日清・日露戦争―シリーズ日本近現代史〈3〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.45
  • (5)
  • (19)
  • (37)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 219
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310440

作品紹介・あらすじ

立憲国家となった日本は、日清戦争、北清事変、日露戦争とほぼ五年ごとに大きな戦争を繰り返し、台湾と朝鮮という二つの植民地を獲得した。帝国議会が開かれた国内では、藩閥政府と民党のせめぎあいが続く一方、国民統合の動きも見られる。「輝かしい明治」像を問い直しながら、「大日本帝国」が姿を現した世紀転換期の二〇年を描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 新書文庫

  • ここに描かれた20年間(1890-1910)は、驚異的に野蛮、蒙昧、非礼な暗黒時代と見るしかない。委任されていない。図書館本。74

  • <目次>
    はじめに
    第1章  初期議会
    第2章  条約改正
    第3章  日清戦争
    第4章  台湾征服戦争
    第5章  日清戦後と国民統合
    第6章  民友社と平民社
    第7章  日露戦争と韓国併合
    おわりに

    <内容>
    淡々とした記述が進む。与えられたページ数と書きたいことの狭間で著者が悩んだ感じがする。しかし、リアルなおさえた記述が妙に響いたりする。日頃の授業で単純化された描写しかしてこなかったので、こうした本は役に立つ。

  • 読了。

  • 断絶した個別の戦争史ではなく、一貫した日本の舵取りの難しさを感じた。良心もあったけど、主流にはならない。主流はプラグマティズムときどき奢りである。朝鮮、清の蹂躙ぶりの原因がつぶさに記述されていないのが残念。しかし、やっと日本の歴史がおぼろげながら浮かび上がってきた。天皇の責任は重かったのだな。

    ・天皇史上初の神前結婚式
    ・不潔と匂いと優劣と殺戮
    ・十九世紀以降のアジアの危機は日本が呼び起こした。
    ・国語の誕生

  • 勉強になりました。

  • 政府と議会の対立と提携、日清・台湾制圧・日露それぞれの戦い、国内の産業育成や文学・メディア、と多様な内容だが、背景にある一貫性が本書からは明確に感じられず、必ずしも一般読者に知識がないであろう語が説明もないまま使われている例もあり、散漫な印象を受けた。特に日清戦争後は政府も議会も「軍事大国の道を進む」(120頁)意見が多数を占めたとのことだが、なぜそこまで受け入れられたのか、本書だけでははっきりしない。単なる世間の雰囲気のみならず、戦争や軍拡は大幅な歳出増という実質的な痛みを伴ったのに。新書の通史という形態の限界だろうか。

    その中で、筆者の主張らしきものをいくつか拾い上げれば以下のとおり。

    ・日清戦争の報道に対する共感が国内で共有されることにより「国民」が形成され、戦後は教育と活字文化の普及が進む。日露戦争後も戦争の記憶の共有が行われる。

    ・アジアは一時平和だったのに、清が弱体だと暴露し、1880年代にアフリカ分割を終えた欧米列強の目を再びアジアに向けさせたのは日清戦争。この点では日本の外交的失敗。

    ・台湾と韓国は日本統治下になり、住民は大日本帝国の「国民」とされたが、日本人である「国民」とは大きな溝があった。また資本は投下されたが、結局は日本による収奪が目的だった。(日本に限らず植民地とは本来そういう構造だろう。ただ台湾と韓国の住民は名目上は「国民」であった点が欧州による植民地支配とは異なるのかもしれない。)

  •  歴史を読むとは実に難しい。これだけ読み込んでも明治における「藩閥政府」と「政党」における権力関係がよくわからない。
     また、詳細に「元勲」や「政党」の動きが語られるのだが、その動きが何を意味するのかも、よくわからない思いを持ったが、「条約改正」が大きな課題であったこの時代背景を思うと、「国際社会」との関係が大きな意味をもっていたのだろうか。
     「日清戦争」や「日露戦争」についても、その経過は読めばわかるのだが、その「戦略目的」がよくわからない。当時の日本は、何のために「戦争」という最終手段に訴えたのだろうか。
     本書による当時の日本政府は、ほとんど迷いも無く戦争への道を進んだようにみえる。
     山縣有朋の「主権線」と「利益線」という主張は理解できないわけではないが、その後の歴史を見ると、「止めどもない進出」というリスクをだれもが考慮しなかったのだろうか。
     「日露戦争」が「祖国防衛戦争」であったという「司馬遼太郎の歴史観」がどうやら誤りであったことは、最近の研究でも明らかになりつつあるが、それならば1910年の「日韓併合」はどう考えれば良いのだろうか。
     本書は、近代日本史における「日清・日露戦争」と「日韓併合」を詳細に扱ってはいるが、その歴史的位置と意味には、あまり踏み込んでいないように思える。
     本書の「おわりに」において「1945年の敗戦という、いわば外圧によって台湾や朝鮮を手放すことになった近代日本は、安易に植民地問題を解決したのだという歴史的経緯を繰り返し思い出さなければならない」との考えには、日本の歩んできた道への批判的トーンを含んでいるが、ここまで歴史を深堀するならば、日本がどこで誤ったのかをも進んで語って欲しかったとも思った。

  • このページ数で二つの戦争を詳細に書くのは難しいだろう。

    流れを追っただけの感じはする。

    しかし5年ごとに戦争をした日本。

    まさに激動の時代だった。

  • (2012.01.31読了)(2012.01.24借入)
    「坂の上の雲」を読み始めたのですが、日清・日露戦争についての本をあまり読んだことがないので、「坂の上の雲」を読むのと並行して日清戦争、日露戦争についても読んでみようと第一弾として借りてきました。
    学校の教科書と同様、一つ一つの事柄についての、詳しい説明がないので、せっかく読んでみたけど、さっぱりわかりませんでした。
    もっとテーマを絞り込んだ本にしないといけないのかもしれません。

    この本の目次は、以下の通りです。
    はじめに―日本へ、アジアへ
    第1章、初期議会
    第2章、条約改正
    第3章、日清戦争
    第4章、台湾征服戦争
    第5章、日清戦後と国民統合
    第6章、民友社と平民社
    第7章、日露戦争と韓国併合
    おわりに―「輝かしい明治」論とナショナリズム

    ●大津事件(18頁)
    1891年5月11日、来日中のロシア皇太子ニコライ・アレクサンドロヴィッチが、滋賀県大津町において、沿道警備の巡査に襲撃され負傷した
    ●衛生と清潔(73頁)
    日清戦争の兵士は、1872年の学制発布後に生まれている。彼らは、学校と軍隊という二つの教育により、「衛生」や「清潔」について、念入りにたたき込まれるという経験を、理念的にも、身体的にも経験してきている第一世代である。兵士たちは、克服すべき対象の欠陥に最も敏感であり、「不潔」と「匂い」の向こうに、必ず「遅れた文化」も見据えている。平壌を占領した後備歩兵聯隊の軍曹は「朝鮮と申す処は御承知の通り野蛮も甚だしき処に御座候」と故郷への手紙の冒頭に記した。
    ●旅順虐殺事件(75頁)
    1894年11月21日未明から旅順攻撃を始め、正午ごろには周囲の砲台等を占領した。午後以降市街と付近の掃討作戦が始まる。
    そこで捕虜や、婦女子や老人を含む市民を虐殺する事件が起きた。
    ●軍夫(80頁)
    物資輸送の根幹を担った軍夫たちは歴史にほとんど記録されなかった。戦病死した軍夫たちも、政府の『官報』に掲載されることはなかった。
    ●台湾占領と鎮圧(102頁)
    1895年5月末から1902年5月末まで台湾統治のための鎮圧が行われた。
    ●国際結婚(127頁)
    近代の国際結婚は、1873年3月の太政官布告第103号で規定された。国際結婚には政府の許可が必要で、①外国人と結婚した女性は日本国籍を喪失、②日本人と結婚した外国人女性は日本国籍取得、③日本人の婿養子となった外国人は日本国籍取得、と身分行為による国籍の得喪を規定している。英国人ラフカディオ・ハーンが日本国籍を取得するのは③に基づく。
    ●日清戦争の賠償金(191頁)
    日清戦争の賠償金支払いに困窮した清国は、1895年7月、仏露の4億フラン共同借款を受け入れる。次いで翌年、英独も1600万ポンドの共同借款を提供した。財政的に破綻していた清国は、日本への2億両もの賠償金支払いで、諸列強の金融に依存する構造となって行った。
    ●軍事費(209頁)
    日露戦争の軍事費は、戦時下に5回募集された外債10億4200万円が過半を占めている。
    ●奉天会戦(212頁)
    参加兵力は、日本軍25万、ロシア軍31万で、死傷者は日本軍7万名、ロシア軍6万名、他にロシア軍は2万名の捕虜を出した。

    ☆関連図書(既読)
    「坂の上の雲(一)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
    「坂の上の雲(二)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
    「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子著、朝日出版社、2009.07.30
    (2012年2月5日・記)

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年、岡山県に生まれる。1982年、大阪大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。現在、佛教大学教授。 ※2015年5月現在【主な編著書】『日本近代都市史研究』(思文閣出版、1997年)、『国民軍の神話』(吉川弘文館、2001年)、『日清・日露戦争』(岩波書店、2007年)、『日清戦争』(吉川弘文館、2008年)、『兵士はどこへ行った』(有志舎、2013年)

「2015年 『軍隊と地域社会を問う 地域社会編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

原田敬一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

日清・日露戦争―シリーズ日本近現代史〈3〉 (岩波新書)に関連する談話室の質問

日清・日露戦争―シリーズ日本近現代史〈3〉 (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする