民権と憲法 シリーズ日本近現代史2 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2006年12月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784004310433

みんなの感想まとめ

明治時代の憲法成立を巡る政府、民権派、民衆の抗争を通じて、日本の国民国家の形成過程を描く本書は、歴史的な視点から重要な洞察を提供します。特に、1870年代の混沌とした時代背景の中で、国民意識の醸成がど...

感想・レビュー・書評

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  • 明治憲法の成立史を、政府と民権派、そして民衆の3勢力の抗争史として描き出す。日本で国民国家がいかに成立していったかを知る上で絶好の著作。

  • 明治政府成立間もない1870年台の混沌とした時代を、従来の政治中心の記述だけでなく、民衆から「国民」へと変貌する一般庶民の諸相・風俗を含めて概観する。

    天皇、憲法、政府、議会それぞれの位置付けすら定まらぬなかで、薩長の既得権益、外国からの圧力、国民からの自由民権運動に揺さぶられながらも、徐々に国の形が整っていく様子は、壮絶だ。この時代の人達をして(その後に軍国主義化するという道を歩むとは言え)「国を作る」という大事業を為し遂げさせたエネルギーとは、一体何だったのだろうか。

    今では普通と把えられることが多い伊勢神宮参拝や各種の天皇行事(新嘗祭、大嘗祭など)、学校での隊列体操、唱歌、万歳を叫ぶ風習などが、実は比較的新しいこの時期に、それも「国民意識」を据え付けるための道具として導入されたという考察は面白い。

  • 山川の次はこれを読め!!

  • 日本近現代史を学ぶ夏。今週は1870年代後半から大日本帝国憲法(明治憲法制定)あたりまで。議会制の動きや憲法制定のことだけでなく、自由経済、公衆衛生、学校、近代天皇制、あと家制度とか、「制度」の発祥を描いている。近代国家、それは国民国家と競争社会を内実としている。近代国家形成期の経験から学ぶべきことは多いと思われる。

  • 私には少々難しい内容でした。しっかり理解できたか怪しいので星4つにしていますが、本に責任はありません。自由民権運動が起きた時代背景や各キーパーソンとなる人たちの思惑などを丁寧に書いてあります。江戸時代から明治(近代国家)への変革期のため、社会・経済的な混乱もある中で、いろいろな人たちがそれぞれにとって良いと思う行動を積み重ねた結果として歴史があることを、少し実感しました。歴史を学ぶことは「世の中は複雑で、我々はその複雑さを理解できないこと」を知ることなのかもしれないな、と思いました。

  • 教科書的な知識をかなり網羅しつつ、テーマごとの見取り図も示してくれる良書。通史でこれだけ面白い本は貴重だと思う。

    西南戦争(1877)から大日本帝国憲法発布(1889)までの民権運動史を軸に据えつつ、その間の経済や社会、対外関係、学校教育などのトピックにも各章が割かれている。網羅性と深掘りのバランスがかなり好みで、通史の本にありがちな目の滑る感じもなく、かつ、1つの事件に絞って書かれた本のように食傷気味になったりもせずに新鮮さを保ちながら読み切れた。

  • 民法と憲法

    成立までの流れや東アジア世界の動きが目まぐるしい。

    今、憲法や法律が揺らいでいるのではないか。

    揺らぐではダメだ。

    変えるなら変える。

    変えないなら変えない。

    解釈だけで変えようとするのはずるいのではないか。

    変えるためには国民一人一人が他人事ではダメなのだが。

  • シリーズ日本近現代史の第2巻。西南戦争後の自由民権運動の胎動とその挫折や、国会開設、教育の普及、憲法発布、近代天皇制など、1870年代後半から1890年の国会開設前後までの歴史を、民衆の動きと絡ませながら説明している。

    この時期は、民権家を中心とした知識人が登場し始める時期で、個人的に興味のある内容が多かった。特に、自由民権運動は、今の日本人に様々な教訓を与えてくれるように思った。

    西洋文明国に並ぶため、必死に議論し考え、勉強する当時の人々の姿勢に学ぶことが多かった。

    全体を通して、この時期は問題が山積みな時期であると実感した。そんな問題の結果だけに目を向けるのではなく、過程に注目して見ることで、今日自分たちが直面している問題に向き合う際のヒントになるのではないかと思う。再度読み込んで、今を生きるためのヒントを探究出来ればと思う。

  • 1880年代に仕掛けられた一連の装置。

  • 本書の肝は第3章で、所謂「農民民権」を憲法制定や民選議院を求める民主化運動としての「自由民権」として扱っていいのかどうかであり、もはや止めようがない近代化に逆行する封建時代的「仁政」を求める民衆運動をどう評価し、解釈すべきなのかという点が問われているように思える。

  • この二巻目では、明治初期の「薩長土肥」の政治からアジア初の「憲法」を経るまでの話です。

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:210.63||M
    資料ID:95070030

  • 2006年刊行。著者は東京経済大学助教授。◆本書の叙述対象の時期は、西南戦争後に本格化した自由民権運動期から帝国憲法制定まで。また、この時期におけるステークホルダーとして、政府、自由民権運動参画者の他に、自由民権運動とは距離を置いた(つまり自由民権運動とは利害を異にする)民衆を想定し、その三極構造を前提として論を進めていく。◆デフレ政策である松方財政の中での、日本の工業化の進展、経済発展との連関性については再度検討が必要と感じた。

  • <目次>
    はじめに
    第1章   自由民権運動と民衆
    第2章  「憲法と議会」をめぐる攻防
    第3章   自由主義経済と民衆の生活
    第4章   内国植民地と「脱亜」の道
    第5章   学校教育と家族
    第6章   近代天皇制の成立
    おわりに

    <内容>
    岩波新書日本近現代史シリーズ第2巻。自由民権運動から憲法の完成期を描く。普段の授業で自由民権運動と経済や文化を分けて教えているので、例えば国粋主義の三宅雪嶺、日本主義の陸羯南などがこの時期に提唱していたことに気がつかなかった(勉強不足ですね)。政権内部の矛盾も多く描かれ(征韓論はともかく、明治14年政変期や憲法制定をめぐる争い、外交や軍事に関するところまで、政権内部も一枚岩でなかったことがよくわかった。そう考えると伊藤博文の努力には頭が下がる。

  • 著者はおわりにで謙遜しているが、新書として提供しうる最高の内容だったと思う。

    今の日本で当たり前だと想われていること、いわゆる日本近代文化というものが、この時代に根を持っていることが分かったからだ。

    ・民権運動の中で、芸妓さんや視覚障害者も演説会を催し、参加していた。
    ・「蛍」「隅田川」は賛美歌が原曲、「君が代」も賛美歌経由の歌。
    ・ナショナル・ミュージックと斉唱というスタイル。体操と万歳も。
    ・福沢諭吉:身→家→国家の独立。明治以降の家制度は封建的というより近代国家に共通する家長制の一つ。
    ・民法、商法のあと、憲法ができた。
    ・「バンザイ」が集団としての一体感をつくった。

  • 勉強になりました。

  • 明治維新後、どんな政治が行われ、人々がどんな生活をしたか。

    意外に知らない人が多いのでは(私だけか・・・?)

    当然江戸から明治になったからといって、急にすべてを変えるのは不可能。

    紆余曲折あった。

    何せ憲法ができるまで20年以上かかっている。

  • 自由民権運動や憲法作成について。

  • 日本の近代の礎が、イギリスやドイツから学んだことは、
    漠然とは理解しているつもりだった。
    個々のことは、うまく記憶できていないことが分かった。

    明治以降の日本の歴史を紐解いていくとよいと感じた。
    今、何をすべきかが分るかもしれない。

  •  日本国にとって、近代化のためにも、憲法制定は必要不可欠な事項であった。薩長が独占していた国家だけではなく、政争で敗れた維新側、一般民衆も同様にそれを望むが、それぞれの利害は対立しあうものだった。そんな対立を描いてくれる本。
     日本史(の近代史)のベースが自分の中にないためちょっと評価しづらい。しかし、日本史をやっていない人間が想起する「政府v.s.自由民権運動」という構図が実際は誤りであり、民権派と民衆の間で齟齬が起こっていることが見えたのが自分には有益だった。

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著者プロフィール

元・東京経済大学経済学部教員、2016年死去

「2019年 『牧原憲夫著作選集 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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