憲法とは何か (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 621
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310020

作品紹介・あらすじ

憲法は何のためにあるのか。立憲主義とはどういう考えなのか。憲法はわれわれに明るい未来を保障するどころか、ときに人々の生活や生命をも左右する「危険」な存在になりうる。改憲論議が高まりつつある現在、憲法にまつわる様々な誤解や幻想を指摘しながら、その本質についての冷静な考察をうながす「憲法再入門」。

感想・レビュー・書評

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  • 憲法とはなにか、という入門書。のはずが自分の読解力が乏しすぎて所どころわからないところが…
    憲法改正という言葉はニュースを見ていれば時々(よく?)出てくるが、いったい憲法の何を改正するのか?誰が改正の是非を決めるのか?という知識は曖昧だったので、そういう意味ではこの本は根本的なことを知るうえで便利だ。
    憲法改正のプロセスやその手順で重要なことなど、いろいろ考えさせられるような内容だった。憲法はその時の政権にとって都合のいい物として改変されてはいけない。普遍的で、なるべくすべての国民にとって望ましいものでなければいけないから、改憲をする場合は手短に、というわけにはいかない。開かれた場所で改憲賛成派と反対派の討議を行い、それぞれの意見を吟味してから投票をする。事項もまとめてではなく個別で。改憲を果たすためには非常に長く地道な作業を求められるんだなぁ、と感じた。けれどその地道なプロセスが、果たして本当に改憲は必要なのか?と自問する機会を与えてくれる。そしてきっと、その自問をする時間が一番大事なんだと思う。

  • 安保法案を与党推薦人ながら違憲証言した注目の方をなぜ自民党は見誤ったのかを知りたかった。タイトルどおり、憲法の本質を哲学的、政治学的に追究していく内容の濃いコンパクトな一冊!。ホッブス、ルソー、カント、モンテスキュー、ロールズ・・・。昔、教科書で学んだ名前が次々に登場、正に根源から考えさせられた。「憲法9条による軍備の制限も、通常の政治のプロセスが適正に働くための規定」(P12)「従来の政府解釈で設けられている制約-たとえば集団的自衛権の否定-を吹っ飛ばそうというのであれば、その後、どう軍の規模や行動を制約していくつもりなのかという肝心な点を明らかにすべき。その見通しもなく、どこの国とどんな軍事行動について連携するつもりなのか-米が台湾を実力で防衛するとき、日本は米と組んで中国と戦争するつもりはあるのか-さしたる定見もないままに、とにかく政治を信頼してくれでは、そんな危ない話にはおいそれと乗れませんとしかいいようがない。そこまで政治が信頼できるという前提に立つのであれば、憲法などもともと無用の長物。」(P20)あまりにも的確な予言ぶりに驚き、快笑!成立を急いだ杜撰な国会の裏面を見た。「憲法改正」そのものの哲学的意味について論じる。2度の大戦も、冷戦も憲法の掲げる国の基本秩序を巡る戦いだった!日本は立憲主義の理念を持つ国。まずは日本をどういう国にしたいのかを基本的に決定することの重要性が力説される。(P59)著者は議院内閣制が優れ、大統領制が例外的に真に巧く機能している国は、独特の政治文化が存在する米国だけだとする。従って改憲による日本の首相公選制を否定する。また憲法改正の特別多数決の護持も主張する。憲法改正、或いは解釈の変更が必要だとの主張は全く見えてこない!確かに解釈で変更の余地があるような記載もあるが、少なくとも9条等の基本理念に関わる部分ではない。最後に、世界唯一国家の誕生は果たして理想か!この点も「魂なき専制」が齎され、無政府状態への堕落が予測されるとの著者の論理は明快。

  • 社会の授業でのことです。憲法と法律が区別して書かれていました。憲法は法律ではないのだろうか? という疑問がわいてきました。世の中では憲法改正、第九条は絶対守り通す、など様々な意見が飛び交っています。私の中では、現日本国憲法は第二次世界大戦後、アメリカ人の手によって作られたと聞いたこともあるし、ここらで、自分たちの憲法を作り替えてもいいのでは、と安易に考えたりもしていました。それで、本書を読んでみることにしました。法学も政治学もほとんど予備知識の無い人間ですから、もともとの三権分立の意味や、大統領と首相との違いが書かれているところを見て、なるほどと感心してしまいました。これで、フランスになぜ大統領と首相の両人がそろっているのか納得できました。そして、憲法というのはすべての法律の大元になっているものだということが理解できたと思います。そこの解釈の仕方が常に国会で議論になっているのだということも。こういうことって常識なんでしょうか? ひょっとして、中3生などはすでに教わっていることなのかもしれません。もし、自分も中学生のころに習っていたとすると、何にも身についていなかったということになりそうです。さて、本書には憲法改正についての手続きについてもくわしく書かれています。近々、そういうことが必要になるのかもしれません。国民の一人として、しっかり考えて投票したいものです。(この本を読むころまでは、本当に情けない状態だったんだよな。自分がです。)

  • 仕事のための読書。
    刑法、民法、裁判所についての本を読んできて、次は会社法にしようかなと思いつつ、まずは基本を抑えるべく憲法を選択。

    本書は、憲法学者である著者が、憲法について立憲主義や民主主義の観点から解説をした本です。
    ……。
    はい、偉そうに書きましたが、正直に白状すると、この本を読んでまず心に浮かんだ気持ちは、
    「む、む、むんずかしいぃ~~!!」

    書名から漠然と日本の憲法の成り立ちや中身、現在議論されている問題点が集められているのかと思いきや、そうではなく。
    より根本的に、憲法をもつということ、立憲主義とは国ががどうあることかについて書かれていることを理解したのが、読みはじめてしばらくたった頃。
    著者独特の切れ味の鋭い文章の流れに、油断しているとすぐに頭が置いていかれてしまうので、こんな時のためにと買っておいた『もういちど読む 山川政治経済』を出してきて、立憲主義や議会制民主主義の項目を読み、言葉の定義を確認しつつ、なんとか読了。

    理解が及ばない部分は多々ありつつも、私が面白かったのは、憲法学者である著者自身が、人々にとって民主政よりも大事なことは、今夜の夕御飯をはじめとしてたくさんある、と言っているところ。
    学者なら、民主政は大事だよ、みんなちゃんと考えようよ、となりそうなものなのに!

    それから、憲法からみて「守るべき国」という表現の「国」とは、その憲法が掲げている国体のことであって、人々が住む国土や暮らしのことではない、というところ。
    私はこれまで漠然とこの二つを混同して、毎日の暮らしは大事だけど、国を守るためにそれを犠牲にしなければいけないとしたら、どうすればいいの?などと思っていた。

    たぶん、私を含めて沢山の人が、
    「政治ってよくわからない」
    「法律ってむずかしい」
    と感じていると思う。
    で、私の場合は、間違えたら恥ずかしいし、とそれらを話題にするのが億劫になっていた。
    でも、その感覚は実は正しくて、憲法や法律の運用はたくさんの解釈の積み重ねによって行われるものだし、利害関係の調整は常に面倒で複雑になるから、よくわからないのは、当たり前。
    だから、逆にそれらをないがしろにするような人がいたら、慎重になろうくらいのことを頭にとどめておいて、普段からもっと堂々と「よくわからないね」と話していいのかもしれない。

    本書の中で、立憲主義とは、「この世には、人の生き方や世界の意味について、根底的に異なる価値観を抱いている人々がいることを認め、そして、それにもかかわらず、社会生活の便宜とコストを公平に分かち合う基本的な枠組みを構築することで、個人の自由な生き方と、社会全体の利益に向けた理性的な審議と決定のプロセスとを実現することを目指す立場」と定義されています。
    確かに、一緒に住んでる夫でさえ、たまに何を考えてるかよくわからない、となるわけだし。
    私は、やっぱり、人間にはそれぞれの生き方があって、それが相容れなくても、まどろっこしいやり取りを重ねていくという考え方がしっくりくるなあ。
    もうすぐ選挙があるけど、そういう意味では、どこがどのように勝つかというより、誰に投票したらいいかよくわからないしめんどくさいなと思いながらも、細々と、でもしぶとく投票をし続けていくことこそ、大事なのかもしれない。

    あれ?
    仕事のための読書が、そうでもなかったような。
    まあ、どっちでもいいか。

  • 憲法改正論議を理解する参考文献として読んだ。
    憲法学者の重鎮ということで、この著者の本をとりあえず読まねばという義務感で選書。

    全然期待してなかったけど、表題どおり、憲法とは何か を知るために良い教科書的な本で、読んで良かった。

    「憲法とは」基本的なことを知ってから改正論議をしないとダメだとわかった。ダイジェストでこの内容を国民みんなに知らせないで改正の是非を投票させるのは、ものすごく問題があると思う。

    憲法典とは原理を示すもので、そこに書いてあることは法令で定めないと実行されない。改正して書き込んだことが必ず実行されるものではない。
    例:アメリカ南北戦争後、黒人の人権を認めることを憲法に書き込んだ。しかし、実際は公民権運動後に法令ができるまでしっかり実行されなかった。

    また、憲法典に書いてあることは、現実に即しておかしいのであれば、実行されていないのが普通である。
    例:イギリス議会はオーストラリアの憲法を無効にできる。→実際はどう考えてもできない

    日本国憲法も多大なエネルギーを使って変えることのメリットは多くないだろう。憲法に書き込んでも法令を作らないと実行できない。逆に、書き込まなくても法令を作ればできることは、憲法改正してまで書き込む必要がない。

    この著者をこき下ろす内容を含む本を先日読んだのだが、憲法9条を改正しなくても軍備に支障はないという点では、その著者とこの本の意見は同じということのようだ。

    「解釈改憲」という用語があって、私はこれを「ズルをする」というか、ホンネと建前が違っていて歪なこと、などと思っていたが、解釈で憲法が変わるのは当然のことなのだと理解した。

    ○本書の内容について
    ・まず、憲法が絶対王制の権力に制限を加えるために作られたことなど、歴史的な話。
    ・現代の政治の形(民主主義・共産主義・ファシズム)は憲法の違いであり、それが国のあり方の違いである。
    ・現代の政治のあり方の違いを簡単に解説。大統領制の弊害など。
    ・憲法と法令の違い 憲法はおおまかな原理にすぎず、実行は法令による。
    ・執筆当時2005年における憲法改正問題について。憲法改正に多大なエネルギーを消費しなくても、必要な法令を作れば良い。憲法は解釈で変わる。解釈は社会の変化で変わる。
    ・裁判所は判決によって解釈の変化を定着させていくものだが、日本の最高裁は政治に対して弱腰?

    前半は多分にロマンチックというか文学的な著者の嗜好が盛り込まれていて読みにくかった。さすが岩波の赤、教養本なのである。
    しかし、基本的なことを押さえるには必要な本だった。

  • 憲法改正を論ずる前にまずこの本を読んだ方がいい

  • 2011/04/14

  • 【由来】
    ・新書365
    ・「多数決を疑う」の読書案内で。この人、テレビで最近よく見る人だ。

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • いわゆる、日本国憲法の解説書ではない。憲法は何のためにあるのか。
    戦争は相手の憲法を変えるため。

  • 立憲主義の発想について解説するとともに、そうした観点から現在の憲法をめぐるさまざまな問題について、著者自身の立場から明快に議論を展開している本です。

    立憲主義そのものについては、おなじく新書で刊行されている『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)のほうが、理論的および歴史的な側面からていねいに論じられているように感じました。本書でも立憲主義そのものの説明は手際よくまとめられていますが、むしろ立憲主義という発想をじっさいに使いこなすためのさまざまな視座が示されているように思います。

    また、現在の憲法改正をめぐる議論には、改憲派・護憲派双方に、憲法の改正そのものが日本社会に革命的な変化をもたらすかのような理解が見られますが、著者はそうした議論が過熱する状況から距離をとり、憲法が置かれている具体的状況のなかで憲法の果たしている役割を冷静に見ようとしています。

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著者プロフィール

長谷部恭男(はせべ・やすお)早稲田大学法学学術院教授、東京大学名誉教授。憲法学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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