社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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レビュー : 78
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310099

感想・レビュー・書評

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  • 身近な言葉である「社会」とは何か、私にとって抽象的すぎてとらえどころがなかったので手にとってみた本。社会といっても多様な社会の種類と見方があることを教わった。補章を残していたままで、時間があいての読了となったので内容がうすら覚え。また再読する。


    【序章からメモ】

    *社会学とは
    ・ 越境する知(Einbruchslehre)
    ・人間学:人と人との間にある:「人間」というもの自体が関係
    →「自己とは他者である」by ランボー、マルクス
    ・「身体」自体が多くの生命の共生システム
    ・アクチュアルな生の関係のうちに織り込まれた<関係としての人間の学>
    ・越境する鮮烈な問題意識のうちにだけ存在する<遊牧する学問>のアイデンティティ


    *社会の存立
    ・固有に集合的な諸現象を、現実に生成してしまうかぎりにおいて存立する
    ・論理的で相補的

    1)共同体community=即自的な共同態=客観的ゲマインシャフト
    →伝統的な家族共同体、氏族共同体、村落共同体のように宿命的存在として、全人格的に結ばれ合っている社会。

    2)集列態seriality=即自的な社会態=客観的ゲマインシャフト
    →市場における私的な利害を追求する行為に帰結される市場法則のような、どの当事者にとっても疎遠な物象化された社会法則を、客観的=対象的objectiveに存立せしめてしまうという仕方で存立する社会。

    3)連合体association=対自的な社会態=主体的ゲゼルシャフト
    →会社や協会のように、限定された利害や関心の共通性、相補性等々によって結ばれた社会。ルールの設定と順守が典型的存立の形式。

    4)交響体symphonicity=対自的な共同態=主体的ゲゼルシャフト
    →さまざまな形のコミューン的な関係性のように、個々人がその自由な意思において、人格的に呼応しあうという仕方で存立する社会。

    ※ゲマインシャフト=人格的personalな関係態
    ⇔ゲゼルシャフト=非人格的impersonalな関係態

  • 後半難しい。現代社会の理論のほうが面白かったし感銘を受けた。
    ただ、交響圏とルール圏の話は自分の中のもやもやとしていたものに光が差し込んだ気がした。
    あとがきにも書いてあったが、歳を重ねてからまた読み直したい。

    あと真木悠介ってペンネームだったんだ。

  • 今現在読んでる数冊の社会学の書籍と比べれば、理解はしやすい。それでもまだ消化はしきれず。

  • たまには評論文のようなものも読まないと、と友達と話しその勢いでその友達と一緒に新書を借りにいった際に借りた本。

    過去何冊か新書を読んだことはありますが、これはそれぞれの章がコンパクトかつ、著者の海外での体験や各時代の詩などを関連づけて、論評してくれ読みやすかったです。

    後半は少し難しかったので、またいつか読み直してみたいです。

    こういう本を読むと少し賢くなったような気がする単純な自分です(笑)

  • 哲学って何?という話をしていた時に紹介していただのが見田宗介さんでした。
    西洋でなく日本から生まれた思想とは如何なるものかを知りたくて手始めに読んだのがこの『社会学入門』です。


    ★★★

    序章
    人間は、重層的な関係の中に本質を持つ。
    従って人間の学である社会学は、領域を横断する学問である。

    コラム
    社会のは主体的/客観的、共同体的/社会態的という2つの軸の組み合わせで存立する。
    社会という言葉は内部性/外部性の転変を見せてきた。


    社会学は、比較から他者を知り、「当然」という既成概念を崩して人間の可能性への想像力を獲得する方法論である。


    世界のあり方、存在するものに対する感覚は時代により異なる。
    近代は、分断されたものが再び一つ上の概念で結合すると同時に、個の孤立化を進ませた。


    日本の高度経済成長期は3つの段階に分けられる。
    1945~60年は理想を現実にしようとした時代であり、60年の日米安保で理想の現実化に失敗したことで終わった。
    1960~73年頃は、近代合理主義化とそれによる人間関係の変化が生じる。始めは大衆幸福と経済繁栄が好循環を成すが、しだいに近代合理主義への反抗が起きる。
    1973~年は高度経済成長が終演し、熱さの喪失と同時に外的/内的共に生のリアリティが解体した時代である。


    90年代前後の短歌から、共同体からの解放や人間関係の不確かさ、異質の他者との自由な結合という日本人の感覚の変化が読み取れる。

    コラム
    人間の生は物質的拠り所と精神的拠り所を必要とする。
    これらは市場経済と核家族、情報化で満たされ、愛情は濃縮された後に散開する。


    21世紀は、個人レベルではなく共同体同士の固定化された認識による関係の絶対性に支配されていた。
    関係の絶対性は永遠に繰り返してしまうため、今後乗り越える必要がある。


    人口はS字曲線を描き、現代は人口爆発から定常への過渡期である。
    現代は生命性→人間性(道具・言語)→文明性(農耕・文字)→近代性(工業・マスメディア)→現代性(消費・情報化)の獲得という革命の重層的な構造を持つ。今後は共存を基軸とする革命が起こると予想される。


    社会構想には、
    生きる意味と喜びの源泉としての他者との関係(交響体)‐間‐生きることの相互の制約と困難の源泉としての他者との関係(連合体)
    という形式を持つ。
    実際には、交響体は交響性/ルール性のバランスで定義され、その規模や一個人の多元的帰属も自由である。
    自由な社会とは、万人がルールを作り相互に共存する社会である。

    ★★★


    全体としては、思想というより社会学、コミュニティ論のような印象を受けました。

    私は90年代始めに生まれたので、第三章の時代の空気の変化にはリアリティがありません。
    また、第四章で述べられる90年代の共同体の解体・個の不確実性の自覚は、いわばそれを前提として生きてきているので価値判断が出来ません。

    そのような状況のもと最も印象的だったのは、終盤の社会構造及び今後の見通しに関してです。

    おそらく今は第五章のS字曲線の過渡期も後半、定常期に片足を踏み込んでいるのでしょうか。
    次は「共存」の時代であり(共存というキーワードは最近よく聞きます)、それが消費化及び情報化と関わっているのは納得できます。


    社会構造についても非常に納得がいきます。
    1年ほど前に読んだ『コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来』(ちくま新書・広井 良典著) では、一定の目的のもと集った人で形成されるコミュニティ/所属する組織により規定されるコミュニティという二元論が使われていました。
    これと比べると、見田さんの提示する重層的かつ有機的な構造はよりリアリティがあります。


    強いて言うならば、この本が発行された2006年と言うといわゆるSNSがまだ普及していない時代かと思います。
    この数年で一気に「共存」を支える情報化において大きな変化がありました。
    それがどのように今後の社会形成に影響しうるのか、また、この本で提示された社会構想モデルに変化を及ぼしているのかを考えてみたいです。

  • 2006年刊。著者は共立女子大学教授(東京大学名誉教授)。

     「社会学入門」とあるが、社会学全体の入門ではなく、著者の思索の導入書という意味と捉えた方がよい。いうなれば、見田社会学説入門というべきところだろう。

     広い意味での社会学と関連して印象的なのは、社会学の対象としての「社会」概念に関する、著者の思索、逡巡の模様である。
     ゲマインシャフト(例、血縁共同体)とゲゼルシャフト(例、法人や組合などの契約的共同体)の止揚を目指さんと試行錯誤する辺りは興味を引かれる。

     一方で、(おそらくは)著者特有の用語もかなり多く見受けられる。しかし、それは具体的事象や読み手自身の中に通底する概念で換言可能なものであった。つまり、その特殊用語を自分の頭の中で租借するのに困難を来たすというほどではなかった。
     それ故、読んでいる端から引っ掛かり、あるいはつんのめりながら読まねばならぬというほどではなく、さらっと読み込められそうだ。

  • -

  • 入門、とあるのに難しい…かしこくなりたし。

  • 本書は、著者が大学で行ってきた「社会学の全体を見わたすような」講義を圧縮して収録したものです。社会学を初めて学ぶ方にも、非常にわかりやすい構成になっています。

    本書では、まず「『社会』などというものがあるのだろうか?」という問いが投げかけられます。そして、社会学を人間学、とりわけ〈関係としての人間の学〉と定義づけて議論が展開されていきます。この定義は、含みのあるやや難しい表現ですが、著者自身のインドやラテンアメリカでの旅の経験や、小林一茶の俳句、新聞の「読者の短歌」、同時多発テロ等々、様々な具体例を盛り込んでわかりやすく丁寧に説明がされていますので、社会学の考え方のクセを理解する手助けになるかと思います。

    また一方で、社会学の古典と呼ばれるような研究群についても具体例と合わせながら紹介してくれています。本書から古典的研究に目を向けてみることもできますし、あるいは、古典的研究の理解に困った際に本書に立ち戻ってみるのも良いかもしれません。

    入門書としてだけではなく、様々な読み方ができるお勧めの本です。

    (ラーニングアドバイザー/国際公共政策 SATO)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1268847

  • 社会学を学んだ経験はありません。
    社会学の教科書、入門書というよりも、社会学者によるエッセイとして読みました。
    語りかけるような、静謐な文体には、つい、引き込まれますが、やはり、社会学についての知識があったほうが読みやすいように思います。
    何とも言えず魅力的な本ですので、いずれ、読み返したいと思います。

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プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

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