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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004310303
みんなの感想まとめ
児童虐待に関する現実を深く掘り下げた一冊で、特に児童相談所の役割や制度的な課題に焦点を当てています。著者は現場経験が豊富で、国の審議会にも関与しているため、実践に基づいた信頼性の高い内容が展開されてい...
感想・レビュー・書評
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児童相談所からのSOS的側面が強い内容だった。データは古いが実情を理解するには十分だと思う。
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◯児童虐待に関して、簡単な国の施策や現場での業務について知ることができる、まさしく導入の書。
◯論理立てられた構成、文書で、大変わかりやすい。
◯無理筋の議論になりがちな、これからの対策についても、国と現場にとって、現実的な内容が記載してあり、納得ができる。
◯現場経験が長いだけでなく、国の審議会にも名を連ねている著者ならではの、しっかりとした一冊で、大変勉強になった。 -
これまでは,心理職や医師が書かれた本がほとんどであったが,この本は京都府宇治宇治児童相談所相談判定課長が著者です。
児童相談所が抱える制度的な問題についても多くのページ数が使われている。個人的にも,職員の配置基準があまりにもお粗末なことについては痛感しているので,共感をしながら読みました。
児童虐待が起こる4つの条件(健やか親子21)が示されています。それは,
1)多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けていなかったこと,
2)生活にストレス(経済的不安や育児負担など)が積み重なって危機的状況にあること,
3)社会的に孤立し,援助者がいないこと,
4)親にとって意に沿わない子(望まぬ妊娠・愛着形成阻害・育てにくい子など)であること です。
これまでの本にはない,児童相談所所長の判断による一時保護が人権侵害につながり,「子どもの権利条約」に反するおそれがあることなどについても書かれています。 -
背ラベル:367.6-カ
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著者が児童相談所に勤めていたため、虐待と児童相談所との関わりについてよく分かる本です。
憲法の面から論理的に紐解かれていて、少し難しい部分もあるけれど、虐待の根本から学ぶことができる。
*虐待の種類も詳しく書かれており、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待の四つに分かれる
*ネグレクトは養育の怠慢のことで、最近は子どもを置いてパチンコに行ったなど、よくニュースになったりしていることだと思った
*実母から虐待を受けるケースが多い
→親自身が子供時代に愛情を受けていなかった
→生活にストレスが積み重なり危機的状況にあること
→社会的に孤立して援助者がいないこと
→親にとって意に沿わない子どもであったこと
などが要因であることが分かった
*虐待といえば児童相談所が強く関わっていると思われているが、虐待の対応件数は自治体の方が多いことに驚いた。そのため、自治体の業務はひっ迫している
*子どもを一時保護すると、子どもは外出が出来なくなる。そのため学校にも行かれなくなる。登下校の間に強引に連れ戻されてしまう可能性があるから。そのため、子どもはストレスがたまり、子どもの権利も侵害されてしまう心配がある。一時保護は簡単に出来るものでは無い。ちなみに、一時保護は児童相談所長が出している -
児童虐待の本質は、「他者を支配したい」という権力欲にあるのではないかと思っている。それは、石井光太著『鬼畜の家』を読んで、社会的に認められない親が子どもを虐待したケースが多いことに気付いたからだ。その遠因は格差社会である。格差社会の問題は、踏みつけられた者がまた誰かを踏みつけるという「踏みつけの連鎖」にある。その一つの現出が児童虐待の本質ではないか。この直感が正しいかどうかの検証がしたくて本書を読んだ。
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児童虐待への対応の、基本的な考え方を知るのに役立つ内容でした。わかりやすく、読みやすかったです。
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制度的に、学術的に基本を押さえながら解説してくれて、勉強になった。
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児童相談所の現実がすごくよくわかった。
児童虐待が起こってしまう根本的原因(貧困等の社会的な問題)を解決しないと同じことはいつまでも繰り返される。 -
データ等が最新のものではないので、アップデートが必要ですが、概要をつかむには良いと思います。
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児童虐待が問題になると、必ず出てくるのが「しつけ」との混同。現場で接してきた著者の葛藤。しつけで子供を死なせるわけにはいかない。その前に守る必要があります。いかにして虐待から子供を守るか、あまりにも甘い「しつけだから」の考え方をやめなければいけない。
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私の今年の夏の一番衝撃的だった事件は、大阪で起こった幼児二人の遺棄・死亡事件である。周囲が3ヶ月間も泣き声を聞き、児童相談所などにも通報されていたにも関わらず、結局誰にも助けられることなく命を落とした幼児二人。母親は若いシングルマザーで、家族の助けもなく、母親になりきれずに子を捨ててしまった。
日本の児童虐待に関する取り組みの遅れを如実に表すという点と、ネグレクトされていた子供の親もまた、子供の頃に愛情に飢えたつらい思いをしていた、つまり児童虐待の世代間の連鎖の問題が明るみに出た点で、とても印象的な事件であった。
しかし、この事件はその後それほど大きな反響をよぶ様子もなく、テレビや新聞でもそれほど大きな取り上げ方をしていない。日本では児童虐待はいまだに親の責任として捉えられているのか、と非常に残念に思う。日本は、社会全体で子供を守ろうという風潮がまだだ育っていないのであろう。私が住んでるカナダでは、はっきりいってこんな事件がおこったら大スキャンダルだ。 -
「児童虐待」の現状やその認知のされ方を、児童相談所での日常や法律の条文、国会審議の議事などから立体的に描き出します。冷静な筆遣いで納得はできるのですが、「思い切った社会的コストを」といった解決の提言が、遠慮がちであいまいになってしまっているようで残念。
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国会での議論や法律制定、児童相談所の業務などが中心の記述。
本書は新書と言うよりも、専門書の部類に入るものです。
・社会福祉、とりわけ児童福祉の専門家、研究者
・条令や法律の制定に携わる議員
・弁護士などの法律家
には必読だと思いますが、広く一般の方が読む必要はないと思います。
その上で、気になった点
・しつけと虐待の線引き
・民法の懲戒権
・司法(裁判所)の関与
です。 -
[ 内容 ]
なぜ、わが子を自ら危険に陥れてしまうのか。
深刻化する背景は、単に親を責めるだけでは捉えきれない。
そこには、日本の貧困な福祉行政、親を取り巻く社会の急速な変容など、根本的な問題が潜んでいる。
児童相談所に勤務し数々の相談に対応してきた著者が、その実態や解決の手がかりを、自らの体験をもとに語る。
[ 目次 ]
序章 児童虐待への取り組みがはじまる
第1章 児童虐待とは何か
第2章 虐待はなぜ起きるのか
第3章 虐待への対応をめぐって
第4章 虐待する親と向き合う
第5章 児童相談所はいま
第6章 児童虐待を防止するために
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
現役の児童相談所の方が仕事の合間を縫って書かれた本。現在の現場レベルへの児童虐待への対応の実態が生々しく伝わってくる。
読めば読むほど、この国の不可解さに愕然とする。法制度の不備、予算の不備、マンパワー(専門性)の不足、、、ヒト・モノ・カネといった経営資源という観点から見ても、この国は国家としての基礎的な機能である「治安維持」に振り分けられるべきリソースが足りていないと感じる。
また、もちろん単に親が責任を放棄し親化していないため子供が死にいたるという論外のケースもあるが、ケースによっては生活不安が原因であるために、単純に虐待を行う親を攻めるだけでは解決せず、さらに親と子供を引き離せば終わりではなく、根本解決の出口が見えないところに児童虐待問題の根深さを感じる。虐待されている子供の見殺ししているのは、決して関わった人間や周りの人間だけではないと強く感じた次第。警察や市役所、家裁調査官等の連携深化も必要である。
ただ、愕然とするだけではなくて、個人レベルで何ができるか、行政レベルでなにができるか、国レベルで何が必要かを考えされる良書であり、願わくば多くの人に読んでもらいたい書だと思う
メモ:児童虐待を生じさせる要因
1.多くの親は子供時代に愛情をうけていなかった。
2.生活に経済不安などのストレスがある。
3.社会的に孤立し、援助者がいない。
4.親にとって意に沿わない子供である。 -
法制度の不備
予算不足と公務員削減のしわよせ
ゼネラリズムによる職員の専門性の不足
虐待と体罰に対する一般の理解のなさ
貧困による、養育環境の格差
個人主義と地域社会の希薄化
社会は誤報を受け入れられるか(p.103)
カナダの例
「六人の子どもを保護するために四人の子ども誤報を引き受けるということを、社会が容認しなくてはならないのである。」
イギリスの例
「虐待通告を受けて対応した結果、『調査が原因となった苦痛や苦悩が、子どもや親に認められる場合には、カウンセリングを提供することが検討されなければならない』と決められているというのである。」
司法の審査(p.114)
「このように『子どもの権利条約』では『権限のある当局が司法の審査に従うこと』を『条件』としている。一方、児童福祉法のどこを読んでも、児童相談所長が行う親子の分離、すなわち一時保護について、司法の審査は条件とされていない。しかも一時保護できる期間は、『当該一時保護を開始した日から二月を超えてはならない』ものの、『前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、必要が認められるとき』は、引き続き一時保護を行うことができるのであるから、理屈上は無制限に行い得るといっても間違いではない。」
本書を読むと、十分な後ろ盾のないままで、日々職員が奮闘している姿が浮かぶ。
こどもの貧困問題があって、それが原因の一つとなって、虐待が起こる。しかも、保護施設に入ることができたとしても、予算不足で建物も人も十分でない、なんて。立派な公共施設があちこちにできる世の中なのにと思うと信じられない。
こども手当もいいけど、もっと本当にこまってる子供達のために税金を使って欲しい。 -
虐待の傷が、パーソナリティにどういう影響を与えるのか、
その部分に興味があって読んでみた。
が、この本はそういう部分にはそこまで触れておらず、
児童相談所の実情について、生々しく書かれている。
想像以上の厳しい状況である。
関わったことがない自分ですらそう思うのだから、
現場はもっと大変な状況なのかもしれない。
政治家や官僚はこういう状況を知っているのだろうか?
知っているのに無駄遣いをしているのだろうか?
自分の知らないところで明らかに援助を必要とされている場所がある。
もしかしたら、他にも援助を必要としている場所があるのかもしれない。
そういう子ども達へ真剣に、そして時には身の危険も省みず
立ち向かっている児童相談所のひと達は素晴らしいと思う。
この本に書いていることがまだ変わっていないのなら、
もっと政府は児童相談所に対して援助をするべきだと思う。
このような部分にこそ政府が介入し、改善していくべきだと思う。 -
児童虐待。その言葉をニュースで聞かない日はないといってもいいほど、今の時代、児童虐待というものが増えている気がする。児童福祉だけに限らず、日本の福祉行政は他の諸外国と比べみても、その質、量ともに貧困だと言われている。児童相談所を批判するわけではなく、児童相談所を含めた日本の児童福祉をどうしていくか、ということこそもっと考えて改善していかなければいけないところだと思うし、問われるべきなのだとこの本を読んでみて思いました。
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児童虐待について、一般の人が読んでも、確かな理解が得られるように丁寧に書かれた良書だと思う。
児童相談所だけが、がんばっても、虐待はなくならない。
社会、格差、貧困。そういった問題。
体罰容認の風潮。(これには驚いた)
変えるべき点を、変えていかねば。
2008年05月24日読了。
著者プロフィール
川崎二三彦の作品
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