数に強くなる (岩波新書 新赤版 1063)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310631

作品紹介・あらすじ

「数字なんて見るのもイヤッ!」…とはいっても、仕事でも何でも付いて回るのが、数字の厄介なところ。この本は、日頃そんなふうに感じている人のための本です。『直観でわかる数学』のハタムラ先生が、とっておきの「数の極意」を伝授します。読めばたちまち効果テキメン。数字に負けない地力とシブトさが身につきます。

感想・レビュー・書評

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  • 数のウラを読む、とか補数の概念は非常に共感できる話であった。人が作った数は頭に入ってこない、自分で数を作り出すことが大事、答えを写して終わりの奴が一向にできるようにならないのと同じだと感じた。
    1人当たりの数に置き換えて考えれば実感が沸く、そういう視点でいろいろな世の中の数をとらえることができるようになりたいと思ったが、その為にはある程度の数を知識として覚えていなくては難しい。やはりインプットとアウトプットを繰り返す訓練がここでも必要なのだろう、と思う。
    「直観でわかる数学」にも少し興味が湧いた、作者と岩波書店の企み通りに…笑

  • 数には沢山の属性がくっついている
    豚肉400gから連想 カリーライス5人前?ロースハム1本?ハンバーグ3個?
    数に強い人は、1つずつの数にまつわる、ありとあらゆる属性を考えて複雑にしたり、その属性を振り落としたり、くっつけたり、とても豊かで生きいきした扱い方ができる
    「何かを作りたい」と考えると、それにひつような要素をすぐ探しに行ける。必要とする要素がなくねも、そこに仮にあるものとして組み立てることができる。物事をよく見て考えている人は、こういう動作ができる
    強いというのはシブトイということである。教わってないからわからない。そういう泣き言は口が裂けても言わない。知らなくても、教わってなくても、とにかくカマッタコッチャナイから自分なりの何かをひねくり出す。それが強いである

    たとえ知らなくても、作る努力をしなくてはいけない。必要な数は、見たその場で作れなくてはいけない
    思考回路はトライアンドエラーで作られる
    倍、半分は許される。ケタ違いはいけない
    倍、半分は許されるという基準は、何もわからない世界へ出ていくときの最強の武器になる。エイヤッでどんどん動いていけるからこそ、ちょっとやそっとで死なないシブトさが出てくる。

  • 失敗学の権威が書いた「数」に強くなる本。
    数字を丸めて、大雑把に記憶する習慣をつけることで、数に対する直観が研ぎ澄まされる。
    例えば、江戸時代の水飲み百姓という言葉、文字通り水を飲むしかないほど貧乏だというイメージは沸くが、具体的に数字で考える。水飲み百姓は地主から3反歩(1反歩=4石だが、肥料も少ない時代だから取れ高を半分の2石とすれば、6石)借りて、1年で6石、半分は地主の取り分なので残り3石、1石=1000合なので、3000合となり、1日3食一人1合づつ食べると1年1人1石となり、3人分の食糧となるが、農家は人手がかかる大家族なのでこれでは足りない・・という風に考えてみる。
    この場合、1反や1石などの基本単位がどのくらいかを覚えておく必要がある。同様に、4-4-9という数字もデンプン1g4kcal、タンパク質1g4kcal、脂肪1g9kcalさえ覚えておけばカロリー計算もできるようになる。
    岩波新書ですが、とにかく気軽に読める内容です。

    著者プロフィール:
    東京大学名誉教授、工学院大学教授、工学博士。東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会・元委員長。消費者安全調査委員会・委員長。1941年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。東京大学教授を経て現職。専門は失敗学、創造学、危険学、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。著書に『失敗学のすすめ』(講談社文庫)、『直感でわかる数学』(岩波書店)、『未曾有と想定外』(講談社現代新書)など多数。
    「2020年 『図解 使える失敗学大全』 の紹介文」

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  • 読みやすい。著者の言っていることも一部はわかる。
    ただ実践は容易ではないし、今はそれが不要な世の中になってきている。少し時代遅れに思う(14年も前の本なのでそれはそうなのだが)

    後半はぐだぐだ感。消費税が上がっても暮らしは変わらないように、著者ならではのこじつけを押し付けられてしんどい。絵がとにかく下手。

  • 鉄の比重とガランドウの割合から、おおざっぱに車の重さを算出すると、いい数字になる。
    こういうことが出来る人が、数につよい、っていうんだろうな。
    自分の評価は2割増、というくだりでは、「そのとおり!」と思いました。

  • 836

    畑村 洋太郎
    1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授 を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主 宰。’02年にNPO法人「失敗学会」を、’07年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる

    筆者の考えはこうである。「もう数なんて見るのもイヤ!」と 人がなるのは、「数は厳密なものだ」「数は正しくなくてはいけ ない」と思い込まされるからである。これが、人が数ギライにな る、最大にして根源的な理由である。こういう思い込みが人を圧 迫し、強迫観念にも近い恐れを抱かせるのである。

    文科系の人は、情緒が必要ないところまで情緒でやろ うとすることがあるので困る。数は理科系の人間だけの専売特 許で、数学が得意な人だけが考えていればいいもの、白分には 関係ないものと思い込んでいる。しかし、そうではないのであ る。ただし、理科系の人もよく自分のことを顧みた方がいい。 理科系というところは、数や構造にばかり関心があって、情緒 は煩わしくて考えたくないという人間が逃げ込んでいる駆け込 み寺である。情緒で行かなくてはいけないことも、時にはある のである。

    しかし、「全体の傾向を見る」ということは、とてもよくやっ ている。そして、この「全体の傾向を見る」という動作には、本 人が意識しているかしていないかは別にして、じつは微分的な発 想が含まれているのである。 一方、「全体の量がどのくらいになるか」ということもよく見 ている。こういう動作は、じつは積分的な概念である。横軸に時 間をとって、トータルでお金はどれだけ貯まっていくか、という 発想は積分そのものである。

    欧来の人たちは、数をかぞ えるときには「千(tousand)」を基準にしている。たとえば、105000という数を見たときには、「千が105個ある数だ」と認識する。そこ で、数を表記するときは、千ごと(3ケタごと)にカンマで区切って、105,000と書く習慣になっている。

    「自己評価は2割増しの法則」というものがある。これは別の言い方をすると、「他 人の評価は正しい」ということである。 たとえば、勤続年数が大体20年を過ぎた会社員で考えてみよう。このくらいの中堅 社員になると、経験をたくさん積み、自信も付いて、「俺は会社にとって大事な仕事 をしているぞ」と思うようになるものである。

  • 「数に強くなりたい」、多くの社会人が身につけたいと思うスキルの1つだと思います。要は訓練なんだと思います。日頃から、自分の頭で色んな数をこねくり回すことが大切であると本書では述べられています。かなり脳に負荷のかかる、しんどい作業ですが、結局自分の頭で考えないかぎり、数に強くなりませんし、思考力は身につかないんだと思います。最近流行りのロジカルシンキング本を何冊読んだところで、わかった気になるだけで、論理的思考力は身につかないんですよね。ということで、脳みそに汗をかきましょう!

  • この畑村氏は「失敗学」を標榜して活動しているが、最初あやしいげなおっさんだなと思ったが、NHKで六本木ヒルズの回転ドアの事故の調査分析の様子を見たら、「なるほど、本当に賢い人とはこういう人のことをいうのだな」と納得させる内容だった。

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著者プロフィール

1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主 宰。2002年にNPO法人「失敗学会」を、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。著書に『図解 使える失敗学』(KADOKAWA)、『失敗学のすすめ』『創造学のすすめ』(講談社)『技術の創造と設計』(岩波書店)、『続・実際の設計』(日刊工業新聞社)『3現で学んだ危険学』(畑村創造工学研究所)など。

「2022年 『やらかした時にどうするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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