戦争で死ぬ、ということ (岩波新書)

  • 岩波書店 (2006年7月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004310266

みんなの感想まとめ

戦争の実態とその影響を多角的に描いた本は、過去の出来事を振り返るだけでなく、現在と未来を考えるための重要な視点を提供します。著者は、第二次世界大戦を通じて人々がどのように戦争に関与し、どんな思いを抱い...

感想・レビュー・書評

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  •  第二次世界大戦時にはどんなことが起こったのか? 軍は、ジャーナリズム(メディア)は、大衆は、技術者・労働者は、銃後の女性たちはそのとき何をしたのか? 一たび戦争を始めてしまったら人間はどうなってしまうのか? 様々な切り口で、当時のことが描かれていく。

     日本人が何をしたのか、米国人は、アジアの人たちはどうだったのかということにももちろん触れられている。しかし、戦争責任論(どこの国の誰が悪かったか)を問題にするよりもむしろ、どこの国家・国民であれ誰であれ、人間というものは、戦争になればこんなふうになってしまうんですよという視点でこの本は書かれている。そして「人間というものが引き起こす戦争とはどんなものか」ということに思いが至った時に、例えば馬鹿な挑発を繰り返している近隣某国や自爆テロをするイスラム過激派のことを「おかしな国」、「狂った人たち」の一言で片付けるのではなく、自分たちの問題として捉えなければならないことに気づく。

     戦時中でさえ(あるいは、戦時中であるからこそ)、多くの人が戦争を殺人であるとリアルに捉えることが出来ていなかった。この本で戦後生まれの著者は、多くの文献・証言と想像力によって戦争の「現場」をリアルに再現している。私も想像力を十分にかき立てて、これを受け取らねばと思う。

     戦争は過去のものではない。この本は、過去について考えるためではなく、これからのことを考えるために読むべきだと思う。

  • 戦争が出来る国に少しづつ変わっていっている日本で、そのことを意識している人達がどの位いるんだろう。
    一度始めたら、嫌が応もなく自分も他人も他国も巻き込んでしまうその恐ろしさ、非人道さを考える端緒をくれる本だと思う。
    戦争が始まってからでは遅い。始まる前に、第二次世界大戦で何があったか、何をしたか、経験者が何を思ったかを知り、始まらせないために何をしなければいけないのかを一人一人が考えなければいけない。

  •  戦争を知らない世代に向けて書かれた本で色々なことを感じた。一番大きかったのは自分が戦争を知らないことを知ったこと。兵器によって人がいかに残酷に死ぬのかを分かっていなかった。映像メディア等で戦争を知らないわけではないと思っていた。しかし映像では倫理的な問題で残酷な描写は放送しないのだろう。本では想像を絶する本当の死が描かれる。想像を絶するからこそ文字から想像する光景は脳に刻み込まれる。
     そして自分は日本の被害にしか目を向けておらず日本が侵略した国の被害を知らなかった。テレビドラマ等は神風特攻隊や空襲がテーマになりがちで日本が侵略した事実は無視されがちだ。しかしそこを知らなければ反日感情を理解することはできない。日本軍がどれだけ残虐なことをしたのか、そして残酷な目にあったのか両方を知らなければならない。
     戦争は関わる全ての人を傷つける。この本を読み正しい戦争は存在しないと改めて思った。現在もそしてこれからも戦争はなくならないだろう。そのなかで日本もまた憲法9条を改正(悪)して戦争への道を歩みだそうという動きがある。アメリカの陰に隠れて日本が戦争をしないことが偽善だというかもしれない。しかし日本は大戦後自衛隊が海外で人を殺していないことをこれからも続けていくべきだと思う。戦争への道を二度と歩んではいけない。それだけが先の大戦で亡くなった人たちの供養になる。
     この本を読み自分は戦争を知らないことを知った。戦争を知らないことは危険なことでもある。しかし自分は実際に戦争を知らなくてよかった、知らなくて幸運だと思う。だからこそ私たちは戦争を知る努力をしなければならない。再び過ちを繰り返さないために。この本を入り口に戦争についてもっと知り考えていきたい。これから日本の社会を担う世代の人全てに考えてほしい。
    小説とは評価基準が異なるが心に響き、人生において大切なことだと感じたので星5つ。

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00179739

  • わりとすぐ読み終わった


    以下メモ

    赤痢と下痢とマラリアの高熱で、気がおかしくなった二等兵がいた。仲間の部隊が出発しよ
    うとしたとき、もう歩けない彼は、いきなり「そらどっこいしょ~」とふるさとの江州音頭を歌いだした。「それは連れていってくれと、見捨てないでくれと、そういう意味だったんだと
    思います」と堀池は振りかえる。
    えい~皆様たのみます~
    お見かけどおりの若輩が~
    習い覚えた一節を~
    つたないながらも時間まで~・・・
    部隊は歩き出した。彼は歌うのをやめて、「一緒に連れていってくれ!」と叫んだ。誰も振り向かない。彼は何度も「連れていってくれ!」と叫んだ。しかし誰も振り向かない。部隊は進み、彼の声は背後のジャングルに消えていった。


    まず、広島に原爆が投下される七ヵ月以上も前に、日本の新聞が「原子爆弾」とはっきり基いていることに驚いた。そして、その記事が「一切の動植物が生存を停止」「大爆風で誰も微塵」と爆弾の破壊力をリアルに描いたうえ、明らかに「やった!」という思いを表わしていることに、目まいがするほどショックを受けた。
    実は日本も、戦争のさなか、陸海軍ともに原子爆弾の開発に手を染めていた。資材の欠乏・組織の弱さ等で成功しなかったものの、日本も原爆をつくろうとしていたことは、関係者多数の証言により、いまでは周知の事実となっている

    私は(中略)女子高等師範の理科を卒業した者でございます。神風特別攻撃隊のことを伺って、身中の血が沸きあがるような気がいたしました。なぜ男子に生まれなかったかと口惜しくて口惜しくて涙が溢れて困りました。

    閣下、神武天皇御東征の折は女子も陣頭に立ち、敵を引きつけて男子の本体の攻撃を助けました。現在、男子にも戦闘員と生産員とがあるのでございますから、女子にも直接の戦闘員を設けていただきたいのでございます。体当りをされる軍神の方の御心を思うとき、本当にうらやましくなります。また立派に飛行機の操縦のお出来になる優秀な方々を惜しいと存じます。閣下、体当りをする飛行機には女子を使っていただけませんでしょうか。
    一人でも大君に敵対する憎いアメリカ人をたたき殺してやりたいと心の底から思います。
    私と同年の男子学徒は残らず海に空に闘っております。(中略)試験的に女子部隊を一度作っていただき、そしてぜひ私を加えていただきたいと切に切にお願い申しあげます。
    我とても同じ心にはやれるになどてをのこと生れざりしか

    図書館で当時の新聞を読んでいて、このエピソードを見たときにはまた驚いたのだが、このエピソードもつくりごとではない。お会いすることはかなわなかったが、この血書をしたためた女性はいまもご健在である。


    看護婦も死んだ。自らも病気に倒れ、また爆弾の直撃を受けて砕け散った。南国の木の枝に、彼女たちの肉片が赤い花のように張りついた。

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705608

  • 我が家は戦後65年とか70年とか区切りの年に広島と長崎へ行って戦争を伝える場所や資料館をめぐることにしているけれど、この本で書かれた死のリアルさは正直言って感じたことがなかった。
    江田島の資料館で特攻隊の方の遺書を読んだだけで胸が潰れそうになった自分としては、ここに書かれていることはとても読み難いことだったけれど、やはり知らなくてはいけないことだと思う。

    今は政治家を筆頭に想像力がなく他人への共感ができない人が増えていることも問題。読書はもちろんのこと、動物や植物とのふれあいも大事なようにも思う。
    戦争をやって良い思いをすることなど、銃後に隠れた一部政治家や利権を得られる人以外にはいないと実感しました。悪意の連鎖は断ち切らなければ。そのためには人を許す心の強さが必要ですね。

  • 日本で原爆開発が一応行われていたのは知っていましたが、小説などでガンガン紹介されていた、というのは知りませんでした。しかし、「空襲小説」というジャンルがなんとも…空爆ロボに匹敵するカテゴリー名ですね。

  • 2006年刊行。アジア太平洋戦争における日本人の体験談的叙述を広範囲で集積し、小説はもちろん、アニメでもなく映画でもなく、戦争の生々しさを伝達しようとする書。空襲・特攻・メディア・フィリピン(ゲリラ)・銃後の「おんな」・武器製造が主テーマ。引用文献・参考文献が多岐にわたり、最近では読まれることの少ないそれら戦争体験録のブックレビューの意義もあろうかと。「新憲法が発布されたとき…ようやく安心した…ああこれで特攻には連れ出されない。あんな苦しみから…解放された」という元特攻隊員の言。…。言葉が出ない。

  • 戦争は恐ろしいとしか言えない。
    人間を狂気に陥れる。

  • 人の命の重みと云うものはよく分からないが、その時代の日本に、敵の国に、今戦争をしている国に、戦争を繰り返そうとする日本に、人間がいると云うことを実感した。

  • 戦争ー古代から現代にいたるまで、数々の争乱、紛争などが多くありました。その中で、多大な犠牲と無関係な民衆・弱者が巻き込まれるものです。

    決して、美化されるものでも、肯定されるものでもありません。

    戦後に生きる著者が戦後の人間として、戦争ー肯定/否定論から入るのではなく、多くの参考文献やインタビューを重ねることで戦争の事実を浮き彫りにしていきます。
    新書でこれだけ読みごたえがあり、価格もお手頃であるのはいいと思います。

    そもそも戦争が何をもたらし、どのような問題を孕んでいるのかー人が死ぬ 人を殺す 殺した/殺された相手には家族や愛する人がいるーそういったことを含めて考えないと問題を深く読み解けないと思いました。

    欧米中心の主義主張を一方的に押し付けるのではなく、尊重できる部分と人権を侵害している部分などを考え、対話し、お互いに隔たりを少なくすることがこれから求められていくのではないでしょうか。
    cf.ODAの支援、アフリカなどの途上国への投資(現地住民の意思や雇用問題などを考えられるか) 

    ー賛成派ー
    国際協調 
    資金面だけではなく友好国との関係性を重視するべき 
    周辺国との関係がぎくしゃくしている中で、自衛権は持つべき
    日米安保条約など

    ー反対派ー
    憲法解釈ではなく、憲法改正で国民に訴えるべき
    自衛隊が戦争に行くことになれば、死者が出る恐れがある
    徴兵制も復活するのではないかなど

    第一次・第二次世界大戦を経験してから国際的には軍縮や武器の保有量を削減し、各国に自制を求めてきました。
    ただ、
    ・世界の警察と言われていたアメリカの経済の悪化
    ・中国の台頭
    ・ロシアのクリミア編入問題
    ・イラク、アフガニスタン、シリアなど中東での内紛及び周辺国との関係悪化

    まさに、世界的に緊張状態にある今考え、話すべき問題だと感じました。

    参考
    トゥキュディデスー戦史(岩波、中公クラシックス等)
    ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?(講談社)
    ぼくの見た戦争 2003年イラク 高橋邦典(ポプラ社)

  • 「走っている女性が背中におぶっている赤ちゃんの首が消えていた。」
    冒頭から大阪大空襲の生々しい描写で始まる本書は、さらに次々と、戦死していく人々の無残な死に方を捉えていく。攻撃する側もされる側も、敵も味方も、死に際の悲惨さに違いがないことを浮き彫りにしていく。
    ひとたび戦争が起これば、人は死んでゆく。それも、目を覆いたくなるほど酷いありさまで。著者はこれを「死のリアル」と呼び、「人間をこういう目にあわせても、なお戦争をやるのか?」と問いかける。
    戦争の記憶は、時とともに確実に薄れつつある。その中で、少なくとも我々は、先の大戦で亡くなったひとりひとりがどのように死んでいったかを、先代から聞きとって後代に引き継いでいく、そんな責務を負っていることを思い知らされる。

  • [ 内容 ]
    戦争はリアルに語られているだろうか?
    「大量殺人」の実態と、そこから必然的に生み出される「人間の感情」が見失われてはいないか?
    自らも戦後生まれである著者が、自らの感性だけを羅針盤として文献と証言の海を泳ぎ、若い読者にも通じる言葉で「戦争」の本質を伝えるノンフィクション。
    未来をひらく鍵がここにある。

    [ 目次 ]
    第1章 大阪大空襲―戦争の実体からの出発
    第2章 伏龍特攻隊―少年たちの消耗大作戦
    第3章 戦時のメディア―憎しみの増幅マシーン
    第4章 フィリピンの土―非情の記憶が伝えるもの
    第5章 殺人テクノロジー―レースの果てとしてのヒロシマ
    第6章 おんなと愛国―死のリアリズムが隠されるとき
    第7章 戦争と労働―生きる権利の見えない衝突
    第8章 九月のいのち―同時多発テロ、悲しみから明日へ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 戦争は戦後生まれにとっては小説と同様に現実感の薄いことである。単に死を目の当たりにすることさえめったに無い人間に戦争での死を理解せよということは難しい。常に世界のどこかで戦争が行われているとしても。だからこそ、戦争の記憶を戦争を知らない世代に継承して行く事は重要である。戦争に正義も何も無いのだと。そしてその中で死んだ人々とそれを目の当たりにした人の記憶を伝えなければならない。そのためには、じかに話を聞くこと以上にそれを伝える手段として適するものは無い。自分では経験できないことを人を通して経験することができる。戦争の記憶は忘れられていく事で痛みは和らぎ社会の発展を促すかもしれないが、戦争を繰り返さないため決して忘れてはならない記憶でもあるのだ。
    30年後、おそらく戦争体験者は日本にはいなくなるだろう。そのとき日本は戦争をせずにいられるか?不安になった。

  • 教員として平和教育の取り組みに行き詰まったときに、
    この本を読めば、何を平和教育で伝えていけばよいのか、
    そのことについて考える一助となるのが間違いない本であると思う。

    この本を読んで率直に思ったことは、
    戦争の現実を目の当たりにしていないのに、
    戦争の現実を伝え「戦争はいけません」と安易に結論づける方法は、
    何と愚かな教育手法なんだと痛感させられたことである。

    戦争を目の当たりにした人たちは、戦争の現実を切実に語ることが、
    その人に課せられた使命であると思う。
    では、戦争を目の当たりにしていない私たちがなすべき使命は、
    いかにして二度と戦争を起こさない世の中にしていくのか、
    その展望を子どもたちに身をもって示すことではないかと強く思う。

    身をもって示すとは…?
    例えば、本書でも少し触れられていたが、
    教員ならば教職員組合に所属していることも、
    身をもって示すことの1つになるのではないかと。
    (詳しくはまた日記でも書けたらと思っているが、
    この本(第3章・第7章)を読んでくれれば、大まかなところは感じ取れると思う)

  • 100405

    戦争で死ぬ、ということをいろいろな角度から見た本。

    戦争をする人たちは、戦争で死ぬ、ということを考えるのだろうか?少なくとも他人が死ぬということを考えることはあまりないのではないか?

    自分が死ぬ。誰かを殺す。仲間が殺される。

    そうまでして得たいものは何だろう?

    あるいは、そうまでしないと得られないものなどあるのだろうか?

    そして、そうまでして得る必要はあるのだろうか?

    でも、巧妙に、そんな事はわずかも考えさせず、人々を駆り立てる力は確かにあったのだろう。

    平和、戦争放棄、そんなフレーズが人口に膾炙されつつある現代でも戦争で死ぬ日本人はいる。

    911の犠牲者もまた、戦死者なのだ。

    日本はどこに向かって進んでいるのだろうか?

  • 100316 by 布川先生 on 立平機関誌
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    戦争はリアルに語られているだろうか?「大量殺人」の実態と、そこから必然的に生み出される「人間の感情」が見失われてはいないか?自らも戦後生まれである著者が、自らの感性だけを羅針盤として文献と証言の海を泳ぎ、若い読者にも通じる言葉で「戦争」の本質を伝えるノンフィクション。未来をひらく鍵がここにある。
    ---
    第1章 大阪大空襲―戦争の実体からの出発
    第2章 伏龍特攻隊―少年たちの消耗大作戦
    第3章 戦時のメディア―憎しみの増幅マシーン
    第4章 フィリピンの土―非情の記憶が伝えるもの
    第5章 殺人テクノロジー―レースの果てとしてのヒロシマ
    第6章 おんなと愛国―死のリアリズムが隠されるとき
    第7章 戦争と労働―生きる権利の見えない衝突
    第8章 九月のいのち―同時多発テロ、悲しみから明日へ

  • この本をよんで涙がでました。戦争のときのことがとても詳しく書いてありました。人を簡単に殺してしまう戦争。私は本当に許せません。戦争をすれば、何か解決できるのか?そう考えると1つもいいことがないと思います。戦争は今後絶対にやってはいけないと思います。日本は今もこれからもずっと平和でいられるように、こころから願っています。

  • 戦争で死ぬとはどういうことか。入門書としては最適だと思う。第二次世界大戦に行った人の証言や広島の被爆者の証言(肉を焼く匂いのことなど)、毒ガス工場で働いていた人へのインタビューもあり、感情に訴えるものがあった。私が毎日電車で上をまたいでいる川に死体がたくさん流れていたのかとしみじみ思った。私が特に興味を持ったのは、女性の証言や女性の戦争との関わりであり、戦争中の女性はチアリーダーと守るべきものの両面を備えていたということで、もちろん、自分も戦いたいといった人もいたようだがなんだかなーと思った。現代の女性兵士の問題と合わせて考えてみたい。死は鴻毛より軽しとは恐ろしい。人間一人の命は地球よりも重い。というのも、重すぎる気もするが。人間を特別扱いするという意味で。ただ、戦争や戦場の狂気に近い高揚感みたいなものも伝わってきて、状況がどんどんその方向に向かっていくと、空気の中に高揚が混じってきて、人間は戦争する方向に向かっていくのではないかとすら思えた。いま、日本は戦争しようとしている(ように私には思える)けれど、決断を下す人は自分が戦場に行くことを考えていないし、大事な人が死ぬことも考えていないし、敵も自分と同じように大事な人がいることも考えていない気がする。怪我をしたり身体を欠損したり、後遺症が残ることも考えていない。痛いのもつらいのも悲しいのも怖いのも、何人であろうと嫌いなはずだと私は思うのだが。生きていればいずれ死ぬのに、なぜ死期を早めるのだろう。戦争で得る利益も、死んだら終わりなのに。ある意味で、戦争をしないために戦争をやめたのではなかったのだろうか。

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