漢字伝来 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310310

作品紹介・あらすじ

およそ二〇〇〇年前にやってきた中国生まれの漢字を、言語構造の異なる日本語の中にどのように取り入れたのだろうか。朝鮮の文化的影響を強く受けたその伝来の初めから、漢字文化が確立して、漢字に基づく片仮名・平仮名が誕生するまでの軌跡を興味ぶかいエピソードを交えてたどる。日本の漢字音と中国原音の対照表を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 日本に漢字が伝わって、それを日本人が受容してきた跡をたどる。先人の苦闘がしのばれる。日本以外の東アジアの国(韓国、ベトナム、女真、金、など)の文字のことも述べられている。

  • ◆中華文化圏の所産である漢字は、様々な形で列島に継受され、特異性を持った書字体系を作り上げたが、その過程をつぶさに解説する。また列島と半島の差異も興味深い指摘◆

    2006年刊行。
    著者は北海道大学名誉教授(二松学舎大学客員教授)。


     日本における記録の嚆矢となった漢字の導入。これから数百年後には仮名の原型となり、日本語表記の豊穣さを生む母体となった漢字。
     本書は、4世紀ごろに導入された漢字(ただし、文字という意味保有の記号ではなく、単なる図柄としてなら銅鏡の中国からの移入とこれを模倣した国産鏡製造時に遡るが)が、表音記号として固有名詞に当て字として置換し、さらに日本語を表記する一法として読み下し形式を開発、さらにそれが展開してかな表記を作り上げていった。その過程を開陳する。

     大まかな点では既有知識との齟齬はないが、細かい部分も書かれる上、参考とすべき史料(銅鏡ほか考古学史料も含む)を詳述するなど、著者の思考の根拠を窺い知れるのは買いである。

     ここで一番印象的だったのは、日本語では漢字仮名交じりという形で落着した漢字の移入に対し、朝鮮語ではハングルという独立した文字を創出しており、この差異に関する著者の考察である。
     それは日本語の場合、音節が母音で終わる開音節であり、閉音節も含む中国語の音を略することで当て字が可能であった。
     ところが日本語と違い、朝鮮語は中国語と同様に子音で終わる閉音節の語である。つまり朝鮮語と中国語とでは、音節という点で共通するところが貧弱であり、中国語に共通する音ということで、漢字を朝鮮語の当て字に用いるということが極めて困難であった。
     ならば、無理矢理に当てはめるよりは、自国語の音節に合う記号を新しく作り出した方が手っ取り早い。というものであるが、なかなか興味深い視点である。

     もちろん、朝鮮半島の地政学的位置関係から、漢字を真の意味で捨て去れたのは戦後独立後であり、また表記における統語法は中国語=漢文の影響を強く受けているらしいが…。

  • とても面白い。新書としてはかなり詳細に論じられている。注釈も充実している。特に注(25)はとても参考になった。

  • 普通の本としか言いようがない。

  •  言語体系のまるでことなる外国の文字である漢字を,日本人はいかにして理解し,日本語の中で使いこなすようになったのか。漢字かなまじり文の成立する平安時代ごろまでの経過を,多くの史料に基づいて紹介している。
     文字のなかった日本列島に,紀元一世紀には漢字が伝わる。当初はそれが文字だという認識はなかったようで,単に鏡や印に彫られた,ありがたい模様としてうけとられた。それが,四百年ほどの間に漢文を作文することができるようになる。このあたりの事情は史料もないので想像するしかないのだが,とにかくこれが大きな一歩。
     五世紀半ば,漢字の音を借りて日本の言葉をあらわすことが行われはじめる。七世紀には,日本語の文法で漢字を並べた史料が出はじめる。一方,表語文字である漢字に対応する日本語をあてて,「訓」が確立するようになるのは六七世紀ごろ。
     このように長い時間をかけて漢字を消化してゆき,日本人はようやく漢字万葉仮名まじり文をうみだした。ここまでくれば,あとは万葉仮名がひらがな,カタカナにかわっていくだけ。

  • 『漢字と中国人』が中国人の漢字文化を紹介したものであるのに対し、こちらは日本人がいかに漢字を受容したかを概説するもの。

  • [ 内容 ]
    およそ二〇〇〇年前にやってきた中国生まれの漢字を、言語構造の異なる日本語の中にどのように取り入れたのだろうか。
    朝鮮の文化的影響を強く受けたその伝来の初めから、漢字文化が確立して、漢字に基づく片仮名・平仮名が誕生するまでの軌跡を興味ぶかいエピソードを交えてたどる。
    日本の漢字音と中国原音の対照表を付す。

    [ 目次 ]
    第1章 漢字が日本列島にやってきた
    第2章 “漢字文化”の伝来
    第3章 漢字・漢文学習の本格的な開始
    第4章 漢字文化の確立
    第5章 漢文の日本語化が始まる
    第6章 漢字“日本語化”の完成
    補章 日本漢字音と中国原音の関係を知るために

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本で使っている漢字はおよそ2000年前中国から伝来してきたものである。初めて日本語を覚える時に日本語にはひらかな、かたかな、漢字まで入って3種類の文字で構成されていて非常に勉強が難しかった。中国の漢字を日本語で読むのも大変だったし、読み方もなかなかわからなかった。
    日本語学校の時、日本人の先生が言っていた言葉が思い出した。「日本人は賢いよ、ひらかなとかたかな合わせて100文字しかないのに中国の漢字を利用して自分たちの文化ができている。」この言葉は冗談かどうかわからないが、確かにそうだな〜と思った。
    私は中国に生まれ、漢字を勉強したきて非常にうれしい。漢字という文字は非常に優れた文化だと思うから・・・

  • 日本における漢字の成り立ちについて書かれた本。補章の中国語との関連については相当難解な内容まで踏み込まれている。

  • <a href="http://www.toho-shoten.co.jp/jbook.jsp?isbn=ISBN4004310318" target="blank">→東方書店【中国・本の情報館】レビュー</a>

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