日本の漢字 (岩波新書 新赤版 991)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309918

作品紹介・あらすじ

誰にも読めない「幽霊文字」、特定の職業で使われる文字、個人が造った漢字…。中国から取り入れた漢字を日本語として使いこなすための試行錯誤の中から生まれてきた、驚くほど多様な文字の世界を紹介する。意味、用法から字画に至るまで柔軟に変容をとげた「日本の漢字」の歴史から、日本語表記の豊かさを支えてきたものが見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生にして諸橋『大漢和辞典』辞典を購入し通覧したという漢字オタクの少年が、日本漢字の専門家として、日本人がいかに漢字を自家薬籠中のものにし、さまざまな国字をつくり、今もつくりつつあるかを、歴史上の文献、地名表記、現代の携帯の絵文字に至るまで、豊かな例をもとにわれわれに示している。歴史に証拠をさぐろうとすると手書きのものを調べないといけないし、地名に使われた漢字を調べるためには現地に赴かなくてはいけない。著者のねばりに脱帽する。それにしても、これだけ一般の活字にない文字をつくった印刷所もたいしたオタクである。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705583

  • <目次>
    第1章  漢字を受け入れる~日本の多様な文字体系
    第2章  「圓」から「円」へ~俗字・国字の誕生
    第3章  よく見る漢字
    第4章  文字から見える社会
    第5章  地名と漢字
    第6章  一人だけの漢字
    第7章  日本人のための漢字とは

    <内容>
    著者は、子供時代から漢字にこだわりのある子供だったようで、小学生で漢和辞典を読み込んだり、国字を集めてみたり…。そんな方の「日本人の漢字」の本。まあ、「国字」のレベルをどこまで見るか、芥川龍之介や宮沢賢治の作った字(芥川のはJIS登録されているらしい。教科書に載っているから…)。「腺」は宇田川玄真が作ったらしい…。地名を拾うあたりの話も幼児期の体験を踏まえると「すごいね」としか言えない。

  • 慶應義塾大学を广K广Oと書くのは高校時代の早稲田卒の先生が独自に編み出したものだと思っていたがこんなにも奥深い歴史があったとは。 堅苦しい内容だけでなく色々なテーマが取り扱われていて読み物として面白かった。

  •  国字、特に小字地名用の知られざる国字の調査をした方らしい。
     こんな字があるのかと思わされる。
     漢字研究者であるから漢字尊重派。しかし漢字検定などには批判的のようだ。

    P198:口偏の漢字。中国語の咖啡(日本では珈琲)は口で飲むからではない。音だけの音訳字として使っていることを示すもの。仏典の漢訳時などに使われた。

  • 日本の漢字にまつわる話題が面白い。和字だけでなく個人漢字もあるんだ〜。

  • 漢字hsこうして生まれた。国字から漢字誕生の秘密を読み解く。

  • 中国人の方に、繁体字でも簡体字でもない、日本の常用・当用漢字を教えたところ、
    (盐、鹽、塩
    气、氣、気
    转、轉、転など)
    では、日本の漢字は、漢字のようで漢字ではないのですね、と言われ、
    いわゆる仮名と同様のものだと捉えられてしまったことがあります。

    そのとき私は、そんなことはありません。これは漢字です。と言いたかったのと同時に、
    それでは、正しい漢字ってなんだろう?
    漢語ってなんだろう、和語ってなんだろう、
    繁体字って簡体字ってなんだろう、
    と、ふと思ったのでした。

  • 日本で生まれた漢字の話や、日本独自の漢字の運用について、普段はあまり意識しない面白さや不思議が述べられている。とにかく膨大な数を誇る漢字。その研究の地道さに頭が下がる。個人的には位相文字の話が面白かった。また、同じ漢字権と言われる近隣の国々での漢字の事情は、予想以上に差がある。

  • 誰にも読めない「幽霊文字」、特定の職業で使われる文字、個人が造った・・・。中国から取り入れた漢字を日本語として使いこなすための試行錯誤の中から生まれてきた、驚くほど多様な文字の世界を紹介する。意味、用法から字画に至るまで柔軟に変容をとげた「日本の漢字」の歴史から、日本語表記の豊かさを支えてきたものが見えてくる。

    面白い! 岩波新書の味気ないカバー表紙のせいか、とっつきにくいかなあと思って読み始めたところ、あっという間に引き込まれて一気に読み終えてしまいました。おそらく気が遠くなるような膨大な資料を研究し尽くした著者だからこその説得力のある説明が素晴らしいです。見たこともない異体字、略字がどういった経緯でできて、いつのどの文献で使われたのかが的確に示されているのに驚きました。普段使っている漢字の意外な成り立ちについても目からウロコがいっぱいです。著者は漢字の歴史・変遷を尊重しつつ、現代での漢字の使われ方もおおらかに受け入れています。漢字の世界がこれからも変化し、大きく広がっていくのが楽しみです。

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著者プロフィール

早稲田大学社会科学総合学術院教授
1993年早稲田大学文学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(文学)。
専門は日本語学(文字・表記)、社会言語学(文字論)、漢字学。

「2022年 『漢字系文字の世界 字体と造字法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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