少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.48
  • (13)
  • (28)
  • (52)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 328
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310709

作品紹介・あらすじ

少子化のスピードが加速している。この三〇年で出生数は半減、未婚率は急上昇し、日本は人口減少時代に突入した。なぜここまで深刻化したのか。その決定的な理由を探るために、若者の不安定な職業状況、様々な格差の拡大、パラサイト・シングル現象の進行、恋愛・結婚観の変容などを分析。とるべき少子化対策は何かを考える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • タイトル通り日本の少子化問題を扱った著書です。

    少しでも子育てがしやすい雰囲気・環境が整備されてほしいですし、少数の反対意見に屈して保育園を造らないといったことがないように強く願うばかりです。

  • 日本の少子化について、女性が働くようになったからではなく、他の原因があるのではないかというのがきっかけで書かれた本。
    合計特殊出生率が低いのは一時的なものとバブルの頃には言われていた。
    少子化は結婚、子育てなど身近な領域のため、誰でも発言ができる。
    少子化の主因は若年男性の収入の不安定化とパラサイトシングル現象の合わせ技。
    何かから逃れるための消極的な選択肢としての結婚があるように感じる。

  • 少子化は何故起こっているのか、分かりやすく様々な角度から、しかも一般的に言われている角度ではないところから論じている一冊。

  • 日本の深刻な少子化が
    ①日本の文化的な背景(パラサイト社会)
    ②社会構造転換のタイミング
    (ニューエコノミーと男女共同参画)
    ③若者対策の遅れ
    など様々な要因が複雑に絡み合った結果生じているのだと分かった。すごく分かりやすくて勉強になった。
    少子化問題を解決するためにはただ「子どもを産めばよい」とかそんな簡単な話ではなくて、社会的な政策や、文化的な特徴なども考慮して、10年先、50年先を見据えて長期的な取り組みをしないといけない。
    でも解決する日が本当に来るのだろうか…

  • 少子化については国も以前から課題にしていたが、本気で対応しだしたのは最近になってからだと思います。この本が出版されたのは2007年であり、リーマンショック前です。若者の結婚を阻む雇用・経済情勢は更に悪化しています。私も数年前に三年間東京で生活しましたが、東京では若者がうじゃうじゃいるので少子化の実感が湧かないから対応が後手になるのかなと思います。

  • 晩婚化、非婚化、少子化の原因は若者の将来的な収入見通しの低下とパラサイト文化の合わせ技。なるほどな~納得するところ多数。
    まぁ…少子化はたしかに大変な問題なのかもしれないけれど、だからといって社会全体のために子どもを産むって人もいないだろうしねぇ。自分が働くだけでいっぱいいっぱいなのにその上社会の将来を左右させられてもな。
    そもそもこういうのを我々適齢期の人間が他人事として読んじゃってるところが救いようない気がします。

  • 日本の少子化の主因(p10)
    ①若年男性の収入の不安定化
    ②パラサイト・シングル現象
    ①②の合わせ技(交互作用)

    少子化を社会問題と考える最大の理由(p31)
    「地域格差」「家族格差」を伴っているため。

    人口が少なくなるから大学に入りやすくなるとか、好きな職業に就けるようになると言う人もいる。しかし、入学しやすくなった大学は、行く価値も減じていく。(中略)職業となると、これは、それ以上に見込みがない。(中略)人口が少なくなれば、必要とされる医者の数も減るだけで、全体的ななりやすさには変わりはない。むしろ、高齢の専門職に人が居残れば、逆に、若者はなりにくくなる可能性もある。(p33)

    子育ての2つの条件(「あたりまえ」の事実)
    ①お互い結婚したいと思う相手に出会うこと
    ②子どもを育てるのに十分な経済力があること
    この「あたりまえ」の事実こそが、少子化の議論において、ほとんど触れられてこなったのである。
    なぜ、触れられなかったか。それは、(結婚相手としての)魅力や(子どもを育てていくための)経済力は、みな平等に備わっているわけではない。つまり、格差があるからである。そして、官公庁やマスコミは、この事実に触れることを極度に嫌がってきた。なぜなら、平等を建前とする近代社会においては、政府や社会は、格差が存在することを認めたくないからである。(p56-p57)

    「希望は努力が報われるときに生じる」社会心理学者ネッセ(p88)

    パラサイト・シングル(p114)
    定義「学卒後も親に基本的生活条件を依存してリッチな生活をしている独身者」(1997年初出)

    1992年にバブル経済がはじけ、1990年代後半に入ると、若者をめぐる経済状況が悪化した。1990年代頃までは、「男性一人の収入では豊かな結婚生活を期待できない」から結婚を先延ばしにする人が増えたという認識でもかまわなかった。しかし、近年は、結婚後の豊かな生活を期待するどころではない。「男性一人の収入では人並みに暮らしていくことさえもできない」状況が出現したのである。(p126)

    リスクヘッジ(リスク対処)の原則は、「ミニマックス」戦略である。可能性が高いうち最悪の場合を想定して対策をとる必要がある。そして、最悪の場合(夫が失業したり、収入が上がらないことなど)を想定して生活設計をすれば、結婚生活を始めたり、子どもを産むことを先送りすることが、最も合理的な選択肢となるのである。(p132-p133)

    ヨーロッパの多くの国々では、政府が若者対策に乗り出した。貧困に陥っている若者を放置していては、社会不安に陥る。そこで、特に、子どもを産み育てる若者に対する経済的手当や就業対策が手厚くとられた。つまり、低収入で非正規雇用に就かざるを得なくても、子どもを育てて「人並みの」生活を送ることができる条件を整える。社会福祉制度が遅れていると言われているアメリカでさえ、貧困層向けのプログラムが充実しているのだ。
    (中略)
    若者は、リッチな生活を営むために親にパラサイトするというよりも、パラサイトしなくては暮らしていけない状況に追いこまれたのである。親が政府に代わって、若者の社会保障を行っているようなものである。だから、政府が「若者対策」をほとんどしなくても、大きな社会不安は起きないで済んでいたのだ。(p136)

    日本では、タイミングが悪かった。女性の職場進出が本格化すると同時に、ニューエコノミーが浸透し、若者の雇用の二極化が進み、フリーターや派遣社員などが増えた。正社員になっても、成果主義の導入により、全員の昇進が期待できない職場も多い。これは、女性差別が原因という以上に、新しい経済が、男女ともに、非正規雇用を増やし、正社員の処遇格差を進めたという方が正しい。つまり、男女雇用機会均等法ができたと同時に、未婚女性の非正社員化がかえって進んだのである。(p150)

    意図的に出産がなされなくなった要因(p158)
    ①経済的要因
    ②セックスレス(夫婦間のセックスの減少)
    ③離婚

    夫の育児、家事参加について多くの調査がなされている。そして、夫の家事、育児参加を増やす最大の要因は、妻の「収入」であることが分かっている。妻の収入が高くなると、夫の家事、育児時間が増え、妻の収入が低ければ夫は、家事、育児を手伝わない傾向が見られる。夫の家事参加が遅れているのは、妻が夫の収入に匹敵する収入をもった職に就けないことが一因である。(p161)

    近年、よく持ち出されるのは、「結婚し、子どもを持ちたいのだけれどももてない人に対して、公的支援をするべきである」というロジックである。ただ、このロジックだけでは、正当性は調達できないのではないか。「国民が欲求をもっていてそれを実現できないのなら、それを支援すべきである」ことを一般化すれば、これは、正当性がなくなる。「自家用車をもちたいけれどももてないから、公的に支援しろ」と言っても、一笑に付されるだろう。
    このロジックを成り立たせるには、結婚し、子どもをもつことは、もしそれを人が望むならば、優先的に叶えなければならない、いわば基本的人権に近いものであるという合意が必要なのではないか。私の立場はここにある。(p194-p195)

  • 少子化の原因について、データをもとに立証。やはり、格差社会、不安定雇用の中で生まれていることなのだ。

  • 少子高齢社会論のテキスト

  • 『パラサイト・シングル』という言葉で有名な、山田先生の本。
    現在、中央大学の教授。2007年初版。

    自分の中で、「社会」の現在の在り様を理解すること、将来的な姿を予測することは、その中で生きていく上でとても大切なことだと思っていて、
    自分の生き方にも、働き方にも、あるいは幸せというものに対しても、自分の中での基準・軸を定める上で、大切な作業だと思っている。

    「少子高齢化」というのは、日本が今後進んでいく社会の在り方の一つの姿。
    それが、どのような背景のもと進行していき、また、具体的にどのようになっていくのか、イメージを掴む上で、本書はとても役に立つ。

    「なぜ結婚できないのか」
    「なぜ子供を産まないのか」
    といった身近な問題から社会的な少子高齢化まで数字やデータを使って丁寧に書かれていて、とても納得感がある。

    比較的読みやすい本なので、人口問題に関心のある人に限らず、多くの人にお勧めしたい本。
    760円はコストパフォーマンス高いです!!

全37件中 1 - 10件を表示

プロフィール

山田 昌弘(ヤマダ マサヒロ)

1957年、東京生まれ。1981年、東京大学文学部卒。
1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。コピーライターとしても定評がある。
NPO全国地域結婚支援センター理事

【著書】
『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『新平等社会』『ここがおかしい日本の社会保障』(ともに文藝春秋)、『迷走する家族』(有斐閣)、『「家族」難民』(朝日新聞出版)などがある。

【公職】
•内閣府 男女共同参画会議・民間議員
•文部科学省 子どもの徳育に関する懇談会・委員
•社会生産性本部 ワーク・ライフ・バランス推進会議・委員
•厚生省 人口問題審議会・専門委員
•経済企画庁 国民生活審議会・特別委員
•参議院 調査室・客員研究員
•東京都 青少年協議会・委員
•同 児童福祉審議会・委員
•内閣府 国民生活審議会・委員
などを歴任。

山田昌弘の作品

少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする