児童虐待―現場からの提言 (岩波新書)

著者 : 川崎二三彦
  • 岩波書店 (2006年8月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310303

作品紹介・あらすじ

なぜ、わが子を自ら危険に陥れてしまうのか。深刻化する背景は、単に親を責めるだけでは捉えきれない。そこには、日本の貧困な福祉行政、親を取り巻く社会の急速な変容など、根本的な問題が潜んでいる。児童相談所に勤務し数々の相談に対応してきた著者が、その実態や解決の手がかりを、自らの体験をもとに語る。

児童虐待―現場からの提言 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  •  これまでは,心理職や医師が書かれた本がほとんどであったが,この本は京都府宇治宇治児童相談所相談判定課長が著者です。
     児童相談所が抱える制度的な問題についても多くのページ数が使われている。個人的にも,職員の配置基準があまりにもお粗末なことについては痛感しているので,共感をしながら読みました。
     児童虐待が起こる4つの条件(健やか親子21)が示されています。それは,
    1)多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けていなかったこと,
    2)生活にストレス(経済的不安や育児負担など)が積み重なって危機的状況にあること,
    3)社会的に孤立し,援助者がいないこと,
    4)親にとって意に沿わない子(望まぬ妊娠・愛着形成阻害・育てにくい子など)であること です。
     これまでの本にはない,児童相談所所長の判断による一時保護が人権侵害につながり,「子どもの権利条約」に反するおそれがあることなどについても書かれています。

  • 制度的に、学術的に基本を押さえながら解説してくれて、勉強になった。

  • 児童相談所の現実がすごくよくわかった。
    児童虐待が起こってしまう根本的原因(貧困等の社会的な問題)を解決しないと同じことはいつまでも繰り返される。

  • データ等が最新のものではないので、アップデートが必要ですが、概要をつかむには良いと思います。

  • 児童虐待が問題になると、必ず出てくるのが「しつけ」との混同。現場で接してきた著者の葛藤。しつけで子供を死なせるわけにはいかない。その前に守る必要があります。いかにして虐待から子供を守るか、あまりにも甘い「しつけだから」の考え方をやめなければいけない。

  • 私の今年の夏の一番衝撃的だった事件は、大阪で起こった幼児二人の遺棄・死亡事件である。周囲が3ヶ月間も泣き声を聞き、児童相談所などにも通報されていたにも関わらず、結局誰にも助けられることなく命を落とした幼児二人。母親は若いシングルマザーで、家族の助けもなく、母親になりきれずに子を捨ててしまった。
    日本の児童虐待に関する取り組みの遅れを如実に表すという点と、ネグレクトされていた子供の親もまた、子供の頃に愛情に飢えたつらい思いをしていた、つまり児童虐待の世代間の連鎖の問題が明るみに出た点で、とても印象的な事件であった。

    しかし、この事件はその後それほど大きな反響をよぶ様子もなく、テレビや新聞でもそれほど大きな取り上げ方をしていない。日本では児童虐待はいまだに親の責任として捉えられているのか、と非常に残念に思う。日本は、社会全体で子供を守ろうという風潮がまだだ育っていないのであろう。私が住んでるカナダでは、はっきりいってこんな事件がおこったら大スキャンダルだ。

  • 「児童虐待」の現状やその認知のされ方を、児童相談所での日常や法律の条文、国会審議の議事などから立体的に描き出します。冷静な筆遣いで納得はできるのですが、「思い切った社会的コストを」といった解決の提言が、遠慮がちであいまいになってしまっているようで残念。

  • 国会での議論や法律制定、児童相談所の業務などが中心の記述。

    本書は新書と言うよりも、専門書の部類に入るものです。

    ・社会福祉、とりわけ児童福祉の専門家、研究者
    ・条令や法律の制定に携わる議員
    ・弁護士などの法律家
    には必読だと思いますが、広く一般の方が読む必要はないと思います。

    その上で、気になった点
    ・しつけと虐待の線引き
    ・民法の懲戒権
    ・司法(裁判所)の関与
    です。

  • [ 内容 ]
    なぜ、わが子を自ら危険に陥れてしまうのか。
    深刻化する背景は、単に親を責めるだけでは捉えきれない。
    そこには、日本の貧困な福祉行政、親を取り巻く社会の急速な変容など、根本的な問題が潜んでいる。
    児童相談所に勤務し数々の相談に対応してきた著者が、その実態や解決の手がかりを、自らの体験をもとに語る。

    [ 目次 ]
    序章 児童虐待への取り組みがはじまる
    第1章 児童虐待とは何か
    第2章 虐待はなぜ起きるのか
    第3章 虐待への対応をめぐって
    第4章 虐待する親と向き合う
    第5章 児童相談所はいま
    第6章 児童虐待を防止するために

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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 現役の児童相談所の方が仕事の合間を縫って書かれた本。現在の現場レベルへの児童虐待への対応の実態が生々しく伝わってくる。

    読めば読むほど、この国の不可解さに愕然とする。法制度の不備、予算の不備、マンパワー(専門性)の不足、、、ヒト・モノ・カネといった経営資源という観点から見ても、この国は国家としての基礎的な機能である「治安維持」に振り分けられるべきリソースが足りていないと感じる。

    また、もちろん単に親が責任を放棄し親化していないため子供が死にいたるという論外のケースもあるが、ケースによっては生活不安が原因であるために、単純に虐待を行う親を攻めるだけでは解決せず、さらに親と子供を引き離せば終わりではなく、根本解決の出口が見えないところに児童虐待問題の根深さを感じる。虐待されている子供の見殺ししているのは、決して関わった人間や周りの人間だけではないと強く感じた次第。警察や市役所、家裁調査官等の連携深化も必要である。


    ただ、愕然とするだけではなくて、個人レベルで何ができるか、行政レベルでなにができるか、国レベルで何が必要かを考えされる良書であり、願わくば多くの人に読んでもらいたい書だと思う

    メモ:児童虐待を生じさせる要因
    1.多くの親は子供時代に愛情をうけていなかった。
    2.生活に経済不安などのストレスがある。
    3.社会的に孤立し、援助者がいない。
    4.親にとって意に沿わない子供である。

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