社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310099

作品紹介・あらすじ

「人間のつくる社会は、千年という単位の、巨きな曲り角にさしかかっている」-転換の時代にあって、世界の果て、歴史の果てから「現代社会」の絶望の深さと希望の巨大さとを共に見晴るかす視界は、透徹した理論によって一気にきりひらかれる。初めて関心をもつ若い人にむけて、社会学の「魂」と理論の骨格を語る、基本テキスト。

感想・レビュー・書評

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  • 身近な言葉である「社会」とは何か、私にとって抽象的すぎてとらえどころがなかったので手にとってみた本。社会といっても多様な社会の種類と見方があることを教わった。補章を残していたままで、時間があいての読了となったので内容がうすら覚え。また再読する。


    【序章からメモ】

    *社会学とは
    ・ 越境する知(Einbruchslehre)
    ・人間学:人と人との間にある:「人間」というもの自体が関係
    →「自己とは他者である」by ランボー、マルクス
    ・「身体」自体が多くの生命の共生システム
    ・アクチュアルな生の関係のうちに織り込まれた<関係としての人間の学>
    ・越境する鮮烈な問題意識のうちにだけ存在する<遊牧する学問>のアイデンティティ


    *社会の存立
    ・固有に集合的な諸現象を、現実に生成してしまうかぎりにおいて存立する
    ・論理的で相補的

    1)共同体community=即自的な共同態=客観的ゲマインシャフト
    →伝統的な家族共同体、氏族共同体、村落共同体のように宿命的存在として、全人格的に結ばれ合っている社会。

    2)集列態seriality=即自的な社会態=客観的ゲマインシャフト
    →市場における私的な利害を追求する行為に帰結される市場法則のような、どの当事者にとっても疎遠な物象化された社会法則を、客観的=対象的objectiveに存立せしめてしまうという仕方で存立する社会。

    3)連合体association=対自的な社会態=主体的ゲゼルシャフト
    →会社や協会のように、限定された利害や関心の共通性、相補性等々によって結ばれた社会。ルールの設定と順守が典型的存立の形式。

    4)交響体symphonicity=対自的な共同態=主体的ゲゼルシャフト
    →さまざまな形のコミューン的な関係性のように、個々人がその自由な意思において、人格的に呼応しあうという仕方で存立する社会。

    ※ゲマインシャフト=人格的personalな関係態
    ⇔ゲゼルシャフト=非人格的impersonalな関係態

  • 後半難しい。現代社会の理論のほうが面白かったし感銘を受けた。
    ただ、交響圏とルール圏の話は自分の中のもやもやとしていたものに光が差し込んだ気がした。
    あとがきにも書いてあったが、歳を重ねてからまた読み直したい。

    あと真木悠介ってペンネームだったんだ。

  • 今現在読んでる数冊の社会学の書籍と比べれば、理解はしやすい。それでもまだ消化はしきれず。

  • たまには評論文のようなものも読まないと、と友達と話しその勢いでその友達と一緒に新書を借りにいった際に借りた本。

    過去何冊か新書を読んだことはありますが、これはそれぞれの章がコンパクトかつ、著者の海外での体験や各時代の詩などを関連づけて、論評してくれ読みやすかったです。

    後半は少し難しかったので、またいつか読み直してみたいです。

    こういう本を読むと少し賢くなったような気がする単純な自分です(笑)

  • 哲学って何?という話をしていた時に紹介していただのが見田宗介さんでした。
    西洋でなく日本から生まれた思想とは如何なるものかを知りたくて手始めに読んだのがこの『社会学入門』です。


    ★★★

    序章
    人間は、重層的な関係の中に本質を持つ。
    従って人間の学である社会学は、領域を横断する学問である。

    コラム
    社会のは主体的/客観的、共同体的/社会態的という2つの軸の組み合わせで存立する。
    社会という言葉は内部性/外部性の転変を見せてきた。


    社会学は、比較から他者を知り、「当然」という既成概念を崩して人間の可能性への想像力を獲得する方法論である。


    世界のあり方、存在するものに対する感覚は時代により異なる。
    近代は、分断されたものが再び一つ上の概念で結合すると同時に、個の孤立化を進ませた。


    日本の高度経済成長期は3つの段階に分けられる。
    1945~60年は理想を現実にしようとした時代であり、60年の日米安保で理想の現実化に失敗したことで終わった。
    1960~73年頃は、近代合理主義化とそれによる人間関係の変化が生じる。始めは大衆幸福と経済繁栄が好循環を成すが、しだいに近代合理主義への反抗が起きる。
    1973~年は高度経済成長が終演し、熱さの喪失と同時に外的/内的共に生のリアリティが解体した時代である。


    90年代前後の短歌から、共同体からの解放や人間関係の不確かさ、異質の他者との自由な結合という日本人の感覚の変化が読み取れる。

    コラム
    人間の生は物質的拠り所と精神的拠り所を必要とする。
    これらは市場経済と核家族、情報化で満たされ、愛情は濃縮された後に散開する。


    21世紀は、個人レベルではなく共同体同士の固定化された認識による関係の絶対性に支配されていた。
    関係の絶対性は永遠に繰り返してしまうため、今後乗り越える必要がある。


    人口はS字曲線を描き、現代は人口爆発から定常への過渡期である。
    現代は生命性→人間性(道具・言語)→文明性(農耕・文字)→近代性(工業・マスメディア)→現代性(消費・情報化)の獲得という革命の重層的な構造を持つ。今後は共存を基軸とする革命が起こると予想される。


    社会構想には、
    生きる意味と喜びの源泉としての他者との関係(交響体)‐間‐生きることの相互の制約と困難の源泉としての他者との関係(連合体)
    という形式を持つ。
    実際には、交響体は交響性/ルール性のバランスで定義され、その規模や一個人の多元的帰属も自由である。
    自由な社会とは、万人がルールを作り相互に共存する社会である。

    ★★★


    全体としては、思想というより社会学、コミュニティ論のような印象を受けました。

    私は90年代始めに生まれたので、第三章の時代の空気の変化にはリアリティがありません。
    また、第四章で述べられる90年代の共同体の解体・個の不確実性の自覚は、いわばそれを前提として生きてきているので価値判断が出来ません。

    そのような状況のもと最も印象的だったのは、終盤の社会構造及び今後の見通しに関してです。

    おそらく今は第五章のS字曲線の過渡期も後半、定常期に片足を踏み込んでいるのでしょうか。
    次は「共存」の時代であり(共存というキーワードは最近よく聞きます)、それが消費化及び情報化と関わっているのは納得できます。


    社会構造についても非常に納得がいきます。
    1年ほど前に読んだ『コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来』(ちくま新書・広井 良典著) では、一定の目的のもと集った人で形成されるコミュニティ/所属する組織により規定されるコミュニティという二元論が使われていました。
    これと比べると、見田さんの提示する重層的かつ有機的な構造はよりリアリティがあります。


    強いて言うならば、この本が発行された2006年と言うといわゆるSNSがまだ普及していない時代かと思います。
    この数年で一気に「共存」を支える情報化において大きな変化がありました。
    それがどのように今後の社会形成に影響しうるのか、また、この本で提示された社会構想モデルに変化を及ぼしているのかを考えてみたいです。

  • 読み終わった。大変面白い。
    社会という広すぎるかつ当たり前に思いすぎるものを的確に切り取って論理的に記述するの、すごい


    序 越境する知
    越境は手段であって目的ではない。

    〈死とニヒリズムの問題系〉と〈愛とエゴイズムの問題系〉という問題を、論理と実証で、「経験科学的」な方法で追求するというのが筆者の根本的モチベーションである。この点は、私の持つ「哲学的な問題を科学のまな板にのせ、解明し応用する」という根本的モチベーションと類似している。筆者は経験科学的な方法で、私は自然科学・工学的な方法でアプローチしようとしているのが相違点か。
    『時間の比較社会学』と『自我の起源』はぜひ読みたいところ。

    1 鏡の中の現代社会
    時間を使う・費やす・無駄にすると、お金と同じ動詞を使う近代の精神↔時間は「生きる」もの。
    この時間を「生きる」という感覚の復興として瞑想・マインドフルネスブームがあるのではと思った。

    「現代」から離れた世界の魅力は、目に見えないもの、測定できないもの、言葉では説明できないものが多い。

    コラム コモリン岬
    感動的なエッセイ。

    2〈魔のない世界〉
    不思議なものの魅力。色彩の特別性の消失。
    様々なことが可能になることは、贅沢だったことが当たり前になって喜びではなくなること。これは仕方ないのではと思った。初めて東京旅行したときの喜びは、既に東京に住んでいる身でまた改めて味わえない。

    3夢の時代と虚構の時代
    良い分類。日本社会を見るためのメガネを与えてくれる。

    家族をわざわざやる、「自然」なものの「脱臭」に向かう
    ↑わかっていてもこうなってしまうね。

    4愛の変容/自我の変容
    短歌を読むことに慣れていないので、読み取りの難しい部分があった。

    5二千年の黙示録
    関係の絶対性という概念、深いな…
    イスラームとキリスト教の対立、反転はあったけど構造は変わってない
    社会は内部からしか変わらぬ。

    6人間と社会の未来
    S字曲線の話は興味深い。ただし、グラフをより広く見たりして、批判的に検討する必要はある。
    現代人間の5層構造や、広義の産業・情報革命の分析は大変面白い。言語も文字もグーテンベルクも情報革命!!

    補 交響圏とルール圏
    難解ではあるが、じっくり読むと「わかる!実感を伴って理解できるわこれ!」という主張が多い。
    〈交響するコミューン・の・自由な連合〉構想。

  •  社会というものは、人間と人間の間にあるものである。さらに、人間というものについて考えてみても、人間が操る言語は、他者との関係の中でしか存立し得ず、さらに言うと、人間の身体も実は多くの生命の共生のシステムである。
     とどのつまり何が言いたいかというと、社会学は人間学であるが、より正確にいうと、関係としての人間の学である。
    (pp.3-4)

     時間を「使う」、「費やす」、「無駄にする」といったお金と同じ動詞を使って考えるのは近代の精神である。一方、ペルーでは、時間とは基本的に生きるものである。(p.32)ここは、ベルクソンの考えと似ているのだろうか。

     大切なことは、異世界を理想化することではなく、方法としての異世界を知ることによって、現代社会の自明性の檻の外部に出てみることである。(p.40)

     鳥居の朱塗りの柱の、自然界にはほとんど存在しない色彩の一気に巨大な直線性は、どのように強烈な印象を時代の人間に与えたのだろうか。(p.61)気づくのが遅すぎたけれども、その通りだとハッとさせられた。現代には、あまりにも人工的な色が溢れている。近代以前は、色への感覚がもっと鋭敏だったに違いない。

     愛情を注ぐべき対象が「非在」であるとき、その愛情は散開する。(p.121)

     社会的な関係の客観性が生み出す感情の絶対性のようなもの、ここに問題の核心はあるように思う。(p.129)


     以上、個人的に気になった点をざっと挙げた。一文一文が若干長く、明確に書かれているとは言い難い文章ではあるが、著者の言わんとすることを理解するとスルスルと読める。ところどころの凝った書き方は、大したものだと思う。非常に面白かった。
     最後の補章に対しては、交響するコミューンに個人が自由に参加/離脱することは、民族性や個人の性格・能力などによって随分可能性が左右されるのではないか、と疑問を思った。もちろん、理論的には交響するコミューンの核となる考え方は、所属する個人の自由を尊重する、というものだったので、僕の疑問は撥ね付けられるのだろうけれども、実践的には問題となってきそうだと思う。まぁ、これは新たに対策を考えればいいだけだろう。

  • 言っていることは文字の上ではわかるし、大事なことは書かれてるんだけども、自分の中にうまく噛み砕いて理解できてないのですぐ忘れそう...。
    入門とついていますが、大学初年度クラスということで馴染みがないとこれでも難しいですね。補稿でさらにそれを思い知らされました。

  • 社会学の入門書と銘打っているが、終盤は入門書のレベルにとどまらない。しかし社会学徒なら必見の文章だと思われる。

  • 入門というタイトルで読んでみたが、入門と言うには難しく感じる。

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著者プロフィール

1937年、東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学大学院総合文化研究科教授、共立女子大学家政学部教授を歴任。東京大学名誉教授。専門は、社会学。
主な著書に、『近代日本の心情の歴史』(講談社(ミリオンブックス)、1967年。のち、講談社学術文庫、1978年)、『現代日本の心情と論理』(筑摩書房、1971年)、『宮沢賢治』(岩波書店(20世紀思想家文庫)、1984年。のち、岩波現代文庫、2001年)、『現代社会の理論』(岩波新書、1996年。改訂、2018年)、『現代社会はどこに向かうか』(岩波新書、2018年)ほか。
真木悠介名義の著作に、『気流の鳴る音』(筑摩書房、1977年。のち、ちくま学芸文庫、2003年)、『時間の比較社会学』(岩波書店、1981年。のち、岩波現代文庫、2003年)、『自我の起原』(岩波書店、1993年。のち、岩波現代文庫、2008年)ほか。
著作集として、『定本 見田宗介著作集』(全10巻、岩波書店、2011-12年)、『定本 真木悠介著作集』(全4巻、岩波書店、2012-13年)がある。

「2019年 『超高層のバベル 見田宗介対話集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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