戦争で死ぬ、ということ (岩波新書)

著者 : 島本慈子
  • 岩波書店 (2006年7月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310266

作品紹介

戦争はリアルに語られているだろうか?「大量殺人」の実態と、そこから必然的に生み出される「人間の感情」が見失われてはいないか?自らも戦後生まれである著者が、自らの感性だけを羅針盤として文献と証言の海を泳ぎ、若い読者にも通じる言葉で「戦争」の本質を伝えるノンフィクション。未来をひらく鍵がここにある。

戦争で死ぬ、ということ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2006年刊行。アジア太平洋戦争における日本人の体験談的叙述を広範囲で集積し、小説はもちろん、アニメでもなく映画でもなく、戦争の生々しさを伝達しようとする書。空襲・特攻・メディア・フィリピン(ゲリラ)・銃後の「おんな」・武器製造が主テーマ。引用文献・参考文献が多岐にわたり、最近では読まれることの少ないそれら戦争体験録のブックレビューの意義もあろうかと。「新憲法が発布されたとき…ようやく安心した…ああこれで特攻には連れ出されない。あんな苦しみから…解放された」という元特攻隊員の言。…。言葉が出ない。

  • 戦争は恐ろしいとしか言えない。
    人間を狂気に陥れる。

  • 人の命の重みと云うものはよく分からないが、その時代の日本に、敵の国に、今戦争をしている国に、戦争を繰り返そうとする日本に、人間がいると云うことを実感した。

  • 戦争ー古代から現代にいたるまで、数々の争乱、紛争などが多くありました。その中で、多大な犠牲と無関係な民衆・弱者が巻き込まれるものです。

    決して、美化されるものでも、肯定されるものでもありません。

    戦後に生きる著者が戦後の人間として、戦争ー肯定/否定論から入るのではなく、多くの参考文献やインタビューを重ねることで戦争の事実を浮き彫りにしていきます。
    新書でこれだけ読みごたえがあり、価格もお手頃であるのはいいと思います。

    そもそも戦争が何をもたらし、どのような問題を孕んでいるのかー人が死ぬ 人を殺す 殺した/殺された相手には家族や愛する人がいるーそういったことを含めて考えないと問題を深く読み解けないと思いました。

    欧米中心の主義主張を一方的に押し付けるのではなく、尊重できる部分と人権を侵害している部分などを考え、対話し、お互いに隔たりを少なくすることがこれから求められていくのではないでしょうか。
    cf.ODAの支援、アフリカなどの途上国への投資(現地住民の意思や雇用問題などを考えられるか) 

    ー賛成派ー
    国際協調 
    資金面だけではなく友好国との関係性を重視するべき 
    周辺国との関係がぎくしゃくしている中で、自衛権は持つべき
    日米安保条約など

    ー反対派ー
    憲法解釈ではなく、憲法改正で国民に訴えるべき
    自衛隊が戦争に行くことになれば、死者が出る恐れがある
    徴兵制も復活するのではないかなど

    第一次・第二次世界大戦を経験してから国際的には軍縮や武器の保有量を削減し、各国に自制を求めてきました。
    ただ、
    ・世界の警察と言われていたアメリカの経済の悪化
    ・中国の台頭
    ・ロシアのクリミア編入問題
    ・イラク、アフガニスタン、シリアなど中東での内紛及び周辺国との関係悪化

    まさに、世界的に緊張状態にある今考え、話すべき問題だと感じました。

    参考
    トゥキュディデスー戦史(岩波、中公クラシックス等)
    ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?(講談社)
    ぼくの見た戦争 2003年イラク 高橋邦典(ポプラ社)

  • 戦争が出来る国に少しづつ変わっていっている日本で、そのことを意識している人達がどの位いるんだろう。
    一度始めたら、嫌が応もなく自分も他人も他国も巻き込んでしまうその恐ろしさ、非人道さを考える端緒をくれる本だと思う。
    戦争が始まってからでは遅い。始まる前に、第二次世界大戦で何があったか、何をしたか、経験者が何を思ったかを知り、始まらせないために何をしなければいけないのかを一人一人が考えなければいけない。

  • 「走っている女性が背中におぶっている赤ちゃんの首が消えていた。」
    冒頭から大阪大空襲の生々しい描写で始まる本書は、さらに次々と、戦死していく人々の無残な死に方を捉えていく。攻撃する側もされる側も、敵も味方も、死に際の悲惨さに違いがないことを浮き彫りにしていく。
    ひとたび戦争が起これば、人は死んでゆく。それも、目を覆いたくなるほど酷いありさまで。著者はこれを「死のリアル」と呼び、「人間をこういう目にあわせても、なお戦争をやるのか?」と問いかける。
    戦争の記憶は、時とともに確実に薄れつつある。その中で、少なくとも我々は、先の大戦で亡くなったひとりひとりがどのように死んでいったかを、先代から聞きとって後代に引き継いでいく、そんな責務を負っていることを思い知らされる。

  •  戦争を知らない世代に向けて書かれた本で色々なことを感じた。一番大きかったのは自分が戦争を知らないことを知ったこと。兵器によって人がいかに残酷に死ぬのかを分かっていなかった。映像メディア等で戦争を知らないわけではないと思っていた。しかし映像では倫理的な問題で残酷な描写は放送しないのだろう。本では想像を絶する本当の死が描かれる。想像を絶するからこそ文字から想像する光景は脳に刻み込まれる。
     そして自分は日本の被害にしか目を向けておらず日本が侵略した国の被害を知らなかった。テレビドラマ等は神風特攻隊や空襲がテーマになりがちで日本が侵略した事実は無視されがちだ。しかしそこを知らなければ反日感情を理解することはできない。日本軍がどれだけ残虐なことをしたのか、そして残酷な目にあったのか両方を知らなければならない。
     戦争は関わる全ての人を傷つける。この本を読み正しい戦争は存在しないと改めて思った。現在もそしてこれからも戦争はなくならないだろう。そのなかで日本もまた憲法9条を改正(悪)して戦争への道を歩みだそうという動きがある。アメリカの陰に隠れて日本が戦争をしないことが偽善だというかもしれない。しかし日本は大戦後自衛隊が海外で人を殺していないことをこれからも続けていくべきだと思う。戦争への道を二度と歩んではいけない。それだけが先の大戦で亡くなった人たちの供養になる。
     この本を読み自分は戦争を知らないことを知った。戦争を知らないことは危険なことでもある。しかし自分は実際に戦争を知らなくてよかった、知らなくて幸運だと思う。だからこそ私たちは戦争を知る努力をしなければならない。再び過ちを繰り返さないために。この本を入り口に戦争についてもっと知り考えていきたい。これから日本の社会を担う世代の人全てに考えてほしい。
    小説とは評価基準が異なるが心に響き、人生において大切なことだと感じたので星5つ。

  • 戦争で死ぬとはどういうことか、実際に戦争での死を目の当たりにした方のインタビューや著作等をもとにまとめられている。

    ただ死ぬのとは訳が違う。

  • [ 内容 ]
    戦争はリアルに語られているだろうか?
    「大量殺人」の実態と、そこから必然的に生み出される「人間の感情」が見失われてはいないか?
    自らも戦後生まれである著者が、自らの感性だけを羅針盤として文献と証言の海を泳ぎ、若い読者にも通じる言葉で「戦争」の本質を伝えるノンフィクション。
    未来をひらく鍵がここにある。

    [ 目次 ]
    第1章 大阪大空襲―戦争の実体からの出発
    第2章 伏龍特攻隊―少年たちの消耗大作戦
    第3章 戦時のメディア―憎しみの増幅マシーン
    第4章 フィリピンの土―非情の記憶が伝えるもの
    第5章 殺人テクノロジー―レースの果てとしてのヒロシマ
    第6章 おんなと愛国―死のリアリズムが隠されるとき
    第7章 戦争と労働―生きる権利の見えない衝突
    第8章 九月のいのち―同時多発テロ、悲しみから明日へ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 戦争は戦後生まれにとっては小説と同様に現実感の薄いことである。単に死を目の当たりにすることさえめったに無い人間に戦争での死を理解せよということは難しい。常に世界のどこかで戦争が行われているとしても。だからこそ、戦争の記憶を戦争を知らない世代に継承して行く事は重要である。戦争に正義も何も無いのだと。そしてその中で死んだ人々とそれを目の当たりにした人の記憶を伝えなければならない。そのためには、じかに話を聞くこと以上にそれを伝える手段として適するものは無い。自分では経験できないことを人を通して経験することができる。戦争の記憶は忘れられていく事で痛みは和らぎ社会の発展を促すかもしれないが、戦争を繰り返さないため決して忘れてはならない記憶でもあるのだ。
    30年後、おそらく戦争体験者は日本にはいなくなるだろう。そのとき日本は戦争をせずにいられるか?不安になった。

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