冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 205
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310044

作品紹介・あらすじ

しきたり、作法、正式-冠婚葬祭マニュアルにはこんな言葉が溢れている。だがこの百年の間にも儀礼の姿は時代とともに大激変を遂げてきた。「少婚多死」時代を迎え、家族の形が多様化した今、冠婚葬祭文化はどこへ向かうのか。現在の結婚と葬送をめぐる膨大な情報を整理し、「これから」にふさわしい儀礼の形を具体的に考える。

感想・レビュー・書評

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  • 最近親戚のお葬式があり、ふと思い出して再読。もう十年以上前の刊行だけど、さすが斎藤美奈子さん、今に至る傾向をしっかりとらえている。

    結婚しない人は増えているのに、結婚「式」関連産業は衰退しているようでもなさそう。ますますイベント化してる感もある。かたや、葬儀はどんどん身内だけでの「家族葬」が増加。旧来の家意識は今や見る影もないというところか。

    それにしてもまあ、葬送にまで「私らしく」なんて言い方がされることに、うわぁ勘弁してよ~とか思っちゃうのは私だけ? どこまで「私」に執着するのかって思ってしまうんだけど…。

  • 歴史的なところは面白く読める。フェミニズム押しなところは、まぁ人によるかと。

  •  媒酌人を立てた結婚式は、2005年現在、全国平均で1割未満。首都圏にいたっては1%未満である。首都圏でも95年には60%以上が媒酌人付きだった~」という記述には、ちょっと驚いた。結婚にせよ葬儀にせよ、儀式というものは簡単には変容しないものだと思い込んでいた。実のところは、市民それぞれの生き方と不可分である分、変容しやすいものなのだと感じた。丁寧に事実を元に論を進めているのはいつもどおり。さすがにそつの無い内容と感じた。

  • 結婚の変遷、意味等を知りたくて読んだ。
    今の洋式婚礼はヴィクトリア女王婚礼が由来で、白いドレスは処女の証というものは後で付けられたもの。
    父親との入場は絶対ではない
    しきでほんにんいじょうに盛り上がっている人はいない、結婚は性と生殖の社会化

    など常識と言われている綺麗事を歴史でばさばさ切っている。70年、80年で変わってきた日本式結婚式という事実を知れてよかった。

  • 冠婚葬祭をそれについてのマナー本の歴史から紐解いて、今言われている常識だのしきたりだの伝統だのはどこから来ているのかについて解説されている。

    かなり砕けた文体で、結婚式に関しては批判的に、葬儀に関しては情報提供をメインに書かれている。


    今の派手な結婚式に嫌気が指している身としてはなかなか気持ちよく読める(笑)

  •  冠婚葬祭の「婚礼」と「葬儀」の二つを軸にして、日本近代史を読み解いていく。

    「婚礼」で重要な年代は、1900年と1960年と1990年。そのすべてに皇室のご成婚ブームが関わっている。それまでの「小笠原流礼法」から、「自宅結婚式」(明治)→「劇場型結婚式」(高度成長期)→「カスタマイズされた小振りな結婚式」(平成)へ。

    「葬儀」の話題もたくさん。「お通夜は本当に死んだかを確かめるため」「告別式のルーツは中江兆民が宗教色を排してくれと頼んだから」「明治の文豪は戒名をお互いにつけあった」「野垂れ死にしたいなら行政の費用20万円をポケットに入れておいてね」など。

     おもしろい。

  • 社会生活の中でとても気になる冠婚葬祭の「しきたり」が意外と流行みたいな発生源から始まったものだという事が分かる。
    矮小して言えば最近は「〜させて頂く」みたいな言い方をしないと失礼かも?的な社会の流れみたいなものと根底は同じだったりして?

  • 斎藤美奈子が書く冠婚葬祭である。彼女は初めにこの本を書く目的を書いているが、冠婚葬祭をめぐる情報の森に分け入って、過去と現在を俯瞰し、現代にふさわしい冠婚葬祭への対処の仕方を考えることだとしている。

    冒頭、古式ゆかしい婚礼と葬式は行列だった、というのもおもしろい。そして婚礼に宗教は介在していない。
    ともかく、128ページ、結婚式の忌言葉「切れる、別れる」より先に「言い換え」を提言している。
    ・嫁ぐ、お嫁に行く、嫁さんをもらう → 結婚する
    ・ご両家のみなさま → お二人のご家族
    ・籍を入れる、入籍する → 婚姻届を出す
    ・婿養子に入る、婿に来てもらう → 妻の姓を名乗る

    まったく同感同感!!!である。特に「籍を入れる」。法的に婚姻届でまったく新しい二人の戸籍が出来るのだから、籍を入れるもなにもない。ただ夫の姓を名乗ることが大半のため、最初の名前の欄は夫となり、あらかじめ夫1人の戸籍があってそこに妻となるべき女性の名前が記入される、との誤認があるのではないか。そしてそれは芸能人の結婚ニュースで増幅される。

    だがしかし、最近長女が結婚したが、長女の夫の事を他人に話す時、「長女の夫はこういうひとで」とはいいずらく「長女のムコは○○でとってもいい人なのよ」なんて言い方がけっこう便利なもんだ、と気づいた。若い男性が「ウチノヨメサンは弁当作ってくれるんだ」なんていうのは、照れがあるのではないか、なんて以前は気付かなかった見方もできるようになった。しかしヨメ、ムコの古い概念にとらわれてる人も確かにいる。そしてそれは言葉によって脳にプリントされるのだからやっかいだ。

  • 冠婚葬祭にまつわる「伝統」なんて実はたいして長い歴史があるわけじゃないーーーと喝破する気持ちのよい本。
    昨今の結婚式事情で爆笑させてもらった一方(「お洒落で最先端♪」と思っている結婚式だって、すぐに「スモーク&ゴンドラ」と同じような「笑える過去」の結婚式になるでしょうね〜)、これからのお葬式のあり方についてはかぶり付きで読みました。親、そして自分の葬式や墓、どうするよ!?特に意識の低い父のことを考えると頭が痛いぞ。
    巻末の「もっと知りたい人のブックガイド」もよかったです。

  • 冠婚葬祭の百年、いまどきの結婚、葬送のこれからという三章からなる。いま我が国で行われている結婚「式」のスタイルは主に商業的な見地から商品開発されたものであり、大正期以降、ときのロイヤルウェディングに端を発した流行が見受けられること、しきたりやマナーの形を広める一端となったのが1970年1月に刊行された「冠婚葬祭入門」であること等が紹介される。
    確かに一般的には自分の結婚のスタイルについて、確固たるポリシーを持って臨むひとは少なく、慣例やしきたりに習いたいという人も多かろう。
    著者は婚姻について、入籍という言葉は誤解と混乱のもとであり、そろそろこの言葉を使うのはやめろと説く。事実婚や住民票婚、養子縁組についてメリット、デメリットを紹介。どちらの姓を名乗ってもいいのになぜに男性の姓を名乗るのかと嘆く。
    式までに婚姻届を出せというキャンペーンは1966年11月の航空機墜落事故以降に出てきたということも紹介。
    結婚情報誌からかいつまんだ今どきのウェディングは面白い。葬祭の情報誌もあるといいのに、とは筆者の弁。
    葬儀については、先祖代々の墓というのはごくごく最近にできた話で、核家族の現在、りっぱな墓石の墓を建てても数代で無縁仏になってしまうことを指摘。
    団塊世代が、結婚、親の葬儀の時期にさしかかるたびに、ビジネスとしてのウェディング、葬祭が発展してきたことがよくわかった。
    社会が変化し、個人の考えを押し通すことが可能になってきている昨今、冠婚葬祭全てに於いて、自分の考え、スタイルを持って事に当たりたいと思った。
    これから結婚する方にはオススメ。

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著者プロフィール

1956年、新潟市生まれ。文芸評論家。『妊娠小説』『文章読本さん江』『紅一点論』『モダンガール論』『戦下のレシピ』『冠婚葬祭のひみつ』『名作うしろ読み』『ニッポン沈没』など多数。

「2016年 『1980年代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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