「民族浄化」を裁く: 旧ユ-ゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 973)

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  • / ISBN・EAN: 9784004309734

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  • 民族融和を掲げたユーゴ解体と同時に、一部の政治家や軍人は権力拡大の為に一般市民の恐怖を煽り民族浄化は発生した。中でも圧倒的な軍事力を背景にセルビア人が加害者のケースが目立つ。

  • 【由来】
    ・著者の最新作が図書館の岩波アラートでやってきて、関連本を探したら出てきた

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 著者:多谷千香子(1946-) [たや・ちかこ]

    【書誌情報】
    価格:本体700円+税
    通し番号:新赤版 973
    刊行日:2005/10/20
    ISBN:9784004309734
    版型新書 並製 カバー 220ページ 在庫僅少

    ユーゴ連邦の崩壊は,民族間の内戦を伴い,「民族浄化」という凄まじい悲劇を生んだ.そこで引き起こされた戦争犯罪を裁く旧ユーゴ国際刑事裁判所では,どんな事実が明るみになったのか.元判事の著者が,自らの裁判経験をもとに,「民族浄化」の真相にせまり,国際法廷の意義と限界,和解と平和建設の条件について考える.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b268792.html


    【簡易目次】
    第一章 旧ユーゴ戦犯法廷とは何か 001
    1 国際判事になった日 002
    2 戦争犯罪とは何か 008
    3 戦犯法廷の設置はどのようにして決まったのか 014
    4 三九人の有罪確定者たち 023

    第二章 ボスニア紛争への道 031
    1 連邦の解体へ――復活する民族主義 033
    2 クロアチア紛争の構図 044
    3 紛争予防外交の失敗 047

    第三章 虐殺はなぜ起こったか――ある被告人の軌跡 057
    1 法廷に立った被告人 058
    2 ボスニア紛争前夜――野に放たれた無法者たち 067
    3 被告人の野望――ボスニア紛争はどのように戦われたのか 094
    4 ボスニア紛争の終結――デイトン合意へ 126

    第四章 ミロシェヴィッチの役割 137
    1 ハーグに移送された元大統領 138
    2 権力への階段――コソヴォ紛争の種は蒔かれた 142
    3 西側諸国はミロシェヴィッチをどう見ていたか 156
    4 拘置所から国会議員に当選した戦犯 159

    第五章 国際刑事裁判のこれから 163
    1 旧ユーゴ戦犯法廷の意義と限界 164
    2 国際刑事裁判所へ向けて 174

    終章 平和は訪れるか――ボスニアとコソヴォの将来 183
    1 デイトン合意の効果 185
    2 ボスニアとセルビア 189
    3 コソヴォとマケドニア 194



    【目次】
    はしがき [i-vii]
    目次 [ix-xi]
    ユーゴ関連年表 [xii-xiii]
    ユーゴスラヴィア関連地図 [xiv]

    第一章 旧ユーゴ戦犯法廷とは何か 001
    1 国際判事になった日 002
      オランダ・ハーグへの旅立ち
      連続審理の毎日
    2 戦争犯罪とは何か 008
      ICTY設立規定
      戦争犯罪とは何か
    3 戦犯法廷の設置はどのようにして決まったのか 014
      第一の失敗――交渉による紛争の予防
      第二の失敗――交渉による和平
      第三の失敗――不発に終わったクリントンの強硬手段
      第四の失敗――国連保護軍の無力
      残された選択――ICTYの設置へ
    4 三九人の有罪確定者たち 023
      証拠と証人

    第二章 ボスニア紛争への道 031
    1 連邦の解体へ――復活する民族主義 033
      ユーゴ王国の誕生
      ユーゴ連邦の誕生
      チトーの分権型社会主義
      民族意識と民族融和
      経済破綻から共和党支配の終焉へ
    2 クロアチア紛争の構図 044
      トゥジマンの勝利、そして衝突へ
    3 紛争予防外交の失敗 047
      EC和平案の頓挫
      拙速に行われたクロアチア停戦
      ドイツのクロアチア独立承認

    第三章 虐殺はなぜ起こったか――ある被告人の軌跡 057
    1 法廷に立った被告人 058
      二人の被告人
      弁護人と証人
      被告人の「野望」
    2 ボスニア紛争前夜――野に放たれた無法者たち 067
      ボスニアに押し寄せる脅威
      選挙でおどり出た民族政党とイゼトベゴヴィッチ
      共和国建設へ動くセルビア人勢力
      野に放たれた無法者たち
      ボスニア内戦の準備を進めるセルビア人勢力
      モスリム人勢力の戦闘準備
      モスリム人被害の“宣伝”活動――被害の証言①
      不調に終わったボスニア分割案
      国民投票とボスニア独立宣言
    3 被告人の野望――ボスニア紛争はどのように戦われたのか 094
      ボスニア紛争の勃発
      ヘビに助けられた青年――被害の証言②
      モスリム人とクロアチア人の追放
      進軍するセルビア軍部隊
      地獄の谷へ――被害の証言③
      被害の誇大宣伝と「知識人狩り」
      “刀狩”に協力させられたモスリム人指導者――被害の証言④
      オマルスカ強制収容所
      ブルダニンへの判決
    4 ボスニア紛争の終結――デイトン合意へ 126
      デイトン合意へ
      スレブレニツァ虐殺事件
      アメリカによる和平

    第四章 ミロシェヴィッチの役割 137
    1 ハーグに移送された元大統領 138
      ハーグ移送劇
      ミロシェヴィッチの戦争犯罪
    2 権力への階段――コソヴォ紛争の種は蒔かれた 142
      政治家ミロシェヴィッチの生い立ち
      “クー・デター”による政権奪取
      コソヴォ紛争と権力からの墜落
      妻ミラの指名手配
    3 西側諸国はミロシェヴィッチをどう見ていたか 156
      和平の立役者から和平の阻害要因へ
    4 拘置所から国会議員に当選した戦犯 159
      現状への幻滅

    第五章 国際刑事裁判のこれから 163
    1 旧ユーゴ戦犯法廷の意義と限界 164
      「出口戦略」と今後の課題
      ICTYは反セルビア的か
      起訴と政治的意図
      勝者の裁判か
    2 国際刑事裁判所へ向けて 174
      ICCの設立
      ICCと他の国際的な刑事裁判所の関係
      ICCとICTYの違い
      ICCに対する期待

    終章 平和は訪れるか――ボスニアとコソヴォの将来 183
    1 デイトン合意の効果 185
      “兵器供与と軍事訓練”
      三すくみ状況
    2 ボスニアとセルビア 189
      根深い後遺症
      ルキッチ逮捕劇
    3 コソヴォとマケドニア 194
      コソヴォの将来的地位をめぐって
      マケドニア問題

    あとがき(二〇〇五年九月 旧ユーゴ戦犯法廷前判事 多谷千香子) [201-204]

  • まずは旧ユーゴ戦犯法廷の判事としての仕事に就いた筆者に敬意を。
    取り上げられる事例は、ボスニアをめぐるセルビア人の犯罪が多い。戦犯法廷の役割はきっちり評価されるべきであろう。ユーゴ崩壊の口火をきったのは、ミロシェビィッチのセルビア主義に間違いはないにしても、民族の対立は、一面的にとらえられない。法廷の場から当時の事態を明らかにした貴重な資料となる書。

  • 法の支配の確立、日本国内においてもそれが本当の意味で確立されているのか疑わしくなることがある中、戦争地域に住む人たちにとって、国際法廷が戦犯を裁くことの意味の無力さを感じてしまう。
    起こったことを箇条書きにして整理して歴史の棚にしまう・・・
    それ以上の意味を持てるだろうか。。

  • 筆者が、裁判官であっただけ偏りがある。

    『セルビア=悪』論の印象が強い。

    導入本としては柴さんの『ユーゴスラビア現代史』がよく、
    なぜ偏りが生じるかは高木さんの『戦争広告代理店』がいい。

  • 国際機構法の授業の際に予備知識をつけるために読んだ。
    戦争にはルールがある。
    戦争犯罪とは、
    1.ジュネーブ条約の重大違反
    2.戦争法規および慣習に違反する罪
    3.人道に反する罪
    4.ジェノサイドの罪

    ボスニアのムスリム人はセルビア人に比べて一般に教育レベルが高かった。セルビア人勢力は1992年9月になるとセルビア人共和国の予定地をほとんど制して、スルプスカ共和国を樹立宣言した。

  • [ 内容 ]
    ユーゴ連邦の崩壊は、民族間の内戦を伴い、「民族浄化」という凄まじい悲劇を生んだ。そこで引き起こされた戦争犯罪を裁く旧ユーゴ国際刑事裁判所では、どんな事実が明るみになったのか。
    元判事の著者が、自らの裁判経験をもとに、「民族浄化」の真相にせまり、国際法廷の意義と限界、和解と平和建設の条件について考える。

    [ 目次 ]
    はしがき
    第一章 旧ユーゴ戦犯法廷とは何か
    第二章 ボスニア紛争への道
    第三章 虐殺はなぜ起こったか――ある被告人の軌跡
    第四章 ミロシェヴィッチの役割
    第五章 国際刑事裁判のこれから
    終章 平和は訪れるか――ボスニアとコソヴォの将来
    あとがき

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    [ 参考となる書評 ]

  • ユーゴでどうしてあんなことが起きたのか知りたかったのだが、「裁く」話が中心。また裁判官視点というか、視座がだいぶ高いところにあるので何百年も一緒に仲良く暮らしていた隣人と殺し合った心の事情がよく見えない。よい本だが、こちらのニーズと若干ミスマッチだった。

  • 旧ユーゴ戦犯法廷の判事をつとめた著者が、自身が担当した事件を引きながら、ボスニア紛争の経緯、国際社会の関与の失敗、虐殺の実態、国際刑事裁判の意義と限界等を簡潔にまとめている。

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著者プロフィール

多谷 千香子 1946年生まれ。1969年東京大学教養学部国際関係論専攻卒業。東京地検検事,法務省刑事局付検事,外務省国連局付検事,国連社会権規約委員会委員,国連女子差別撤廃委員会委員,旧ユーゴ戦犯法廷裁判官,最高検検事などを経て退官後に法政大学法学部国際政治学科教授となり2017年に退職。現在,法政大学名誉教授。
著書に『ODAと環境・人権』(有斐閣,1994年),『ODAと人間の安全保障』(有斐閣,2000年),『民族浄化を裁く――旧ユーゴ戦犯法廷の現場から』(岩波新書,2005年),『廃棄物・リサイクル・環境事犯をめぐる101問』(立花書房,2006年),『戦争犯罪と法』(岩波書店,2006年。櫻田会奨励賞受賞),『アフガン・テロ戦争の研究――タリバンはなぜ復活したのか』(岩波書店 2016年 櫻田会特別功労賞受賞)。訳書に『毛沢東は死んだか――四人組失脚後の中国』(サイマル出版会,1978年)。論文に「オゾン層保護条約とフロン規制問題」(『ジュリスト』No.841),「人権の国際的保護(個人の通報権)についての一考察」(『ジュリスト』No.865),「国際協力の法的性格(上)」(『ジュリスト』No.950),「国際協力の法的性格(下)」(『ジュリスト』No.951),「ODA(政府開発援助)」(『ジュリスト』No.1073),「女子差別撤廃条約選択議定書――手続き規則をめぐって」(『ジュリスト』No.1185),「個人通報制度に関する女子差別撤廃条約選択議定書の発効について」(『ジュリスト』No.1199),「人権としての人間の安全保障」(『ジュリスト』No.1205),「報道の自由と真実発見――ワシントン・ポスト記者の証人喚問」(『ジュリスト』No.1265),「手続面に絞った国内法整備にとどめてICCに加入した意義」(『ジュリスト』No.1343)他がある。

「2023年 『アラブの冬 リビア内戦の余波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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