ラッセルのパラドクス: 世界を読み換える哲学 (岩波新書 新赤版 975)
- 岩波書店 (2005年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004309758
感想・レビュー・書評
-
「ラッセルのパラドクス」は論理学上最大の事件といってもいいだろう。本書はこのパラドクスを提示した偉大な論理学者であるラッセルの哲学についての、おそらくは最良の入門書ではないだろうか。私にとってラッセルは『論考』に対して致命的な誤読をするなど、ウィトゲンシュタインという文脈から見れば、どうもその偉大さが伝わってこない人物だった。しかし、本書では悪名高い『論考』序文の誤解や、いわゆる言語論的転回を拒否し続けた理由が、彼の哲学観の展開を追うことで明らかにされており、彼が単なる敵役ではなく、きわめて魅力的な哲学者であったことが私にも理解できた。彼の記述理論もわかりやすく直感的に納得できる「実用的な」理論として評価できる。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(「MARC」データベースより)
簡単なクイズから「心と物が存在する」ことの謎へ緻密かつ壮麗に展開するラッセル・ワールド。完全・究極・確実に憑かれた過激な哲学者は論理を武器に矛盾に満ちた日常世界を徹底的に読み換えてゆく。新次元の知への扉を開く。 -
2019/06/25
-
言語の階層などがラッセルの思想がひととおり学べた。
集合論について、まとまっていて読みやすく、ちょうど生物進化における集合とシステム論を学んでいるところだったので、とても役立った。
7章の「今ここの言語」での瞬間ごとの硬いデータというのはおもしろい。 -
手こずったが、なんとか読了。
ラッセルのパラドックスの解説書というより、ラッセル哲学の入門書という感じ。
論理学から「意識の必然的存在」を導けるということを意外に感じた。 -
ラッセルの仕事の変遷をたどりながら、分析哲学が何をしようとしているのかを解説してくれている。前半の、ラッセルが論理学上のパラドクスをどのように解き、それによってどのような世界像が生み出されたか、とか、後半の、物質的現象も心的現象も、感覚で捉えられうるもの(センシビリア)を異なるパースペクティブで構成したものであるとして、唯物論や唯心論や物心二元論を退ける展開、とか、独特の発想が目白押しでおもしろかった。
-
バートランド・ラッセルの論理学,哲学への入門書.
ラッセルの歴史的な位置とか現代の論理学との関係があまり書いてないのでわかりにくいところがある.最初の例もあまりいいとは思えない.命題論理と述語論理の混同に見えてしまう.肝心な概念の説明がわかりにくいきらいがある.こう見ると,言語哲学にある程度バックグラウンドのある読者を想定しているのかなとも思った.
ラッセルの後期哲学を支えた中性一元論が物理学の人間原理に,同じものではないにせよ,つながるというのはなかなかおもしろい. -
w