少年事件に取り組む―家裁調査官の現場から (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309956

作品紹介・あらすじ

衝撃的な少年事件が報道されている。厳罰化や被害者への対応などが盛り込まれた二〇〇〇年改正少年法がさらに見直されようとしている今、家裁調査官として直接少年たちと向き合ってきた豊富な経験に耳を傾けることは、冷静な議論をつくすために不可欠だろう。調査や審判の実際、悩みをも率直に語りながら、「少年司法」のあり方を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 661円購入2010-02-26

  • 元家裁調査官の著者が、その経験に基づき、「少年司法」の在り方を考察。
    家裁調査官出身の著者は、基本的に少年法の精神に共感的な立場であるが、少年法について考える上で、とても含蓄に富んだ内容である。また、少年事件における家裁調査官をはじめとする少年司法の専門職の重要性を感じた。
    少年司法に関わる各専門職間の連携強化や、修復的司法の取組の推進、否認事件を中心に家裁調査官の調査結果を事実認定に使えるようにしてはどうかという意見など、家裁調査官の役割に関わることをはじめとして、いろいろと積極的な提案がされているのも、意欲的だと感じた。

  • 少年事件に取り組む―家裁調査官の現場から (岩波新書)

    本書は、元家庭裁判所調査官で、本書出版当時は鈴鹿医療科学大学助教授であった藤原正範氏による、「少年司法」の制度と現場での活動について述べられた本である。

    本書は2005年12月に執筆されており、これは2001年に施行された改正少年法の見直し時期である2006年3月の直前である。著者は長年、家裁の調査官を務めてきた経験から、少年法の理念であった保護・更生から厳罰化の流れに向かうことを懸念する。いわゆる「非行少年」でない児童・生徒が保護されることも多く、そのような例では再犯もほとんどないこと、また保護処分の一つである「保護観察」が大きな効果を挙げていることを述べている。

    筆者としてはあくまでも少年法の目的は「健全な育成」であるとし、厳罰化には反対のようであるが、本書は筆者の意見を極力排して書かれており、少年犯罪に関する各種データとともに、少年法、検察、家庭裁判所、保護処分などについて詳しく書かれている。

    初学者にはとても参考になる内容であり、内容も読みやすいので★5つと評価したい。少年犯罪に関する他の書籍の前に一読しておくことをおすすめしたいと思う。

  • 元家裁調査官が執筆。

    自己の経験から、具体的な少年事件の事例とその背景が紹介されている。
    また2000年に改正された少年法についても述べられている。

    毎度のことだが、加害少年と向き合う調査官の目線を追うと、犯罪を侵した少年を割り切って考えられなくなる。
    もしその少年の性格と家庭・学校等の環境だったら、果たして自分は犯罪を起こさずにいられるか、自信がない事例がある。

  • 家裁調査官による少年事件・非行についての論考。大変よくまとまっており、現場にいたものでないと書けない内容から少年法の理念や問題点についてまでの議論がなされている。時流にのった書き方をしている少年非行ものの新書の中で、本書は非常に冷静に分析した内容が記されていると思う。

  • 家裁での少年事件処理の流れが見えてきました。

  • 家裁調査官である藤原氏が、自らの現場経験から、少年事件とは何かについて考察する本。少年司法の運用、また、少年事件が起こるとどのような過程で処遇がされるのか、詳しくかつ、易しく書いてあるので、少年事件を勉強するきっかけになると思います。
    また、実際に少年司法関係に携わっている方も、今後の少年司法のあり方についての記述は大変参考になると思います。

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著者プロフィール

藤原 正範(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部教授)

「2017年 『司法福祉〔第2版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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