日本宗教史 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310037

作品紹介・あらすじ

『記・紀』にみる神々の記述には仏教が影を落とし、中世には神仏習合から独特な神話が生まれる。近世におけるキリスト教との出会い、国家と個の葛藤する近代を経て、現代新宗教の出現に至るまでを、精神の"古層"が形成され、「発見」されるダイナミックな過程としてとらえ、世俗倫理、権力との関係をも視野に入れた、大胆な通史の試み。

感想・レビュー・書評

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  • 古代から現代にいたるまでの日本における宗教の歴史をたどりつつ、著者自身の関心にもとづく考察をおこなっている本です。

    著者は、丸山眞男の「古層」の概念に触れて、「古層」は歴史を通して一貫したものとして存在しているのではなく、むしろ歴史のなかでつくられてきたものと考えるべきなのではないかと主張します。本書はこうした考えにもとづいて、日本の宗教のありかたが、歴史のなかでどのようにかたちづくられてきたのかを論じています。

    そのさい著者は、仏教、キリスト教、神道がたがいにどのような影響をあたえあってきたのかということに、とくに注意をはらっています。中世における神仏習合の実態や、近代以降の神道とナショナリズムのむすびつきなどの事実を紹介しながら、現代におけるこの国の宗教のありかたを可能にしたものがいったいなんであったのかという問題へと、読者の思索をみちびいています。

    また最終章では、著者自身がこれまでにも論じてきた、死者とのかかわりにおいて宗教のありかたをあらためて考えなおす必要があるという議論も提出されています。

  • 宗教には興味があるが
    古代神話と宗教がわかれ
    天皇の位置 祭祀を司る
    平安から鎌倉になり大乗仏教としての 聖が出始め 山伏 などが密教系と別れる
    キリスト教の伝来 江戸から明治にかけて神道との合祀
    江戸時代は寺社が 戸籍の役割を果たす
    現代にかけて新興宗教が出てくる

  • 日本の宗教史をざっとさらった一冊。長すぎず短すぎず、古代から現代までにおける宗教の数々を拾ってかいつまんで説明しているので、概論を押さえるのには良書だと思う。
    筆者は丸山眞男の「古層」という考え方を元に日本の宗教史を展開していっており、その古層は時代を上るとともに「発見」され、「創出」されていくことを説明している。これらは特に江戸時代や明治時代において顕著であり、日本の原始から存在する思想はなにか、日本的ルーツはどこにあるか、というのは昔からの大きなテーマだったことがよくわかる。
    宗教とは関係なくなってしまうけれど、個人的には筆者が聖徳太子を『源氏物語』の光源氏と結び付けたところに面白味を感じた。ともに天皇の子というやんごとなき血筋を受け継ぎながらも、自らは天皇とならずに自由に動ける身を謳歌し続けた。二人のカリスマ性は、確かにそういう特徴からきている部分もあるのだろうな、と思った。

  • 日本宗教の歴史のイメージをとりあえずふんわりと抑えるという意味において、本書の持っている力というのは絶大だと思う。

    無論、新書という形態をとっている以上、細かいところまでは言及されてはいないし別の見方もあるのだろう。

    けれど、日本における「宗教」概念がどのように形成されてきたのか、そしてどのような実態があったのかを振り返るためには、本書のような存在が欠かせない。

    宗教学をやっている人にかぎらず、日本の思想に興味がある人は読んでみても決して損はしない一冊。

  • 2020年3月4日購入。
    2020年6月25日読了。

  • 【めも】
    ・2020年の記事。
    https://www.iwanamishinsho80.com/post/nihonshisoushi

    【簡易目次】
    1 仏教の浸透と神々――古代
    2 神仏論の展開――中世
    3 世俗と宗教――近世
    4 近代化と宗教――近代

  • 名著『日本仏教史―思想史としてのアプローチ』
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    の著者である末木文美士氏が、仏教史ではなく「宗教史」全体像を描くことに挑戦したもの。仏教、神道、儒教、キリスト教の関連が俯瞰できる。新書ですべてを書き尽くすのは無理があるが、それでもこれだけコンパクトにまとめてあるのは素晴らしいと思う。

    『古事記』を純日本の古層と捉えるのは無理がある、仏教伝来から150年が経っており仏教の影響も受けて成立したと考えられるとする指摘と、宗教は死と向き合わなくてはならず、ゆえに「葬式」を行えることが大衆に浸透するためには不可欠であると胃の指摘は、目からうろこが落ちた。
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  • 良書である。たった240頁であるが、中身は濃すぎるほどに濃い。7世紀から現代まで、神道・仏教・儒教・キリスト教・修験道・新興宗教等の栄枯盛衰(?)が語られる。この本の長所は、読者に、細部はともかく、日本の宗教史の大まかなところはわかったという気にさせるところである。著者がそれだけ揺るぎない宗教史観を有していることの証左であろう。なお、同じ著者の「日本仏教史ー思想史としてのアプローチ」も好著。こちらは、橋本治が熱い解説を書いているが、あの橋本治にそのような解説を書かせたこと自体、この著者の凄さを物語っていると思う。

  • 前半はキレの良い部分もあったが、後半は粗っぽい印象を受けた。

    記紀神話の政治性、聖の登場、聖地化、キリスト教と権力者の神格化、国家神道の詭弁。

  • 正月は神社に初詣に行き、結婚式はキリスト教の教会で挙げ、盆に先祖の霊を迎え、クリスマスを祝い、葬儀は仏式で行う…、そんな無節操さを、しばしば批判的な論調で語られることが多い日本人。
    私自身、まったくの無宗教・無信心で、いわゆる信仰というものに対する嗜好は皆無だが、日本に生まれ暮らす日本人の一人として、そういったあまりにも混沌たる日本人と宗教との関わりについては、以前より強い関心を抱いている。
    結果的に本書は、日本人の国民性および精神性と宗教との関連を包括的に分析し、一つの見方を提示する、という私が求めていたようなスキームで論じられたものではなかったが、そうした思索の前提となる予備知識を、古代より時系列を追って適宜説明してくれており、まさしく"日本宗教史"の概論としては充分に読み応えがあるものだと思う。
    何となくは知っているつもりの"神仏習合"の本当の意味合いや、檀家制度の成り立ちと葬式仏教の意義、記紀神話の成立には実は仏教が影響していた、などといった目から鱗の知識にも出会うことができた。
    他にも、日本独特の様式である山岳信仰や、実在の人物が神として祀られる数々の事例など、掘り下げていけばきりがないような興味深いトピックスが多くあることが分かる。

    とどのつまりが、"宗教"と肩肘張っていても、突き詰めればその国や土地に、文化と不可分なものとして根付く"生活様式"こそがそれだと言えるのではないか、という自分なりの結論に至った。
    もちろんそれは信仰や信心とは縁が薄いものにもなりうるので、狭義的には"宗教"とは言えないのかもしれないが、帰依する対象の有無を別にすれば、例えば"道徳"や"倫理"として捉えられているものこそ、人々の行動を縛り、そして冠婚葬祭など生活の中の節目節目で様式を規定する"宗教"なのだ、と定めても完全な誤りではないだろう。
    儒教(儒学)は宗教なのか、という議論も古くより行われていると聞くが、その辺りは専門家の間でも意見が分かれているようだ。

    少し話は飛躍してしまうかもしれないが、宗教に対する日本人の寛容さ(ルーズさ)、というものに考えを巡らせてみると、なぜ日本の街並み(たとえ古都と雖も)がヨーロッパのそれらと比べて無秩序で美観を伴わぬのか、その理由が朧げながら分かるような気もする。

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著者プロフィール

1949年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)、東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。専門は仏教学、日本思想史。著書に『日本仏教史−思想史としてのアプローチ』(新潮文庫)『日本宗教史』(岩波新書)『日本思想史』(岩波新書)などがある。

「2021年 『近代日本宗教史 第六巻 模索する現代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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