- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004310761
作品紹介・あらすじ
罹患者が増える一方のがん。長年、地域医療の第一線で活躍してきた著者は、高齢化の影響に特に注目し、現在の治療の可能性と限界とを解説する。また、自身、がん患者でもある立場から、患者やその家族の置かれる厳しい状況に着目し、制度として何が求められるか、がんとどう「共存」をはかっていくべきかを真摯に問いかける。
感想・レビュー・書評
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がん患者としてこの類の本を読む目的は、自分の生存確率についての情報を得るために決まっている。その意味では、その期待に直接的に応えてくれる内容ではなかった。
いや、そうとも言えないか。がんが慢性疾患(永続的、すなわち死亡するまで医学的治療を必要とする)である、という記述に改めて(軽く)落ち込ませられたが、一方、患者の存命期間は確実に延びている、という記述には多少安堵の思いを得た。
本書は、がんとどう向き合うか、を教条的に読者に示そうというテキストブックではない。自らもがん患者となった医師の、日本におけるがんの医療現場の現状(書かれたのは2007年ごろと少し前だが)について、多くの患者と実際に向き合ったケースを通して、様々な考察、自省、提言を述べている。非常に情報としては得ることが多い内容であった。細かいことでいえば、私自身がり患した胃がんについて取り上げている回数が多かったのも役立った。
本書を読みながら、がんの発見から治療における自分の体験を振り返りつつ、その経過および、その先にある終末における患者の苦悩、そして医師の葛藤について、様々な思いを重ねることができた。
患者と医師にとって、医療方針を選択する際、どのような考え方があるのかについても多少知ることができた。また、医学的にみて、がん細胞が倍々ゲームで増殖し、それゆえ潜伏期間が長く、しかし恐ろしいことにいったん増殖を始めると短期間で一気に大きくなるということもよく理解できた(怖い話だが)。
がんは、発見されてもまだ治療ができている間、その余命は不確実性が高い(ただ確実にそれは長くはなってきている)。終末期になった場合は、もう一気に最後に向かう、という経過をたどるものなのだな、ということも、本書の豊富なケースが示している。
手に取った時は、怖い、自分を落ち込ませる内容かも、とちょっと逡巡したが、読んでみて怖くなることは少ししかなかったし、読んでよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
罹患者が増える一方のがん。
長年、地域医療の第一線で活躍してきた著者は、高齢化の影響に特に注目し、現在の治療の可能性と限界とを解説する。
また、自身、がん患者でもある立場から、患者やその家族の置かれる厳しい状況に着目し、制度として何が求められるか、がんとどう「共存」をはかっていくべきかを真摯に問いかける。
[ 目次 ]
序章 がん医療の「転換期」
第1章 がんの「本質」を見つめる
第2章 求められる「選択と決断」
第3章 がんの「早期発見」
第4章 「患者本位」のがん情報
第5章 「がん難民」の明日
第6章 がんと「共存」する
終章 がんの医学に新たな風を
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