誰のための会社にするか (岩波新書)

制作 : Ronald Dore 
  • 岩波書店 (2006年7月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310259

作品紹介

どうすれば「正直でダイナミックな経営トップ」を確保できるか。アメリカ型の統治制度は日本に馴染むのか。「理想像」に沿った企業のありようとは?過去十数年の間に株価至上主義へと急激にシフトしつつある日本企業の現況を鮮やかに描き出し、問題提起する。長年、日本をつぶさに見続けてきた著者による、鬼気迫る警世の書。

誰のための会社にするか (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 日本企業とアメリカ企業は性質が異なっており、日本に株主所有型企業という考えを持ち込むのは誤り。

  • 【資料ID】18192
    【分類】335.4/D87

  • 【内容】
     「経営トップとして、どうやって、正直で、ダイナミックな人たちが選ばれるシステム—しかも選ばれてからも正直でダイナミックであり続けることを保証するシステム—をつくるか。」これが本書のテーマであり、そのために英米系のコーポレートガバナンスと日本企業の経営形態との関係を論じる。
     金融市場のグーローバル化の加速、商法や証券取引法の改正にる企業と株主の変化が生じている。これが株主の代理人として従業員を使う「株主所有物企業」への流れを「改革」と称して促進させる。その全体的な流れを法改正で確認した上で、「競争的パフォーマンスを効率的に確保する」ことを要請するアングロサクソン的なコーポレートガバナンス論(を日本の企業形態に持ち込むこと)に異議を展開する。それはステークホルダーとして従業員他、利害関係者への視点が抜け落ち、そのパフォーマンスの成果配分を考慮していない。筆者はコーポレートガバナンスを「会社の付加価値から誰がどのような分け前を受けるか、を決定する権力の配分を規制する諸制度」と定義し、上記の理想とされるシステムのために、日本の価値の中から見出そうとする。必ずしも大胆な改革が必要では無いと述べ、準共同的企業としての日本の企業を擁護しつつ、あるべき企業を模索する知日派による良書。

  • 現代企業論のレポート課題。

  • [ 内容 ]
    どうすれば「正直でダイナミックな経営トップ」を確保できるか。
    アメリカ型の統治制度は日本に馴染むのか。
    「理想像」に沿った企業のありようとは?
    過去十数年の間に株価至上主義へと急激にシフトしつつある日本企業の現況を鮮やかに描き出し、問題提起する。
    長年、日本をつぶさに見続けてきた著者による、鬼気迫る警世の書。

    [ 目次 ]
    第1章 コーポレート・ガバナンス―「治」の時、「乱」の時
    第2章 グローバル・スタンダードと企業統治の社会的インフラ
    第3章 どこに改革の必要があったのか
    第4章 組織の変革
    第5章 株主パワー
    第6章 株主天下の老後問題
    第7章 ステークホルダー・パワー
    第8章 考え直す機運
    第9章 ステークホルダー企業の可能性

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    [ 参考となる書評 ]

  • 2009年度の経済ゼミの教科書でした.
    準共同体的な日本の会社の在り方にも,よいところはたくさんあったんだな,と思うことができた.いくら制度や方法がすぐれていても,それはその土地にフィットしたから「すぐれて」いただけのことであって,その制度や方法だけ持ってきて当てはめても,他の土地では馴染まない.とか,いろんなことにも言えるよね.

  • 最近、敵対的買収が世間を騒がすようになり、大企業でも、買収対策としてのポイズン・ビル(企業が敵対的買収を抑止・防衛するための手段)の当否が問題になってきた。
    その原因の一つは、株式持合いが解消された結果、敵対的買収がより現実的な可能性を帯びてきたからである。

    2001年の法律は、建前としては、銀行の資本比率をより健全なものとすることを目的とする法律であった。しかし、持ちあい制度解消の手段として歓迎する意見も―持ちあいによって保護されてきた経営者の間においてではなく、官界および政界の一部で―有力になっていた。

    「自明の理とされている前提」
    1.企業の株価は経営者能力の正確な指標である。
    ―株式市場はそんなに道理的なメカニズムではない。ケインズによる有名な比喩がある。
    「株式市場は最近よく出る美人判定ゲームのようなものだ。百人の写真から最も美しい六人を選ぶという時、勝つのは自分の判断に拠るランキングが、ゲーム参加者全員の平均ランキングに一番近い人である。つまり、ランキングの基準は、自分がどの人が一番美人と思うかではなく、他人の美の基準の―否、他人が、自分と同じように参加者平均の美の基準について、どのような推測をしているかの―推測に拠るものである」

    2.会計制度が高度な透明性を確保するように、事業内容の開示義務を会社に負わせ、かつあらゆる企業の情報を分析するのに十分な数のアナリストがいれば、真面目に長期的コミットメントをしようとする投資家は、いつでも企業の実態を把握できる。

    3.人間は合理的な動物だから、敵対的買収にかかる人は、事前に、取引
    手続きのコスト、仲介のM&A専門の証券会社への歩合(買収額の2-3%)、財務諸表には見えない被買収会社の資産が「蒸発」する確率(つまり、高度な技術・技能をもった従業員の「逃避」)、顧客の好意の喪失などを全部計算に入れたうえで、利益が上がることを見込んでおり、それまで非効率的に稼働していた資源をより効率的に使うのだから、社会的費用/便益の計算上もM&Aはプラスになる。

    4.いつ敵対的買収をかけられるかわからない恐怖におびえる経営者は、その「ムチ」のおかげで、よりよい経営者になる。

  •  株価至上主義とか企業価値経営や株主価値などと叫ばれる日本の経営あるいは社会に対する問題提起の書。まずもって、著者の日本語力に驚かされる。本当に英国人なのか?
     それはさておき、証券投資論や米国流の経営手法をかじった私としては非常に興味深い。そして、こういった本が日本人以外の人の手から出てきたのが少しさびしい。とにかく、経営学をかじった人もそうでない人も是非読むことをお勧めします。

     
     余談だけど、日本経済だけでなく、日本社会のことも考えてくださいという言葉に著者の愛を感じる。

  • 以前、与謝野馨大臣が「『会社は株主のもの』は誤りだ」と述べて賛否両論が交わされたが、評者の考えでは会社は株主のものである。ただし、極めて問題のあるものであると思う。
    なぜ自分が会社=株主のもの でありながら極めて問題があると考えるのかというと、会社=株主のものという考え方はフォード裁判によるところが大きいと考える。
    司法がフォードの株主総会に当たるような行動に制約を加えているからである。これを指摘しているのは評者の知る限り伊東光晴氏である。
    ともあれ、アメリカ流の考えでは会社は株主のものなのである。ただし、与謝野大臣の「会社は株主のものという考え方は私にはなじまない」は評者も同感である。

    本書は会社を”誰のための会社にするか”という考えで書かれた本である。企業におけるステークホルダーに対して、いかなる方法で以て公平な分配を実行し、雇用を安定して行動すべきかを単なる企業だけではなく、経団連や時の政策当局、経済学者の行動からアプローチしている。確かに日本はこれまで株式配当を安定配当政策としていた。しかし、これは株主に報いていないものではない。株価が上昇しても株主に報いれるからである。また、必要な研究開発費などの内部留保の蓄積、従業員に対する安定的な報酬、バブルまではまさに日本的経営は評価されるものだった。

    評者が思うに昔から日本は変わっていないと思う。奈良時代は中国(唐)に、明治維新はヨーロッパに、そして戦後はアメリカに追いつけ追い越せであった。
    バブルが崩壊するとまさに当時成功を極めていたアメリカ的経営へ右向け右をしたのである。

    そのアメリカ的経営がつまずいている今こそ、日本に合った新しい企業を自らの手で構築していかなければならない。

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