があるのだろうか。自己矛盾してはいないだろうか。揚げ足取りのようだが、著者が本著でしていること自体がそうなので、ご容赦願いたい。

    「常識」に対して著者が掲げているのは「理想」である。注意したいのは、「著者なりの理想」であるということだ。著者が疑問を投げかけている相手にとっては「常識が理想」なのかもしれないのである。
    著者は「著者なりの理想」と「常識的の捉えられる理想」とを混同しているように見える。著者はあらさがしのように世間に対して疑問を投げかけるが、「その考え方ややり方に問題があると思うから、こうすればいい」と、著者なりの解決策を持たない。思考の海に溺れてしまっている。疑問を投げかけるのがテーマなのなら、それでも構わないだろう。読み手が独自に試行を重ね、独自の答えを出せばよい。だが、所々で著者は「著者なりの解決策」を提示してしまっている。スタンスがあまりにも不安定なのである。もう少し試行を重ねるか自分を控えるかして書いていただければ、読んでいる途中に何度も不可解さを覚えなくて済んだだろうと思う。著者の力量で可能だとは思い難いが、一つ一つのテーマごとに一冊書いてもらってもいいぐらいである。

    とはいえ、このような書き方は自分もよくやることであり、人の振り見てわがふり直せ、のいい機会になった。
    また、常々から「何か違うのではないか」と思っていたことに対して「ああそうだったか」と気づかされる部分も多く、読んでよかったと思える本である。
    ただし、この本に書かれていることをそれこそ「これがちゃんとした常識だ」と誤解して鵜呑みにしてしまわないようにしたい。
    疑問に思ったことは「なぜそう思ったのか」さまざまな面から考える習慣をつけようと思った。

  • なにがいいたいのか。
    世間一般で常識となりつつある考え方(と自分で思っている)に対して、うだうだと言っている本。論旨もはっきりしてないし、分析も独りよがりだし、何年か後で読み返せば自分で恥ずかしい作文になっているんじゃないかしら。
    あっという間に読める軽さは、テレビのワイドショーで思いつくまましゃべってる感覚に近いのか。
    それにしても岩波新書ってこんなんだったっけ。

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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