ラッセルのパラドクス―世界を読み換える哲学 (岩波新書 新赤版 (975))

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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309758

感想・レビュー・書評

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  • 「ラッセルのパラドクス」は論理学上最大の事件といってもいいだろう。本書はこのパラドクスを提示した偉大な論理学者であるラッセルの哲学についての、おそらくは最良の入門書ではないだろうか。私にとってラッセルは『論考』に対して致命的な誤読をするなど、ウィトゲンシュタインという文脈から見れば、どうもその偉大さが伝わってこない人物だった。しかし、本書では悪名高い『論考』序文の誤解や、いわゆる言語論的転回を拒否し続けた理由が、彼の哲学観の展開を追うことで明らかにされており、彼が単なる敵役ではなく、きわめて魅力的な哲学者であったことが私にも理解できた。彼の記述理論もわかりやすく直感的に納得できる「実用的な」理論として評価できる。

  • ラッセルの仕事の変遷をたどりながら、分析哲学が何をしようとしているのかを解説してくれている。前半の、ラッセルが論理学上のパラドクスをどのように解き、それによってどのような世界像が生み出されたか、とか、後半の、物質的現象も心的現象も、感覚で捉えられうるもの(センシビリア)を異なるパースペクティブで構成したものであるとして、唯物論や唯心論や物心二元論を退ける展開、とか、独特の発想が目白押しでおもしろかった。

  • バートランド・ラッセルの論理学,哲学への入門書.
    ラッセルの歴史的な位置とか現代の論理学との関係があまり書いてないのでわかりにくいところがある.最初の例もあまりいいとは思えない.命題論理と述語論理の混同に見えてしまう.肝心な概念の説明がわかりにくいきらいがある.こう見ると,言語哲学にある程度バックグラウンドのある読者を想定しているのかなとも思った.
    ラッセルの後期哲学を支えた中性一元論が物理学の人間原理に,同じものではないにせよ,つながるというのはなかなかおもしろい.

  • w

  • 一般向けの 新書とはいえ、本気の哲学がテーマのものは途中挫折が多いけど、本書は比較的面白く読み進んだ。特に中盤に記された「確定記述」の内容は、日常のモノゴトの見方や表現について少し考えさせられてしまうところあり。少しは仕事に役立つかな(?)最後の方に紹介された「中性一元論」の壮大さにはSFチックな趣すら感じた。

  • ラッセルのパラドクスを知るのにはとても良い本。

  • 最初から最後までわかんなかった・・・

  • パラドキシカルな文の解釈を紹介することでラッセルの論理学と哲学にわたる思考を解説している。特に後半はまさ哲学的で、その概観もまだ理解しきれなかったが、ラッセルが論理に重きをおいて哲学を展開していくさまを多少垣間見ることができたような。自分が興味が有るところだけ拾っておく。

    「自分自身の要素でない集合、の集合は、自分自身を含む」という命題が
    真か偽かを考えるとどちらとも決まらないというのがいわゆるラッセルのパラドクスである。これに対する解決策が「自己言及」のある集合を禁止するという「悪循環原理」である。しかしこの原理は制限が厳しすぎて使い物にならない(真でも偽でもない命題が生まれる)。そこで出てくるのが「タイプ理論」である。これは世の中のあらゆるものをタイプ0,タイプ1といった具合に階層にわける。そしてタイプiの命題はタイプ(i+1)で真か偽のどちらかとなると考えることでパラドクスを解消させる。
    このように考えると世界は階層分けされた多重世界となる。一般的に使われる文章ではタイプを意識することはないのですべてのタイプに対して当てはまっていることを要求する(無制限変更の原理)。しか命題自体にも階層があり(タイプの区別してオーダーとよんでいる)かなり複雑になる。それにたいしてラッセルは還元公理を用いて解決を試みているが、批判もある。
    いずれにしても日常言語はあまりに素朴で論理学的な展開に使えない。そこで人工的な理想言語を構築する。不完全な記述を理想言語に読み替える作業をおこなうのが「記述理論」である。このへんの内容(6章)は大変面白く読めた。

    7章以降後半はセンスデータ、センシビリア、中性一元論などラッセルの哲学も解説されているが自分には十分にフォローできなかった。

  • [ 内容 ]
    「この犬は、吠える」「犬は、吠える」、どちらかが間違っている?
    簡単なパズルから、常識をつきくずす過激な論理の超絶技巧へ。
    「世界で最も難解な数学書を書いた哲学者」ラッセルは、パンドラの箱ともいうべきこのパラドクスから、異形の思弁の群れを現代に解き放った。
    新たな世界への扉を開く、論理学ファン必読の1冊!

    [ 目次 ]
    はじめに
    I 〈反-常識〉の形而上学
    第1章 ラッセル哲学の輪郭
    第2章 「世界は一つ」ではない?
    II 世界を解き放つ
    第3章 数学を矛盾から救うには?
    第4章 多重世界こそ現実だった?
    第5章 階層の中にまた別の階層が?
    III 世界を読み換える
    第6章 日常言語は信頼できるのか?
    第7章 知が世界につながるためには?
    IV 世界を組み直す
    第8章 分析には終わりがある?
    第9章 心と脳は同じものなのか?

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  • 世界の見方。組み替えて、読み替えて。

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プロフィール

1959年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学文学部教授。和洋女子大学名誉教授。専門は、美学・分析哲学。著書に『天才児のための論理思考入門』(河出書房新社、2015年)、『改訂版 可能世界の哲学――「存在」と「自己」を考える』(二見書房、2017年)など。

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