大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉 (岩波新書)

著者 : 成田龍一
  • 岩波書店 (2007年4月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310457

作品紹介

多彩な言論や社会運動が花開き、政党内閣の成立へと結実した大正デモクラシーの時代。それは、植民地支配が展開する時代でもあった。帝国のもとでの「民衆」の動きは、どんな可能性と限界をはらんでいたか。日比谷焼打ち事件から大正政変、米騒動、普通選挙の実施、そして満州事変前夜に至る二五年の歩みを、「社会」を主人公にして描く。

大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 日露戦役後、坂を登りきった日本の25年を内に立憲主義、外に帝国主義のコントラストで描く。世界的には第一次大戦の規模からもわかるようにグローバル化の深化がある時代である。本書では国内的に大衆社会化が進展する様子を様々な切り口で解説する。(ただ、民俗学の常民のくだりだけは本書から浮いているように見える)
    原敬日記「将来、民主主義の勃興は実に恐るべし、是れ余も官僚も同様に心配する所なるが、只官僚は此潮流を遮断せんと欲し、余らは之を激盛せしめずして相当に流通して大害を起こさざらん事を欲するの差あり」とある。1905日比谷事件、1918米騒動、1923関東大震災の虐殺と、もはや逆行することのできない大衆化の深刻さと為政者の危機感が伝わる。本書で25年体制と呼ぶ普選と治安維持法の成立は、改めて大変象徴的に感じる。
    本書では、対外的な帝国主義のブレーキにならなかった大正デモクラシーの限界を述べるが、大衆にとって自身の利益を追求する手段という意味では、立憲主義と帝国主義は全く矛盾することのない一貫したイズムだったのではないだろうか。そして大衆の欲望と政党政治に対する失望、また為政者による国体の守護という目標、これらがない交ぜになって1930年代をむかえたと考えるとき、大衆社会にとっての大正デモクラシーとは高邁な思想だったのではなく、自己目的のツールのひとつに過ぎなかったことを思い知らされる。

  • 2007年刊行。著者は日本女子大学人間社会学部教授。日露戦争後から満州事変まで。表題の「大正デモクラシー」の功罪、あるいは意義と限界を基軸に据えた一書。

  • 新書文庫

  • 当時の市井の人々はどのように思って生きていたのか分かりませんが、現在から振り返ってとても暗い時代だったように感じます。第二次世界大戦の戦場で亡くなった人も圧倒的に大正生まれの人たちだったように思います。大正天皇も若くして薨去されました。韓国併合や第一次世界大戦、米騒動そして関東大震災と塗炭の苦しみを生きたように想います。この平成の世は100年後の世から振り返ったとき、どのような時代だったと評価されるのでしょうか。

  • 読了。

  • 岩波新書日本近現代史シリーズの第四巻。
    各章ごとの参考文献や略年表もついていて詳しい。
    教科書で知ってる大正デモクラシーだけど、もちろん教科書には載らないことが詳しくて、ずいぶん面白い。

  • 言論の自由がある程度あったにも関わらず、帝国主義を乗り越えるような言は皆無だった。支配者からの側の変革がいかに難しいか。植民地の問題を通して、国家という単位は限定づきながら、重要であることを苦くも受け入れざるを得ない。

    植民地での参政権獲得(同化)と議会設立(自主)のジレンマからも、対等な国家成立が論理的には導かれる。

    普選が導入された後、無産政党が議席を思ったほど伸ばしていないことに、多少の失望とともに、もう少し分析を加えたくなった。

    治安維持法には様々な批判、反対意見が寄せられていたんですね。

  • 勉強になりました。

  • 少々物足りなさを否定できないが、それは叙述が時間の不可逆性に対する感度が低い”オーソドックスな”スタイルであることにも起因していると思う。
    まぁシリーズものだから内容が総花的にならざるを得ない面も多々あるのだろうが、現在そして将来の日本を考えるにあたり、個人的にはこの時代、つまり日本人にとってデモクラシーとは本当に腑に落ちている思想なのか?の検討が最も重要だと思うので、評価も厳しくならざるをえない訳で。

  • これ一冊で大正デモクラシーを理解しようとする目的に叶う本ではない。多少の前提知識を持った人が、本書内で提示される資料に基いて理解を深めようとする本。

    ぼくの場合は持っている知識が少なく、存分に楽しめたとは言えない。それでも、女性雑誌などから引く社会風俗に関する資料などは面白く読めた。また刊行間もない左翼系雑誌のアジテーションも、雰囲気まるごと懐かしく感じられる。

    新書でありながら、資料を広く求めているので深みという点ではもちろん不満は残ると思う。ただ幅広さ故に自分の知っているところ(資料を楽しめるところ)と、今後の興味に繋がるところ(資料を読み解けなかったところ)の双方がある。自分のレベルに応じて何度か改めて楽しめる本だと思う。

    # ちなみにブクログに登録した引用箇所は社会風俗系にばかり流れてしまっているかもしれない^^

    第一章 「民本主義と都市民衆」
    第二章 「第一次世界大戦と社会の変容」
    第三章 「米騒動・政党政治・改造の運動」
    第四章 「植民地の光景」
    第五章 「モダニズムの社会空間」
    第六章 「恐慌化の既成政党と無産勢力」

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