アメリカよ、美しく年をとれ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310297

作品紹介・あらすじ

かつて若い国、自由の国として世界から愛されたアメリカは、いま巨大な軍事力に支えられた「大米帝国」として嫌われ、衰退に向かうかに見える。やがて老醜をさらすことになるのだろうか。半世紀以上、リベラルな立場から歴史家としてこの国とつき合ってきた著者が、その心象風景に重ねて米国の明暗を描き、今後の進むべき道を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 戦中、日本は「鬼畜米英」と、アメリカ人やイギリス人を人間ではないものと扱った学校で習った。(黒船時代に逆戻りじゃん)
    しかし、戦前の日本人はチャップリンの映画も、ベーブ・ルースも大好きだったのだと言われると、確かに。
    いつからか、いつの間にか、日本人はアメリカ人やイギリス人を人間ではないものと信じ込んだ。

    著者は終戦間近の昭和20年7月に、北海道の東のはずれ、西春別にいた。
    こんなところにまでは、さすがのアメリカも攻めてくることはないだろうと思っていたが、飛行機が群れを成して攻めてきた。
    低空飛行で飛んでくるパイロットの顔を、著者は見た、のだそうだ。
    そのパイロットは、全然鬼畜に見えなかった。
    出会い方が違ったら、友達になれたのではないかと思うほどに、そのパイロットに親近感を覚えた。
    21歳の著者よりも幼く見えたパイロット。
    戦っている相手のことを何も知らなかったことに、その時気がついた。

    そして終戦後、大学に戻った著者はアメリカの歴史を学ぼうと思う。
    しかし、当時アメリカの歴史を教えることのできる教師はいなかったのだ。
    そこから著者の、アメリカについて学ぶ日々が始まる。

    第一章 アメリカが愛されていた頃
    強くて明るくて開かれていてフェアで自由の国、アメリカ。
    ちょっと前まで戦っていた相手国だというのに、日本人はあっという間にアメリカが好きになった。

    第二章 “天国”のなかの“地獄”
    黒人差別、西部開拓という名の先住民の強制移住、ハワイ王朝の転覆。
    国是が謳うほどフェアではなかった。
    進化論を教えた教師が逮捕され、メキシコと戦争して領土を取り上げる。
    ロサンゼルスも、サンフランシスコも、もともとはメキシコの領土だったんだね。知らなかった。
    ゴールドラッシュのどさくさで、どうしても太平洋側の海岸線が欲しかったらしい。

    第三章 “天国”のなかの混沌
    理想主義・リベラルと、白人至上主義・保守が交互に訪れる。
    究極に理想主義・平和主義で、しかし国際政治の手腕が圧倒的に不足していたのがカーター大統領。
    だから、揺り戻しとしてレーガン大統領が誕生したのだが、そこからアメリカは大きく一国主義へと舵を切ることになる。

    第4章 アメリカが嫌われるようになって
    過去、どんな大国も、永久に覇者であり続けたことはない。

    少し古い本なので、ブッシュ(息子)政権2期目の頃のこと。
    しかし、未だにアメリカは一国主義だし、強権的で、ますます嫌われているように見える。

    “アメリカは世界の警察官、裁判官であるにしては、世界の事情に無知である。”

    第4章に「マクナマラの反省」という文章があった。
    マクナマラとは、今年の春公開された映画『ペンタゴン・ペーパーズ』の機密文書である、ベトナム戦争の詳細な報告書を作った人だ。
    映画を観た時は点だった知識が、こうして本を読んで短い線になる。
    だから読書はやめられない。

  • 2012.1.9

  • 1960年代のアメリカのことが、筆者の体験談で語られていて非常に興味深かった。

  • 戦後アメリカの社会の部分を描くエッセイ。学生時代にこの先生のアメリカ史関連の本をよく読んだのを思い出しました。さて、アメリカは尊敬される国として成熟できるのか?ただ、マイノリティーである黒人より若き大統領を選出するそのマインドに、アメリカの伝統的な美しさが見えることは確かだと感じます。

  • アメリカの歴史を筆者の体験から考察してある。読みやすかった。

  • あとがきでも書かれている通り、エッセイ風に書かれてあるのでとても読みやすい。
    アメリカの歴史と共に筆者の人生の歴史も頭に入ってくるので、本編で中古車に乗ってアメリカ中を走り回った筆者夫婦が、現在は老いと病と怪我と共に暮らしているというあとがきの記述を読んでなんだか切なくなった。

  • [ 内容 ]
    かつて若い国、自由の国として世界から愛されたアメリカは、いま巨大な軍事力に支えられた「大米帝国」として嫌われ、衰退に向かうかに見える。
    やがて老醜をさらすことになるのだろうか。
    半世紀以上、リベラルな立場から歴史家としてこの国とつき合ってきた著者が、その心象風景に重ねて米国の明暗を描き、今後の進むべき道を提示する。

    [ 目次 ]
    序章 アメリカは若い国か
    第1章 アメリカが愛されていた頃
    第2章 “天国”のなかの“地獄”
    第3章 “天国”のなかの混沌
    第4章 アメリカが嫌われるようになって
    終章 アメリカよ、美しく年をとれ

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    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 昔のアメリカが好きだったという著者が見た最近のアメリカ。
    色々変わってきてしまっているのがよくわかりました。

  • 著者とアメリカとの関わりを交えながら、アメリカ「帝国」が出来上がるまでの過程と現在の姿、そして、「初老」を迎えたアメリカが今後どのような道を進むべきなのかを説いたエッセイ。前半は、著者のアメリカとの出会いやアメリカでの体験と、当時の世相が述べられているが、この部分がとても興味深い。戦時中の体験も去ることながら、まだ戦後の間もない時期から、様々な人々と出会いながら、夫婦でずっとアメリカ中を旅しているなんてすごいと思った。後半は、アメリカが大義名分の元に「よい戦争」を行い、「帝国」への道を歩みながら「驕り」を顕わにし、ますます世界から嫌われていく様子が描かれている。「協調性のある世界の指導者」ではなく「孤独な帝国」(p.185)への道を歩んでいるという記述や、さらにテロを受けて「ブッシュ政権下でのアメリカの愛国的ムードは集団ヒステリー症状といってもいいほどで、理性的な判断は困難になった」(p.84)など、現在のアメリカの姿と照らし合わせて、容易に納得させられる記述が多いとともに、アメリカを愛する著者の嘆きとも言えるような感じも受け取れる。歴史を研究している著者が描くアメリカの未来の姿は、とても説得力がある。(2008/01/19)

  • 読んだ内容ほとんど忘れた

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著者プロフィール

東京女子大学名誉教授。主な著作:『検証アメリカ500年の歴史』(平凡社,2004),『アメリカを揺り動かしたレディたち』(NTT出版,2004),M・L・キング『黒人の進む道』(訳,明石書店,1999)。

「2005年 『民衆のアメリカ史 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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