憲法とは何か (岩波新書 新赤版 1002)

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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310020

感想・レビュー・書評

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  • 立憲主義とは何か。それから導かれる憲法の役割とは。憲法の具体的内容でなく憲法そのものについて記した良書

  • 法の素人だが面白く読めた。立憲主義の根底の思想がよくわかる。立憲主義は「中途半端な煮え切らない」ものでそれを選ぶことは「中途半端な立場にあえてこだわる」ことを意味する…と著者。政治がかったるいのは道理なのだ。

  • 国家権力を制限することで個々人の人権を護ろうという理念として語られるのが通例である立憲主義を、異なる(筆者の言葉を借りれば「比較不能な」)価値観を持つ人々が公平に共存すための枠組みと捉えられている点に目を惹かれる。

    特に注目させられたのは、筆者が立憲主義、特にその公と私の弁別について「人の本性に反する」(p15)と言い切っている点である。人々が「人間らしい生活を送るため」(p9)の共存の枠組みが、人間の本性に反したものであるとは。価値観・世界観が異なる人々の共存とは何と困難なものであることか。

  • 憲法はバラ色でもなければ理想でもない。それを巡って戦争は繰り返される。とはいえ社会を形作るのに必要な機構。「国体」という言葉が頭をよぎります。内容は簡単ではないですが読み応えありました。学生時代の授業、独特の雰囲気だったのを思い出すなー

  •  『憲法とは何か』というタイトルだが、その実は近代以降の憲法の根拠である「立憲主義」を解説した本。その精神を簡潔に述べるなら、「価値観や世界観の多元化した社会で、国家権力の暴走から国民(の権利)を守る」ということになる。

     興味深いのは、最近主張する人が多いプライバシー権や環境権にしろ、自民党の改憲案にある「国を守る責務」にしろ、新しい条文をあれこれ加えようとするのは立憲主義の考え方にそぐわないということ。

     先にも書いた通り、立憲主義は国民に義務を課するものではなく、国家権力の害から国民を擁護するという精神である。国民を規制するのは個別の法案でしかない。

     それを考えれば、日本国民の三大義務が憲法の条文として明記されていることが不思議であるように思った。日本人は憲法に義務を明記しなきゃ気が済まないと考えているのだろうか?

     この本もなかなか勉強になるが、初学者向けの本としては、同著者の『憲法と平和を問いなおす』(http://booklog.jp/asin/4480061657)のほうが優れていると思う。

  • NDC分類: 323.

  • [ 内容 ]
    憲法は何のためにあるのか。
    立憲主義とはどういう考えなのか。
    憲法はわれわれに明るい未来を保障するどころか、ときに人々の生活や生命をも左右する「危険」な存在になりうる。
    改憲論議が高まりつつある現在、憲法にまつわる様々な誤解や幻想を指摘しながら、その本質についての冷静な考察をうながす「憲法再入門」。

    [ 目次 ]
    第1章 立憲主義の成立
    第2章 冷戦の終結とリベラル・デモクラシーの勝利
    第3章 立憲主義と民主主義
    第4章 新しい権力分立?
    第5章 憲法典の変化と憲法の変化
    第6章 憲法改正の手続
    終章 国境はなぜあるのか

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • メモ
    憲法が国家の、属する人々の在り方そのものである。故に戦争とは相手国の憲法の否定である。

    立憲主義が「公」と「私」の区別によって、価値観・文化の違いを内包させつつ国家を成立させている。故に本来的に、人間としては受け入れ難い。

    憲法典を変えたからといって憲法が変わるとはかぎらない。

  • とても分かりやすく憲法や政治制度について書かれている。
    主に憲法改正論議の矛盾を突く内容。
    日本の統治構造、という中公新書の本を読んだ後だったので議院内閣制がなぜ大統領制より優れているかと言った問題については非常に興味深かった。

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2022年 『憲法講話〔第2版〕 24の入門講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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