現代ドイツ―統一後の知的軌跡 (岩波新書)

著者 : 三島憲一
  • 岩波書店 (2006年2月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309949

作品紹介

統一後から現在まで、ドイツを揺るがした議論とは何だったのか。東独の過去の問題、統一に伴うさまざまな困難、外国人への差別と暴力、ナショナリズムの高揚、さらにはNATOの域外派兵、アフガニスタン出兵とイラク戦争などをめぐる知識人の議論を紹介し、現代ドイツの政治と社会の諸相を浮き彫りにする。

現代ドイツ―統一後の知的軌跡 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • ドイツ哲学の専門家による、東西統一からイラク戦争までの現代ドイツ史を俯瞰した新書。ハバーマスに代表されるドイツ・リベラル左派を通して、東西ドイツ統一、ユーゴ内戦といった時代の節々の出来事で、知識人や政治家がどんな論争を行ってきたかを克明に描かれている。本書の主人公は、ハバーマスと云ったところか。

    ドイツ・リベラル左派の考えを理解するには有益だったが、本書が書かれた10年後の今から見ると、EUを過大評価していたと言わざるを得ない。典型的な岩波文化人の経済学関連への知識の無理解が出ていて、所々読んでいて辛かった。例えば、ドイツ・マルクに固執するのはナショナリズムに固執しているからだ、ドイツマルク・ナショナリズムを克服するEU共通通貨はすばらしいみたいな論調で書かれているが、当時でも多くの経済学者が反対していたのを無視した随分と乱暴な議論だなあと感じられた。後出しジャンケンではあるが、ヨーロッパで反緊縮運動が盛り上がっている現在から視るとなんだかなあという感想がある。あと三島氏は、ハバーマスへ過剰に肩入れしているせいか、嫌悪が先行していて、ドイツ・ポストモダン派のあまりフェアーな紹介ではないだろう。ドイツ・ポストモダン派はただの保守反動ではないと思うが?

    ハバーマスに代表されるリベラル左派の考えを知るには悪くない本だが、ところどころでお粗末な経済認識が出ているので、ある程度批判的に読まないといけないと思う。

    評点:6点/10点。

  • ドイツの政治と思想である。難問問題、ネオナチ問題だけではなく、湾岸戦争への対応をめぐってのアメリカとのやりとりなどとても面白く読んだ。ドイツ関係の岩波新書ではこれが一番面白い。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    統一後から現在まで、ドイツを揺るがした議論とは何だったのか。東独の過去の問題、統一に伴うさまざまな困難、外国人への差別と暴力、ナショナリズムの高揚、さらにはNATOの域外派兵、アフガニスタン出兵とイラク戦争などをめぐる知識人の議論を紹介し、現代ドイツの政治と社会の諸相を浮き彫りにする。

    【キーワード】
    新書・ドイツ・歴史・政治・社会



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  • ドイツの東西統一とそれに関連のある出来事を書いた本。日本人が90年代のドイツ言われて思いつくのは東西統一とネオナチぐらいだと思うが、それ以上に多くの問題(東西の格差、外国人排斥、戦中の監視や罪)を抱えていた事を知り驚いた。何よりも第二次世界大戦でドイツがしたことは今でも問題になっており、今後も解決しそうにないという事が、ドイツの社会情勢を表した本書で思い知らされた。

  • 【資料ID】25023
    【分類】302.34/Mi53

  • [ 内容 ]
    統一後から現在まで、ドイツを揺るがした議論とは何だったのか。
    東独の過去の問題、統一に伴うさまざまな困難、外国人への差別と暴力、ナショナリズムの高揚、さらにはNATOの域外派兵、アフガニスタン出兵とイラク戦争などをめぐる知識人の議論を紹介し、現代ドイツの政治と社会の諸相を浮き彫りにする。

    [ 目次 ]
    第1章 ドイツ統一―国民国家の再生?
    第2章 統一のきしみ
    第3章 ネオナチの暴力―庇護権問題
    第4章 中部ヨーロッパの大国?
    第5章 新たな国際情勢の中で
    第6章 過ぎ去らない過去
    第7章 EU統合の深化とカントの希望の再生

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 統一ドイツに関する活発な議論を多く収録した良書。

  • カントとハーバーマスとデリダ。

  • 東西ドイツの統一を図るドイツのナショナリズムを記してある本

  • これは興味のある人には相当お薦め本だと思います。統一以後のドイツの政治・社会的動向について、重層的に、一般人・政治家・学者の意見を分析的に掲載しながら、より昔の歴史を参照しつつ論点と問題点を整理しつつ、ここ約20年の歴史をネオナチ・移民排斥・ユーゴ内戦・湾岸戦争・EU統合など節目となる出来事を追いながらたどっている。勝手なイメージでドイツは手続き問題には厳格、という印象を持っていたのだけれど、案外そうでもないスットコドッコイなところがあるんだなあと思ったり、素っ頓狂な右翼よりもリベラルレフトの知的弛緩による転向の方が罪作りな場合があるということや、かといって、知的訓練を重ねてきた人でもそういう陥穽にはまってしまう難しさも理解できるし、それだけにハーバーマスはとても偉い人だなあということなど、著者の基本的な考え方について個人的にとても頷けるというところもあり、興味深く読んだ。

    ただのメモ
    ● 西ドイツの国民は意見を表明する機会を与えられず、東ドイツの市民は、西から怒涛のように押し寄せる経済力にさらわれただけといった、事実上の併合は、やはり禍根を残すものだった。デモクラシーにふさわしい手続きを怠ったことが、政治的・文化的メンタリティに大きな障害を残すであろう、そして「何世代にもわたる重荷」(ハーバーマス)となるかもしれない、という識者たちの警告はあたってしまった。
    ● 高邁且つ深遠を自負する、ドイツ精神なるものの尊大で抑圧的な内実から、自分たちの世代はやっとの思いで抜け出したのだ、とハーバーマスは述べている。ドイツには元来神秘性を標榜し、神話的なもの、アルカイックなものの魅力から離れることができず、政治的・社会的現実を深い軽蔑のまなざしで見ながら、それが自分たちに有利に展開するとすぐにすり寄る、という思想的傾向があった。こうした伝統から抜け出ることができたのは、アメリカのプラグマティズムや、ロールズやドゥオーキンにまでつながる18世紀の理性法のおかげであり、また分析哲学やフランスの実証主義、そしてデュルケームからパーソンズまでの社会学的思考のおかげである。
    ● 社会学者、政治学者によるさまざまなメンタリティ調査によると、西ドイツの住民は60年代から90年代まで一貫して、低く見積もっても15%ほどがファシズム的な価値観の持ち主であったことである。フランクフルト社会研究所だけでなく、いくつかある有名な世論調査研究所の調査でもそうした数字が出ている。(中略)実は、一般的印象とは異なり後者(多少とも社会の合理化、近代化についていけた人々)の方が右翼的心情に染まりやすいというデータがたくさん出ている。
    ● 貴族主義的ラディカリズムの議論をするザフランスキーは、60年代後半には、ベルリン自由大学の学生自治会で急進左翼として鳴らしていた。社会科学の言語から文化形而上学のそれへの乗り換えが国家の擁護に帰着している。同じような知的経歴を辿った人は、日本にもいることを考えると、ここには知的退化のひとつのパターンがあるのかもしれない。

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