アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 79
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310716

作品紹介・あらすじ

誰によって、いつ頃つくられたのか、本当に千一夜分の物語があったのか-いまや世界文学となった「アラビアンナイト」の成立事情は、謎に包まれている。まぼろしの「原典」探し、「偽写本」の捏造、翻訳による違いなど、成立から翻訳・受容の過程をたどり、異文化のはざまで変貌していく物語集の文明史的意味を考える。

感想・レビュー・書評

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  • NHKの100分で名著を見てアラビアンナイトの歴史を知りたかった。

  • アラビアンナイトはどうして生まれたのかを読み解く解説書。オススメはロバートアーウィン著「必携アラビアンナイト」なのですが本書の方が安く入手しやすいです。

  • アラビアンナイトを始めとする一千一夜物語が、西洋におけるアジア文化との交流の役割をどのようにして担っているか。オリエンタリズム的視点。

  • S019.9-ブン-901 300291036

  • アラビアンナイトには子供向けのファンタジー、そしてエロティックな宮廷譚という2つの違った印象がありました。この本は千夜一夜物語が1704年にフランスに紹介され、急速に欧州に広がっていったとのこと。そして異国情緒の物語として改筆、加筆されていったこと。元の写本を追いかけることから説明を始めています。アラジンもアリババも最初の写本には登場しないということ。バートン版というものが確かにエロ物語イメージがありますが、英国の外交官であった人の性風俗への興味から出ているというのは、納得です。欧州においてイスラムへの差別意識からアラブにそのイメージを持たせたということは否めないように思いました。現在のキリスト教とイスラムの文化圏の対立を考えるとき、こんなところにもその痕跡があるというのは気がつかなかったことでした。日本における歴史にも宮武外骨、大宅荘一らのジャーナリストが翻訳者として登場するなど、実に意外な展開が面白かったです。

  • アラビアンナイト、千夜一夜物語が「物語」として誕生した過程を描いている。
    アラビアンナイトについて、その内容や誕生をあまり知らなかったので面白かったです。アラジンって中国の話だったんですね!

    西洋で受け入れられていく過程や、学者や翻訳者たちが必死になって物語を千一話収集した事実、翻訳者たちの人生が興味深かったです。
    日本でも中東文化が受け入れられるといいなぁ

  • 220ページほどの新書版だが,本格的な<アラビアンナイト論>。
     こどもの頃には童話集で、アラジンと魔法のランプとかアリババと40人の盗賊などを読んだように思う。この2つの物語は,本来アラビアンナイトには入れてなかった物語だった、ということも初めて知った。そして大人になって読んだ記憶は無いが,アラビアンナイトにはいくつかの異本があることは、バートン版などと謳ったタイトルを本屋で見かけたことなどから想像できていた。
     この本で本来のアラビアンナイトの歴史を読んだ。そして世界の中の欧州・中東・亜細亜などいくつかの文明のありようを、改めて感じたところ。
     目次は次のとおり。
    第1章 アラビアンナイトの発見/最初の翻訳者アントワーヌ・ガランなど
    第2章 まぼろしの千一夜を求めて/本当は千一夜なかった?・・など
    第3章 新たな物語の誕生/アメリカでの「東方小説」・・など
    第4章 アラブ世界のアラビアンナイト/アラビアンナイトは非主流派など
    第5章 日本人の中東幻想/江戸期の中東情報/明治期の翻訳事情・・など
    第6章 世界をつなぐアラビアンナイト/進化し続ける物語・・など
    第7章 「オリエンタリズム」を超えて
     日本語全訳版は、岩波文庫88年マルドリュス版・東洋文庫92年カルカッタ2版・ちくま文庫04年バートン版。

  • 『アラビアンナイト』のヨーロッパ受容が話のメインになっています。近世・近代以降のオリエンタリズムの交流から「アラビアンナイト」の「発見」、完全なる「千一夜」分の話の発掘、「児童書」「好色文学」としての発展過程が述べられています。そしてまた、江戸以降の日本がこのアラビア文学を受容していった過程にも触れられており、全体的に「アラビアンナイトの受容過程から見た文化交流史」といった内容になっています。ですから、東西文化交流などに興味がある人は非常に参考となる内容ですが、『アラビアンナイト』自体に興味がある人には期待はずれなものになるかもしれません。追記:例えば『詳説 世界史研究』(山川出版社)には、『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』がほぼ現在の形にまとめられたのは16世紀のマムルーク末期だと書いているが、この本では、「今」の形は様々な写本をまとめた19世紀のイギリス領インドで印刷された「カルカッタ第二版」だとしている。

  • サイードの『オリエンタリズム』の補足として読もうと思ってたんですが、内容はちょっと違う感じでした。アラビアンナイトが西洋の中でどういった役割を果たし、どう変化してきたか。挿絵による比較がとても興味深いです。

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著者プロフィール

国立民族学博物館副館長 人間文化研究機構国立民族学博物館教授/総合研究大学院大学文化科学研究科教授 言語人類学
最終学歴:京都大学大学院文学研究科博士課程修了
学位:博士(文学)
主要業績:「枠物語異聞—もうひとつのアラビアンナイト、ヴェツシュタイン写本試論」堀内正樹・西尾哲夫(編)『〈断〉と〈続〉の中東—非境界的世界をぐ』悠書館 2015。『ヴェニスの商人の異人論—人肉一ポンドと他者認識の民族学』みすず書房 2013。『世界史の中のアラビアンナイト』(NHKブックス)NHK出版 2011。

「2016年 『中東世界の音楽文化 うまれかわる伝統』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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