社会学入門 人間と社会の未来 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2006年4月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004310099

感想・レビュー・書評

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  • 近代以降の社会学についてリサーチするために読みました。歴史•文化的な考察も含まれていて納得度が高いものでした。

  • 身近な言葉である「社会」とは何か、私にとって抽象的すぎてとらえどころがなかったので手にとってみた本。社会といっても多様な社会の種類と見方があることを教わった。補章を残していたままで、時間があいての読了となったので内容がうすら覚え。また再読する。


    【序章からメモ】

    *社会学とは
    ・ 越境する知(Einbruchslehre)
    ・人間学:人と人との間にある:「人間」というもの自体が関係
    →「自己とは他者である」by ランボー、マルクス
    ・「身体」自体が多くの生命の共生システム
    ・アクチュアルな生の関係のうちに織り込まれた<関係としての人間の学>
    ・越境する鮮烈な問題意識のうちにだけ存在する<遊牧する学問>のアイデンティティ


    *社会の存立
    ・固有に集合的な諸現象を、現実に生成してしまうかぎりにおいて存立する
    ・論理的で相補的

    1)共同体community=即自的な共同態=客観的ゲマインシャフト
    →伝統的な家族共同体、氏族共同体、村落共同体のように宿命的存在として、全人格的に結ばれ合っている社会。

    2)集列態seriality=即自的な社会態=客観的ゲマインシャフト
    →市場における私的な利害を追求する行為に帰結される市場法則のような、どの当事者にとっても疎遠な物象化された社会法則を、客観的=対象的objectiveに存立せしめてしまうという仕方で存立する社会。

    3)連合体association=対自的な社会態=主体的ゲゼルシャフト
    →会社や協会のように、限定された利害や関心の共通性、相補性等々によって結ばれた社会。ルールの設定と順守が典型的存立の形式。

    4)交響体symphonicity=対自的な共同態=主体的ゲゼルシャフト
    →さまざまな形のコミューン的な関係性のように、個々人がその自由な意思において、人格的に呼応しあうという仕方で存立する社会。

    ※ゲマインシャフト=人格的personalな関係態
    ⇔ゲゼルシャフト=非人格的impersonalな関係態

  • 読み終わった。大変面白い。
    社会という広すぎるかつ当たり前に思いすぎるものを的確に切り取って論理的に記述するの、すごい


    序 越境する知
    越境は手段であって目的ではない。

    〈死とニヒリズムの問題系〉と〈愛とエゴイズムの問題系〉という問題を、論理と実証で、「経験科学的」な方法で追求するというのが筆者の根本的モチベーションである。この点は、私の持つ「哲学的な問題を科学のまな板にのせ、解明し応用する」という根本的モチベーションと類似している。筆者は経験科学的な方法で、私は自然科学・工学的な方法でアプローチしようとしているのが相違点か。
    『時間の比較社会学』と『自我の起源』はぜひ読みたいところ。

    1 鏡の中の現代社会
    時間を使う・費やす・無駄にすると、お金と同じ動詞を使う近代の精神↔時間は「生きる」もの。
    この時間を「生きる」という感覚の復興として瞑想・マインドフルネスブームがあるのではと思った。

    「現代」から離れた世界の魅力は、目に見えないもの、測定できないもの、言葉では説明できないものが多い。

    コラム コモリン岬
    感動的なエッセイ。

    2〈魔のない世界〉
    不思議なものの魅力。色彩の特別性の消失。
    様々なことが可能になることは、贅沢だったことが当たり前になって喜びではなくなること。これは仕方ないのではと思った。初めて東京旅行したときの喜びは、既に東京に住んでいる身でまた改めて味わえない。

    3夢の時代と虚構の時代
    良い分類。日本社会を見るためのメガネを与えてくれる。

    家族をわざわざやる、「自然」なものの「脱臭」に向かう
    ↑わかっていてもこうなってしまうね。

    4愛の変容/自我の変容
    短歌を読むことに慣れていないので、読み取りの難しい部分があった。

    5二千年の黙示録
    関係の絶対性という概念、深いな…
    イスラームとキリスト教の対立、反転はあったけど構造は変わってない
    社会は内部からしか変わらぬ。

    6人間と社会の未来
    S字曲線の話は興味深い。ただし、グラフをより広く見たりして、批判的に検討する必要はある。
    現代人間の5層構造や、広義の産業・情報革命の分析は大変面白い。言語も文字もグーテンベルクも情報革命!!

    補 交響圏とルール圏
    難解ではあるが、じっくり読むと「わかる!実感を伴って理解できるわこれ!」という主張が多い。
    〈交響するコミューン・の・自由な連合〉構想。

  • 後半難しい。現代社会の理論のほうが面白かったし感銘を受けた。
    ただ、交響圏とルール圏の話は自分の中のもやもやとしていたものに光が差し込んだ気がした。
    あとがきにも書いてあったが、歳を重ねてからまた読み直したい。

    あと真木悠介ってペンネームだったんだ。

  • 純理系です。社会の問題点を学際的に(哲学や経済学、心理学といったさまざまな学問を領域横断的に)考える、という社会学の側面に魅力を感じ、手に取ってみました。

    まず、「文章が読みづらいなあ」というのが率直な感想です。やはり文理の壁のせいか、比喩の多さや文章の長さ、定義の不確定性に苦労しました。

    しかしながら一方で、社会を(私にとって)斬新に捉えていたことや、やはり領域横断的にさまざまな学問を利用して物事を述べるその文章は大変魅力的に映りました。

    個人的に、序章、一章、二章、そして補章が面白かったです。
    もう一周必要だ、これは。

  • 「なにか深いことを言っているようで言ってないようで、実際は言っているな」というのが率直な感想。
    社会学という横断的な学問の特性を考えるとかなり具体化して書かれているように感じた。
    著者の前著を読んでいると、より理解が深まる。
    世界で起こっていることで、自分に関係ない事なんてないのだと気付かされた。

  • 大好きな友人が貸してくれました。

    自我と闘うわたしに向けられた社会学。

  • 今現在読んでる数冊の社会学の書籍と比べれば、理解はしやすい。それでもまだ消化はしきれず。

  • たまには評論文のようなものも読まないと、と友達と話しその勢いでその友達と一緒に新書を借りにいった際に借りた本。

    過去何冊か新書を読んだことはありますが、これはそれぞれの章がコンパクトかつ、著者の海外での体験や各時代の詩などを関連づけて、論評してくれ読みやすかったです。

    後半は少し難しかったので、またいつか読み直してみたいです。

    こういう本を読むと少し賢くなったような気がする単純な自分です(笑)

  • 哲学って何?という話をしていた時に紹介していただのが見田宗介さんでした。
    西洋でなく日本から生まれた思想とは如何なるものかを知りたくて手始めに読んだのがこの『社会学入門』です。


    ★★★

    序章
    人間は、重層的な関係の中に本質を持つ。
    従って人間の学である社会学は、領域を横断する学問である。

    コラム
    社会のは主体的/客観的、共同体的/社会態的という2つの軸の組み合わせで存立する。
    社会という言葉は内部性/外部性の転変を見せてきた。


    社会学は、比較から他者を知り、「当然」という既成概念を崩して人間の可能性への想像力を獲得する方法論である。


    世界のあり方、存在するものに対する感覚は時代により異なる。
    近代は、分断されたものが再び一つ上の概念で結合すると同時に、個の孤立化を進ませた。


    日本の高度経済成長期は3つの段階に分けられる。
    1945~60年は理想を現実にしようとした時代であり、60年の日米安保で理想の現実化に失敗したことで終わった。
    1960~73年頃は、近代合理主義化とそれによる人間関係の変化が生じる。始めは大衆幸福と経済繁栄が好循環を成すが、しだいに近代合理主義への反抗が起きる。
    1973~年は高度経済成長が終演し、熱さの喪失と同時に外的/内的共に生のリアリティが解体した時代である。


    90年代前後の短歌から、共同体からの解放や人間関係の不確かさ、異質の他者との自由な結合という日本人の感覚の変化が読み取れる。

    コラム
    人間の生は物質的拠り所と精神的拠り所を必要とする。
    これらは市場経済と核家族、情報化で満たされ、愛情は濃縮された後に散開する。


    21世紀は、個人レベルではなく共同体同士の固定化された認識による関係の絶対性に支配されていた。
    関係の絶対性は永遠に繰り返してしまうため、今後乗り越える必要がある。


    人口はS字曲線を描き、現代は人口爆発から定常への過渡期である。
    現代は生命性→人間性(道具・言語)→文明性(農耕・文字)→近代性(工業・マスメディア)→現代性(消費・情報化)の獲得という革命の重層的な構造を持つ。今後は共存を基軸とする革命が起こると予想される。


    社会構想には、
    生きる意味と喜びの源泉としての他者との関係(交響体)‐間‐生きることの相互の制約と困難の源泉としての他者との関係(連合体)
    という形式を持つ。
    実際には、交響体は交響性/ルール性のバランスで定義され、その規模や一個人の多元的帰属も自由である。
    自由な社会とは、万人がルールを作り相互に共存する社会である。

    ★★★


    全体としては、思想というより社会学、コミュニティ論のような印象を受けました。

    私は90年代始めに生まれたので、第三章の時代の空気の変化にはリアリティがありません。
    また、第四章で述べられる90年代の共同体の解体・個の不確実性の自覚は、いわばそれを前提として生きてきているので価値判断が出来ません。

    そのような状況のもと最も印象的だったのは、終盤の社会構造及び今後の見通しに関してです。

    おそらく今は第五章のS字曲線の過渡期も後半、定常期に片足を踏み込んでいるのでしょうか。
    次は「共存」の時代であり(共存というキーワードは最近よく聞きます)、それが消費化及び情報化と関わっているのは納得できます。


    社会構造についても非常に納得がいきます。
    1年ほど前に読んだ『コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来』(ちくま新書・広井 良典著) では、一定の目的のもと集った人で形成されるコミュニティ/所属する組織により規定されるコミュニティという二元論が使われていました。
    これと比べると、見田さんの提示する重層的かつ有機的な構造はよりリアリティがあります。


    強いて言うならば、この本が発行された2006年と言うといわゆるSNSがまだ普及していない時代かと思います。
    この数年で一気に「共存」を支える情報化において大きな変化がありました。
    それがどのように今後の社会形成に影響しうるのか、また、この本で提示された社会構想モデルに変化を及ぼしているのかを考えてみたいです。

  •  本書は社会学の総論といった形で展開されている。専門的な内容に入る前の著者の実体験による雑談の章があるが、これが非常に面白く、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。
     随所に多くの引用、そして時々挟まるコラムも背景理解に大変役立った。補講の章も加筆されているが、小難しい部分もあるので、そこは改めて戻ってきた際に味わえれば良いのではないかと思う。
     本格的に社会学に触れる予定のある方や、社会学という学問がどのようなものであるのか気になる方におすすめしたい。

  • 出版と共に読み、更に何年か後に再読した。
    合わせて「現代社会の存立構造」「人間解放の理論のために」も再読。

    本書は、薄い新書だが、その奥深さに驚かされる。
    社会学について語りながら、彼のマルクス理論を換骨奪胎した若き著作「現代社会の存立構造」という骨太の仕事にまったく触れていないことに、見田の転回(「気流のなる音」)を思う。
    彼にとって、「存立構造」という仕事は、上に登るための梯子に過ぎなかったのだ。
    登り終わったら、梯子は投げ捨てる。
    そんな、彼の生き方を思わせる。

    見田は、社会学という学問で、二つの課題に取り組んだ。
    ひとつは、ニヒリズムの問題であり、もうひとつはエゴイズムの問題だ。
    何と青春か、と言う勿れ。
    人生の永遠の課題を、社会科学で解決しようとした者など、誰もいなかった。

    「死とニヒリズムの問題系」を解決したのが、「時間の比較社会学」だ。
    そして、
    「愛とエゴイズムの問題系」に決着をつけたのが、「自我の起源」だ。
    本書を読むと、この二つの主著に対する絶対の自信が感じられる。

    「自我の起源」で明らかにされた、生命の驚くべきあり方(共生)が、新たな時代の根幹的人間観となる。
    軸の時代(紀元前5世紀頃の哲学の興隆期)の思想•宗教が、唯一残した課題、それが関係の絶対性だ。
    未来構想の中でその積み残し課題を解決しようという決意が漲っている。

  • 2024年3月11日読了。
    「社会学」の基本について、図や専門用語を用いて説明がなされていた。

    個人的な感想としては、一文一文が長く、繰り返し同じことを述べている部分も見受けられたため、読んでいて「くどいな」と感じてしまった。

    しかし、筆者の旅の実体験の話やコラムは非常に読みやすく、情景が容易に想像できた。

    この本を足掛かりに、社会学に関する本に手を伸ばしてみたいと思う。

  • 社会学の奥深さを知ることがで来たと思う。

  • 社会学とは何かを序章で簡潔に説いて、実証と思弁を行き来しながら、現代社会、自由とそのためのルールへと進めていく。

  • こちらも鈴木涼美先生おすすめの一冊。恥ずかしながらあまり理解出来ず内容もよく覚えていない。またいつか読み直したときにフムフムとなればいいな。

  • 多くの読者と同じくコモリン岬で心を打たれました.人がよりよく生きられるにはどうすればいいかという子ども時代からの切実な問いにずっと取り組んできことが読んでいて伝わってきます.そしてこれも他の方々と同じく最後の補論は難しくてよくわからず.

  • 社会学に対する興味があって読んだのだが、結論、どんな壁もない(センスは必要ではあるが)ので、この著者のように、哲学志向の人でも、やっていける。ただ、やはり人間という関係を重視するのが社会学の重要な役割と見た。

    個人的には時計に針が一本しかないものがあったというのは驚きだった。後はアメリカ人学生が日本に留学したときに「いつ帰るの」と言われたのがショックだったらしい。というのも日本に定住したい程、日本を愛していたから。帰国の後の不幸に衝撃を受けた。

    内容は古くミレニアムのころである。同時多発テロと報復テロだが、今のロシアとウクライナのあり方と変わりないし、今、タリバンがアフガニスタンを圧政しているとも聞く。理想とは程遠いが、我々には祈りしかない。兵器を送るのは少し話が違うと思う。ローマ教皇やダライ・ラマや誰でもいいから、つまらないから、やめとけというだけの人格者が入れないだろうか。よい意味での古典となってくれたらいいと思う。

  • なぜこの本が抜けていたのか。大澤真幸・斎藤幸平の対談を読んでいて、ちょっと振り返ろうと思ったのだが。リアル本棚にはあった。読んだ記憶もある。もう1つ前の「現代社会の理論」は読んでないなあ。

  • コモリン岬のコラム最高
    比較社会学として知らない世界知れてめっちゃおもろかった

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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