メディア社会―現代を読み解く視点 (岩波新書)

著者 : 佐藤卓己
  • 岩波書店 (2006年6月20日発売)
3.41
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310228

作品紹介・あらすじ

ITの急速な進展など、加速する情報化社会において、メディアの果たす役割はますます重要になっている。私たちはメディアの現状をどうとらえ、どう接するべきか。そもそもメディアの本質とは何か。小泉政治やライブドア事件など、さまざまなニュースや社会現象の分析を通し、メディアと現代社会のありようを鋭く読み解く。

メディア社会―現代を読み解く視点 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 現代のメディア史である。再度読んだ。

  • 2004年から2005年にかけて『京都新聞』に連載されたコラム50編をまとめた本です。

    現代のメディアをめぐるさまざまな社会問題が取り上げられており、軽く読み流せる体裁になっていますが、ときに歴史的な経緯に言及することで同時代の世相を相対化しつつ、メディアと社会の関係についての本質的な洞察へと及んでいきます。「現代を読み解く視点」というサブタイトルが示すように、これらの問題について複眼的に考察するためのさまざまな視点を学ぶことのできる本だと思います。

  • 【版元PR】
    “メディアが伝える「歴史的事実」に疑問を投げかけ、新しい視点から、別の「真実」を導き出す。
     『『キング』の時代』(岩波書店、日本出版学会学会賞受賞、サントリー学芸賞受賞)、『言論統制』(中公新書、吉田茂賞)、『八月十五日の神話』(ちくま新書)など、様々な話題作を執筆してきた佐藤卓己先生による実践的メディア論入門です。
     佐藤先生は、「時代を読む メディア論から」と題して、『京都新聞』に2004年10月から05年10月まで一年間にわたってコラムを連載されました。その時々のニュースや社会現象を取り上げ、メディア論(メディア史)の知識を生かすと、どういう読み方ができるのかを解き明かす。その鮮やかさに、新聞連載時からとても大きな反響がありました。この連載を、テーマごとに構成し直し、さらに大幅な加筆・修正を加え、この度、岩波新書として刊行します。
     私たちが暮らす社会は、もはやメディアなしでは成り立ちません。しかも、ITをはじめ、メディアの技術はますます進歩し、「メディア政治」といった言葉にも象徴されるように、メディアがますます存在力を増しています。こうした状況において、メディアと社会の関係は、どうなっているのでしょうか。私たちは、この「メディア社会」をどう生きるべきなのでしょうか。ホリエモンや小泉選挙など、身近な事例を取り上げた50のコラムによって、考えます。普段、何気なく接しているニュースの新しい読み方を、本書から学ぶことでしょう。”

    【メモ】
     岩波HP掲載の目次が一部おかしいので訂正しておきます。9章のタイトルを「IT化は何をもたらすか」としていますが、書籍にあたったところ、正しくは「脱情報化社会に向けて」でした。

    【感想】
     新聞に連載された短いエッセイを集成して新書にまとめたもの。がっつりした社会学の本と違って、空き時間でも気軽に読める。




    【目次】
    はじめに [i-viii]
    目  次 [ix-xii]

    I 「メディア」を知る
    第1章 「メディア」とは何か 001
    1.「メディア」は広告媒体である/2.交通革命と万国博覧会/3.電子メディアと「子どもの消滅」/4.「最後の人間」とニュー・メディア/5.情報化は民主化か

    第2章 「情報」とは何か 025
    6.「情報」は軍事用語である/7.ラジオ人の文明/8.プロパガンダの時代/9.メディア発展と「情報による平和」/10.報道写真の読み方/11.「宇宙戦争」の情報戦

    第3章 メディアと「記憶」 053
    12.戦争の記憶と忘却/13.玉音放送と集団的記憶/14.メディア・イベントの誕生/15.「八月ジャーナリズム」の起源/16.教科書をめぐる文書と発話の相克/17.中国の「記憶」カレンダー/18.メディアの中の天皇像

    II メディアの〈現在〉をどうみるか
    第4章 ジャーナリズムを取り巻く環境 083
    19.「零年」のない新聞社/20.言論統制の連続性/21.新聞「形式」と読者の変貌/22.匿名化と情報統制の危機/23.ジャーナリズムの冷笑主義

    第5章 変わる「輿論」と世論調査 111
    24.劣化する世論調査/25.憲法世論調査にみる「ヨロン」と「セロン」/26.「大統領の陰謀」という議題設定/27.「うわさ」のニュース化/28.「国民の選択」の教訓/29.孤立を恐れる大衆心理

    第6章 メディア政治とドラマ選挙 133
    30.ニューティール・コメディー・二〇〇五/31.「ステレオタイプ化」する選挙報道/32.マニフェストの消費者行動/33.テレフェミニズムの仕組み/34.ファシズム予言の賞味期限

    III  変動するメディア社会

    第7章 情報化がもたらすメディアの変容 153
    35.書物が普通のメディアになるとき/36.情報化による意味の空洞化/37.ニュー・メディアは危険か?/38.情報を伝えないメディア/39.言語力かメディア力か

    第8章 テレビのゆくえ 173
    40.犯罪報道の落とし穴/41.「情報弱者」のメディア/42.ビデオ革命の意味/43.「NHK問題」の比較メディア論/44.公共放送の公共性とは/45.テレビのレトロ・フューチャー/46.回帰すべき「放送の未来像」

    第9章 脱情報化社会に向けて 199
    47.ホリエモンの野望/48.ネット空間のなかの自己拡大/49.ネット選挙の弾丸効果?/50.出版資本主義からネット資本主義へ

    あとがき(二〇〇六年四月) [217-221]

  • 何かまだらな感じだった。
    非常に有益なところもある反面、「何これ?」(文字数稼ぎか)というところもある。
    新聞への連載コラムがベースなのである程度仕方ないのかも。
    著者も若く、テーマの最新のものであるにも関わらず、古き良き時代(?)の岩波新書のような読みにくさも感じられるが、これは著者がわざとそういうスタイルをとっているのか。

  • 『京都新聞』他に書かれたエッセイを集めたもの。その時の時事ネタを枕にして、メディア学の視点から書かれた文章が50篇並んでいる。問題意識としては現代における新聞社やテレビ局などメディアの役割や、歴史的事項を扱うものなど。

    新聞での連載なので字数が限られており、また時事ネタに絡めようとしているため、言わんとするところがよく分からない文章もある。また論の展開が短すぎて話が飛躍しすぎていると感じるものも。時折面白そうな視点はあるが、詳しく展開することができないので物足りなさを多く感じる。結局、きちんとした議論の展開されないエッセイのようなものは、相変わらず自分は苦手なのだ。

    二つほど面白いポイントを。天皇家やイギリス王室の肖像の記念切手が、男性が右になる形(向かって左)になっている。これは右を優位とする西洋式の並び順で、日本では昭和天皇と皇后の御真影を機に普及していった。現在では例えば結婚式の高砂での新郎新婦の並び順もこれだ。雛人形の並べ方でも現在では男雛が右になっている。ところが、日本古来の考えではこれは逆なのだ。京雛では男雛は左に置かれる。左大臣と右大臣では左大臣の方が官位が上であるように、元々日本では左の方が優位なのである(さらに辿ればこれは中国古来の考え)。著者は天皇家の肖像の並び順(どう表現されるかというまさにメディア学的視点)の変化に、西欧化の一端を見ている(p.80f)。

    ほか、住民基本台帳ネットワークの反対世論を誘導した世論調査について書かれている(p.114f)。世論調査がその質問の設定の仕方によって、世論を作り出すことはよく指摘される。つまり、「○○は~という問題があると言われていますが、あなたはどう思いますか:問題だ、問題でない」などの設問。同調圧力の強い日本では、これは○○は問題があるのだ、という認識を誘導することは間違いない。住基ネットの世論調査を主導した朝日新聞の人間が、世論を誘導したことを懺悔している。

    しかし一番面白かったのは、冒頭の里山文化の振興の話だった。著者もこの会議に参加していて、都会の高層ビルのなかで里山文化の振興を議論する違和感を記している。振興の対象とするような里山文化での生活が幸せであれば、なぜ里山から人が流出し続けているのかという端的な問い(p.i-viii)は興味深い。

  • マスコミについて批判的な視点を持つことの重要性を再認識しました。本としては全体的なまとまりにすこし欠けるような気もしました。

  • メディア論から現代社会の本質を説く。確かに現代の我々とメディアが発達していなかった時代の人々は考え方が大きく異なる。現代人が「温室の産物」という氏の論理に納得。

  • スミス都へ行くの考察が役に立った。

  • メディアとは何か、どういう作用があるのか、「メディア」に関わるものは誰なのかなど考えられました。
    「テレビは目でかむチューイングガム」「非難の矛先はいつもニューメディア」なるほど。

    まえがきにあったように実相を記録するだけなら様々な側面からの現状を述べるだけでもよかったのに。批判の形をとった解釈と、とってつけたような示唆的な結論が残念だった。なんで最後にさらっと重要なこというの!

  • 2013 1/3読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
    佐藤卓己先生の本を色々読んでみようシリーズその2。
    京都新聞で連載していた、当時のニュースをメディア史の観点から解説する、という連載をまとめた本。
    メディア論を行うにはメディア史のアプローチを取らざるを得ない、ということを学生にいかに理解させるか、という問題意識が背景にあるとのことで、この連載が成り立っていたということ/この方法以外に説得力あるメディア論を展開できるかを考えてみると、著者の意図通りにメディア史的アプローチの重要性に思い至る。
    「メディア史の説明責任」というあとがきに出てくる考え方は図書・図書館史にも適用可能そうで、その辺積極的に真似していきたい所存。

    以下、特に気になった点のメモ等。

    ===
    ・はじめに:
     電気/電信のない時代の"吹きっさらしの人間"の想像しにくさ⇒なぜ佐藤卓己先生が現代メディア史を扱うかの理由
     現代人="温室の産物"という自覚

    ・第1章2 p.9
     鉄道の普及が移動中の暇つぶしとしての書籍の小型化・携帯性を促した?
     移動速度の行動・・・大部数出版の普及(新聞・雑誌)

     ☆鉄道とメディアについては日本でも雑誌と図書の流通網の整備とか黙読の普及とか色々関係性があるわけだし、そもそも鉄道系の会社が色々事業を行なっていることとかも含めて考えてみると面白そう。確か鉄道と図書館の本とかもあったはずなので後で追い直す。

    ・第1章5:
     識字率・メディア普及と民主化/単純な進歩史観への会議
     ⇔・「国民」誕生のために図書館を普及させようとした話とかとからめてみると面白い

    ・第4章20:
     戦時中の新聞社統合⇒現在の体制まで継続

    ・第7章35:
     メディア研究における書物の扱いの特殊性と、情報化によりそれが失われる可能性について

    ・第7章37:
     メディアにおける暴力描写の悪影響について・・・ゲームの前はテレビ、その前は映画、その前は小説で論議。
     あらゆるニューメディアが犯罪を誘発する「危険なもの」として当初扱われている、という話。


    ○後で読む:
    ・アルヴィン・トフラー『第三の波』
    ・パットナム『孤独なボウリング』

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