ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.54
  • (11)
  • (26)
  • (38)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 313
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310501

作品紹介・あらすじ

バブルとその後の長期不況、深まる政治不信、そして高まる社会不安。列島が酔いしれた高度成長の夢のあと、何が待ち受けていたのか。崩れゆく冷戦構造のなかで、この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか。六〇年代半ばから現在まで、政治・経済・社会・家族…すべてが変容し崩壊していく過程をたどる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 社会

  • この九巻では、1971年の「あさま山荘」事件から1995年の「阪神淡路大震災」までの解説とこれからの日本と東アジア関係が書かれています。

  • しばしば見田、大澤などの論を無批判に受け入れ、抽象的な議論を展開しているのは気になるが、同時代を書こうと思えばある程度そうした踏み込みは必要なのかもしれない。基本的には良質な現代史。

  • 浅間山荘事件以降の歴史をざっと記述している。ただ著者は社会学者なので、歴史というよりは社会学的な視点で見ているという印象を受けた。まあ、3,40年前なので歴史とは言い難いか。

  •  このタイトルの<ポスト戦後>を述べるとなれば、戦後は何時終わったのかを考えねばならない-と著者は先ず語る。

    だがこれについての共通意見が現在確立している訳でもない。
    「もはや戦後ではない」とは1956年の経済企画庁『年次経済報告』だが、これは55年から始まった高度成長政策により、戦後の<復興>から、新しい経済成長時代に転換したことを宣言したものだろう。
     しかしまたメディアなどで「戦後60年」と言われたのは,21世紀になってからだった。

     歴史と文学は時差があっても当然かもしれないが、例えば思潮社の『戦後詩選』(06/6)で、編者のひとり大岡信は次のように考える。ひとつは大阪万博,そして翌年の三島由紀夫の自衛隊乱入と自殺。つまり70年初頭で<戦後>は終わったのだ。

     で、実は本書も似たようなくくりをしている。「はじめに」に掲示している表は,戦後社会を1945年から70年代前半とし、ポスト戦後社会を70年代後半から現在までとする。
     沖縄復帰が72年5月で、これにより米軍の日本占領はすべての地域で完了したのだから、この辺りは妥当なのだろう。
    しかし安保条約により米軍が、日本国土を軍事的治外法権的に占拠している問題の解決はまだついてないが。

     目次は次のとおり。
    1-左翼の終わり
    2-豊かさの幻想のなかへ
    3-家族は溶解したか
    4-地域開発が遺したもの
    5-「失われた10年」のなかで
    6-アジアからのポスト戦後史

     この一冊はシリーズ「日本近現代史」の最終の第9册にあたる。そして歴史とともに,現在只今の事象を書くということは、なかなか難しいように見えた。 そして「おわりに」として<ポスト戦後史のかなたへ>という一節の最後に著者はこう書く。
     「<グローバル>という地平には包摂され得ない無数の人々の声や心情が,一体化する世界といかに結びつき,新しい社会のどんな歴史的主体を可能にしていくかに、21世紀の歴史は賭けられている」
     この展望で,今後の時代の潮流が辿れることを強く期待したいものだ。

  • 読了。

  • 課題図書

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]080/I-3 [資料番号]2008112074、2009101109、2009101110 、2009102980 、2009101834、2010101521、2010108065

  • 「あとがき」まで読んで、優れた一書であることを痛感。戦後の事件やイベントを巡る解釈や視点じたいが大変、興味深い。しかし、最後の方になって、だからそれがなに?という疑問がふつふつと沸いてきた中で、あとがきで、ガツンと気合いを入れられた感じがした。歴史の脱構築である。

    ・べへいれんのシングルイシュー主義。
    ・<未来>を準拠点にして現在を位置づけることは、近代社会の根幹をなす価値意識。これがなくなりつつある。『現代日本人の意識構造」から
    ・この30年間で地方農村でも社会関係が「都市化」され、全人格的なつきあいは厭われるようになっていった。
    ・石原慎太郎による環境行政の後退。
    ・六ヶ所村は満州、樺太からの開拓移民が移住した。
    ・87年から10年で日本の国土の16%がリゾート開発。
    ・神戸の震災は「都市経営」という考え方そのものへの反省を迫っている。収益性の重視、住民福祉の軽視。
    ・右傾化と親米の親目。
    ・歴史とは、時間的である以前に空間的。単一の通史は存在しない。

全34件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

吉見 俊哉
吉見俊哉:東京大学大学院情報学環教授
マイク・フェザーストーン:ロンドン大学ゴールドスミス校教授

「2015年 『メディア都市』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉見俊哉の作品

ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする